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95『ほうじ茶が冷めるまで』
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泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)
95『ほうじ茶が冷めるまで』小松
和食ではラーメンとカレーライスが好きです。
ほうじ茶をフーフー冷ましながら呟くようにマッジさん。
ちょっぴり頬が染まっているのは、ほうじ茶の熱さのせいか照れているのか、よく分からない。
今夜はハワイ旅行の最終日で、ミリーさんの家でパーティーだった。
@ホームのメイドさんたちだけでなく、テニスでいっしょになったマッチョさんたちも加わって、賑やかで楽しいひと時だった。
で、ゲストも帰り、後片付けが終わって、リビングでハワイ最後の夜を女五人で過ごしているところ。
ミリーさんがほうじ茶を出してくれて、しみじみ頂いている。
「ラーメンとかカレーライスって和食?」
チロルさんが素朴な質問をする。
「ええ、立派な和食ですよ。ラーメンは中国、カレーはインドだけれども、日本に入ってきて独特の進化を遂げて、もう中国人もインド人も日本独特の料理だと思ってますよ」
「へー、そうなんだ」
「横須賀にいたころにファンになったんです。ドブ板通りに美味しいお店があって」
「え、ドブ板知ってるんですか!?」
「はい、横須賀生まれですから」
「もなかも横須賀だよ! 諏訪公園の北側!」
「あ、丘の上に女学校が見えるところですね!」
そう、もなかさんとマッジさんは同じ横須賀生まれと分かって賑やかになった。
お父さんが軍人で十五歳まで日本で暮らしていた……というのは、あまりに上手い日本語なので「お生まれは?」と聞いて、初日(傷痕が痛んでオバマ先生に診てもらった)に教えてもらっていた。そこにもなかさんも横須賀だと分かって、突然みんなの距離が近くなった。
「あ、ドブ板って云えば……!」
「うんうん、だよねだよね!」
ひとしきり、ドブ板のおもしろそうなお店の話になりかけるけど、他の者は横須賀を知らない。するとマッジさんは自然に話題を戻した。
「横須賀でも、一押しのソウルフードは、ラーメンとカレーですけど、もう日本人の国民食ですね」
「食のガラパゴス化なのかもしれないわね」
もなかさんが納得しかける。
「少し……ちがうと思います……元のをヒントに……きっかけにして作られた別物だと、わたしは感じてます」
ほうじ茶を持ち上げたが、まだ熱いのか、テーブルにもどした。その仕草が引きつける力があるのだから、マッジさんはタダモノじゃない。
「これも好物なんですけど、肉じゃがってあるじゃありませんか」
「男の胃袋つかむ必須アイテム!」
アハハハ(^O^)
チロルさんのツッコミに、みんなが笑う。
「あれって、元々はビーフシチューなんですよね。東郷平八郎提督がイギリスに留学した時に惚れこんで、日本風に作らせたのが始まりなんですって」
「「「へーそうなんだ」」」
「英国風メイドとアキバメイドの違いみたいなものかしら?」
ミリーさんが、お寿司屋さんみたいな湯呑みを持って輪の中に入って来た。
「そうですね、良い例えだと思います」
「ビーフシチュー好きな人って100%肉じゃがも好きよね」
「ですよね、わたしもそうです」
「うちの母は両方得意料理です!」
「ハハ、主婦料理の定番だもんね」
「肉じゃがの方もやってみようとは思わない?」
「はい、勉強してみます。まだ主婦になる予定はありませんけど」
「それじゃ……」
耳元で囁くミリーさん。マッジさんはまだ熱いのか、含んだお茶を慌てて呑み込んで、小さく「アッ」と言った。
アハハハ( ´艸`)
ミリーさんが笑って、それを潮にお茶会はお開きになった。
「あれって、マッジさんに縁談でも勧めたのかなあ」
ベッドに入るとチロルさんが呟く。
「違うわよ、ミリーさん、@ホームで働かないかって謎を掛けたのよ」
「え、そうなの!?」
「あ、ちょっと希望的観測も入ってるかな?」
「フフ、なんだ」
「いい人だもの、マッジさん」
「マッジさん、日本に来るのかなあ……」
「どうだろ、頬染めてたし、もし来るとしても、学校とか終わった秋じゃない?」
「わたしは……」
「なに、パインさん?」
「あ、ううん、なんでも……フワ~( ̄O ̄) あ、ごめんなさい……」
「パインさん、お眠だ」
女三人、喋り出したらきりが無いので、わたしのアクビをきっかけにチロルさんが部屋の照明を落とした。
そして、そのあくる日、どんでん返しがあった。
「日本までごいっしょします」
帰国の空港に、マッジさんはパスポートを持って現れたのだった!
