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番外編2
嬉し恥ずかし新婚旅行02
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年末の忙しなさが一段落すると共に冬期休暇がやってきた。店頭にはおせちの材料が並び始めたが、それを横目に買い物の量を減らしていった樟を待つのは、二週間の新婚旅行。
耀一郞の愛車の助手席に乗って向かったのは、日本海側の山奥にある合掌造りの宿だった。教科書でしか知らない急勾配で厚みのある大きな茅葺き屋根。落ちてきたら樟などぺちゃんこになるのではないかと思うくらいの大きさだ。
「……ここ、なんですか?」
車の中からまさかと思いながら見つめれば、耀一郞が目を細め笑いかけた。とても品のある微笑に、ドキリと心臓が跳ねる。
「せっかくだから樟が驚く宿にしようと思ってな。この一帯がホテルになっていて各合掌造りの家が客室になっているんだ」
すごい……と漏らせば、耀一郞がクシャリといつものように髪を撫でた。
「寒いからな、私がドアを開けるまで座っていろ」
車を駐車スペースに入れて耀一郞が車外へと出た。後部座席に置いた寒冷地用のコートを羽織るともう一つを手に取り扉を閉めた。ぐるりと回って助手席の扉を開く。
「下りる前にこれを着ろ。とてもじゃないが、その格好で出たらすぐに凍ってしまう」
言葉の通り、流れ込んでくる外気が、暖まった車内の空気を押し出して我が物顔で樟を包み込もうとしている。肉の薄い樟にはひとたまりもなかった。
アウトドアメーカーのロゴが入った寒冷地用のコートは、耀一郞がこの旅行のために買ってくれた。色々とこだわりがあって本国からの取り寄せだが、樟の体型に見合うサイズはレディースしかなく、白を基調とした細身のコートには所々パステルカラーのラインが入っている。
首までファスナーを上げてからそっと足を下ろしてみた。
サクッと硬い雪の感触が靴の底から伝わってくる。
感激に息を吐き出せば、白い帯に変わる。
「うそっ……息が白い!」
「今日は特に寒いからな。大丈夫か? 手を貸そう」
「いえ、大丈夫です」
「ゆっくりと出るんだぞ」
嬉しくなって忠告も聞かずに勢いよく飛び出した樟は、数歩歩いただけで足を滑らせステンと尻餅をついた。
「うわっ…………え?」
「樟!」
一瞬の硬さを抜けるとボフッと尻が埋まってしまった。
上半身は耀一郞がすぐさま車との間に入ってガードしてくれたおかげで痛みはない。
樟は素手で積もった雪の表面を撫でた。硬い感触が伝わるのに、痛みは全くなかった。
力を入れ指で押せば、硬い表面はすぐに割れ、その下にある柔らかい雪が樟の指に纏わり付いた。
「柔らかい……」
「大丈夫か? 痛いところは……」
「平気です。雪って本当に滑るんですね」
転んだというのに、嬉しさが込み上げてくる。耀一郞がせっかく買ってくれたコートが着用して数秒後に雪まみれになってしまったというのに、真っ白な世界がいつもの遠慮を掻き消していくようだ。
「まさかこんなに早く転ぶとは思っていなかった。靴に滑り止めを付けた方がいいだろう」
ふかふかの、コートと同色のブーツ先に黒いベルトを巻き付け始めた。
「すみません……手間を取らせてしまって……」
「なにを言っているんだ。夫夫なんだから当たり前だろう。さあこれでいい。立てるか?」
恐る恐る立ち上がろうとすると、すぐさま腕を差し伸べてくれた。
礼を言って身体を起こすと、すぐさま服に付いた雪が払われる。
「痛いところがあれば早めに言ってくれ。さあ、受付に行こう」
車にロックをかけトランクからスーツケースを下ろした耀一郞は当たり前のように樟の手を取って、合掌造りの母屋へと入っていった。
