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48『(#^.^#)こんな顔して笑う風信子先輩』
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泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)
48『(#^.^#)こんな顔して笑う風信子先輩』シグマ
ね、茶道部に入らない?
優しい言葉の響きに、ついホロっとしてしまったけど、風信子先輩はとんでもないことを言っている。
仮にも、あたしたちは新入部員の勧誘をやっているサブカル研究会の二年生と三年生なんだ。
今日は一人も部員を獲得できなかったけど、一応独立した同好会なんだよ。
そのあたしたちに勧誘を掛けてくるなんて、ちょっと心に隙間風。
「それって、坊主(釣りの用語で収穫無しの意味)の俺たちに、お茶でもって意味なんだよな?」
「それならコンビニでお茶菓子とか買ってくるぞ」
オメガ、ノリスケ両先輩は風信子先輩とは幼なじみなので、言葉の裏を解釈している。
「ううん、文字通り勧誘してんの。でも、とりあえずお茶会でもいいわよね、ちょっと風が冷たくなってきたし」
ノリスケ先輩はコンビニに、あたしたちは茶道部の部室になっている作法教室に向かった。
「いいなーいいなー、大きな和室が二つもあるじゃないですかー」
「待っててね、いま、お茶入れるから。オメガは、ちょっと手伝って」
「ああ、いいよ」
本格的なお点前が始まるのかと思ったら、続きの板の間から、オメガ先輩が電気こたつを運んできた。
「真ん中だとコードが足りないから、床の間寄りにね」
「分かった」
「こたつのお布団とかあるんですか?」
作法教室は純和風だけど、鉄筋校舎の一階なので、けっこう寒い。
「押し入れ開けたら座布団なんかと一緒に入ってる」
こたつの用意をし終ると、風信子先輩がお茶道具一式を持って現れた。
「それ、普通の……」
「そうよ、キチンとしたお点前は、正式な部活の日か行事の時にしかやらないわ」
出てきたのは、茶筒と電気ポットと急須と湯呑だよ。
お湯が沸いたころにノリスケ先輩が、コンビニ袋をぶら下げて戻って来た。
こたつの四辺に収まってお茶会が始まった。
「他の部員は来ないのか?」
「部活の日じゃないし、全員集まっても三人しかいないしね」
「さ、三人なんですか!?」
「そんなに少ないのか、茶道部って?」
「過疎のネトゲみたいだよなあ」
「卒業した三年生がいたころは七人だったんだけどね」
そう言いながらコポコポとお茶を注ぐ風信子先輩。さすが茶道部で、あたしの湯呑には茶柱が立った。
「あ、あれ、みなさんの湯呑にも茶柱が……」
「へへ、一応茶道部の部長だからね」
ホーっと、サブカル研の三人は感心する。
「茶道部もサブカルも頭文字は『さ』でしょ?」
「あ、そういえばそうだな」
「だから、気楽に『さ』道部っていうのはどうかしら?」
風信子先輩が奇妙なことを言い出した。
「「「『さ』道部?」」」
「うちの正式な部活は、月に一度お茶の先生に来てもらって稽古するときだけなのよ、それ以外は好きな時に集まってお茶会やってるのが茶道部なの」
「へー、そうだったんだ」
「なんか、いつでも地味~にやってらっしゃるって感じだったんだけど」
「こんなきちんとした作法室使ってるもんね。でもね、部員が三人に減っちゃって寂しいのよ。お茶会やっても、部員が一人ってときもあるのよ」
「あーー、この和室で一人というのは寂しいですよね」
あたしは『君といた季節』ってエロゲで、ヒロインが一人旅館に泊まるシーンを思い出していた。あれは、チョー寂しかった。ま、その効果で、彼との再会フラグが際立ってくるんだけどね」
「でさ、『さ』道部ってくくりでやってこーよ。むろんわたしも参加させてもらうからさ」
「え、それって、先輩もサブカル研やってもらえるってことなんですか?」
「まあね、ま、持ちつ持たれつということかなあ」
そういうと、先輩は、いそいそと立ち上がり、隣の部屋にある水屋ダンスみたいなのを開けた。
すると、ズイーンと音がして、パソコンが三台せり出してきたではないか!
「ま、お茶会しながらこんなこともやってるの。話題は豊富でなきゃね。奥には、もう二台ノートパソコンもあるわよ」
(#^.^#)こんな顔して笑う風信子先輩はただものではないと感じたよぉ……。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校三年
百地美子 (シグマ) 高校二年
妻鹿小菊 高校一年 オメガの妹
妻鹿由紀夫 父
鈴木典亮 (ノリスケ) 高校三年 雄一の数少ない友だち
風信子 高校三年 幼なじみの神社の娘
柊木小松(ひいらぎこまつ) 大学生 オメガの一歳上の従姉 松ねえ
ミリー・ニノミヤ シグマの祖母
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
木田さん 二年の時のクラスメート(副委員長)
増田さん 小菊のクラスメート
48『(#^.^#)こんな顔して笑う風信子先輩』シグマ
ね、茶道部に入らない?
