虚羽化人間CHAOS

大秦頼太

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第九話

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主な登場人物
梶間一郎:17歳。虚羽化人間カオス。
倉持エイコ:71歳。製薬会社グラックスの筆頭株主。
鈴峰カオル:製薬会社グラックス社員。女性。29歳。カマキリと人の虚羽化人間キュラマンティス。
米山:製薬会社グラックスの営業マン。26歳。
鈴木:製薬会社グラックス社員。25歳。
向井:製薬会社グラックス社員。28歳。虚羽化人間ホーネット。
荒幡トオル:製薬会社グラックス専務。27歳。火蟻と人の虚羽化人間。
橋立:36歳。刑事。
松下:死亡。享年28歳。刑事。
進藤:製薬会社グラックス社員。25歳。サソリと人の虚羽化人間。
田村彦二:42歳。喫茶タームのマスター。
田村珠恵:13歳。彦二の娘。
梶間恵理子:死亡。梶間一郎の妹。蛾と人の虚羽化人間になるがカオスに捕食される。
梶間陽子:一郎と恵理子の母。大作とは離婚している。行方不明。
梶間大作:製薬会社グラックス社長。一郎の父。
安村:36歳。週刊誌のライター。

●橋立のアパート
   薄暗い部屋。携帯電話が鳴る。もぞもぞとベットの中から出てきて電話に出る橋立。

橋立「あぁ、安村か。いや、仕事の電話を待ってたんだ。バカ。こっちだって大変なんだよ。わかった午後だな。じゃ、あとでな」

   携帯電話を置く。そこには、拳銃も無造作に置かれている。

橋立「松下……」

   拳銃を見つめる橋立。

●喫茶ターム
   米山がカウンター席に座ってコーヒーを飲んでいる。その表情は物思いにふけっている。
   彦二が話しかける。

彦二「どうしたんだい?」

   声をかけられて愛想笑いをする米山。

米山「いえ」
彦二「会社で何かあったのかい?」
米山「まぁ、ちょっと」
彦二「私のことかい?」
米山「いえ。田村さんがいなかったら、今頃僕らは個々に死んでいたでしょうから、感謝していますよ」
彦二「余計なことをしたね」
米山「そんなこと……」
彦二「すまない」
米山「……みんなは、元に戻ることを諦めはじめています。人間と戦争する気でいるんです」
彦二「戦争か」
米山「僕はそれを阻止したい」
彦二「そんなことをしたら、君が殺されるんじゃないのか?」
米山「どっちにしても殺されるなら、人として死にたい」
彦二「そうか」
米山「田村さんでも無理なんですか?」
彦二「僕は梶間の足元にも及ばないよ。僕には無理さ」
米山「そうですか」

   うつむく米山。彦二は、米山を哀れむように口を開く。

彦二「……ただ、カオスセルがあれば、可能かもしれない」

   顔を上げる米山。

米山「カオスセル?」
彦二「うん。人間で言うところのガン細胞なんだが、その生命力と増殖力がすさまじくてね、もしかしたら再羽化が可能になるかもしれない」

   米山は話に食いついてくる。

米山「田村さんはそのカオスセルを持っているんですか?」
彦二「いや、僕は持っていないんだ」
米山「それはどこに?」
彦二「……梶間なら知っているはずだ。調べてご覧」
米山「でも、そのカオスセルがあるなら、教授は何故それを使わないのでしょうか?」
彦二「分からない。すでに試したのか、もしくはもう作れないのか……」
米山「もう作れない?」
彦二「これは過程の話だけれど、梶間はもう死んでるんじゃないんか?」
米山「そんな」
彦二「生きていたら僕のところになんて助けを求めになんて来ないはずさ」
米山「教授は、体を失いました。研究所の火災で……」
彦二「そうだったね」
米山「今は脳だけで活動しています」

   彦二は、米山から目を背ける。

彦二「僕と一緒にクローン技術を研究していた彼が、そのままでいるなんて考えられないことだけどね。あの男なら自分のクローンに脳を移植することだって考えるだろうに」
米山「じゃあ」
彦二「梶間はすでに死んでいて誰かがその役をしている。とか」

   米山はハッとする。

米山「荒幡さんだ。会社だって元々荒幡さんのものだし、決定権も荒幡さんが持ってる」
彦二「となれば、無理だな。……いや、まだ一つ残ってる」
米山「ひとつ」
彦二「梶間一郎君を探すんだ。一郎君はカオスセルを持っている」
米山「なぜ?」
彦二「彼を見たんだ。みんな人を食べる化け物になったと。でも、自分は人を食べないと言っていた」