信じられないことに、扉を一歩入るととても広い空間が広がっていた。しかも温かい。ホテルらしいフロントが正面にあり、左側には囲炉裏が現役で火を灯し、周囲に座布団が敷かれてかつての雰囲気を遺している。現代と過去が見事に融合している不思議な空間だ。
「部屋へご案内いたします」
従業員が笑顔で耀一郞が持っていたトランクケースを手に取ると先を行った。
「ほら、樟」
耀一郞が当たり前のように手を伸ばす。少し恥ずかしくて恐る恐るその手を取れば、しっかりと指が絡められた。ギュッと掌が握り合わさる。
「しっかりと掴まっていろ。また転んだら嫌だろう」
「はい……」
冷えた指先に、耀一郞の手がとても温かかった。
案内されたのは一番奥の家。扉の中はすでに暖房で温まっており、とても天井が高い。ここもかつての雰囲気を壊すことなく現代風にリノベーションされており、板間には囲炉裏がある。
土間から靴を脱ぎ上がれば、じんわりと温かさが伝わってきて、床暖房があることに驚いた。
「ごゆっくりおくつろぎください。本日のお食事はお部屋でも本館でもお召し上がりいただけますがいかがいたしましょう」
「日によって変えることができるのか?」
「はい。当日の朝までにご連絡をいただければ」
「そうか。では今日は本館でいただきたい」
惚けながら室内を見つめている間に、従業員が出て行った。
「凄い所ですね……昔話の中に迷い込んだと思ったのに、中は凄く綺麗で……タヌキに化かされているのかな?」
「面白いことを言う。でも不思議な空間だろう。ここならゆっくりと非日常を味わうことができると思って選んだんだ」
確かに非日常だ。
合掌造りの家に泊まるなんて夢にも思わなかったし、床暖房といった設備までしっかりとしているなんて外観から誰が想像できるだろうか。
「面白いから室内を見てみよう。どうなっているか、お前も興味があるだろう」
「はいっ!」
梁が剥き出しの天井の高い位置から籐編みの籠に和紙で包まれた室内灯が柔らかい灯りを落としているが、他の照明もそれに倣ってすべて籠の中から和紙越しに光を漏らしている。
板間の横には十畳以上の和室があり、床の間に茶器と趣のある掛け軸が飾られ、縁側からは近くを流れる小川と林を見ることができた。和室の奥にある小さな茶室は板の間とは壁をくり抜いたように作られた扉で続いており、食事はここで摂ることもできるという。そして最後の部屋を開くと、樟の口から感嘆の息が零れ出た。
障子で区切られたそこも部屋だと思っていたのに、左右の壁を縦に割った竹で覆われ、正面は大きなガラス窓で外と繋がっているようになっている岩風呂だった。洗い場には手桶と小さな椅子があり、よく見なければシャワーの存在がわからないようになっている。
「すごい……」
思わず漏れた言葉を拾うように耀一郞が樟の身体を掠って腕の中へと閉じ込めた。
「ここが気に入って決めたんだ。夜に灯りを消して入れば、露天風呂のようだからな。しかも防音になっているからどんなに声を上げても外に漏れることがない」
「……ここでなにをするつもりですか?」
声が漏れて困ることなんて、簡単に想像できるが否定してほしくて訊ねれば、目を細めた耀一郞が口角を上げた。
「知りたいなら今から教えてもいいぞ」
「だめっ……だめです!」
「それは残念だ。長旅だったからな、お茶を煎れて一息吐こう」
大きな手が樟の痩身をなぞり、妖しい雰囲気を演出するのを慌てて引き留めれば、すぐに両手が離れた。
からかわれたと知っても怒ることができない。頬を真っ赤にしてその時間を期待している自分を隠さなければならなかった。熱が戻り始めた指先で赤味を抑えようと両手で頬を包めば、身体を屈めた耀一郞が耳殻に甘く歯を立てた。
「そういう顔は夜に見せろ。でないとまた夕食を食わせてやれなくなるぞ。……トイレはここのようだな」
