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番外編2
嬉し恥ずかし新婚旅行12
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心配している彼が泣きそうな顔をしていた。
――平気、慣れているから気にしないで。
伝えたいことはたくさんあるのに、耀一郞のことが気になって言葉が出てこない。
心配される心地よさを思い出させてくれたのはこの人だ。以前、過呼吸の発作を起こしたときも、こんな風に必死になってくれた。あの時も平気だと伝えたくて、でもできなくて、随分と心配をかけさせてしまった。
言葉が出てこない代わりに、樟は口角を上げた。
心配しないでとだと伝えたくて。
抱き起こされ、耀一郞の膝に乗せられた。ゆっくりと見渡せば多くの人が集まっていて、心配そうにこちらを見ている。
「大丈夫? 助けてあげられなくてごめんね」
「もうすぐ救急車が来るからな。もうちょっと辛抱しろよ」
「あいつはむこうで取り押さえてるから、もう酷いことされないから安心しろ」
優しい言葉に小さく頭を下げた。
すぐにけたたましいサイレンを響かせて救急車が到着し、近くの病院へと運ばれた。
全身をくまなく検査して湿布を背中にいっぱい貼っただけで治療は終わったが、ずっと耀一郞が傍にいてくれたのが嬉しかった。
朝市に出かけたのに、駐車場に駐めた車に戻ったのは空が真っ暗になってからだ。街灯は少ないが、代わりに空いっぱいにライトが瞬いていた。
「こんなに遅くなって……ごめんなさい」
「どうしてお前が謝るんだ。悪いことをしていないどころか、被害に遭ったんだぞ。もっと怒るべきだ」
耀一郞は樟の容態を確認した後から、不満そうだ。なにが彼を苛つかせているのか、樟にはわからない。だから謝罪を口にしたのだが、見当違いだったようだ。
「……今、何を考えているんだ。口にしてくれ」
すぐに気持ちを飲み込んでしまうのを許さないとばかりに訊ねられた。
一瞬躊躇い、不安を振り払って口を開いた。
「耀一郞さんはどうして怒ってるんだろうって……僕はまた余計なことを考えているのかなって……」
「私の顔色を窺わなくていい。怒っているのはお前にではない。あいつと自分自身にだ」
「……どうして耀一郞さんはご自分に腹を立てているんですか?」
兄の友人に腹を立てるのは理解できるが、耀一郞はなにも悪くない。むしろ樟を助けてくれた。これで二度目だ。
「もっと早くに居場所を探し出せていたら、お前が傷つかなかった……まさかこんなところに隠れていたと思いもしなかった」
「探してた?」
どうして耀一郞が兄の友人を探す必要があるのか、樟には理解できない。疑問符と共に小首を傾げ、痛みに呻き声を上げる。
「菊池椋が自供したんだ、友人を使ってお前に性的虐待していたことを。しかも裏で金銭の授受があった。立派な売春斡旋だ。それを指示していたのがさっきの男だ。仲間が次々に逮捕されたのに気付いて一年前から行方がわからなくなっていた」
「……また僕は、なにも知らないままなんですね」
「すまない。セカンドレイプでお前を傷つけたくなかった」
理解している。耀一郞は優しいから、警察から連絡が来たときにすぐ、樟を守ることを考えたのだろう。
性被害の事情聴取は得てしてセカンドレイプになりやすい。なにをされたかをつぶさに聞き出されるからだ。そして「大したことない」とか「逃げないのが悪い」と評し、酷い場合には「自分から誘ったんだろ、オメガだから」などと言われるケースがあるという。心ない言葉は傷ついた心をさらに傷つけ被害者を苦しめる事象が、オメガの身近では人混みで肩がぶつかるくらい当たり前に起こる。
