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66『JR秋葉原駅昭和通り口』
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泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)
66『JR秋葉原駅昭和通り口』小松
うちの親がガスマスクを送ってきて、試しに付けてみたら外し方が分からなくって大騒ぎになったのは先週の日曜日。
偶然、妻鹿家の外塀に車が突っ込んできて、外せないガスマスクのまま外に出たもんだから、ご近所はミサイルが飛んで来たのかと人だかりになってテレビに取り上げられたりした。
でも、ま、ローカルトピックス、大山鳴動して鼠一匹てな話だった。
あれからガスマスクは持ち歩いているんですよ。
なにかと話題になって「見せてよ!」とせがまれ、ここのところ、わたしのコミニケーションツールになっているんだよね(^_^;)。おかげで、何度も着脱を繰り返してるもんだから、ちょっとしたガスマスクマイスター。自分で被るのも人に被せてあげるのも名人級になってきたわよ(^▽^;)。
バイト明けの夕方、@ホームナンバーツーのもなかさんと買い物に出た。
流れで、いつもとは違う昭和通り口の方にやって来たんだけどね。
ここはガスマスク事件と同じ日に不審物が見つかって、警察の爆発物処理の車両なんかも出動して大騒ぎになったところなのですよ。むろん、規制線とかもとっくになくなって、自分の責任でもないのに『お騒がせしました』の地下鉄のわび状みたいなのが貼ってある。
ま、おぞましい記憶を呼び戻しても仕方ない、「よいせ!」と両手の荷物を左手にまとめ、右手にスイカ(食べるスイカじゃないよ)を握る。
改札に向かおうとしたら、再びもなかさんが立ち止まる。
「ごめん、チャージしなくっちゃ」
直前に気づくとは、さすがに@ホームナンバーツー。わたしだったら気づかないで改札機に通せんぼされているところだ。
お店のメイドの中では珍しい和風の美人さん。ハワイ@ホームの指導に行った時も彼女の人気は一番だった。「ごめんなさい」を自然な笑顔に載せて券売機に向かって行った。
あれ……?
券売機の前でもなかさんは立ち止まった、手にスイカを握ったまま。
横にはソバージュにグラサンの女のひと……。
二秒でおかしいと思った、二人とも券売機に進もうとしないのだ。後の人が先に券売機の前に立つ、二人目の人が追い越して、ただ事じゃないと感じた。
磁石でくっついたように二人は券売機のコーナーから離れ始めた。
キラリ
動いた拍子に、もなかさんの脇腹に光るものが突き付けられているのに気が付いた。
気づくと同時に駆けだした。
トリャー!!
両手いっぱいの荷物を、数歩の間に振りかぶってソバージュの後頭部にぶっつけた!
「ウガーー!」
ソバージュは、勢いで前につんのめる。
わたしの買い物は、五メートル四方に飛び散っている、軽いものは遠くに、重いものは足許に。
「ウワー!」「ブギャー!」
わたしとソバージュの叫びが続く。
足許に落ちたオリーブオイルの瓶が割れ、二人そろって滑ってしまったのだ。
偶然だけど、腹這いに倒れたソバージュの上に覆いかぶさるように倒れていた。
で、その感触で分かった――こいつは男だ!――
男だと分かると、自分一人では制圧できないと思う。できなければ反撃を食らうのはわたしだ。
腹這いになったソバージュの手には、もう光るものは無い。同時に、散らばった荷物の中にガスマスクを見つける。
――これだ!――
ガスマスクを掴むと、ソバージュウィッグの外れた男の頭に被せた。
マンガみたいだけど――スポッ!――と音がして男の頭にガスマスクがハマってしまった。
予期しないガスマスクに女装の男はパニックになってのたうち回る。
そのタイミングで、駅員さんとお巡りさんが駆けつけて男を制圧。
「パインさん……」
もなかさんが、わたしのメイドネームを呼ぶ。もなかさんは、わたしのお腹を指さしている。
「え……」
光るものの正体は短いナイフで…………分からないはずね、自分のお腹に刺さっていたんだ……。
急速に目の前が暗くなっていった……。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校三年
百地美子 (シグマ) 高校二年
妻鹿小菊 高校一年 オメガの妹
妻鹿幸一 祖父
妻鹿由紀夫 父
鈴木典亮 (ノリスケ) 高校三年 雄一の数少ない友だち
