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本編1
08.逃げ道と後悔01
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「NPO法人……?」
安井から渡されたパンフレットを読んで、樟は首を傾げた。
ここは病院内に新たにできたアクアリウムだ。入院患者の目を楽しませる工夫が随所に設けられているおかげで、いつも新鮮な気持ちになる。三月も半ばになれば、寒さがふと和らぐが、それでもコートは手放せない。朝晩の寒さは都内であっても厳しく、涼やかな水槽を見つめ続けるのはちょっと違和感があったが、実際に用意されたベンチから水槽を眺めるだけなのに、幻想世界に迷い込んだような心地になる。
入院病棟まである大きな大学病院は患者も多く、憩いの場所となっている。
そのアクアリウムの隅にあるベンチが今日の診察場所だ。
いつものように缶コーヒーを片手に安井と二人で座っている。
渡されたパンフレットの内容は、オメガの独立支援を行っている特定非営利活動法人の案内だった。
「同じオメガの皆さんとコミュニケーションを取ったり、職業訓練もできます。なによりも政府と連携した就職支援にも力を入れているんですよ」
そればかりではない。
家族からの虐待や配偶者からの暴力など、平穏な生活が脅かされている場合にはシェルターを紹介し、交渉の窓口にもなるという。
(こんな場所があったんだ……)
一瞬にして樟の顔が輝いた。もし仕事があれば、自由になるお金を稼ぐことができるなら、離婚されてもあの家に帰らなくていい。
それは今まで出来損ないと蔑まれてきた樟にとっては、目映いばかりの希望だ。
「堅苦しく考える必要はないんです。オメガは人口の一パーセントもいません。同じ第二性の人間を見つけるのはなかなか難しいです。そんな人たちが気軽に集まって話せる場でもあるんですよ。他は皆さんからの要望を聞いて広げていった内容なんです」
かゆいところに手が届くその内容は、自分ばかりが苦しんでいたのではないと教えていた。
「あの、ここに入るのに保証人とか必要なんですか?」
「必要ありません。みなさんが心地よく過ごせる秘密の隠れ家ですから」
家族にも配偶者にも番にも教える必要はないということだ。そしてNPOからも知らせないと言外に伝えている。
樟はもう一度パンフレットを見た。
一番興味を注がれたのは、職業訓練だ。なにもできないと中学を卒業してからずっと家に閉じ込められた樟には社会経験どころか、社会常識すらない。アルバイトもしたことがないのに突然雇ってくれと言ったところで勤め先など見つけることはできない。
(離婚に怯えなくてもいいんだ……)
別に耀一郞に媚びていたわけではない。けれどどこかで離婚に対して恐怖を抱き、遠くない未来にその瞬間がやってくるのを、肌で感じる。実家に戻らなければならないことは樟に大きなストレスを与え、心拍をおかしくしてしまう。
「あの、これ……貰ってもいいですか?」
「はい。樟さんのために持ってきました。興味があったら是非、足を運んでみてください。オメガであればどなたでも受け入れています」
住所を見れば、あの高層マンションから電車で三十分ほどの場所だ。
耀一郞が仕事に行っている間に参加することは可能だ。
「ありがとうございます。あの、少し考えてもいいですか?」
「ええ、樟さんが納得するまでぜひ。いつ来ていただいても大丈夫です」
来る?
若干の疑問を抱きながらも問いかけず、深く追求しないまま腹の中に飲み込んでいく。パンフレットを折りたたんで鞄の中に入れた。
「過呼吸はその後起こしていませんか?」
「はい、この一ヶ月はなにもありません」
病院で処方された抗不安薬のおかげで、博物館へ行ったあの日から落ち着いた生活を送っている。耀一郞もよく声をかけてくれるようになったが、近頃帰りが遅く、顔を合わせるのが稀になっている。
いつものようにラップを掛けた夕食の名残を、翌朝シンクで見つけるとホッとする。
「近頃、配偶者さんとはどうなんですか?」
「なかなか会えません。お仕事が忙しくて……決算時期は大変なようです」
「寂しいですか?」
「……しょうがないです。耀一郞さんは社長さんですから。心配ではありますが」
年末のようにほとんど家に帰らないので、疲れてはいないか、食事は大丈夫かと心配になるが、それを口にしてはいけない。耀一郞が怠けてしまったら、小野電機工業に勤める人たちが困ってしまう。それくらい、樟でもわかる。
思い出す。
昔は会社とは経営者とはを食卓で父がよく話してくれた。
常に従業員のために全力を注ぐのが自分たちの役目だ。彼らの生活を守るのが経営者の義務なんだ。唾を飛ばす勢いで語ってくれ、まだ近くに住んでいた祖父母はいつもそれを聞いて嬉しそうに頷いていた。
いつからだろう、家に祖父母が来なくなったのは。
いつからだろう、あの家が冷たくなったのは……。
(僕がオメガだってわかってからだ。毎晩のように怒鳴り声が聞こえるようになったし……)
同時に兄はいつも樟を睨めつけるようになり、父はいつも……いつも?
いつもどうしていた?