   首をかしげる米山。

米山「それはおかしいです。一郎くんは研究所の治療志願者の中にはいませんでした。それに、彼は健康でした」
彦二「となると研究所に行く以前の話かな?」
米山「梶間医院ですか?」
彦二「あるいは研究所での最初の検体かもしれない。とにかく彼だけが変異体なんだ」

●グラックス 社内・会議室
   向井が窓の外を見て座っている。
   そこに鈴木が入ってくる。

鈴木「向井さん、用ってなんですか?」

   鈴木を一瞥する向井。緊張した面持ちの鈴木。
   黙って再び外を見る向井。

鈴木「何もないなら戻りますよ」
向井「お前」

   鈴木、姿勢を伸ばす。

向井「隠し事してるだろ?」

   鈴木は上ずった声で答える。

鈴木「し、してませんよ」
向井「戦闘員ってなんだ?」

   向井の振り返った目が、鈴木を捕らえる。

向井「俺、今日は調子がいいんだぜ。見せてやろうか?」
鈴木「あれは第3世代です」
向井「いつのまに第3世代なんて作りやがった?」
鈴木「荒幡さんが兵隊が必要だって」
向井「荒幡荒幡って、お前らは荒幡の犬か?」
鈴木「すみません」
向井「この巣を支配してるのは、荒幡かも知れねぇ。だが、俺たちはもっと自由な存在のはずだ」
鈴木「そ、そうですね」
向井「何でコソコソしなきゃならねぇ? 俺たちは人間より強いんだぞ?」
鈴木「慎重にやらないと、こっちが殺されるって荒幡さんが」

   ドバキンッ! 向井の拳が長テーブルを叩き潰す。

向井「気にいらねぇ!」

   向井が立ち上がる。鈴木が逃げ出す。向井は背後から鈴木の首を捕まえる。

向井「あいつは何をする気だ?」
鈴木「し、知りません」
向井「言え! このまま殺すぞ!」
荒幡「それはやめてもらいたいな」

   向井の後ろに荒幡が立っている。

向井「いつのまに」
荒幡「基本的な目標は変わっていないよ。安心したまえ」

   向井は荒幡をにらみつける。
   荒幡は笑顔で向井の肩を叩く。

荒幡「君をのけ者なんかにはしないさ」
向井「本当だろうな?」
荒幡「本当さ」

   向井は、ふんと鼻を鳴らす。

荒幡「鈴木を離してやれ」
向井「お? 忘れてた」

   向井の手が鈴木の首を離れる。床に倒れこむ鈴木。むせ返る。

荒幡「大事な技術者なんだから、大切にね」
向井「悪かったな」

   鈴木、恨めしそうな目で向井を見る。

向井「ん?」
鈴木「いえ」
荒幡「向井」
向井「ん?」
荒幡「力が余ってるなら、いい仕事がある」
向井「なんだ? 落合ならまだ見つかってないぞ」
荒幡「アメリカ軍の基地に接触した奴がいる」
向井「何?」
荒幡「俺たちが国を飲み込むよりも前に、偽物を作られると厄介だ。潰せ」
向井「良いのか?」
荒幡「全員殺してもかまわん。どうせ敵国だ」
向井「お前のそういうところ大好きだぜ」
荒幡「詳細は鈴木から聞いてくれ。鈴木、頼んだぞ」
鈴木「はい」
向井「よろしくな! 相棒」

   無邪気な向井の笑顔に対して、複雑な笑みを浮かべる鈴木。

●山小屋
   倉持が戦闘員アントマニア10人に囲まれている。

倉持「どうも今日は様子が違うようね」

   バイクに乗って現れる一郎。

一郎「倉持さん!」

   アントマニアたちをバイクで追い払う。

倉持「取れた?」
一郎「はい。おかげさまで」

   一郎はバイクを降り、カオスに変貌していく。
   アントマニアたちがそこに襲い掛かる。鮮血が飛ぶ。
   カオスの周りからアントマニアたちが吹き飛ばされる。
   カオスの手にはカオスブレイドが握られている。
   地面に倒れ、息絶えるアントマニアたち。
   拍手が聞こえる。

カオス「誰だ!」

   男が一人近づいてくる。それは、グラックス社員進藤。

進藤「さすが第一世代。強いですね」
カオス「第一世代?」
進藤「研究所にいた連中は第一世代って言うんですよ」

   進藤の姿が徐々にサソリを元にした虚羽化人間スコーピオに変わっていく。両手に大きなハサミ。背中から伸びる尻尾には毒針のようなものが見える。

スコーピオ「でも、第二世代の俺のほうが強いけどね。虚羽化人間同士、いざ勝負!」
カオス「僕は人間だ!」

   走り出す2人。体をぶつけ、跳ね返る。ハサミを振り下ろす。カオスブレイドが跳ね返す。2つ目のハサミがカオスを打ち付ける。吹き飛ばされるカオス。カオスは地面に転がる。