樟もNPOのボランティアをしていなければ知らなかったことだ。
耀一郞の優しさを理解する一方で、やはり知りたかったという気持ちがある。当事者なのに蚊帳の外にいては、なにも成長しない。耀一郞の役に立ちたいが、能力が備わっていないことは熟知している。だからこそ、迷惑をかけないようにしたいのだ。
誰よりも大事な人と一秒でも長く一緒に居るために。
勇気を出して口を開いた。
「僕は……知りたかったです。知ってたらこんな……耀一郞さんに迷惑をかけなくてすみました」
「迷惑などと思っていないっ! 私が守りたかったのだ、大事なお前を!」
「嬉しいです……でもこのまま守られてばっかりだと、僕は耀一郞さんのお荷物にしかなれないんだって思っちゃうんです」
ビクリと、ステアリングを握る手が震えるのが見えた。
責めているのではない、守られてばかりが嫌なのだ。もし今回の件も知っていたら、あれほど驚かなかっただろうし、すぐに耀一郞に助けを求められたかもしれない。ベータ男性よりも圧倒的に筋肉量が低いオメガでは立ち向かうことはできないが、逃げる方法だって取れたし、対処はいくらでもできた。知らなかったら、そのシミュレーションすらできないのだ。
車内に沈黙が漂い、よそよそしい空気がカーエアコンから吹き出して車の中を埋め尽くした。
静寂だけが車内を流れていく。
宿についても二人の間にはぎこちない空気が纏わりつき、堪えきれなくなった耀一郞が風呂へと消えた。今日は大事をとって入浴を禁じられているので、樟はその背中を見送るしかなかった。
嘆息して、痛みを堪えながら着ていた服を脱いだ。全部、耀一郞がこの旅行の為に買ってきてくれたものだ。素材や着心地にこだわっており、気軽に洗濯機に放り込めないものばかり。
カシミアのセーターを綺麗に畳み、美しくアイロンがかかった浴衣へと着替える。作法などわからないまま帯を締め、囲炉裏の傍に腰掛ける。
汚れてしまった赤い人形がぽつんと座布団の上に置かれていた。
(耀一郞さんが置いてくれたのかな……汚しちゃってごめんね)
申し訳ない気持ちで汚れをはたこうにも、まだ濡れていて広がるばかりだ。諦めて元の位置に置いて膝を抱えた。
今日一日を振り返って、モヤモヤとした感情が胸に蘇る。
頼りない自分、守られなければ生きていけない自分、それがもどかしい。
(でも弱いって耀一郞さんに思わせたのは僕だ……)
受け身で自分からなにも伝えず、なにもしようとしなかった。愛されているけれど、明確な愛を伝えていない。そして自分の中の想いも、請われなければ口にしない。これでどうやって頼れと言えようか。
ダメな人間だと己を見捨てるのはもう終わりにしたい。
耀一郞の隣に立つにふさわしい自分になりたい。
迷子の子供のように彼が出てくるまで膝を抱えて待ち続けた。
一人の入浴はさっさと済ませる耀一郞が、今日に限っていつもよりも出てくるのが遅かった。濡れた髪をふかふかのタオルで拭い、浴衣を緩く纏った姿は映画の中の登場人物のようで鬱々とした気持ちに押しつぶされそうになっていたのが一気に吹き飛び、見入ってしまう。
そうだ、ここに来てから耀一郞の宣言でじっくりと彼を見る時間なんてなかった。
常に身体の奥を熱くして翻弄され続けたのを思い出し、じんわりとそこに熱が灯る。
「疲れただろう。早いが今日はもう寝よう」
いつもと変わらない口調で耀一郞が樟の腕を掴み――すぐに外した。
「これは嫌なことを思い出してしまうな、すまなかった。抱き上げた方がいいか?」
「歩けますっ! 大丈夫です、ちゃんと自分でできますから……」
遠赤外線で温まった身体を起こして布団が敷かれた部屋へと入る。いつもと違い、樟の後ろを耀一郎付いてきて、カタンという音で障子が閉められたのを知る。