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校三年
百地美子 (シグマ) 高校二年
妻鹿小菊 高校一年 オメガの妹
妻鹿幸一 祖父
妻鹿由紀夫 父
鈴木典亮 (ノリスケ) 高校三年 雄一の数少ない友だち
風信子 高校三年 幼なじみの神社(神楽坂鈿女神社)の娘
柊木小松(ひいらぎこまつ) 大学生 オメガの一歳上の従姉 松ねえ
ミリー・ニノミヤ シグマの祖母
マッジ ミリーさんの知り合いの娘 天性のメイド資質
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
木田さん 二年の時のクラスメート(副委員長)
増田汐(しほ) 小菊のクラスメート
ビバさん(和田友子) 高校二年生 ペンネーム瑠璃波美美波璃瑠 菊乃の文学上のカタキ
95『ほうじ茶が冷めるまで』小松
和食ではラーメンとカレーライスが好きです。
ほうじ茶をフーフー冷ましながら呟くようにマッジさん。
ちょっぴり頬が染まっているのは、ほうじ茶の熱さのせいか照れているのか、よく分からない。
今夜はハワイ旅行の最終日で、ミリーさんの家でパーティーだった。
@ホームのメイドさんたちだけでなく、テニスでいっしょになったマッチョさんたちも加わって、賑やかで楽しいひと時だった。
で、ゲストも帰り、後片付けが終わって、リビングでハワイ最後の夜を女五人で過ごしているところ。
ミリーさんがほうじ茶を出してくれて、しみじみ頂いている。
「ラーメンとかカレーライスって和食?」
チロルさんが素朴な質問をする。
「ええ、立派な和食ですよ。ラーメンは中国、カレーはインドだけれども、日本に入ってきて独特の進化を遂げて、もう中国人もインド人も日本独特の料理だと思ってますよ」
「へー、そうなんだ」
「横須賀にいたころにファンになったんです。ドブ板通りに美味しいお店があって」
「え、ドブ板知ってるんですか!?」
「はい、横須賀生まれですから」
「もなかも横須賀だよ! 諏訪公園の北側!」
「あ、丘の上に女学校が見えるところですね!」
そう、もなかさんとマッジさんは同じ横須賀生まれと分かって賑やかになった。
お父さんが軍人で十五歳まで日本で暮らしていた……というのは、あまりに上手い日本語なので「お生まれは?」と聞いて、初日(傷痕が痛んでオバマ先生に診てもらった)に教えてもらっていた。そこにもなかさんも横須賀だと分かって、突然みんなの距離が近くなった。
「あ、ドブ板って云えば……!」
「うんうん、だよねだよね!」
ひとしきり、ドブ板のおもしろそうなお店の話になりかけるけど、他の者は横須賀を知らない。するとマッジさんは自然に話題を戻した。
「横須賀でも、一押しのソウルフードは、ラーメンとカレーですけど、もう日本人の国民食ですね」
「食のガラパゴス化なのかもしれないわね」
もなかさんが納得しかける。
「少し……ちがうと思います……元のをヒントに……きっかけにして作られた別物だと、わたしは感じてます」
ほうじ茶を持ち上げたが、まだ熱いのか、テーブルにもどした。その仕草が引きつける力があるのだから、マッジさんはタダモノじゃない。
「これも好物なんですけど、肉じゃがってあるじゃありませんか」
「男の胃袋つかむ必須アイテム!」
アハハハ(^O^)
チロルさんのツッコミに、みんなが笑う。
「あれって、元々はビーフシチューなんですよね。東郷平八郎提督がイギリスに留学した時に惚れこんで、日本風に作らせたのが始まりなんですって」
「「「へーそうなんだ」」」
「英国風メイドとアキバメイドの違いみたいなものかしら?」
ミリーさんが、お寿司屋さんみたいな湯呑みを持って輪の中に入って来た。
「そうですね、良い例えだと思います」
「ビーフシチュー好きな人って100%肉じゃがも好きよね」
「ですよね、わたしもそうです」
「うちの母は両方得意料理です!」
「ハハ、主婦料理の定番だもんね」
「肉じゃがの方もやってみようとは思わない?」
「はい、勉強してみます。まだ主婦になる予定はありませんけど」
「それじゃ……」
耳元で囁くミリーさん。マッジさんはまだ熱いのか、含んだお茶を慌てて呑み込んで、小さく「アッ」と言った。
アハハハ( ´艸`)
ミリーさんが笑って、それを潮にお茶会はお開きになった。
「あれって、マッジさんに縁談でも勧めたのかなあ」
ベッドに入るとチロルさんが呟く。
「違うわよ、ミリーさん、@ホームで働かないかって謎を掛けたのよ」
「え、そうなの!?」
「あ、ちょっと希望的観測も入ってるかな?」
「フフ、なんだ」
「いい人だもの、マッジさん」
「マッジさん、日本に来るのかなあ……」
「どうだろ、頬染めてたし、もし来るとしても、学校とか終わった秋じゃない?」
「わたしは……」
「なに、パインさん?」
「あ、ううん、なんでも……フワ~( ̄O ̄) あ、ごめんなさい……」
「パインさん、お眠だ」
女三人、喋り出したらきりが無いので、わたしのアクビをきっかけにチロルさんが部屋の照明を落とした。
そして、そのあくる日、どんでん返しがあった。
「日本までごいっしょします」
帰国の空港に、マッジさんはパスポートを持って現れたのだった!
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校三年
百地美子 (シグマ) 高校二年
妻鹿小菊 高校一年 オメガの妹
妻鹿幸一 祖父
妻鹿由紀夫 父
鈴木典亮 (ノリスケ) 高校三年 雄一の数少ない友だち
風信子 高校三年 幼なじみの神社(神楽坂鈿女神社)の娘
柊木小松(ひいらぎこまつ) 大学生 オメガの一歳上の従姉 松ねえ
ミリー・ニノミヤ シグマの祖母
マッジ ミリーさんの知り合いの娘 天性のメイド資質
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
木田さん 二年の時のクラスメート(副委員長)
増田汐(しほ) 小菊のクラスメート
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