10 / 100
10『あたしのトリップが始まる……』
しおりを挟む
泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)
10『あたしのトリップが始まる……』
嫌われているはずだ。少なくとも変な女子だと思われている。
普通に考えてあり得ないよ、エロゲ大好きな女子高生なんて。
階段を駆け下りるあたしを呼び止めたのは、先輩の優しさだ。
ハンカチを買って返すというのは……ま、常識だよね。あたしは返してほしくなんかないけど。
エロゲ趣味だということを知られてしまった先輩には会いたくないから。
先輩は、あたしのΣ顔をあまり気にはしていないようだ。だからアキバのマックまでは普通にしていられた。
でも、祖母ちゃんのことがあったとはいえ、エロゲの受け取りを頼んでしまって、それからは、あたしの評価は変わっているはずだ。
「コンプリートしたら、貸してもらえないかな!」
先輩の言葉は額面通りには受け取れない。
ハンカチのことで素直な返事ができない。チョー尖がったΣ顔だった。
そんなΣ顔と、そのまま別れたら寝覚めが悪い。
人間というのは、堂本先生みたいな例外はいるけど、人とのかかわりは円満で円滑にしたいもんだ。知り合いやご近所さんに出会ったら、とりあえず笑顔で「こんにちは」とか「おはようございます」とかの社交辞令。けして相手に好意を持っているからじゃないんだ。
旅行に行ったとする。「まあ、どちらに行ってらしたの?」「ちょっと○○まで」「まあ、それはよかったですね、わたしも行ってみたいわ」「じゃ、今度ごいっしょに」「そーですね、機会がありましたらぜひ」という会話。
いいところだとも思っていないし、わたしも行ってみたいとも思っていなければ、今度ごいっしょにとも機会があればとも思っていない。
引っ越しの葉書が来たとする――近所にお越しの節は是非お立ち寄りください――と書いてある。
真に受けて本当に行ったらヒンシュクものだ。
トランプ大統領の当選が確実になった時、ヒラリー・クリントンはお祝いの電話をトランプにかけた。
ヒラリー・クリントンが本気でお祝いしてると思っている人間は世界中に一人もいない。
だから「コンプリートしたら、貸してもらえないかな」も「番号の交換とか……」もクリントンのお祝い電話なんだ。
先輩の番号消してしまおうとか思うけど、昨日の今日で消したら失礼だよね。
お風呂に入っているうちに、これだけのことを思いめぐらす。
歯ブラシ咥えて映った顔は、嫌になるくらいのブスΣ。
――テスト近いんだから、夜更かししないで寝るのよ――
お母さんの言葉に「はーい」と、声だけは素直に返事。
部屋に戻ると、ベッドに潜り込み、イヤホンを装着。
イヤホンは枕もとのパソコンに繋がっている。
お風呂の前にクリックしておいたゲームは長いインストールを完了している。
メーカーのロゴ、18禁と著作権の注意書き、映像倫理機構の審査済、そしてテーマ曲とともにメニュー画面。
設定をクリック、難易度はノーマル、サウンドは音声を除いてレベルを60%に。
あ……
小さく叫んでしまった。
主人公の名前は、いつもデフォルトのままにしておくんだけど、今回は、なんと字幕だけじゃなくって、キャラがほんとうに呼んでくれるらしい。人工音声なんだろうけど、これは嬉しい。
名前を百地美子(ももちみこ)と打ち込んで、あたしのトリップが始まる……。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校二年
百地美子 (シグマ) 高校一年
妻鹿小菊 中三 オメガの妹
ノリスケ 高校二年 雄一の数少ない友だち
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
10『あたしのトリップが始まる……』
嫌われているはずだ。少なくとも変な女子だと思われている。
普通に考えてあり得ないよ、エロゲ大好きな女子高生なんて。
階段を駆け下りるあたしを呼び止めたのは、先輩の優しさだ。
ハンカチを買って返すというのは……ま、常識だよね。あたしは返してほしくなんかないけど。
エロゲ趣味だということを知られてしまった先輩には会いたくないから。
先輩は、あたしのΣ顔をあまり気にはしていないようだ。だからアキバのマックまでは普通にしていられた。
でも、祖母ちゃんのことがあったとはいえ、エロゲの受け取りを頼んでしまって、それからは、あたしの評価は変わっているはずだ。
「コンプリートしたら、貸してもらえないかな!」
先輩の言葉は額面通りには受け取れない。
ハンカチのことで素直な返事ができない。チョー尖がったΣ顔だった。
そんなΣ顔と、そのまま別れたら寝覚めが悪い。
人間というのは、堂本先生みたいな例外はいるけど、人とのかかわりは円満で円滑にしたいもんだ。知り合いやご近所さんに出会ったら、とりあえず笑顔で「こんにちは」とか「おはようございます」とかの社交辞令。けして相手に好意を持っているからじゃないんだ。
旅行に行ったとする。「まあ、どちらに行ってらしたの?」「ちょっと○○まで」「まあ、それはよかったですね、わたしも行ってみたいわ」「じゃ、今度ごいっしょに」「そーですね、機会がありましたらぜひ」という会話。
いいところだとも思っていないし、わたしも行ってみたいとも思っていなければ、今度ごいっしょにとも機会があればとも思っていない。
引っ越しの葉書が来たとする――近所にお越しの節は是非お立ち寄りください――と書いてある。
真に受けて本当に行ったらヒンシュクものだ。
トランプ大統領の当選が確実になった時、ヒラリー・クリントンはお祝いの電話をトランプにかけた。
ヒラリー・クリントンが本気でお祝いしてると思っている人間は世界中に一人もいない。
だから「コンプリートしたら、貸してもらえないかな」も「番号の交換とか……」もクリントンのお祝い電話なんだ。
先輩の番号消してしまおうとか思うけど、昨日の今日で消したら失礼だよね。
お風呂に入っているうちに、これだけのことを思いめぐらす。
歯ブラシ咥えて映った顔は、嫌になるくらいのブスΣ。
――テスト近いんだから、夜更かししないで寝るのよ――
お母さんの言葉に「はーい」と、声だけは素直に返事。
部屋に戻ると、ベッドに潜り込み、イヤホンを装着。
イヤホンは枕もとのパソコンに繋がっている。
お風呂の前にクリックしておいたゲームは長いインストールを完了している。
メーカーのロゴ、18禁と著作権の注意書き、映像倫理機構の審査済、そしてテーマ曲とともにメニュー画面。
設定をクリック、難易度はノーマル、サウンドは音声を除いてレベルを60%に。
あ……
小さく叫んでしまった。
主人公の名前は、いつもデフォルトのままにしておくんだけど、今回は、なんと字幕だけじゃなくって、キャラがほんとうに呼んでくれるらしい。人工音声なんだろうけど、これは嬉しい。
名前を百地美子(ももちみこ)と打ち込んで、あたしのトリップが始まる……。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校二年
百地美子 (シグマ) 高校一年
妻鹿小菊 中三 オメガの妹
ノリスケ 高校二年 雄一の数少ない友だち
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる