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番外編1
あれから一年……08
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だが教えるのは時期尚早だ。
耀一郞はひたすら言葉を待った。
何度も口を開いては耀一郞を伺う仕草を見つめながら。
「あ、あの……耀一郞さんはその……僕が好きなんですか?」
「は……?」
あまりの内容に、耀一郞は次の句が告げられなかった。
(なにを言い出すんだ、こいつは。もしや今までの言動でわからなかったというのか……いや、そんなはずは……そんなはずはない……と思いたい)
樟の本心がなんなのかを探るように目を細め、じっと彼を見つめた。途端に細い肩を跳ね上がらせ、両手でその身体を抱き締めだした。
(しまった!)
怯えさせたことに慌て、言いつくろうとして、なにを言えばいいのか分からなくなる。感情にまかせて怒気を含ませた言葉を出してしまったら、樟はきっと怯えてこれから先、なにも告げてはくれなくなる。
なぜわからないんだと、怒りと共に湧きあがる感情をグッと飲み込み、ゆっくりと息を吐き出した。
気持ちを落ち着かせてから穏やかな声を意図的に出す。
「ああ、好きだ。生涯の伴侶はお前だと思っている」
怖がらせない声を出せたことにホッとした途端、また爆弾発言が飛び出した。
「久乃さんが好きだから、配偶者の安井医師を睨んでたんですか?」
「なぜそうなるんだ!」
思わず飛び出たのは、怒号であった。樟の全身が飛び上がり、ギュッと身体を固めて震えだした。
しまったと思っても、後の祭りだ。
久しぶりに出した大声に、こちらが心配になるほど怯える樟の姿を見て、一気に怒りが冷めていく。
――また、やってしまった。
あれほど自分を諫めていたというのに、またしても樟を怯えさせてしまった。彼の境遇を資料で垣間見て、怒りをぶつけてはいけないとあれほど誓ったはずなのに。だが、容認できる話ではない。
何がどうして久乃が好きなどという話になるのか。
いや、確かに好意はある。それは兄弟に向ける感情に似ていて、決して恋愛が混じったものではない。だが樟が口にしたニュアンスでは、確実に恋愛感情だ。
久乃に子供を産ませたいかと問われれば、すぐさま否と発する。あんな怖い人を配偶者にするつもりも番にするつもりもない。子供が彼の性格に似てしまったらと想像するだけで恐ろしい。
さて、なぜ樟がそんなことを言い出したのか。
こんなやりとりは玄関でするのはふさわしくなく、耀一郞は嘆息してから靴を脱いで上がった。樟を抱いてリビングへと移動し、痩身を抱き締めたままソファに腰掛けた。彼を膝の上に乗せて。
樟は怯えたまま、耀一郞の膝の上で大人しく、しかし顔面を蒼白にして次のリアクションを待っている。宥めるためにその背中――無数の無残な傷跡が刻まれた――を慈しむように撫でた。
「怒鳴ってすまない。どうしてそんなことを突然聞いたかを教えてくれないか」
一度だって久乃への気持ちについて言及してこなかったというのに、今になって突然話すのか、理解ができない。
(もしやあの生臭坊主ならぬ生臭医師が変な入れ知恵をしたのか? だとしたら……殺す!)
秘かな怒りを抱きながら、表面だけは樟を怯えさせないように笑みなどを浮かべてみる。普段から滅多に笑わないせいか、余計に怯えさせてしまう。
そんなつもりはちらりともないのに、なぜいつも怖がらせてしまうのか。
安心して欲しいと願いながら、彼に何をすればいいかがわからない。かつて耀一郞が癇癪を起こしたときに久乃がしてくれたことを思い出して、落ち着いた声を出し宥めていく。背中をさする手を止めずに。
「……安井医師と話をしたんです……」
(やはりあの生臭医師かっ! 今度病院にクレームを入れてやる!!)
