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DREAM EATER 9
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敵か味方かわからない者が多い中で外の世界と繋がるために特殊スキルを使う者を募集するというのは、ちょっと危険ではないのか。SPたちの呼びかけに手をあげようと思ったがそんな思いが生まれ躊躇した。
しかし、驚いたことにスキル未習得の者がまだ四人ほどいた。それならばと僕も名乗り出る。
「五人もいらっしゃるんですね。良かった。なんとかなりそうです」
SPエミナは心から安堵したようだった。
「皆さんは私たちが責任を持って必ず賢者の塔まで送ります。非常事態ですので私たちも戦闘に参加します」
未習得者五人が集められ、それぞれ順番ずつSPエミナと手をつなぎスキルを授与される。
「このスキルを取得することで他のスキルを覚えることができなくなりますが、無事賢者の塔を取り戻すことが出来ればスキルの破棄が可能になります。よろしくお願いします」
他の四人を紹介しよう。スターシャは女戦士。赤いポニーテールが特徴で背は本当の僕よりやや小さいくらいか。小柄な感じだ。声は女の子にしては少し低い。少年のような声をしている。
ナズルは浅黒い肌で灰色の長い髪を持つ男の戦士。屈強そうな感じだが、なぜか時々女言葉になる。背はここにいる僕アンヴィドルフと同じくらいだ。
ロックは短い黒髪の戦士。こちらも男だ。線が細く身軽な感じだ。身長はスターシャより少し高いくらいだ。彼はいちいち格好をつけるのでちょっと苦手だった。
最後も男の戦士で名前はボイス。金色の短い髪を持つロシア軍人のような険しい顔をしているが、とにかく明るい人でおしゃべりが大好きな人だった。
全員にスキルが授与されるとSPエミナが僕らのPTのリーダーになる。
そうそうスキルを教えてもらう時に晴海さんについて尋ねてみた。
「ハルミ? そんなキャラ名の人見てないわね。え? テスター面接の人? ごめんなさいわからないわ。サポートプレイヤーと面接の担当の人は別だから」
と、言われてしまったのでそれ以上は聞くことがなかった。
「じゃあ、私はこの後に傭兵を二十名確保しますのでここで待っていてください。個人行動は必ず避けること。いいですね?」
僕らは顔を見合わせ、誰からともなく切り出した。
「俺らも雇っていいですか? 一人くらいなら」
SPエミナは少し考えた後に頷いた。
「そうね。それはいいアイデアかも。ただし、傭兵の職種は指定させてもらうわ。魔術師を選択して回復魔法を覚えさせてちょうだい。短所が短気だった場合、別の奴にしてね。それから外見は細かく作っている時間はないから、思い入れがある人はイメージトレースでもしてね」
その後、傭兵ギルドに移動をして早速好みの傭兵を作成することになった。
イメージトレースとは、自分の記憶から容姿を取り込むというものだ。みんな芸能人や友人などをイメージしているようだ。僕の頭の中にぱっと浮かんだのは晴海さんだった。急かされていることもあってそのまま使うことになってしまった。
「またハルミって人? あなたストーカーじゃないわよね?」
SPエミナがあからさまに嫌な顔をしたので全力で否定する。
そうこうしているうちに他のSP二人もそれぞれ六人選び出しパーティーに加えていた。彼らも傭兵を引き連れる。
日が暮れる頃、SPモルグが全員を集合させる。なかなかの数に見える。
「前衛部隊の隊長を務めるSPモルグだ。我々の役目は敵を食い止め中央を守ることにある。深追いはしないこと。いいな!」
湧き上がる前衛部隊。次はSPエイモストが前に出る。
「我々の部隊は後衛である。私の傭兵の全てが魔術師なので、戦士の皆さんにはこの傭兵も守ってもらいたい。その代わりと言っては何だが、回復や補助、遠距離の魔法攻撃などは任せてもらいたい。私たちの働き次第で賢者の塔奪還作戦の成否が決まるだろう!」
後衛部隊も盛り上がる。
SPエミナが話を始めると、皆が注意し合い静かになっていく。
「本来ならば、皆さんにお願いするのは間違っています。ですが、お願いします。私たちを助けて下さい。賢者の塔を取り返し、私の部隊の誰かが接続を回復できればこの異常事態を必ず制御することが出来ます。出来る限りの戦闘は控えたいと思っています。けれど前にも言ったように私たちの常識とは異なる常識を持つ恐ろしいプレイヤーが待ち受けていることでしょう。その場合は打ち倒すしかありません」
「強盗プレイヤーに鉄槌を!」
誰かが叫んだ。だが、SPエミナは首を横に振る。
「いいえ、時には強盗プレイヤーも味方に引き入れなければなりません。でなければ、世界に戻ることも出来ないのです」
これには不満を漏らすものも少なからずいた。
「他の地域のSPも同じように人を集めているかもしれません。そうなった時に分裂が起こってはいけないのです。一番の目的は賢者の塔を取り返すことです。まず我々は、接近戦に不慣れな魔術師たちの町を目指したいと思います。そこにいるSPたちとプレイヤーと合流できれば大きな戦力を手に入れることになるでしょう。彼らも私たちを待っているはずです!」
