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彼に出会ったのは、よく晴れたというわけでもなく、かと言って曇りとも言えない中途半端な晴れの日だったと思う。
正直、彼との出会いは強烈すぎてよく覚えていない。でも、これだけは覚えてる。
彼との出会いは最悪だった。
――――――――――
カバンの中を確かめる。よし、オッケー。天気を確かめる。うん、雨は降ら無さそう。
今日の運勢は?やった、山羊座一位!ラッキーアイテムは…オオカミ?うーん、途中でマスコットでも探そうかなぁ。
っと、最後に服装チェック。自信は無いけど、大丈夫、だろう。
「行ってきまーす!」
純花はドアを開けると、元気よく挨拶をして外に出た。
彼女は今日、母親に頼まれて隣町の祖母の家に向かっていた。なんでも、急に病気になって倒れたらしい。幸いにして軽い風邪だった為入院する事も無く済んだのだが、今だに寝込んでいる。
食事等々の心配をした娘である純花の母自身は仕事がどうしても抜けられない、という事で大学一年で暇な純花に白羽の矢が立ったのだ。純花自身、祖母の事は大好きだったので一も二もなく引き受けた。
「あらぁ、純花ちゃんじゃない。お出かけ?」
「はい!お使いでおばあちゃんのところに行くんです」
「偉いわねぇ。気を付けて行ってらっしゃい」
とことこと歩いていると近所の人からひっきりなしに声がかかる。現代にしては珍しくこのあたりでは近所づきあいが密接で、人懐っこい純花はマスコット的に可愛がられているのだ。
そのそれぞれにニコニコと笑顔で返答しつつ、純花は祖母の家に向かった。
ふんふんと鼻歌交じりに歩いていた純花は、一軒の家を見つけて目を輝かせた。その家の前でちょっと足を止め、そっと様子を窺ってみる。
「うーん。無理かなぁ…」
「何が?」
「ひぇ?!」
1人呟いたその声に返事を返され、飛び上がる純花。振り向くと笑顔の青年が立っていた。
「もう!驚かさないでください、お兄ちゃん!!」
「ごめんごめん」
むぅ、とむくれる純花に苦笑する“お兄ちゃん”。純花のご機嫌を取ろうと、その頭を優しく撫でる。
気持ちよさそうに目を細める純花。淡い思いをこの青年に向ける純花は、結局のところ本気で怒ることが出来ないのだ。
「それで、お使いかな?」
顔を覗き込んできた“お兄ちゃん”に、純花は笑顔を返す。
「うん!ちょっとおばあちゃん家に行ってくるのです」
すると、“お兄ちゃん”は急に心配そうな顔をする。
「え、でも、おばあちゃん家は隣町だろ?最近目つきの悪い不良がふらふらしてるらしいし、大丈夫?あ、あと、純花はよく転んだり、人にぶつかったりするから気を付けて?ああそうだ、知らない人について行っちゃダメだよ?それから…」
「だ、大丈夫ですよ。もう、心配性ですねお兄ちゃんは。じゃあ、行ってきまーす」
「あ、純花!気を付けるんだよ⁈」
矢継ぎ早に注意してくる“お兄ちゃん”〝に、苦笑する純花。純花が何処かに行こうとするたびに過剰なまでに心配する“お兄ちゃん”である。
付き合ってると日が暮れるのは経験済みなので、早々に話を切り上げて歩き出す純花。後ろから声を掛けてくる心配性の“お兄ちゃん”にクスクス笑う。純花としてはその姿が見れただけでお腹いっぱいなのである。
純花は足取り軽く目的地に向かって歩き出した。
正直、彼との出会いは強烈すぎてよく覚えていない。でも、これだけは覚えてる。
彼との出会いは最悪だった。
――――――――――
カバンの中を確かめる。よし、オッケー。天気を確かめる。うん、雨は降ら無さそう。
今日の運勢は?やった、山羊座一位!ラッキーアイテムは…オオカミ?うーん、途中でマスコットでも探そうかなぁ。
っと、最後に服装チェック。自信は無いけど、大丈夫、だろう。
「行ってきまーす!」
純花はドアを開けると、元気よく挨拶をして外に出た。
彼女は今日、母親に頼まれて隣町の祖母の家に向かっていた。なんでも、急に病気になって倒れたらしい。幸いにして軽い風邪だった為入院する事も無く済んだのだが、今だに寝込んでいる。
食事等々の心配をした娘である純花の母自身は仕事がどうしても抜けられない、という事で大学一年で暇な純花に白羽の矢が立ったのだ。純花自身、祖母の事は大好きだったので一も二もなく引き受けた。
「あらぁ、純花ちゃんじゃない。お出かけ?」
「はい!お使いでおばあちゃんのところに行くんです」
「偉いわねぇ。気を付けて行ってらっしゃい」
とことこと歩いていると近所の人からひっきりなしに声がかかる。現代にしては珍しくこのあたりでは近所づきあいが密接で、人懐っこい純花はマスコット的に可愛がられているのだ。
そのそれぞれにニコニコと笑顔で返答しつつ、純花は祖母の家に向かった。
ふんふんと鼻歌交じりに歩いていた純花は、一軒の家を見つけて目を輝かせた。その家の前でちょっと足を止め、そっと様子を窺ってみる。
「うーん。無理かなぁ…」
「何が?」
「ひぇ?!」
1人呟いたその声に返事を返され、飛び上がる純花。振り向くと笑顔の青年が立っていた。
「もう!驚かさないでください、お兄ちゃん!!」
「ごめんごめん」
むぅ、とむくれる純花に苦笑する“お兄ちゃん”。純花のご機嫌を取ろうと、その頭を優しく撫でる。
気持ちよさそうに目を細める純花。淡い思いをこの青年に向ける純花は、結局のところ本気で怒ることが出来ないのだ。
「それで、お使いかな?」
顔を覗き込んできた“お兄ちゃん”に、純花は笑顔を返す。
「うん!ちょっとおばあちゃん家に行ってくるのです」
すると、“お兄ちゃん”は急に心配そうな顔をする。
「え、でも、おばあちゃん家は隣町だろ?最近目つきの悪い不良がふらふらしてるらしいし、大丈夫?あ、あと、純花はよく転んだり、人にぶつかったりするから気を付けて?ああそうだ、知らない人について行っちゃダメだよ?それから…」
「だ、大丈夫ですよ。もう、心配性ですねお兄ちゃんは。じゃあ、行ってきまーす」
「あ、純花!気を付けるんだよ⁈」
矢継ぎ早に注意してくる“お兄ちゃん”〝に、苦笑する純花。純花が何処かに行こうとするたびに過剰なまでに心配する“お兄ちゃん”である。
付き合ってると日が暮れるのは経験済みなので、早々に話を切り上げて歩き出す純花。後ろから声を掛けてくる心配性の“お兄ちゃん”にクスクス笑う。純花としてはその姿が見れただけでお腹いっぱいなのである。
純花は足取り軽く目的地に向かって歩き出した。
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