そこまで思い出してまた、あの息苦しさが蘇った。
「あ……っ」
あの時のように身体は固まり呼吸が速くなる。またしても記憶の蓋がずれて、パンドラの箱のように悪夢が飛び出しそうになった。必死に押さえつけてもっともっとたくさんの重石を乗せるのに、前回と違い蓋は容易には直すことができない。封印したはずの記憶たちが中から押し出しては徐々に開くほうへとずれていこうとする。
(だめ……思い出しちゃダメだっ!)
必死になればなるほど苦しくて、身体が前のめりになってそのまま椅子から頭ごと落ちそうになる。
すぐに伸べられた大きな腕が支えてくれなかったら、そうなっていただろう。
「樟さん! 誰か、ストレッチャーを!」
安井がすぐさま叫び、傍にいたスタッフが駆け寄ってくる。
「大丈夫ですからね。すぐに井ノ瀬医師に診て貰いましょう。だから心配しないでください」
小さく頷き、樟は両手で自分の鼻と口を塞いだ。教えて貰った過呼吸の対処法だが、上手くいかない。身体には二酸化差炭素が必要なんて知らなかった。失ったらこんなにも辛いのか。頭は冷静なまま、けれどぼうっとし、樟のすべてを押さえつけていた理性が姿を消す。
「すぐに配偶者に連絡しましょうね」
「だ……め…………、ないしょに……いわないで」
絞り出した言葉に安井は何度も頷き、あの人同じように背中をさすってくれる。
脂の滲んだ汗を浮かべる額を安井の肩に押しつけた。
「ぼく……は…………ぃとご……ぉし……」
隙間が大きくなり飛び出してきた記憶を浴びて、樟は身体を震わせたまま、機械のように見たものを口にした。
いつもは落ち着いている安井が息を飲む音がした。激しい動揺が指の先から感じられる。
(やっぱり僕は……守られるべき人間なんかじゃない。苦しいことから逃げちゃダメなんだ)
自業自得だから、辛く当たられるのは。
封印したはずの思い出が生み出す記憶の残滓は、樟の心を確実に毀そうとしていた。
目を通していた書類を机の上に放り投げた。
正直破り捨てたいほどひどい内容に、自然と顔が歪む。
「なんだこれは……」
こんな報告が上がってくるとは想像もしなかった。歪みはただひたすら胸に澱として残る。なんと救いのない世界だろう。耀一郞はもう一度書類に目をやり、だがはやり破り捨てることはできない。
衝動的に動くにはあまりにも内容が重すぎた。
「はぁ…………なんてことだ」
大きな掌で目を覆い、硬く強く瞼を下ろせば、いつものようにじんわりと涙が広がり、目の奥が熱くなる。
安井から渡されたパンフレットを読んで、樟は首を傾げた。
ここは病院内に新たにできたアクアリウムだ。入院患者の目を楽しませる工夫が随所に設けられているおかげで、いつも新鮮な気持ちになる。三月も半ばになれば、寒さがふと和らぐが、それでもコートは手放せない。朝晩の寒さは都内であっても厳しく、涼やかな水槽を見つめ続けるのはちょっと違和感があったが、実際に用意されたベンチから水槽を眺めるだけなのに、幻想世界に迷い込んだような心地になる。
入院病棟まである大きな大学病院は患者も多く、憩いの場所となっている。
そのアクアリウムの隅にあるベンチが今日の診察場所だ。
いつものように缶コーヒーを片手に安井と二人で座っている。
渡されたパンフレットの内容は、オメガの独立支援を行っている特定非営利活動法人の案内だった。
「同じオメガの皆さんとコミュニケーションを取ったり、職業訓練もできます。なによりも政府と連携した就職支援にも力を入れているんですよ」
そればかりではない。
家族からの虐待や配偶者からの暴力など、平穏な生活が脅かされている場合にはシェルターを紹介し、交渉の窓口にもなるという。
(こんな場所があったんだ……)
一瞬にして樟の顔が輝いた。もし仕事があれば、自由になるお金を稼ぐことができるなら、離婚されてもあの家に帰らなくていい。
それは今まで出来損ないと蔑まれてきた樟にとっては、目映いばかりの希望だ。
「堅苦しく考える必要はないんです。オメガは人口の一パーセントもいません。同じ第二性の人間を見つけるのはなかなか難しいです。そんな人たちが気軽に集まって話せる場でもあるんですよ。他は皆さんからの要望を聞いて広げていった内容なんです」
かゆいところに手が届くその内容は、自分ばかりが苦しんでいたのではないと教えていた。
「あの、ここに入るのに保証人とか必要なんですか?」
「必要ありません。みなさんが心地よく過ごせる秘密の隠れ家ですから」
家族にも配偶者にも番にも教える必要はないということだ。そしてNPOからも知らせないと言外に伝えている。
樟はもう一度パンフレットを見た。
一番興味を注がれたのは、職業訓練だ。なにもできないと中学を卒業してからずっと家に閉じ込められた樟には社会経験どころか、社会常識すらない。アルバイトもしたことがないのに突然雇ってくれと言ったところで勤め先など見つけることはできない。
(離婚に怯えなくてもいいんだ……)
別に耀一郞に媚びていたわけではない。けれどどこかで離婚に対して恐怖を抱き、遠くない未来にその瞬間がやってくるのを、肌で感じる。実家に戻らなければならないことは樟に大きなストレスを与え、心拍をおかしくしてしまう。
「あの、これ……貰ってもいいですか?」
「はい。樟さんのために持ってきました。興味があったら是非、足を運んでみてください。オメガであればどなたでも受け入れています」
住所を見れば、あの高層マンションから電車で三十分ほどの場所だ。
耀一郞が仕事に行っている間に参加することは可能だ。
「ありがとうございます。あの、少し考えてもいいですか?」
「ええ、樟さんが納得するまでぜひ。いつ来ていただいても大丈夫です」
来る?