秘かに青筋を立てる。
「耀一郞さんが久乃さんのことが好きなのは聞いていたので、だから安井医師のことが嫌いなんだなと思ったのですが……今日医師とその話をして、違うというニュアンスを聞かされて……」
耀一郞は背中を撫でていた手を止めた。まさか気持ちが微塵も伝わっていなかったなんて誰が想像できようか。
初めて身体を重ねた日、確かに口にしたはずだ、愛していると。
なのになぜ久乃のことを好きだなどと発想するのか理解ができなかった。耀一郞は優秀な頭脳を駆使してあの日のことを思い返して……ギュッと拳を握った。
(いや、違う。私が伝えたのは『愛したい』であって、愛しているではなかった)
自己肯定感が低い樟は、言葉のまま受け取ってしまう。未だ好きではない、イコール、他に好きな人がいると考えてもおかしくはない。
耀一郞が充分だと思っていた愛情表現は確実に不足していた。
身体を重ね甘い声を奏でさせれば、自分の想いが伝わると思い込んでいたことに気付いて、愕然とする。
独りよがりの感情をぶつけ、樟の気持ちを聞くことを怠っていた。その間に不安で構成されてしまった彼の心は、諦めるための材料を拾い集めて「だから愛されなくても仕方ない」と自分に言い聞かせてしまうのだろう。
失態だった。
だがリカバリはできる。
大きく息を吐き出して、飾らない胸の内を明かした。
「美濃部さんに恋愛感情は欠片もない。むしろ怖いとすら思っている」
「そう……なんですか?」
ビクビクと天敵を前にした兎のように怯えていた樟が意外と言わんばかりに目を見開いた。
「当たり前だ。子供の頃に尻を叩かれたんだぞ。そんな人を配偶者にできるか……しかも怒ると誰よりも恐いんだ」
思い出しても鳥肌が立つほど、久乃を怒らせると恐いのだ。三つ子の魂ではないが、未だに恐怖心が拭えない。そして、小さい頃のあれやこれやを知られている相手に、耀一郞は恋愛感情を抱けない。一生なにを言われるのかわからない恐怖と共に生きる度胸がないのだ。
樟は驚き今まで力が入っていた肩がコトンと落ちた。
「よか……た……」
「私が愛しているのはお前だと何度も伝えたつもりでいたのだが……つもりでしかなかったのだな。申し訳なかった」
小さな頭を振って樟はすぐに否定した。
「違うんです。僕がそう思っただけで……でもそれじゃどうして安井医師は『睨まれて困っている』とか言ったんだろう」
小首を傾げて不思議そうにする樟に、今度は耀一郞の肩が強張る。
(あの生臭医師め……なぜそんなことを樟に言うんだ!)
確かに耀一郞はことあるごとに安井を睨み付けていた自覚はある。だがそれは彼が気安く樟に触れたり、親しくしている様を耀一郞に見せつけてきたからだ。自分の配偶者が他の男と一緒に居て気分がいいアルファなどいはしない。他性からは信じられないほど常識を凌駕する独占欲が湧き出てしまうのだ。
それが番にしたいほど恋い焦がれている相手ならなおのこと。
こんな自分を樟に見せるのはみっともないと思っていたが、もうなりふり構ってられない。
きちんと言葉と態度で示さなければ、なにも伝わらないのだ、樟には。
己の信念よりも相手との未来の方がずっと大事だ。
耀一郞は空気を吸い込んで腹に力を溜めると、ゆっくりと樟に告げた。
「お前に、気安く触るからだ、あの医師が。番にしたいほど大事な相手に他の男が……しかもアルファが気安く触れていたら殴りたくなるのが普通だろう」
耀一郞はひたすら言葉を待った。
何度も口を開いては耀一郞を伺う仕草を見つめながら。
「あ、あの……耀一郞さんはその……僕が好きなんですか?」
「は……?」
あまりの内容に、耀一郞は次の句が告げられなかった。
(なにを言い出すんだ、こいつは。もしや今までの言動でわからなかったというのか……いや、そんなはずは……そんなはずはない……と思いたい)
樟の本心がなんなのかを探るように目を細め、じっと彼を見つめた。途端に細い肩を跳ね上がらせ、両手でその身体を抱き締めだした。
(しまった!)
怯えさせたことに慌て、言いつくろうとして、なにを言えばいいのか分からなくなる。感情にまかせて怒気を含ませた言葉を出してしまったら、樟はきっと怯えてこれから先、なにも告げてはくれなくなる。
なぜわからないんだと、怒りと共に湧きあがる感情をグッと飲み込み、ゆっくりと息を吐き出した。
気持ちを落ち着かせてから穏やかな声を意図的に出す。
「ああ、好きだ。生涯の伴侶はお前だと思っている」
怖がらせない声を出せたことにホッとした途端、また爆弾発言が飛び出した。
「久乃さんが好きだから、配偶者の安井医師を睨んでたんですか?」
「なぜそうなるんだ!」
思わず飛び出たのは、怒号であった。樟の全身が飛び上がり、ギュッと身体を固めて震えだした。
しまったと思っても、後の祭りだ。
久しぶりに出した大声に、こちらが心配になるほど怯える樟の姿を見て、一気に怒りが冷めていく。
――また、やってしまった。
あれほど自分を諫めていたというのに、またしても樟を怯えさせてしまった。彼の境遇を資料で垣間見て、怒りをぶつけてはいけないとあれほど誓ったはずなのに。だが、容認できる話ではない。
何がどうして久乃が好きなどという話になるのか。
いや、確かに好意はある。それは兄弟に向ける感情に似ていて、決して恋愛が混じったものではない。だが樟が口にしたニュアンスでは、確実に恋愛感情だ。
久乃に子供を産ませたいかと問われれば、すぐさま否と発する。あんな怖い人を配偶者にするつもりも番にするつもりもない。子供が彼の性格に似てしまったらと想像するだけで恐ろしい。
さて、なぜ樟がそんなことを言い出したのか。
こんなやりとりは玄関でするのはふさわしくなく、耀一郞は嘆息してから靴を脱いで上がった。樟を抱いてリビングへと移動し、痩身を抱き締めたままソファに腰掛けた。彼を膝の上に乗せて。
樟は怯えたまま、耀一郞の膝の上で大人しく、しかし顔面を蒼白にして次のリアクションを待っている。宥めるためにその背中――無数の無残な傷跡が刻まれた――を慈しむように撫でた。
「怒鳴ってすまない。どうしてそんなことを突然聞いたかを教えてくれないか」
一度だって久乃への気持ちについて言及してこなかったというのに、今になって突然話すのか、理解ができない。
(もしやあの生臭坊主ならぬ生臭医師が変な入れ知恵をしたのか? だとしたら……殺す!)
