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DREAM EATER 5
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訓練場の外に出ると右手に草原が広がりその奥には険しそうな山が見える。左手には訓練場を包み込むように森が深く覆っている。森と草原の間を土がむき出した道が曲がりくねりながら遠くまで伸びていた。町はその先になるようだ。
草原から吹いてくる風には鉄の匂いが含まれていた。所々で人の戦い合う姿が見える。同じ動作を繰り返しているのをみるとあれはNPCなのだろう。
「行くぞ」
戦闘を続けるという行為は、まず戦闘状態を作り出すこと。訓練場を出た瞬間にズカルを殴りつける。それで戦闘が始まる。しばらくは町に向かって移動する。しかし、そのままでいると戦闘状態は終了してしまう。その前にズカルが僕を殴る。町に向かいながらこれを繰り返す。他にも同じようなことを繰り返す二人組の姿がいくつか見えた。
「助けてくれ……」
振り返ると森の木の根本に傷だらけの男が倒れている。キツネのような細い目が印象的な顔だった。駆け寄ろうとする僕をズカルが蹴り飛ばした。
「なにするんだ! ズカル!」
振り返るとズカルの顔は緊張していて余裕が無さそうだった。
「ダメだ。ここで戦闘状態を途切れさせる訳にはいかない!」
「だけど人が!」
「馬鹿野郎! こんなところで倒れてる人間なんか怪しすぎるだろうが!」
少しの間、ズカルのことを酷いやつだと思った。だが、倒れていた男が何事もなかったように立ち上がると、こちらに顔を向け舌をぺろりと出して森の中に消えて行った。
「え……」
「ああやって戦闘を中断させるんだろ。そして、対戦相手を奪い賠償金を得るんだろうさ」
「ズカル」
「礼ならいい」
「見かけによらず頭がいいんだね」
「……ここからは武器を持つか?」
「褒めたんだよ!」
「ふん。ほら殴れ、お前の番だ」
しばらく進むと、前で同じように戦闘状態を続けている二人がいた。だが、一人が手を上げて武器を振り上げるもう一人を制止している。
「待ってくれ! 俺、もう生命力がない」
「え? マジかよ。まだ町まで距離がありそうなのに」
「俺に攻撃させてくれよ」
「ダメだ。俺も少ない。攻撃を受けたら俺が負けて、ここで戦闘が終わる」
「そんなの俺だって同じだろ!」
そんなやり取りをしていて、どっちも攻撃できずにいるようだった。僕たちは彼らを追い越していく。
「くそ! あいつらみたいに素手にしておけばよかったんだ!」
そんな声が聞こえてくる。そろそろ彼らの戦闘時間は終わるだろう。その時だった。
森の中から5、6人の集団が現れた。戦士、魔法使い風の者と様々だった。その中にさっき倒れていたキツネ目の男の姿もあった。
「残念だったな!」
と言うと初心者の二人のそれぞれにその集団が襲いかかる。あっという間に初心者を負かすと倍賞を請求する。それが終わると人を変えて再び襲いかかり初心者を狩り倍賞を請求する行為を延々と続けるのだった。
「アンヴィー」
ズカルの声で自分たちの戦闘に戻る。攻撃と移動をしながらも後ろが気になっていたので振り返ると、キツネ目の男が友達にでも接するように手を振っていた。
「先行組か」
ズカルが吐き捨てるように言った。こういうテストの場合、人より先に行ったものが有利になる場合が多い。僕らはこの何日かを訓練場で過ごした。そのたった数日でも差は開くのだ。
「アンヴィー、とにかく急ごう。町に着けばなにか良い情報があるさ」
「ああ」
戦闘はもう少し続きそうだった。
草原から吹いてくる風には鉄の匂いが含まれていた。所々で人の戦い合う姿が見える。同じ動作を繰り返しているのをみるとあれはNPCなのだろう。
「行くぞ」
戦闘を続けるという行為は、まず戦闘状態を作り出すこと。訓練場を出た瞬間にズカルを殴りつける。それで戦闘が始まる。しばらくは町に向かって移動する。しかし、そのままでいると戦闘状態は終了してしまう。その前にズカルが僕を殴る。町に向かいながらこれを繰り返す。他にも同じようなことを繰り返す二人組の姿がいくつか見えた。
「助けてくれ……」
振り返ると森の木の根本に傷だらけの男が倒れている。キツネのような細い目が印象的な顔だった。駆け寄ろうとする僕をズカルが蹴り飛ばした。
「なにするんだ! ズカル!」
振り返るとズカルの顔は緊張していて余裕が無さそうだった。
「ダメだ。ここで戦闘状態を途切れさせる訳にはいかない!」
「だけど人が!」
「馬鹿野郎! こんなところで倒れてる人間なんか怪しすぎるだろうが!」
少しの間、ズカルのことを酷いやつだと思った。だが、倒れていた男が何事もなかったように立ち上がると、こちらに顔を向け舌をぺろりと出して森の中に消えて行った。
「え……」
「ああやって戦闘を中断させるんだろ。そして、対戦相手を奪い賠償金を得るんだろうさ」
「ズカル」
「礼ならいい」
「見かけによらず頭がいいんだね」
「……ここからは武器を持つか?」
「褒めたんだよ!」
「ふん。ほら殴れ、お前の番だ」
しばらく進むと、前で同じように戦闘状態を続けている二人がいた。だが、一人が手を上げて武器を振り上げるもう一人を制止している。
「待ってくれ! 俺、もう生命力がない」
「え? マジかよ。まだ町まで距離がありそうなのに」
「俺に攻撃させてくれよ」
「ダメだ。俺も少ない。攻撃を受けたら俺が負けて、ここで戦闘が終わる」
「そんなの俺だって同じだろ!」
そんなやり取りをしていて、どっちも攻撃できずにいるようだった。僕たちは彼らを追い越していく。
「くそ! あいつらみたいに素手にしておけばよかったんだ!」
そんな声が聞こえてくる。そろそろ彼らの戦闘時間は終わるだろう。その時だった。
森の中から5、6人の集団が現れた。戦士、魔法使い風の者と様々だった。その中にさっき倒れていたキツネ目の男の姿もあった。
「残念だったな!」
と言うと初心者の二人のそれぞれにその集団が襲いかかる。あっという間に初心者を負かすと倍賞を請求する。それが終わると人を変えて再び襲いかかり初心者を狩り倍賞を請求する行為を延々と続けるのだった。
「アンヴィー」
ズカルの声で自分たちの戦闘に戻る。攻撃と移動をしながらも後ろが気になっていたので振り返ると、キツネ目の男が友達にでも接するように手を振っていた。
「先行組か」
ズカルが吐き捨てるように言った。こういうテストの場合、人より先に行ったものが有利になる場合が多い。僕らはこの何日かを訓練場で過ごした。そのたった数日でも差は開くのだ。
「アンヴィー、とにかく急ごう。町に着けばなにか良い情報があるさ」
「ああ」
戦闘はもう少し続きそうだった。
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