大きな歓声が町を震わせるのだった。
しかし、驚いたことにスキル未習得の者がまだ四人ほどいた。それならばと僕も名乗り出る。
「五人もいらっしゃるんですね。良かった。なんとかなりそうです」
SPエミナは心から安堵したようだった。
「皆さんは私たちが責任を持って必ず賢者の塔まで送ります。非常事態ですので私たちも戦闘に参加します」
未習得者五人が集められ、それぞれ順番ずつSPエミナと手をつなぎスキルを授与される。
「このスキルを取得することで他のスキルを覚えることができなくなりますが、無事賢者の塔を取り戻すことが出来ればスキルの破棄が可能になります。よろしくお願いします」
他の四人を紹介しよう。スターシャは女戦士。赤いポニーテールが特徴で背は本当の僕よりやや小さいくらいか。小柄な感じだ。声は女の子にしては少し低い。少年のような声をしている。
ナズルは浅黒い肌で灰色の長い髪を持つ男の戦士。屈強そうな感じだが、なぜか時々女言葉になる。背はここにいる僕アンヴィドルフと同じくらいだ。
ロックは短い黒髪の戦士。こちらも男だ。線が細く身軽な感じだ。身長はスターシャより少し高いくらいだ。彼はいちいち格好をつけるのでちょっと苦手だった。
最後も男の戦士で名前はボイス。金色の短い髪を持つロシア軍人のような険しい顔をしているが、とにかく明るい人でおしゃべりが大好きな人だった。
全員にスキルが授与されるとSPエミナが僕らのPTのリーダーになる。
そうそうスキルを教えてもらう時に晴海さんについて尋ねてみた。
「ハルミ? そんなキャラ名の人見てないわね。え? テスター面接の人? ごめんなさいわからないわ。サポートプレイヤーと面接の担当の人は別だから」
と、言われてしまったのでそれ以上は聞くことがなかった。
「じゃあ、私はこの後に傭兵を二十名確保しますのでここで待っていてください。個人行動は必ず避けること。いいですね?」
僕らは顔を見合わせ、誰からともなく切り出した。
「俺らも雇っていいですか? 一人くらいなら」
SPエミナは少し考えた後に頷いた。
「そうね。それはいいアイデアかも。ただし、傭兵の職種は指定させてもらうわ。魔術師を選択して回復魔法を覚えさせてちょうだい。短所が短気だった場合、別の奴にしてね。それから外見は細かく作っている時間はないから、思い入れがある人はイメージトレースでもしてね」
その後、傭兵ギルドに移動をして早速好みの傭兵を作成することになった。
イメージトレースとは、自分の記憶から容姿を取り込むというものだ。みんな芸能人や友人などをイメージしているようだ。僕の頭の中にぱっと浮かんだのは晴海さんだった。急かされていることもあってそのまま使うことになってしまった。
「またハルミって人? あなたストーカーじゃないわよね?」
SPエミナがあからさまに嫌な顔をしたので全力で否定する。
そうこうしているうちに他のSP二人もそれぞれ六人選び出しパーティーに加えていた。彼らも傭兵を引き連れる。
日が暮れる頃、SPモルグが全員を集合させる。なかなかの数に見える。
「前衛部隊の隊長を務めるSPモルグだ。我々の役目は敵を食い止め中央を守ることにある。深追いはしないこと。いいな!」
湧き上がる前衛部隊。次はSPエイモストが前に出る。
「我々の部隊は後衛である。私の傭兵の全てが魔術師なので、戦士の皆さんにはこの傭兵も守ってもらいたい。その代わりと言っては何だが、回復や補助、遠距離の魔法攻撃などは任せてもらいたい。私たちの働き次第で賢者の塔奪還作戦の成否が決まるだろう!」
後衛部隊も盛り上がる。
SPエミナが話を始めると、皆が注意し合い静かになっていく。
「本来ならば、皆さんにお願いするのは間違っています。ですが、お願いします。私たちを助けて下さい。賢者の塔を取り返し、私の部隊の誰かが接続を回復できればこの異常事態を必ず制御することが出来ます。出来る限りの戦闘は控えたいと思っています。けれど前にも言ったように私たちの常識とは異なる常識を持つ恐ろしいプレイヤーが待ち受けていることでしょう。その場合は打ち倒すしかありません」
「強盗プレイヤーに鉄槌を!」
誰かが叫んだ。だが、SPエミナは首を横に振る。
「いいえ、時には強盗プレイヤーも味方に引き入れなければなりません。でなければ、世界に戻ることも出来ないのです」
これには不満を漏らすものも少なからずいた。
「他の地域のSPも同じように人を集めているかもしれません。そうなった時に分裂が起こってはいけないのです。一番の目的は賢者の塔を取り返すことです。まず我々は、接近戦に不慣れな魔術師たちの町を目指したいと思います。そこにいるSPたちとプレイヤーと合流できれば大きな戦力を手に入れることになるでしょう。彼らも私たちを待っているはずです!」
大きな歓声が町を震わせるのだった。
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