床の間に置かれたライトは、周囲を覆う和紙のおかげで柔らかい色合いのオレンジ色の光で部屋を包み込んでいる。
――平気、慣れているから気にしないで。
伝えたいことはたくさんあるのに、耀一郞のことが気になって言葉が出てこない。
心配される心地よさを思い出させてくれたのはこの人だ。以前、過呼吸の発作を起こしたときも、こんな風に必死になってくれた。あの時も平気だと伝えたくて、でもできなくて、随分と心配をかけさせてしまった。
言葉が出てこない代わりに、樟は口角を上げた。
心配しないでとだと伝えたくて。
抱き起こされ、耀一郞の膝に乗せられた。ゆっくりと見渡せば多くの人が集まっていて、心配そうにこちらを見ている。
「大丈夫? 助けてあげられなくてごめんね」
「もうすぐ救急車が来るからな。もうちょっと辛抱しろよ」
「あいつはむこうで取り押さえてるから、もう酷いことされないから安心しろ」
優しい言葉に小さく頭を下げた。
すぐにけたたましいサイレンを響かせて救急車が到着し、近くの病院へと運ばれた。
全身をくまなく検査して湿布を背中にいっぱい貼っただけで治療は終わったが、ずっと耀一郞が傍にいてくれたのが嬉しかった。
朝市に出かけたのに、駐車場に駐めた車に戻ったのは空が真っ暗になってからだ。街灯は少ないが、代わりに空いっぱいにライトが瞬いていた。
「こんなに遅くなって……ごめんなさい」
「どうしてお前が謝るんだ。悪いことをしていないどころか、被害に遭ったんだぞ。もっと怒るべきだ」
耀一郞は樟の容態を確認した後から、不満そうだ。なにが彼を苛つかせているのか、樟にはわからない。だから謝罪を口にしたのだが、見当違いだったようだ。
「……今、何を考えているんだ。口にしてくれ」
すぐに気持ちを飲み込んでしまうのを許さないとばかりに訊ねられた。
一瞬躊躇い、不安を振り払って口を開いた。
「耀一郞さんはどうして怒ってるんだろうって……僕はまた余計なことを考えているのかなって……」
「私の顔色を窺わなくていい。怒っているのはお前にではない。あいつと自分自身にだ」
「……どうして耀一郞さんはご自分に腹を立てているんですか?」
兄の友人に腹を立てるのは理解できるが、耀一郞はなにも悪くない。むしろ樟を助けてくれた。これで二度目だ。
「もっと早くに居場所を探し出せていたら、お前が傷つかなかった……まさかこんなところに隠れていたと思いもしなかった」
「探してた?」
どうして耀一郞が兄の友人を探す必要があるのか、樟には理解できない。疑問符と共に小首を傾げ、痛みに呻き声を上げる。
「菊池椋が自供したんだ、友人を使ってお前に性的虐待していたことを。しかも裏で金銭の授受があった。立派な売春斡旋だ。それを指示していたのがさっきの男だ。仲間が次々に逮捕されたのに気付いて一年前から行方がわからなくなっていた」
「……また僕は、なにも知らないままなんですね」
「すまない。セカンドレイプでお前を傷つけたくなかった」
理解している。耀一郞は優しいから、警察から連絡が来たときにすぐ、樟を守ることを考えたのだろう。
性被害の事情聴取は得てしてセカンドレイプになりやすい。なにをされたかをつぶさに聞き出されるからだ。そして「大したことない」とか「逃げないのが悪い」と評し、酷い場合には「自分から誘ったんだろ、オメガだから」などと言われるケースがあるという。心ない言葉は傷ついた心をさらに傷つけ被害者を苦しめる事象が、オメガの身近では人混みで肩がぶつかるくらい当たり前に起こる。
樟もNPOのボランティアをしていなければ知らなかったことだ。
耀一郞の優しさを理解する一方で、やはり知りたかったという気持ちがある。当事者なのに蚊帳の外にいては、なにも成長しない。耀一郞の役に立ちたいが、能力が備わっていないことは熟知している。だからこそ、迷惑をかけないようにしたいのだ。