スコーピオ「お前たちを殺すとボーナスが出るんだとよ」

   カオスに近づいていくスコーピオ。

スコーピオ「まぁ、悪く思わないでね」

   スコーピオをカオスを蹴飛ばす。宙を舞うカオス。着地して座り込む。

カオス「ハァハァ」
スコーピオ「第一世代は、失敗作なのさ。燃費が悪くて困っちゃうらしい」

   スコーピオは人間に戻る。

進藤「まぁ、薬を飲まないと俺たちだっておかしくなっちまうけどね」

   進藤は胸元から薬を取り出し、飲み込む。

進藤「飲む?」

   カオスの前に錠剤を撒く。

進藤「空腹が消えますよ」

   カオス、薬を見つめる。

進藤「原料は人間だけどね」
カオス「ふざけるな!」

   立ち上がるカオス。進藤もスコーピオに変身する。

スコーピオ「アハハハハ。どうしてそんなに拒むんだい?」
カオス「人間だからだ!」
スコーピオ「違うよ。その姿を見てご覧よ」
カオス「うるさい!」

   カオスブレイドを振りかざしスコーピオに襲い掛かるカオス。
   スコーピオは振り下ろされるカオスの右腕を左のハサミで捕まえる。

カオス「!」

   がっちりと挟まれ、動かすことが出来ない右腕。カオスは、左手の拳を握り、それを突き出す。
   待ってましたと言わんばかりにスコーピオの右のハサミがカオスの左腕を捕まえる。

スコーピオ「残念でした」

   スコーピオの背中から伸びた尻尾が、カオスの背後に回りこみ毒針を突き刺す。

カオス「あぅ」

   ヒザから地面に崩れ落ちるカオス。

スコーピオ「あと一人」

   カオスを投げ捨てると、倉持に近づいていくスコーピオ。

スコーピオ「逃げないのか?」
倉持「ええ、逃げないわよ」
スコーピオ「流石は荒幡さんの祖母ですね」

   倉持の目の前に立つスコーピオ。

倉持「こんなお婆さんを殺すのにそんな姿のままなの?」
スコーピオ「何?」
倉持「人間をバケモノになって殺すのはね、心の中に罪悪感があるからよ。バケモノなら人間を殺してもかまわないと思ってるからなの」
スコーピオ「言うじゃないですか。でも、ある意味真実かもしれませんね。僕らは、人間を対等な生き物と思って見ていない」

   スコーピオは人間の姿に戻っていく。

進藤「人間は脆弱だ。それなのにこの地球の支配者になった気でいる。まったく馬鹿げてる」
倉持「同感ね」

   進藤はちらりと倉持を見る。

進藤「どうも。人間たちは金で全てが解決し、何をしても良いと思っている。だから……」
倉持「だからあなたたちが滅ぼす?」
進藤「そう、地球の変わりに」
倉持「ずいぶん大きなことを言うのね」
進藤「これまでにだって地球は、人間を殺そうとしてきた。未知のウイルス、遺伝子の異常。でも、人間は悪性病原体のように悪あがきを繰り返し生き延びてきた」
倉持「あなたたちは地球の免疫なの?」
進藤「そう。地球のために人類を絶滅させる」
倉持「それがあなたの、ううん。あの子の考えなのね?」

   進藤が動きを止める。

進藤「何?」
倉持「そうやって言いくるめられて利用されてるのよ」
進藤「違う! 荒幡さんはこの世界の王になるんだ」

   倉持は声高く笑い声を上げる。

倉持「残念ね。過去の歴史を見ても、人間を大量虐殺して世界を征服できた者はいないのよ。人類の戦いは全て悪と悪の戦いでしか無い。姿を変えてもそれは変わらないのよ」
進藤「うるさい婆さんだな」

