【書籍化進行中】不遇オメガと傲慢アルファの強引な結婚

椎名サクラ

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本編1

12.想いを重ねて02*

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12話はRシーンがあります、読む際にはご注意ください!
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 出来損ないのオメガだから、こんなにもあり得ない現象が起こるのだろうか。
 樟の戸惑いが伝わっているはずなのに、耀一郞は身体を起こすと笑みを深くした。樟のふわりとした髪を撫でた。

「それでいいんだ。嫌じゃないなら続けるぞ」

 ギュッと胸の粒を引っ張られ、甲高くも甘い声が寝室の空気を震わせた。

「やっ……!」
「そのどうしようもない感覚が、感じるということだ。私の手で感じているお前を見られるのは嬉しいことだ」
「でも……今までこんなことなかった……」
「……お前の今までは忘れろ。これから私がすることだけを覚えろ」

 命令は懇願の色を含ませていて、樟を不思議な感覚へと堕とす。
 奪われるのではなく、与えられているような、慈しまれているような、感じたことのない心持ちに、小さく頷いた。

(大丈夫。耀一郞さんはもう、怖い人じゃない)

 こんな出来損ないで穢いオメガを「愛したい」と言ってくれた優しい人だ。
 樟は大きく息を吸い込んでからゆっくりと吐きだして、ゆっくりと目を閉じた。彼にすべてを委ねるために。
 耀一郞にもそれが伝わり、口づけと胸の尖りへの甘い刺激が再開された。シャツの袖を握ったまま与えられるすべてを貪り、ざわめく中を落ち着かせるために腰を蠢かす。

 甘い刺激は樟の身体の力が抜けきるまで続けられた。
 包み込んでくれた身体が離れても目を開けることができない程の甘さで酔わされ、離れるのを引き留める指にも力が入らず、ポトリとシーツに両手が落ちる。
 ただ口づけと胸の粒への刺激だけでこんなにも呆けてしまうのかと、樟はぼんやりとした思考の中で「感じる」を実感した。






 しどけない姿で横たわる樟を視姦し、耀一郞はもっとその身体を乱れさせたくなった。
 多くの男の手が触れたというのに、樟は「感じた」ことがないという。今までこの痩身を弄んだ輩はどれほどの苦行を強いたのか、想像するだけで腸が煮えくり返る一方で、これから彼が感じる快楽はすべて自分が与えたものになるのだという、仄暗い悦びが湧きあがる。
 もっと快楽を教え、植え付け、満たし、決して離れていかないようにしなければ。

 第一歩として、口づけの跡で白磁の肌に所有の証を刻み込もうと、シャツのボタンに指をかけた。
 きっちりと第一ボタンまで填め込んだそれは、耀一郞が彼に似合うと勝った一品だ。
 昨夜の菊池椋の暴行によって随分と薄汚れてしまったが、樟の品の良さと清楚さを際立たせるのに充分役立っている。無垢な花嫁と初夜を送るのに似た心持ちを与えてくる。
 どれほど他の男たちに穢されようと、樟の内面の美しさは変わらない。

 その美しさに惹かれたのだと実感し、一つ、また一つとボタンを外していった。
 覗き見える肌は、あの日と違い、所々変色している。
 こんなにも醜く色が変わるほど痛めつけられたのかと己の目で確かめれば、兄とはいえ樟を虐げた椋に怒りが湧きあがる。

(もう二度と、樟を誰にも傷つけさせない……)

 大切でなによりも愛おしい存在に口付けようとするより先に、ハッとした樟が慌ててシャツの前を掻き合わせた。

「だめっ見ないでっ!」

 あの日と同じ拒絶だ。
 肌を見られることを極端に怖れる姿に、痛ましくなる。
 もう決して傷つくことがないようにと願っても、樟の中に残る記憶は一朝一夕で消え去りはしない。
 ギュッと目を瞑り身体を丸めようとする樟を、抱いた。力を込めすぎず、けれど逃げられない力で。

「汚いから……見ないで、ください」

 じんわりと樟の眦から涙が滲み出てくる。

「お前はどこも汚くなどない。言っただろう、その傷ごと全部愛したいと。お前のすべてを受け入れさせてくれ、樟」

 震える手を撫で頬にキスする。何度も、何度も。言葉と共に愛情を示せば、その手はゆっくりと力を抜きシャツから離れた。はらりとシャツの前がはだけ、所々色が変わった肌が露わになる。
 痛ましいと感じるが汚いという想いは湧きあがらない。
 むしろこれからもっと自分が淫らな跡を残すのだと思えば興奮さえする。
 露わになった首筋に唇を寄せ、僅かに吸った。

 それだけで白磁に赤い花が咲く。
 首筋にいくつも刻み、肩に鎖骨にと花弁を落としていけば、樟の痩身がまた淫らに動き始めた。自分でもコントロールできないと言わんばかりに身を捩り、内腿を擦り合わせる。耀一郞の愛撫に応える仕草の一つ一つを感じ取るたびに愛情は湧き溢れ、もっと悦ばせたくなる。もっと溺れさせたくなる。
 樟が淫らな声を上げた胸の粒を口に含み吸い上げる。

「そこは……んんっ」

 声を上げることを怖れる様に煽られ、反対の手でまだ弄られずに尖ってさえいない反対の粒を転がしていく。指の中で硬さを持ち始め、プクリと膨らむのが嬉しい。
 胸の粒が膨らむのと比例して、窮屈なスリムパンツに包まれた下肢が耀一郞の腹を押して自己主張しているのも。

「んっ……あっ」

 堪えに堪えた声が僅かに漏れるのすら耀一郞を煽り立て、愛撫が執拗になる。
 声を抑えようと考えられないほどになるまで痛みにも似た刺激を続けながら、器用にスリムパンツのウエストを寛げた。メンズもので最も細いサイズを選んでも、樟には僅かに余ってしまい下げるのを容易にするが、現れた腹はへこみすぎて痛ましさを覚えるほどだ。
 だが煽られた耀一郞はもう己の中の情動を止めることができなかった。

「あ……やだ……変だから……ああっ」

 刺激を強くするたびに樟の啼き声は艶めき、肌も上気していく。
 胸の粒の先端を甘く噛んでから、身体をずらし花弁を刻んでいき、目的の場所まで下りていく。
 耀一郞は容赦なく細いウエストから布を奪い取った。
 小ぶりな樟の分身が飛び出て、先端に涙を滲ませていた。

「やっ! 見ないでっ!!」
「なぜだ? 恥ずかしがることはなにもないんだぞ」
「違います……だって……僕は男なのに……」

 樟はギュッと下唇を噛み締め、必死に下肢を隠そうとする。物慣れない仕草すら耀一郞を煽るとも知らずに。
 愛撫で感じてしまうのがおかしいと思っているのか。

「こうなって当たり前の事をしているんだ。むしろ、お前が感じた結果が見れるほうが嬉しい。なんの反応もないほうがやるせない」

 恥ではなく、むしろ喜んでいると伝えれば、不器用な言葉にも拘わらず樟は頬に紅を刷き、ギュッと中途半端に身につけたシャツを握り込んだ。

「もっと感じてくれ、樟」

 ベッドを降り、膝頭にキスをしてから太腿で止まっている衣服を脱がし、その間に潜り込む。サイドテーブルに置いたボトルを手に取ると、樟の細い足を肩に担ぎ、力を漲らせている分身へと顔を近づけた。なにをされるかわかっていない樟は、不安げに瞳を揺らし耀一郞の動きを追っている。
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