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番外編1
あれから一年……04
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「無理をさせて悪かった」
頬に口づけを落とした耀一郞は、いつにない表情をしている。いつもきっちりと後ろに撫でた髪は乱れ、自分と同じように上気しているのに、雄の色気が滲み出ている。
「辛くはないか?」
「は……ぃ」
啼き続け掠れた声での返事に、甘い笑みを向けてくる。もう一度頬に口づけを落とすと、服を身につけないまま部屋から出た。
逞しい背中には、樟が苦しさと愉悦にしがみ付いた爪痕が遺されていた。
樟はまたカッと頬を赤くして、布団を引き寄せ顔を隠す。
この新しいマンションは以前よりも部屋数は少なく、リビングダイニングの他に、主寝室と耀一郞の書斎しか部屋はない。耀一郞なりのこだわりで、寝室を一緒にした。一部屋ごとが広いのだが、それに見合った大きなベッドは、体躯がしっかりした耀一郞でも余るほどの大きさで、その中心で横たわっていると淋しさが押し寄せた。
場違いなのだ、こんなにも贅沢な部屋や家具の中に自分がいるのが。
癖で丸まっていると、耀一郞が温かいタオルを手に戻ってきた。被った布団をめくり、汗や白濁で濡れた肌を撫でる。
「ん……っ」
撫でられた後にやってくる爽快感に、ほうっと息を吐いた。
「寝てもいいぞ。皿洗いくらいは私でもできる」
食器洗浄機の使い方は未だに耀一郞のほうが上手なのは確かだ。クスリと笑って礼を言えば眉間の皺が深くなった。
「どうかしましたか?」
なにか自分は気に障ることをしてしまったのだろうか。身体を強張らせれば、耀一郞は止まっていた手を再び動かし始めた。
「いや、なんでもない」
背中からうなじまでを何度も往復して、手は下肢へと伸びる。
「ぁ……あの、そこはっ」
「ここも綺麗にしておかなければ大変なことになる。痛くはなかったか」
「はい……優しくしてくださったので」
そうだ。いつも耀一郞は優しく愉悦だけを樟に与えてくれる。辛い記憶しかない行為でも喜んで身体を差し出すのは、彼だけが樟を快楽のみで包み込み、愛おしさを与えてくれるから。
でもそれを口にすることが憚られた。
過去と比べてなんてきっと耀一郞が嫌な思いをする。
この身体はたくさんの人を受け挿れてしまった。自分の意思とは関係ないところではあるが、それでも不特定多数に抱かれた事実は消えない。耀一郞が不快にならないよう、言動に気をつけているが、それでも時折彼は険しい顔をする。特に身体を重ねた後は。
「そうか。辛かったり嫌な事があったら言うんだ。わかっているとは思うが」
「はい……」
嫌な事なんてない。誰よりも優しくして貰っているからそんな気持ちが沸き起こる余裕すらない。
全身を拭いて、柔らかく軽い布団を掛けてから、タオルを手にまた耀一郞は部屋を出た。その彫刻のような背中を見送ってゆっくりと目を閉じた。
記者会見は滞りなく終わった。
些かプライベートに関する質問が多いように思えたが、それも仕方ない。
なにせ隆一郎が社会をこれだけ賑わせていて、その息子である耀一郞の配偶者がオメガと知れば、誰もが親子で同じことをしているのではないかと疑うだろう。致し方ないこととして誠実に受け答えを行うしかなかった。
誰よりも大事であると、ただ伝えるだけだ。
「はぁ……参った」
「お疲れ様でした。お茶をどうぞ」
秘書が淹れたての紅茶をデスクに置いた。ベルガモットの香りが鼻腔を擽る。一口含んでゆっくりと鼻を通る香りを楽しんでから飲み込んだ。
「完璧な対応でございました」
「ああ……」
「なにかご懸念でも」
「今日のやりとりで樟の過去が明るみに出なければと願っているのです」
幸福とは言いがたいあの子の過去を掘り起こして欲しくない。すべてを忘れてこれからに目を向けただ突き進むことを願うが、それでも彼の背中に刻まれた傷は痛ましく、何度目にしても悔しさが滲み出てくる。
もっと早くに助け出せていたら、もっと早くに知り合えていたら。
どれほど悔やんでも過去に戻ることができないことに苛立つ。
「そちらにつきましては手を回しましょう。私の勘ですが、表立つことはないでしょう」
「それはなぜですか」
父だとあんなにも騒ぎ立てたマスコミが、樟の過去を餌にしないはずがない。けれど秘書は自分用のコーヒーを愛用のマグカップに煎れ、ミルクを垂らす。
「相手がベータだからです。会長はアルファだったからこれ程までの攻撃を受けました。今まで多くの人が胸に抱いていたヒエラルキーへの鬱憤が爆発して、不条理をぶつけた形なのです。しかし、同じベータだったらどうでしょう。明日の自分を攻撃したいでしょうか」