脱衣所の隅の扉を開いて中を確かめた後、何事もなかったように耀一郞がその場を出て行った。後を追いかけたくてもさらに赤味を増した顔では出て行けなくて、樟は身体を丸めて期待が鎮まるのを待つしかなかった。
耀一郞の愛車の助手席に乗って向かったのは、日本海側の山奥にある合掌造りの宿だった。教科書でしか知らない急勾配で厚みのある大きな茅葺き屋根。落ちてきたら樟などぺちゃんこになるのではないかと思うくらいの大きさだ。
「……ここ、なんですか?」
車の中からまさかと思いながら見つめれば、耀一郞が目を細め笑いかけた。とても品のある微笑に、ドキリと心臓が跳ねる。
「せっかくだから樟が驚く宿にしようと思ってな。この一帯がホテルになっていて各合掌造りの家が客室になっているんだ」
すごい……と漏らせば、耀一郞がクシャリといつものように髪を撫でた。
「寒いからな、私がドアを開けるまで座っていろ」
車を駐車スペースに入れて耀一郞が車外へと出た。後部座席に置いた寒冷地用のコートを羽織るともう一つを手に取り扉を閉めた。ぐるりと回って助手席の扉を開く。
「下りる前にこれを着ろ。とてもじゃないが、その格好で出たらすぐに凍ってしまう」
言葉の通り、流れ込んでくる外気が、暖まった車内の空気を押し出して我が物顔で樟を包み込もうとしている。肉の薄い樟にはひとたまりもなかった。
アウトドアメーカーのロゴが入った寒冷地用のコートは、耀一郞がこの旅行のために買ってくれた。色々とこだわりがあって本国からの取り寄せだが、樟の体型に見合うサイズはレディースしかなく、白を基調とした細身のコートには所々パステルカラーのラインが入っている。
首までファスナーを上げてからそっと足を下ろしてみた。
サクッと硬い雪の感触が靴の底から伝わってくる。
感激に息を吐き出せば、白い帯に変わる。
「うそっ……息が白い!」
「今日は特に寒いからな。大丈夫か? 手を貸そう」
「いえ、大丈夫です」
「ゆっくりと出るんだぞ」
嬉しくなって忠告も聞かずに勢いよく飛び出した樟は、数歩歩いただけで足を滑らせステンと尻餅をついた。
「うわっ…………え?」
「樟!」
一瞬の硬さを抜けるとボフッと尻が埋まってしまった。
上半身は耀一郞がすぐさま車との間に入ってガードしてくれたおかげで痛みはない。
樟は素手で積もった雪の表面を撫でた。硬い感触が伝わるのに、痛みは全くなかった。
力を入れ指で押せば、硬い表面はすぐに割れ、その下にある柔らかい雪が樟の指に纏わり付いた。
「柔らかい……」
「大丈夫か? 痛いところは……」
「平気です。雪って本当に滑るんですね」
転んだというのに、嬉しさが込み上げてくる。耀一郞がせっかく買ってくれたコートが着用して数秒後に雪まみれになってしまったというのに、真っ白な世界がいつもの遠慮を掻き消していくようだ。
「まさかこんなに早く転ぶとは思っていなかった。靴に滑り止めを付けた方がいいだろう」
ふかふかの、コートと同色のブーツ先に黒いベルトを巻き付け始めた。
「すみません……手間を取らせてしまって……」
「なにを言っているんだ。夫夫なんだから当たり前だろう。さあこれでいい。立てるか?」
恐る恐る立ち上がろうとすると、すぐさま腕を差し伸べてくれた。
礼を言って身体を起こすと、すぐさま服に付いた雪が払われる。
「痛いところがあれば早めに言ってくれ。さあ、受付に行こう」
車にロックをかけトランクからスーツケースを下ろした耀一郞は当たり前のように樟の手を取って、合掌造りの母屋へと入っていった。
信じられないことに、扉を一歩入るととても広い空間が広がっていた。しかも温かい。ホテルらしいフロントが正面にあり、左側には囲炉裏が現役で火を灯し、周囲に座布団が敷かれてかつての雰囲気を遺している。現代と過去が見事に融合している不思議な空間だ。
「部屋へご案内いたします」
