【書籍化進行中】不遇オメガと傲慢アルファの強引な結婚

椎名サクラ

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番外編2

嬉し恥ずかし新婚旅行14*

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Rシーンがあります、読む際にはご注意ください!
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 耀一郞の身体を跨いだまま、与えられる愉悦を貪った樟は、浴衣の前をはだけさせたまま、身体を起こした。
 唾液で濡れた唇が和紙に包まれた柔らかい光に照らされ、幼い面(おもて)がいつも以上に妖艶に映る。けれど自覚のない樟は、ほうっと名残の吐息を吐き出すとゆっくりと身体をずらした。その一部始終を耀一郞に見つめられたまま。
 布団を剥いで大きく深呼吸をする。

 耀一郞と結婚してからずっと穏やかな生活を送っていた樟にとって、勇気のいることをこれからしようとしている。
 堪った唾液を飲み込んで、耀一郞の浴衣の前をはだけた。それにも凄く勇気がいた。徹頭徹尾、樟にはなにもさせない耀一郞に甘えて受け身で居続けた自分が、それをしたら彼はどう思うか考えると下手にアクションを起こさない方が嫌われないと消極的になっていた自分を振り切って下着の上からそれに口付けた。
 いつも樟を啼かせては愉悦へと沈める欲望の形を唇でなぞる。

「樟っ!」

 驚いた耀一郞が身体を起こそうとした。構わず想いのまま刺激をする。隆起に沿って唇を動かし、先端を啄んだ。その刺激だけでぴくりと跳ねて耀一郞の欲望が形を変えた。

「あ……」

 驚いた樟は顔を上げて耀一郞を見た。眉間に深い皺を刻み、なにかを堪えるような表情が淡い光に映し出される。こんなにも稚拙な刺激に反応してくれたことに驚くと共に悦びが湧きあがる。
 耀一郞は苦笑を浮かべた。

「なのを驚いている。相手がお前なんだからこういう反応になって当たり前だろう」
「上手じゃないから……でも、嬉しい」

 如実な反応は樟に勇気を与え、小さな自信をもたらす。こんな稚拙な愛撫でも、欲情してくれる。こんな自分でも耀一郞を悦ばせることができる。こんな醜い身体でも、愛してもらえる。
 常に受け身だから嵐に飲まれるように流されてきたが、自分の手で相手を悦ばすことができる事実に、胸が熱くなった。
 そして、耀一郞に拒まれなかった。

 いつにない興奮に樟の動きは大胆になった。
 耀一郞の下着を恐る恐る下ろし、飛び出した欲望にほうっと息を吹きかけ、形に添ってキスをした。丁寧に優しく。数多の男たちに無理矢理やらされ、苦しくて嫌悪していたはずの行為なのに、それが愛する人だと意味合いがすべて異なった。
 樟の拙い刺激に耀一郞の欲望は形を変え逞しくなっていく。今まで直視してこなかったその長大さに悲鳴を上げそうになった。

(こんな大きいのが挿ってたんだ……)

 腹を突き破るのではないかと思うほどに育った欲望を見て、腹の奥が熱くなり蕾がギュッと窄まった。これが何も考えられないほどの愉悦を樟に与え、堕とし、沈めるのだと思っただけで涎が溢れ出し、まるで好物を前にした獣の気持ちになる。
 舌を出しキスをした順番とは反対に根元から舐め上げていく。決して上手くない性技なのに、樟の舌が動くたびにピクリと跳ね、反応を示してくれる。嬉しくてチロチロと仔猫がミルクを舐めるような動きだった舌が、全部を使ってねっとりと絡ませる執拗なものへと変化した。

「ああ、上手だ。だがこの体勢じゃない」
「違うんですか……ごめんなさい」
「謝ることじゃない。こちらに尻を向けろ……そうだ。これでお前を可愛がれる」
「やっ! なにをするんですかっ!」

 樟の腰が顔の前に来た耀一郞は、躊躇うことなく興奮に少しだけ力を持った樟の分身を咥えしゃぶり始めた。
 樟の感じる場所を熟知している耀一郞の容赦ない舌技にあっという間に追い上げられ、ローションをたっぷりと塗した指が蕾を暴けば、彼の逞しい腹の上で悶え始めた。