確かにそうだ。
秘書が、ベータが編集長を行っている雑誌にわざわざリークしたには、非道を行っているのが『アルファ』だからだ。今まで大衆が持つ完璧なアルファのイメージがあるために不満をぶつけられなかったのだろう、何があっても。公明正大にアルファを罵ることができる機会など他にないとあっては、このチャンスを逃してなるものかとなるだろう。
だが、これがベータならどうだったか。
ニュースにもならないはずだ。
絶対多数であるベータよりも下の立場の存在を無碍に扱ってなにが悪いのだと誰もが思うはずだ。故に、今まで数多のオメガが非道を受けても、騒ぎ立てられず埋もれていった。
誰だって自分が可愛い。
同時に、誰よりも優位に立ちたがる。
「なるほど、確かに相手がベータの家族ではインパクトに欠けますね」
「そうです。しかし、変な気を起こすものがいないとは限りません。樟様がお出かけの際にはボディガードを付けましょう」
「手配をお願いします。今週は通院の予定がありますので、なるべく早くに」
毎週のように通っている病院では、発情不全の治療と心のケアを行っている。目の前で母親が飛び降りるという悲惨な経験だけでなく、強制猥褻と心身虐待を受けた過去のある樟は、穏やかで愛らしい外見に反し心に深い傷を負っていて、一朝一夕で治るものではない。
特に心の傷を癒やすのは難しく、時間が要するのだ。
かく言う耀一郞も過去のトラウマをどうにかすべきと、自ら心療内科に通っている。樟に怒りをぶつけないように、彼を慈しめるようにと今必死で勉強しているのだ。
だがその背中を目にすると言いようのない怒りが湧いてくるのだ。
――アルファの独占欲。
一言で表現するならばこうなるだろう。慈しんでいる存在を傷つけたヤツは全員、地獄に叩き落としたくなるのだ。これがアルファ特有の執着心と言われている。
自分にもそんな感情があるかと驚いた。
オメガに嫌悪感を抱いていた頃は、自分がアルファであることを誇りに思っている一方で、父と同じ第二性であるのが許せなかった。
いつか、自分が気に入った人間が現れたなら、強引で勝手な振る舞いをしまうのかもしれないと恐怖を覚えた。だからひたすらオメガが近づかないように牽制していたのかもしれない。
しかし、決して手放したくない相手に出会ってしまった今、嫌でも己の第二性を突きつけられる。どれほど抗ったところで自分はアルファでしかなく、愛する相手を見つけてしまえば、執着せずにはいられない。
頬に口づけを落とした耀一郞は、いつにない表情をしている。いつもきっちりと後ろに撫でた髪は乱れ、自分と同じように上気しているのに、雄の色気が滲み出ている。
「辛くはないか?」
「は……ぃ」
啼き続け掠れた声での返事に、甘い笑みを向けてくる。もう一度頬に口づけを落とすと、服を身につけないまま部屋から出た。
逞しい背中には、樟が苦しさと愉悦にしがみ付いた爪痕が遺されていた。
樟はまたカッと頬を赤くして、布団を引き寄せ顔を隠す。
この新しいマンションは以前よりも部屋数は少なく、リビングダイニングの他に、主寝室と耀一郞の書斎しか部屋はない。耀一郞なりのこだわりで、寝室を一緒にした。一部屋ごとが広いのだが、それに見合った大きなベッドは、体躯がしっかりした耀一郞でも余るほどの大きさで、その中心で横たわっていると淋しさが押し寄せた。
場違いなのだ、こんなにも贅沢な部屋や家具の中に自分がいるのが。
癖で丸まっていると、耀一郞が温かいタオルを手に戻ってきた。被った布団をめくり、汗や白濁で濡れた肌を撫でる。
「ん……っ」
撫でられた後にやってくる爽快感に、ほうっと息を吐いた。
「寝てもいいぞ。皿洗いくらいは私でもできる」
食器洗浄機の使い方は未だに耀一郞のほうが上手なのは確かだ。クスリと笑って礼を言えば眉間の皺が深くなった。
「どうかしましたか?」
なにか自分は気に障ることをしてしまったのだろうか。身体を強張らせれば、耀一郞は止まっていた手を再び動かし始めた。
「いや、なんでもない」
背中からうなじまでを何度も往復して、手は下肢へと伸びる。
「ぁ……あの、そこはっ」
「ここも綺麗にしておかなければ大変なことになる。痛くはなかったか」
「はい……優しくしてくださったので」
そうだ。いつも耀一郞は優しく愉悦だけを樟に与えてくれる。辛い記憶しかない行為でも喜んで身体を差し出すのは、彼だけが樟を快楽のみで包み込み、愛おしさを与えてくれるから。
でもそれを口にすることが憚られた。
過去と比べてなんてきっと耀一郞が嫌な思いをする。
この身体はたくさんの人を受け挿れてしまった。自分の意思とは関係ないところではあるが、それでも不特定多数に抱かれた事実は消えない。耀一郞が不快にならないよう、言動に気をつけているが、それでも時折彼は険しい顔をする。特に身体を重ねた後は。