従業員が笑顔で耀一郞が持っていたトランクケースを手に取ると先を行った。
「ほら、樟」
耀一郞が当たり前のように手を伸ばす。少し恥ずかしくて恐る恐るその手を取れば、しっかりと指が絡められた。ギュッと掌が握り合わさる。
「しっかりと掴まっていろ。また転んだら嫌だろう」
「はい……」
冷えた指先に、耀一郞の手がとても温かかった。
案内されたのは一番奥の家。扉の中はすでに暖房で温まっており、とても天井が高い。ここもかつての雰囲気を壊すことなく現代風にリノベーションされており、板間には囲炉裏がある。
土間から靴を脱ぎ上がれば、じんわりと温かさが伝わってきて、床暖房があることに驚いた。
「ごゆっくりおくつろぎください。本日のお食事はお部屋でも本館でもお召し上がりいただけますがいかがいたしましょう」
「日によって変えることができるのか?」
「はい。当日の朝までにご連絡をいただければ」
「そうか。では今日は本館でいただきたい」
惚けながら室内を見つめている間に、従業員が出て行った。
「凄い所ですね……昔話の中に迷い込んだと思ったのに、中は凄く綺麗で……タヌキに化かされているのかな?」
「面白いことを言う。でも不思議な空間だろう。ここならゆっくりと非日常を味わうことができると思って選んだんだ」
確かに非日常だ。
合掌造りの家に泊まるなんて夢にも思わなかったし、床暖房といった設備までしっかりとしているなんて外観から誰が想像できるだろうか。
「面白いから室内を見てみよう。どうなっているか、お前も興味があるだろう」
「はいっ!」
梁が剥き出しの天井の高い位置から籐編みの籠に和紙で包まれた室内灯が柔らかい灯りを落としているが、他の照明もそれに倣ってすべて籠の中から和紙越しに光を漏らしている。
板間の横には十畳以上の和室があり、床の間に茶器と趣のある掛け軸が飾られ、縁側からは近くを流れる小川と林を見ることができた。和室の奥にある小さな茶室は板の間とは壁をくり抜いたように作られた扉で続いており、食事はここで摂ることもできるという。そして最後の部屋を開くと、樟の口から感嘆の息が零れ出た。
障子で区切られたそこも部屋だと思っていたのに、左右の壁を縦に割った竹で覆われ、正面は大きなガラス窓で外と繋がっているようになっている岩風呂だった。洗い場には手桶と小さな椅子があり、よく見なければシャワーの存在がわからないようになっている。
「すごい……」
思わず漏れた言葉を拾うように耀一郞が樟の身体を掠って腕の中へと閉じ込めた。
「ここが気に入って決めたんだ。夜に灯りを消して入れば、露天風呂のようだからな。しかも防音になっているからどんなに声を上げても外に漏れることがない」
「……ここでなにをするつもりですか?」
声が漏れて困ることなんて、簡単に想像できるが否定してほしくて訊ねれば、目を細めた耀一郞が口角を上げた。
「知りたいなら今から教えてもいいぞ」
「だめっ……だめです!」
「それは残念だ。長旅だったからな、お茶を煎れて一息吐こう」
大きな手が樟の痩身をなぞり、妖しい雰囲気を演出するのを慌てて引き留めれば、すぐに両手が離れた。
からかわれたと知っても怒ることができない。頬を真っ赤にしてその時間を期待している自分を隠さなければならなかった。熱が戻り始めた指先で赤味を抑えようと両手で頬を包めば、身体を屈めた耀一郞が耳殻に甘く歯を立てた。
「そういう顔は夜に見せろ。でないとまた夕食を食わせてやれなくなるぞ。……トイレはここのようだな」
脱衣所の隅の扉を開いて中を確かめた後、何事もなかったように耀一郞がその場を出て行った。後を追いかけたくてもさらに赤味を増した顔では出て行けなくて、樟は身体を丸めて期待が鎮まるのを待つしかなかった。
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