「やだっ前と中、一緒にしないでっ! いっちゃ……だめですっ!」
「樟はこれが好きだろう。ああ、ここに来てから毎日抱いているから、ここも私の指をすぐに飲み込んでいくな」
「いわな……グリグリしないでっ!」
「一緒にしよう、樟。できるだろう」

 なにを、とは決して口にしない彼の導きに従って、絶え絶えの息で目の前にある逞しい欲望に舌を這わせた。けれどしたいのはこれではない。樟は腕に力を入れ身体を起こすと、筋に沿って舌から舐め上げ、先端を唇で食んだ。どろりと透明の蜜が溢れ唇を濡らす。
 もっと感じさせたくて、ゆっくりと口を開く。慣れているはずなのに、耀一郞の欲望はあまりにも大きくて、先端を食むので精一杯だ。樟は啼き声が上がる口で懸命に刺激していく。頭を動かし、少しでも奥に含もうと頑張る。しかし長大な欲望のすべてを含むことができなくて仕方なく手で刺激を与えていった。少しでも自分がすることに悦んで欲しくて懸命にしゃぶるが、手慣れた刺激を受けてはそれも上手くいかない。
 その間にも耀一郞は樟が達かないように分身の根元を押さえつけたまま、中と分身への刺激を与え続けた。

(あれが……くるっ!)

 旅行の初日から耀一郞の容赦ない愛撫を受け続けた身体は、もうすっかり慣れてしまった遂情を伴わない絶頂へと押し上げられた。

「耀一郞さんだめっ……やめて……やーーっ!」

 昨夜も絶頂だけを味わい続けた身体はいともあっさりとその瞬間の訪れを許し、欲望を握ったまま耀一郞の身体の上で跳ねた。
 頭が真っ白になり、背骨が溶けてしまったかのように沈んでいく感覚が全身へと広がる。どれほど味わってもこの瞬間は恐怖を伴い、けれどすぐに甘い痺れが脳を侵し、もっと味わいたくなる。

 怖いのに、もっとしてとねだってしまう。揺れる尻で、指を咥えている蕾で、熱い吐息で。
 そして、この瞬間だけ耀一郞から漂う甘い香りを感じる。脳を溶かすほどの甘さすらも、癖になって求めてしまう。
 ギュッと蕾を意識的に窄めると、分身が耀一郞の口内から解放され臀部に口づけを落とされた。

「あ……」
「ドライオーガニズムが癖になってきたな。それでいい、何度でも達け」

 昨日だったら頷いていただろう甘い誘惑。けれど今日は違う。
 もう与えられ守られるだけの自分じゃないと彼に知ってほしい欲求が強かった。
 樟は力の入らない身体を無理に起こし、フラフラしたまま耀一郞の上から退くと身体を返し、また腰に乗った。
 少しだけ腰を上げる。

「それは辛いだろう」

 何をしようとしているのか察した耀一郞が止めようと上体を起こそうとするのを首を振って拒み、たっぷりとローションを塗された蕾に先端を宛がう。
 初めての経験に、そこから腰を下ろす勇気が出ない。毎日、耀一郞に解され受け挿れている蕾はすぐにでも欲しくて先端を食み、樟を妖しい感覚で苛んでくる。
 息を大きく吐き出して、耀一郞の腹部に手を置きこわごわと足の力を抜いていった。

「うっ……ああっ!」

 長大な欲望の先端を飲み込んだ瞬間、感じる場所を擦ってしまった樟の身体に電流が駆け上がった。一瞬硬直し、身体から力が抜け自重で根元まで飲み込む。

「いやっ……ふか……挿らないでっ!」

 自分から飲み込んでいるというのに、樟は首を振って逃れようとしても、奥の奥まで受け挿れることに慣れてしまった身体はビクビクと震えて動くことができない。

「無理をするな、樟……うっ……これ以上締め付けないでくれ」
「できなっ……やだやだ!」

 抗うように身体を動かせばまた奥へと挿り込み、すぐさま樟を絶頂へと押し上げる。分身の根元を堰き止められたまま、ドライオーガニズムに達した樟は耀一郞に跨がったまま、身体が後方へと倒れた。

「樟!」

 慌てて耀一郞が細い腕を取り、倒れるのを防ぐ。

「もう充分だ。今日はこれで終わりにしよう」
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