誰よりも大事な人と一秒でも長く一緒に居るために。
勇気を出して口を開いた。
「僕は……知りたかったです。知ってたらこんな……耀一郞さんに迷惑をかけなくてすみました」
「迷惑などと思っていないっ! 私が守りたかったのだ、大事なお前を!」
「嬉しいです……でもこのまま守られてばっかりだと、僕は耀一郞さんのお荷物にしかなれないんだって思っちゃうんです」
ビクリと、ステアリングを握る手が震えるのが見えた。
責めているのではない、守られてばかりが嫌なのだ。もし今回の件も知っていたら、あれほど驚かなかっただろうし、すぐに耀一郞に助けを求められたかもしれない。ベータ男性よりも圧倒的に筋肉量が低いオメガでは立ち向かうことはできないが、逃げる方法だって取れたし、対処はいくらでもできた。知らなかったら、そのシミュレーションすらできないのだ。
車内に沈黙が漂い、よそよそしい空気がカーエアコンから吹き出して車の中を埋め尽くした。
静寂だけが車内を流れていく。
宿についても二人の間にはぎこちない空気が纏わりつき、堪えきれなくなった耀一郞が風呂へと消えた。今日は大事をとって入浴を禁じられているので、樟はその背中を見送るしかなかった。
嘆息して、痛みを堪えながら着ていた服を脱いだ。全部、耀一郞がこの旅行の為に買ってきてくれたものだ。素材や着心地にこだわっており、気軽に洗濯機に放り込めないものばかり。
カシミアのセーターを綺麗に畳み、美しくアイロンがかかった浴衣へと着替える。作法などわからないまま帯を締め、囲炉裏の傍に腰掛ける。
汚れてしまった赤い人形がぽつんと座布団の上に置かれていた。
(耀一郞さんが置いてくれたのかな……汚しちゃってごめんね)
申し訳ない気持ちで汚れをはたこうにも、まだ濡れていて広がるばかりだ。諦めて元の位置に置いて膝を抱えた。
今日一日を振り返って、モヤモヤとした感情が胸に蘇る。
頼りない自分、守られなければ生きていけない自分、それがもどかしい。
(でも弱いって耀一郞さんに思わせたのは僕だ……)
受け身で自分からなにも伝えず、なにもしようとしなかった。愛されているけれど、明確な愛を伝えていない。そして自分の中の想いも、請われなければ口にしない。これでどうやって頼れと言えようか。
ダメな人間だと己を見捨てるのはもう終わりにしたい。
耀一郞の隣に立つにふさわしい自分になりたい。
迷子の子供のように彼が出てくるまで膝を抱えて待ち続けた。
一人の入浴はさっさと済ませる耀一郞が、今日に限っていつもよりも出てくるのが遅かった。濡れた髪をふかふかのタオルで拭い、浴衣を緩く纏った姿は映画の中の登場人物のようで鬱々とした気持ちに押しつぶされそうになっていたのが一気に吹き飛び、見入ってしまう。
そうだ、ここに来てから耀一郞の宣言でじっくりと彼を見る時間なんてなかった。
常に身体の奥を熱くして翻弄され続けたのを思い出し、じんわりとそこに熱が灯る。
「疲れただろう。早いが今日はもう寝よう」
いつもと変わらない口調で耀一郞が樟の腕を掴み――すぐに外した。
「これは嫌なことを思い出してしまうな、すまなかった。抱き上げた方がいいか?」
「歩けますっ! 大丈夫です、ちゃんと自分でできますから……」
遠赤外線で温まった身体を起こして布団が敷かれた部屋へと入る。いつもと違い、樟の後ろを耀一郎付いてきて、カタンという音で障子が閉められたのを知る。
床の間に置かれたライトは、周囲を覆う和紙のおかげで柔らかい色合いのオレンジ色の光で部屋を包み込んでいる。
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