「そうか。辛かったり嫌な事があったら言うんだ。わかっているとは思うが」
「はい……」
嫌な事なんてない。誰よりも優しくして貰っているからそんな気持ちが沸き起こる余裕すらない。
全身を拭いて、柔らかく軽い布団を掛けてから、タオルを手にまた耀一郞は部屋を出た。その彫刻のような背中を見送ってゆっくりと目を閉じた。
記者会見は滞りなく終わった。
些かプライベートに関する質問が多いように思えたが、それも仕方ない。
なにせ隆一郎が社会をこれだけ賑わせていて、その息子である耀一郞の配偶者がオメガと知れば、誰もが親子で同じことをしているのではないかと疑うだろう。致し方ないこととして誠実に受け答えを行うしかなかった。
誰よりも大事であると、ただ伝えるだけだ。
「はぁ……参った」
「お疲れ様でした。お茶をどうぞ」
秘書が淹れたての紅茶をデスクに置いた。ベルガモットの香りが鼻腔を擽る。一口含んでゆっくりと鼻を通る香りを楽しんでから飲み込んだ。
「完璧な対応でございました」
「ああ……」
「なにかご懸念でも」
「今日のやりとりで樟の過去が明るみに出なければと願っているのです」
幸福とは言いがたいあの子の過去を掘り起こして欲しくない。すべてを忘れてこれからに目を向けただ突き進むことを願うが、それでも彼の背中に刻まれた傷は痛ましく、何度目にしても悔しさが滲み出てくる。
もっと早くに助け出せていたら、もっと早くに知り合えていたら。
どれほど悔やんでも過去に戻ることができないことに苛立つ。
「そちらにつきましては手を回しましょう。私の勘ですが、表立つことはないでしょう」
「それはなぜですか」
父だとあんなにも騒ぎ立てたマスコミが、樟の過去を餌にしないはずがない。けれど秘書は自分用のコーヒーを愛用のマグカップに煎れ、ミルクを垂らす。
「相手がベータだからです。会長はアルファだったからこれ程までの攻撃を受けました。今まで多くの人が胸に抱いていたヒエラルキーへの鬱憤が爆発して、不条理をぶつけた形なのです。しかし、同じベータだったらどうでしょう。明日の自分を攻撃したいでしょうか」
確かにそうだ。
秘書が、ベータが編集長を行っている雑誌にわざわざリークしたには、非道を行っているのが『アルファ』だからだ。今まで大衆が持つ完璧なアルファのイメージがあるために不満をぶつけられなかったのだろう、何があっても。公明正大にアルファを罵ることができる機会など他にないとあっては、このチャンスを逃してなるものかとなるだろう。
だが、これがベータならどうだったか。
ニュースにもならないはずだ。
絶対多数であるベータよりも下の立場の存在を無碍に扱ってなにが悪いのだと誰もが思うはずだ。故に、今まで数多のオメガが非道を受けても、騒ぎ立てられず埋もれていった。
誰だって自分が可愛い。
同時に、誰よりも優位に立ちたがる。
「なるほど、確かに相手がベータの家族ではインパクトに欠けますね」
「そうです。しかし、変な気を起こすものがいないとは限りません。樟様がお出かけの際にはボディガードを付けましょう」
「手配をお願いします。今週は通院の予定がありますので、なるべく早くに」
毎週のように通っている病院では、発情不全の治療と心のケアを行っている。目の前で母親が飛び降りるという悲惨な経験だけでなく、強制猥褻と心身虐待を受けた過去のある樟は、穏やかで愛らしい外見に反し心に深い傷を負っていて、一朝一夕で治るものではない。
特に心の傷を癒やすのは難しく、時間が要するのだ。
かく言う耀一郞も過去のトラウマをどうにかすべきと、自ら心療内科に通っている。樟に怒りをぶつけないように、彼を慈しめるようにと今必死で勉強しているのだ。
だがその背中を目にすると言いようのない怒りが湧いてくるのだ。
――アルファの独占欲。
一言で表現するならばこうなるだろう。慈しんでいる存在を傷つけたヤツは全員、地獄に叩き落としたくなるのだ。これがアルファ特有の執着心と言われている。
自分にもそんな感情があるかと驚いた。
オメガに嫌悪感を抱いていた頃は、自分がアルファであることを誇りに思っている一方で、父と同じ第二性であるのが許せなかった。
いつか、自分が気に入った人間が現れたなら、強引で勝手な振る舞いをしまうのかもしれないと恐怖を覚えた。だからひたすらオメガが近づかないように牽制していたのかもしれない。
しかし、決して手放したくない相手に出会ってしまった今、嫌でも己の第二性を突きつけられる。どれほど抗ったところで自分はアルファでしかなく、愛する相手を見つけてしまえば、執着せずにはいられない。
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