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本編91
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ぶつけてくる愛情の証が嬉しくて、抗えずにいた。
三日続けてそれを繰り返し、ようやく落ち着いたゲオルクは、荒い息を紡ぐソーマを昔のようにそっと抱きしめた。
「…………すまなかった」
本当はもっと犯したい、もっと自分だけに縛り付けたいと思いながらも、ゲオルクはソーマの中から欲望を抜き取った。もうずっとゲオルクを受け止め続けた欲望はすぐには口を閉じれず、たっぷりと吐き出された子種を零していく。
「ぁ……」
うつろなソーマに口づけ、何度も許しを乞う。同時に、ずっと心にあった想いをソーマに告げた。
「お前だけを愛しているんだ…ソーマ」
幼いころからずっと、ゲオルクはソーマだけを見続けてきた。恋心を抱きながら。
だから自分の傍に置き、誰にも触れさせず、ソーマは自分のものであると周囲を牽制し続けてきた。
そして強引に自分に従わせ、無理矢理に結婚を約束させた。
あの辺境の小さな村だからできたことだ。
身体中に満ちた醜い感情のすべてをソーマの中に吐き出し、残っているのはただ彼が愛おしいという想いだけになったゲオルクは、乱れた長い髪を指で梳きながら、何度もその美しい顔に唇を落としていった。
「もう……いいの?」
三日間、最低限の休養だけを与えられずっとゲオルクの想いを受け止め続けたソーマは、それだけ訊いてゆっくりと瞼を落とした。そのまつげにはまだ、激しい交情で溢れた涙が絡まっている。舌で舐めとり、ゲオルクはそっと寝台から降りた。身支度を整え、鎧を纏い愛刀を携えて、後ろ髪を引かれる想いで扉を閉めた。
今日からまた、ギルドからの依頼で出ていかなければならない。それほど遠くない場所だが、それでもソーマを一人にしていくのが忍びなかった。
テーブルに書置きをし、家から出ても何度も振り返ってしまう。
狂うほどに抱いたはずなのに、すぐに自分の手から逃げ出してしまうソーマをどうしたら繋ぎとめられるのか、あの快楽に弱く流されやすい幼馴染をどうしたら手に入れられるのか、思いあぐねながら短い旅へと向かった。
三日三晩犯され続けたソーマは、長い眠りからようやく目を覚ますと、誰もいない家で一人ぼんやりとしていた。
犯され過ぎて手も足も動かない。当然散々開かされた蕾は機能せず、その奥は重怠い痛みを抱えたままだ。
「やりすぎなんだよ……ゲオルクのバカっ」
こんなんじゃとてもじゃないけど娼館なんかに行けやしない。童貞喪失どころか勃つことすらないまま終わってしまう。寝台の上で思いつく限りの悪態を吐きながら、なぜか心が今までにないほど満たされていた。
「ゲオルクのバカ……」
小さく呟き、ギュッと彼の匂いが残る敷布に顔を埋める。
「あんな言い方ずるいよ……」
切なげに、思いの丈を吐露するかのように愛を囁かれたら、ソーマだってこれ以上怒ることができなくなってしまう。
ゲオルクに抱かれている間は、本当に彼のことしか考えられなかった。ただ自分だけを見つめてくれ、自分だけに欲情し続けてくれたことに悦びを感じ、胸が熱くなる。
でも今はどうだろう。
もう一人、自分に真摯な眼差しを向け、同じように愛を囁き続けたザームエルのことも思い出してしまう。
あの城門での泣きそうな表情がどうしても頭から離れない。
竜の館ではいつも飄々としていたのに、なぜあんなにまで苦しそうな表情をするのだろう。
そして二人とも狂ったようにソーマの名を呼ぶのだろう。
「もうわけわかんないよ……」
三日続けてそれを繰り返し、ようやく落ち着いたゲオルクは、荒い息を紡ぐソーマを昔のようにそっと抱きしめた。
「…………すまなかった」
本当はもっと犯したい、もっと自分だけに縛り付けたいと思いながらも、ゲオルクはソーマの中から欲望を抜き取った。もうずっとゲオルクを受け止め続けた欲望はすぐには口を閉じれず、たっぷりと吐き出された子種を零していく。
「ぁ……」
うつろなソーマに口づけ、何度も許しを乞う。同時に、ずっと心にあった想いをソーマに告げた。
「お前だけを愛しているんだ…ソーマ」
幼いころからずっと、ゲオルクはソーマだけを見続けてきた。恋心を抱きながら。
だから自分の傍に置き、誰にも触れさせず、ソーマは自分のものであると周囲を牽制し続けてきた。
そして強引に自分に従わせ、無理矢理に結婚を約束させた。
あの辺境の小さな村だからできたことだ。
身体中に満ちた醜い感情のすべてをソーマの中に吐き出し、残っているのはただ彼が愛おしいという想いだけになったゲオルクは、乱れた長い髪を指で梳きながら、何度もその美しい顔に唇を落としていった。
「もう……いいの?」
三日間、最低限の休養だけを与えられずっとゲオルクの想いを受け止め続けたソーマは、それだけ訊いてゆっくりと瞼を落とした。そのまつげにはまだ、激しい交情で溢れた涙が絡まっている。舌で舐めとり、ゲオルクはそっと寝台から降りた。身支度を整え、鎧を纏い愛刀を携えて、後ろ髪を引かれる想いで扉を閉めた。
今日からまた、ギルドからの依頼で出ていかなければならない。それほど遠くない場所だが、それでもソーマを一人にしていくのが忍びなかった。
テーブルに書置きをし、家から出ても何度も振り返ってしまう。
狂うほどに抱いたはずなのに、すぐに自分の手から逃げ出してしまうソーマをどうしたら繋ぎとめられるのか、あの快楽に弱く流されやすい幼馴染をどうしたら手に入れられるのか、思いあぐねながら短い旅へと向かった。
三日三晩犯され続けたソーマは、長い眠りからようやく目を覚ますと、誰もいない家で一人ぼんやりとしていた。
犯され過ぎて手も足も動かない。当然散々開かされた蕾は機能せず、その奥は重怠い痛みを抱えたままだ。
「やりすぎなんだよ……ゲオルクのバカっ」
こんなんじゃとてもじゃないけど娼館なんかに行けやしない。童貞喪失どころか勃つことすらないまま終わってしまう。寝台の上で思いつく限りの悪態を吐きながら、なぜか心が今までにないほど満たされていた。
「ゲオルクのバカ……」
小さく呟き、ギュッと彼の匂いが残る敷布に顔を埋める。
「あんな言い方ずるいよ……」
切なげに、思いの丈を吐露するかのように愛を囁かれたら、ソーマだってこれ以上怒ることができなくなってしまう。
ゲオルクに抱かれている間は、本当に彼のことしか考えられなかった。ただ自分だけを見つめてくれ、自分だけに欲情し続けてくれたことに悦びを感じ、胸が熱くなる。
でも今はどうだろう。
もう一人、自分に真摯な眼差しを向け、同じように愛を囁き続けたザームエルのことも思い出してしまう。
あの城門での泣きそうな表情がどうしても頭から離れない。
竜の館ではいつも飄々としていたのに、なぜあんなにまで苦しそうな表情をするのだろう。
そして二人とも狂ったようにソーマの名を呼ぶのだろう。
「もうわけわかんないよ……」
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