   進藤は、倉持の首に両手をかけ首を絞める。倉持の顔から笑みは消えない。

倉持「あなたの目標が出来たじゃない」
進藤「何?」
倉持「あなたが世界を救うの。男の子なら、ドキドキしちゃうんじゃない?」

   進藤の背後で、カオスの目が赤く光る。

進藤「うわぁ!」

   倉持から手を離し、その場を飛びのく。

進藤「バカな! 死んでるはずだ。俺の毒を打ち込んだんだぞ」

   ゆっくりと立ち上がるカオス。周囲が闇に染まっていく。
   進藤、スコーピオに変身。身構える。

カオス「目標……」

   カオスの口が大きく開く。涎とも取れる粘液が、地面にたれて落ちる。

カオス「俺の目標は虚羽化人間を食うこと……」
倉持「あら?」

   カオスは、両手を目の前に出すと、自分の胸に両手の指を突き刺す。噴出す血が、闇に消えていく。

スコーピオ「なんだ? なんなんだ!」

   カオスは両手を引き出し、両手を広げる。
   指先に鋭い爪が出現する。(以後、カオスクロウ)

カオス「お前たちを全員食い殺す」

   スコーピオに向かって走り出すカオス。スコーピオも迎え撃つ。
   繰り出されるカオスクロウ。しかし、スコーピオのハサミに阻まれ、再び両腕を封じられる。

スコーピオ「俺の毒をなめるなよ!」

   背中に刺さるスコーピオの毒針。
   カオスは大きく口を開き、叫び声を上げる。

スコーピオ「今度は俺の毒を全部注入してやる!」

   カオスの目の輝きが増す。カオスは腕を翻し、スコーピオの爪を握りつぶす。

スコーピオ「あっ、あぁぁ」

   カオスの大きく開いた口がスコーピオの首に食らいつく。青い色の血液がカオスとスコーピオを染める。

スコーピオ「何でだ? なんでなんだよぉ! 死ね! 死ね! 死ね!」

   スコーピオの毒針が、カオスの背中を何度も突き刺す。ついには毒針が折れ、カオスの背中に刺さりっぱなしになる。
   カオスクロウがスコーピオの肩を潰す。首についた肉を引き剥がすように食い破るカオス。

スコーピオ「た、たうけ……て」

  徐々に人間に戻っていくスコーピオ。進藤が死んで完全な人間になってしまうと、カオスは興味がなくなったように食べるのをやめる。
  無造作に進藤の死体を投げ捨てる。
  倉持に顔を向ける。

カオス「勝ったよ」
倉持「正義の味方には、程遠そうね」

   カオスは一郎に戻る。血の気のない顔をしている。そのまま地面に倒れこむ。
   一郎の背中に刺さったスコーピオの毒針が、むなしく光る。


●港 夜
   停泊している船舶はなく、倉庫が立ち並んでいる。
   車が一台止まっている。そこに車の外でドアにもたれかかりタバコを吸っている安村がいる。
   そこに自転車でやってくる橋立。
   タバコを捨てて足でもみ消す安村。

橋立「意外に遠かったな」
安村「確かにタクシーで来るなとは言ったけどよ。チャリはないだろう」
橋立「そう言うなって」
安村「まぁ、いいや」
橋立「で、すごいことって何だ?」
安村「あぁ、研究所の焼失後、2つに分裂したらしい。研究を続ける連中と研究を売る連中にね」
橋立「どっちも厄介だな」
安村「あぁ。情報を売りに来た奴がいてね。研究を続けてる連中のバックが見えた」
橋立「すごいじゃないか!」
安村「言っただろ。すごい話だって」
橋立「どんな連中だ? カルト教団か?」
安村「製薬会社さ」
橋立「はぁ? 製薬会社だと?」
安村「グラックスっていう製薬会社だ。知ってるか?」
橋立「全然」
安村「テレビ見てないのかよ」
橋立「テレビ?」
安村「♪地球に愛を~。♪人間に優しさを~。ってCMだよ」
橋立「見てないなぁ」
安村「なんだよ」
橋立「で、そのグラなんとかが人体実験をした薬を売ってるのか?」
安村「その通り。意外に話が早いな」
橋立「意外には余計だ。つまりその薬を飲んだ奴が、殺人を犯すってわけだな?」
安村「それがどうもそうじゃない」
橋立「何?」
安村「遺伝の病気にある一定効果があるってことなんだが、この薬他にも別の効果があるらしい」
橋立「どんな?」
安村「それは調査中」
橋立「製薬会社か……」
安村「どうした?」
橋立「製薬会社と政治家。それと今までの被害者を調べてみる価値がありそうだな」
安村「政治家の方は俺が洗ってみる」
橋立「わかった。被害者の側は任せてくれ」
安村「グラックスは……」
橋立「それも俺がやるよ」
安村「危険だぞ」
橋立「大丈夫。俺はもう死んでるからな。社会的に」
安村「無職だしな」
橋立「うるせぇ、バカ!」

   笑いあう2人。
   倉庫の影から2人を見つめる黒い影。
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