若干の疑問を抱きながらも問いかけず、深く追求しないまま腹の中に飲み込んでいく。パンフレットを折りたたんで鞄の中に入れた。
「過呼吸はその後起こしていませんか?」
「はい、この一ヶ月はなにもありません」
病院で処方された抗不安薬のおかげで、博物館へ行ったあの日から落ち着いた生活を送っている。耀一郞もよく声をかけてくれるようになったが、近頃帰りが遅く、顔を合わせるのが稀になっている。
いつものようにラップを掛けた夕食の名残を、翌朝シンクで見つけるとホッとする。
「近頃、配偶者さんとはどうなんですか?」
「なかなか会えません。お仕事が忙しくて……決算時期は大変なようです」
「寂しいですか?」
「……しょうがないです。耀一郞さんは社長さんですから。心配ではありますが」
年末のようにほとんど家に帰らないので、疲れてはいないか、食事は大丈夫かと心配になるが、それを口にしてはいけない。耀一郞が怠けてしまったら、小野電機工業に勤める人たちが困ってしまう。それくらい、樟でもわかる。
思い出す。
昔は会社とは経営者とはを食卓で父がよく話してくれた。
常に従業員のために全力を注ぐのが自分たちの役目だ。彼らの生活を守るのが経営者の義務なんだ。唾を飛ばす勢いで語ってくれ、まだ近くに住んでいた祖父母はいつもそれを聞いて嬉しそうに頷いていた。
いつからだろう、家に祖父母が来なくなったのは。
いつからだろう、あの家が冷たくなったのは……。
(僕がオメガだってわかってからだ。毎晩のように怒鳴り声が聞こえるようになったし……)
同時に兄はいつも樟を睨めつけるようになり、父はいつも……いつも?
いつもどうしていた?
そこまで思い出してまた、あの息苦しさが蘇った。
「あ……っ」
あの時のように身体は固まり呼吸が速くなる。またしても記憶の蓋がずれて、パンドラの箱のように悪夢が飛び出しそうになった。必死に押さえつけてもっともっとたくさんの重石を乗せるのに、前回と違い蓋は容易には直すことができない。封印したはずの記憶たちが中から押し出しては徐々に開くほうへとずれていこうとする。
(だめ……思い出しちゃダメだっ!)
必死になればなるほど苦しくて、身体が前のめりになってそのまま椅子から頭ごと落ちそうになる。
すぐに伸べられた大きな腕が支えてくれなかったら、そうなっていただろう。
「樟さん! 誰か、ストレッチャーを!」
安井がすぐさま叫び、傍にいたスタッフが駆け寄ってくる。
「大丈夫ですからね。すぐに井ノ瀬医師に診て貰いましょう。だから心配しないでください」
小さく頷き、樟は両手で自分の鼻と口を塞いだ。教えて貰った過呼吸の対処法だが、上手くいかない。身体には二酸化差炭素が必要なんて知らなかった。失ったらこんなにも辛いのか。頭は冷静なまま、けれどぼうっとし、樟のすべてを押さえつけていた理性が姿を消す。
「すぐに配偶者に連絡しましょうね」
「だ……め…………、ないしょに……いわないで」
絞り出した言葉に安井は何度も頷き、あの人同じように背中をさすってくれる。
脂の滲んだ汗を浮かべる額を安井の肩に押しつけた。
「ぼく……は…………ぃとご……ぉし……」
隙間が大きくなり飛び出してきた記憶を浴びて、樟は身体を震わせたまま、機械のように見たものを口にした。
いつもは落ち着いている安井が息を飲む音がした。激しい動揺が指の先から感じられる。
(やっぱり僕は……守られるべき人間なんかじゃない。苦しいことから逃げちゃダメなんだ)
自業自得だから、辛く当たられるのは。
封印したはずの思い出が生み出す記憶の残滓は、樟の心を確実に毀そうとしていた。
目を通していた書類を机の上に放り投げた。
正直破り捨てたいほどひどい内容に、自然と顔が歪む。
「なんだこれは……」
こんな報告が上がってくるとは想像もしなかった。歪みはただひたすら胸に澱として残る。なんと救いのない世界だろう。耀一郞はもう一度書類に目をやり、だがはやり破り捨てることはできない。
衝動的に動くにはあまりにも内容が重すぎた。
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