優しい言葉の響きに、ついホロっとしてしまったけど、風信子先輩はとんでもないことを言っている。
仮にも、あたしたちは新入部員の勧誘をやっているサブカル研究会の二年生と三年生なんだ。
今日は一人も部員を獲得できなかったけど、一応独立した同好会なんだよ。
そのあたしたちに勧誘を掛けてくるなんて、ちょっと心に隙間風。
「それって、坊主(釣りの用語で収穫無しの意味)の俺たちに、お茶でもって意味なんだよな?」
「それならコンビニでお茶菓子とか買ってくるぞ」
オメガ、ノリスケ両先輩は風信子先輩とは幼なじみなので、言葉の裏を解釈している。
「ううん、文字通り勧誘してんの。でも、とりあえずお茶会でもいいわよね、ちょっと風が冷たくなってきたし」
ノリスケ先輩はコンビニに、あたしたちは茶道部の部室になっている作法教室に向かった。
「いいなーいいなー、大きな和室が二つもあるじゃないですかー」
「待っててね、いま、お茶入れるから。オメガは、ちょっと手伝って」
「ああ、いいよ」
本格的なお点前が始まるのかと思ったら、続きの板の間から、オメガ先輩が電気こたつを運んできた。
「真ん中だとコードが足りないから、床の間寄りにね」
「分かった」
「こたつのお布団とかあるんですか?」
作法教室は純和風だけど、鉄筋校舎の一階なので、けっこう寒い。
「押し入れ開けたら座布団なんかと一緒に入ってる」
こたつの用意をし終ると、風信子先輩がお茶道具一式を持って現れた。
「それ、普通の……」
「そうよ、キチンとしたお点前は、正式な部活の日か行事の時にしかやらないわ」
出てきたのは、茶筒と電気ポットと急須と湯呑だよ。
お湯が沸いたころにノリスケ先輩が、コンビニ袋をぶら下げて戻って来た。
こたつの四辺に収まってお茶会が始まった。
「他の部員は来ないのか?」
「部活の日じゃないし、全員集まっても三人しかいないしね」
「さ、三人なんですか!?」
「そんなに少ないのか、茶道部って?」
「過疎のネトゲみたいだよなあ」
「卒業した三年生がいたころは七人だったんだけどね」
そう言いながらコポコポとお茶を注ぐ風信子先輩。さすが茶道部で、あたしの湯呑には茶柱が立った。
「あ、あれ、みなさんの湯呑にも茶柱が……」
「へへ、一応茶道部の部長だからね」
ホーっと、サブカル研の三人は感心する。
「茶道部もサブカルも頭文字は『さ』でしょ?」
「あ、そういえばそうだな」
「だから、気楽に『さ』道部っていうのはどうかしら?」
風信子先輩が奇妙なことを言い出した。
「「「『さ』道部?」」」
「うちの正式な部活は、月に一度お茶の先生に来てもらって稽古するときだけなのよ、それ以外は好きな時に集まってお茶会やってるのが茶道部なの」
「へー、そうだったんだ」
「なんか、いつでも地味~にやってらっしゃるって感じだったんだけど」
「こんなきちんとした作法室使ってるもんね。でもね、部員が三人に減っちゃって寂しいのよ。お茶会やっても、部員が一人ってときもあるのよ」
「あーー、この和室で一人というのは寂しいですよね」
あたしは『君といた季節』ってエロゲで、ヒロインが一人旅館に泊まるシーンを思い出していた。あれは、チョー寂しかった。ま、その効果で、彼との再会フラグが際立ってくるんだけどね」
「でさ、『さ』道部ってくくりでやってこーよ。むろんわたしも参加させてもらうからさ」
「え、それって、先輩もサブカル研やってもらえるってことなんですか?」
「まあね、ま、持ちつ持たれつということかなあ」
そういうと、先輩は、いそいそと立ち上がり、隣の部屋にある水屋ダンスみたいなのを開けた。
すると、ズイーンと音がして、パソコンが三台せり出してきたではないか!
「ま、お茶会しながらこんなこともやってるの。話題は豊富でなきゃね。奥には、もう二台ノートパソコンもあるわよ」
(#^.^#)こんな顔して笑う風信子先輩はただものではないと感じたよぉ……。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校三年
百地美子 (シグマ) 高校二年
妻鹿小菊 高校一年 オメガの妹
妻鹿由紀夫 父
鈴木典亮 (ノリスケ) 高校三年 雄一の数少ない友だち
風信子 高校三年 幼なじみの神社の娘
柊木小松(ひいらぎこまつ) 大学生 オメガの一歳上の従姉 松ねえ
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