風信子 高校三年 幼なじみの神社(神楽坂鈿女神社)の娘
柊木小松(ひいらぎこまつ) 大学生 オメガの一歳上の従姉 松ねえ
ミリー・ニノミヤ シグマの祖母
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
木田さん 二年の時のクラスメート(副委員長)
増田汐(しほ) 小菊のクラスメート
66『JR秋葉原駅昭和通り口』小松
うちの親がガスマスクを送ってきて、試しに付けてみたら外し方が分からなくって大騒ぎになったのは先週の日曜日。
偶然、妻鹿家の外塀に車が突っ込んできて、外せないガスマスクのまま外に出たもんだから、ご近所はミサイルが飛んで来たのかと人だかりになってテレビに取り上げられたりした。
でも、ま、ローカルトピックス、大山鳴動して鼠一匹てな話だった。
あれからガスマスクは持ち歩いているんですよ。
なにかと話題になって「見せてよ!」とせがまれ、ここのところ、わたしのコミニケーションツールになっているんだよね(^_^;)。おかげで、何度も着脱を繰り返してるもんだから、ちょっとしたガスマスクマイスター。自分で被るのも人に被せてあげるのも名人級になってきたわよ(^▽^;)。
バイト明けの夕方、@ホームナンバーツーのもなかさんと買い物に出た。
流れで、いつもとは違う昭和通り口の方にやって来たんだけどね。
ここはガスマスク事件と同じ日に不審物が見つかって、警察の爆発物処理の車両なんかも出動して大騒ぎになったところなのですよ。むろん、規制線とかもとっくになくなって、自分の責任でもないのに『お騒がせしました』の地下鉄のわび状みたいなのが貼ってある。
ま、おぞましい記憶を呼び戻しても仕方ない、「よいせ!」と両手の荷物を左手にまとめ、右手にスイカ(食べるスイカじゃないよ)を握る。
改札に向かおうとしたら、再びもなかさんが立ち止まる。
「ごめん、チャージしなくっちゃ」
直前に気づくとは、さすがに@ホームナンバーツー。わたしだったら気づかないで改札機に通せんぼされているところだ。
お店のメイドの中では珍しい和風の美人さん。ハワイ@ホームの指導に行った時も彼女の人気は一番だった。「ごめんなさい」を自然な笑顔に載せて券売機に向かって行った。
あれ……?
券売機の前でもなかさんは立ち止まった、手にスイカを握ったまま。
横にはソバージュにグラサンの女のひと……。
二秒でおかしいと思った、二人とも券売機に進もうとしないのだ。後の人が先に券売機の前に立つ、二人目の人が追い越して、ただ事じゃないと感じた。
磁石でくっついたように二人は券売機のコーナーから離れ始めた。
キラリ
動いた拍子に、もなかさんの脇腹に光るものが突き付けられているのに気が付いた。
気づくと同時に駆けだした。
トリャー!!
両手いっぱいの荷物を、数歩の間に振りかぶってソバージュの後頭部にぶっつけた!
「ウガーー!」
ソバージュは、勢いで前につんのめる。
わたしの買い物は、五メートル四方に飛び散っている、軽いものは遠くに、重いものは足許に。
「ウワー!」「ブギャー!」
わたしとソバージュの叫びが続く。
足許に落ちたオリーブオイルの瓶が割れ、二人そろって滑ってしまったのだ。
偶然だけど、腹這いに倒れたソバージュの上に覆いかぶさるように倒れていた。
で、その感触で分かった――こいつは男だ!――
男だと分かると、自分一人では制圧できないと思う。できなければ反撃を食らうのはわたしだ。
腹這いになったソバージュの手には、もう光るものは無い。同時に、散らばった荷物の中にガスマスクを見つける。
――これだ!――
ガスマスクを掴むと、ソバージュウィッグの外れた男の頭に被せた。
マンガみたいだけど――スポッ!――と音がして男の頭にガスマスクがハマってしまった。
予期しないガスマスクに女装の男はパニックになってのたうち回る。
そのタイミングで、駅員さんとお巡りさんが駆けつけて男を制圧。
「パインさん……」
もなかさんが、わたしのメイドネームを呼ぶ。もなかさんは、わたしのお腹を指さしている。
「え……」
光るものの正体は短いナイフで…………分からないはずね、自分のお腹に刺さっていたんだ……。
急速に目の前が暗くなっていった……。
☆彡 主な登場人物
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妻鹿小菊 高校一年 オメガの妹
妻鹿幸一 祖父
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