秘かな怒りを抱きながら、表面だけは樟を怯えさせないように笑みなどを浮かべてみる。普段から滅多に笑わないせいか、余計に怯えさせてしまう。
そんなつもりはちらりともないのに、なぜいつも怖がらせてしまうのか。
安心して欲しいと願いながら、彼に何をすればいいかがわからない。かつて耀一郞が癇癪を起こしたときに久乃がしてくれたことを思い出して、落ち着いた声を出し宥めていく。背中をさする手を止めずに。
「……安井医師と話をしたんです……」
(やはりあの生臭医師かっ! 今度病院にクレームを入れてやる!!)
秘かに青筋を立てる。
「耀一郞さんが久乃さんのことが好きなのは聞いていたので、だから安井医師のことが嫌いなんだなと思ったのですが……今日医師とその話をして、違うというニュアンスを聞かされて……」
耀一郞は背中を撫でていた手を止めた。まさか気持ちが微塵も伝わっていなかったなんて誰が想像できようか。
初めて身体を重ねた日、確かに口にしたはずだ、愛していると。
なのになぜ久乃のことを好きだなどと発想するのか理解ができなかった。耀一郞は優秀な頭脳を駆使してあの日のことを思い返して……ギュッと拳を握った。
(いや、違う。私が伝えたのは『愛したい』であって、愛しているではなかった)
自己肯定感が低い樟は、言葉のまま受け取ってしまう。未だ好きではない、イコール、他に好きな人がいると考えてもおかしくはない。
耀一郞が充分だと思っていた愛情表現は確実に不足していた。
身体を重ね甘い声を奏でさせれば、自分の想いが伝わると思い込んでいたことに気付いて、愕然とする。
独りよがりの感情をぶつけ、樟の気持ちを聞くことを怠っていた。その間に不安で構成されてしまった彼の心は、諦めるための材料を拾い集めて「だから愛されなくても仕方ない」と自分に言い聞かせてしまうのだろう。
失態だった。
だがリカバリはできる。
大きく息を吐き出して、飾らない胸の内を明かした。
「美濃部さんに恋愛感情は欠片もない。むしろ怖いとすら思っている」
「そう……なんですか?」
ビクビクと天敵を前にした兎のように怯えていた樟が意外と言わんばかりに目を見開いた。
「当たり前だ。子供の頃に尻を叩かれたんだぞ。そんな人を配偶者にできるか……しかも怒ると誰よりも恐いんだ」
思い出しても鳥肌が立つほど、久乃を怒らせると恐いのだ。三つ子の魂ではないが、未だに恐怖心が拭えない。そして、小さい頃のあれやこれやを知られている相手に、耀一郞は恋愛感情を抱けない。一生なにを言われるのかわからない恐怖と共に生きる度胸がないのだ。
樟は驚き今まで力が入っていた肩がコトンと落ちた。
「よか……た……」
「私が愛しているのはお前だと何度も伝えたつもりでいたのだが……つもりでしかなかったのだな。申し訳なかった」
小さな頭を振って樟はすぐに否定した。
「違うんです。僕がそう思っただけで……でもそれじゃどうして安井医師は『睨まれて困っている』とか言ったんだろう」
小首を傾げて不思議そうにする樟に、今度は耀一郞の肩が強張る。
(あの生臭医師め……なぜそんなことを樟に言うんだ!)
確かに耀一郞はことあるごとに安井を睨み付けていた自覚はある。だがそれは彼が気安く樟に触れたり、親しくしている様を耀一郞に見せつけてきたからだ。自分の配偶者が他の男と一緒に居て気分がいいアルファなどいはしない。他性からは信じられないほど常識を凌駕する独占欲が湧き出てしまうのだ。
それが番にしたいほど恋い焦がれている相手ならなおのこと。
こんな自分を樟に見せるのはみっともないと思っていたが、もうなりふり構ってられない。
きちんと言葉と態度で示さなければ、なにも伝わらないのだ、樟には。
己の信念よりも相手との未来の方がずっと大事だ。
耀一郞は空気を吸い込んで腹に力を溜めると、ゆっくりと樟に告げた。
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