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DREAM EATER 10
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町を出てみてわかったことは傭兵の威力の凄まじさだった。連合パーティーの攻撃可能エリアに敵対するモンスターが入った瞬間にすぐに戦闘が開始される。
「プレイヤーは敵モンスターを攻撃せずに周囲を警戒せよ! 不審な動きがあった場合、すぐに報告を!」
SPエミナは少女のような姿形なのに指揮する姿は妙に凛々しかった。
「敵モンスターを処理するのは、SPの傭兵に任せ、プレイヤーは自分の傭兵の操作を学ぶように! アイテムは後に分配をする。各自無駄遣いせずに貯めておくように!」
連合パーティーの戦闘エリアは個人やパーティーの時よりも広い。更に陣形のようなものがある。固く生命力のある戦士は外側に配置し、生命力や防御力のない魔術師は内側に置くのが一般的だ。
「SPエミナ追尾」
と指定しておくだけで顔を横へ向けながら歩き続けることが出来る。
「左前方、他のプレイヤーを発見!」
反対側から声がする。が、それを見てどうするか判断するのは連合隊長のSPエミルの仕事で、僕らは気になっても振り向かずに周囲に目を配っておかなければいけない。
「一般プレイヤーと判断。先を行く!」
パーティープレイが有利になることが多いが、ここまで気持ちのいいことはないだろう。
先を行ったズカルたちもこの調子ならば上手くやっているだろう。
ただ、ここまで殲滅までの速度が早いと逆にプレイヤー間ではトラブルになりそうだった。
「右後方から近づいてくる集団発見!」
集団という言葉に思わず振り向いてしまう。それは紛れも無くプレイヤーの集団のようだった。
「方向転換! 前衛正面を四時の方向へ!」
SPエミナの号令によって連合パーティーは一匹の生き物のように向きを変える。
「SPエミナを追尾指定して! 陣を後方に下げ壁を背にします!」
プレイヤーの集団はこちらを恐れることなくどんどん近づいて来る。その数は100人を超えているだろうか。こちらの二倍くらいいそうだった。
「壁にぶつかりました!」
「よし! 戦闘待機! SPモルグ相手に警告を出せ!」
「了解!」
SPエミナより命令を受けたSPモルグが前衛の更に前に立つ。
「そのまま行くなら良し、それとも一戦交えるか!」
プレイヤーの集団はスピードを変えることなくこちらに突っ込んでくる。SPエミナが左手を振り上げる。
「よし、敵と判断! 全員待機! 傭兵も止めておけ! SPエイモスト! 後衛魔術部隊、敵前衛に魔法スリープ!」
「へーい!」
適当な返事をしたSPエイモストだったが、その表情は真剣そのものだった。魔法スリープは魔術師が覚える初期魔法の一つで、魔法の力で急激な眠気を誘い眠らせてしまう。主にその場に足止めをさせるものだ。このバークではキャラクターに放つことで、そのキャラクターが使う傭兵にも影響をあたえることが出来る。
SPエイモストが自分の傭兵に支持を与えきると声を上げる。
「六人! 傭兵マックス!」
「よし! 敵はたった六人だ! 残りの百二十人は自動戦闘か指示待ちの傭兵だよ! 前衛、スリープを耐えて近づいてきた敵を集団で討て! 生命力が半分まで減った者は戻れ!」
SPエミルは一呼吸置くと、中央の僕らに言った。
「敵のスリープがあるかもしれない。味方プレイヤーが睡眠に陥ったら石を投げて起こして」
「向こうにも魔術師がいる! 四十は超えてると思う。半数が寝ているが残りが近づいていてる」
SPモルグの声が聞こえた。彼は前線にいる。この辺は流石ゲームだ。その声を聞いてすぐにSPエミナが動き出す。
「後衛部隊! 敵、魔術師を叩け! 敵が前衛を狙っている間に一点集中で確実に仕留めろ! 中央の部隊は自分の傭兵の魔術師で後衛戦士の生命力を回復してあげてね」
敵は序盤から約半数が眠り中でもプレイヤーが半数以上眠ってしまったために細かい指示を出すことが出来ずに戦闘開始から僅かな時間のうちに傭兵は全滅。敵プレイヤー六人のうち四人を捕縛。一人が逃走。一人がロスト。
この圧倒的な勝利よりも、人間を一人殺したかもしれないという事のほうが僕達には衝撃だった。SPが捕虜たちに今のゲームの陥った状況を説明すると、町での解放を希望してきた。傭兵を全て失い、今も怪我をしたままの状況では無事に町にたどり着ける可能性も低い。ロストを恐れたのだろう。町に戻りさえすれば手持ちの資金でなんとかできると思ってい多様だが、僕らは捕虜に対しそれぞれがが賠償を請求した。SPを抜かした連合パーティーのプレイヤーたち、その数なんと十五名。捕虜の財布をカラどころかマイナスにするのに十分だった。
辿り着いたミシカの町で捕縛者四人を解放した。
すぐに魔術師の訓練場から最寄りの町ルフルスへ進もうということになったが、ここで連合パーティーを抜けたいというプレイヤーが出てきた。
「僕は人殺しなんかになりたくないんだ」
「私も犯罪者になるのは嫌よ」
特殊スキル所持者五人のうちの二人、ロックとナズルが連合パーティーを勝手に抜けたために連合パーティは一度解散になってしまった。
連合パーティーの力を知ったプレイヤーの多くは離脱したプレイヤーを責めた。プレイスタイルのせいとはいえ、日陰に追いやられていた慎重派プレイヤーにとって今回の件は飛躍に繋がる出来事だったのだ。
だが、彼らを責める気にはなれなかった者がいるのも事実だった。ゲームの仕様だったとはいえ見知らぬ人間の生命を断ったかもしれないのだから。
フレンドリストを使って、ズカルに連絡を取ってみることにした。
「プレイヤーは敵モンスターを攻撃せずに周囲を警戒せよ! 不審な動きがあった場合、すぐに報告を!」
SPエミナは少女のような姿形なのに指揮する姿は妙に凛々しかった。
「敵モンスターを処理するのは、SPの傭兵に任せ、プレイヤーは自分の傭兵の操作を学ぶように! アイテムは後に分配をする。各自無駄遣いせずに貯めておくように!」
連合パーティーの戦闘エリアは個人やパーティーの時よりも広い。更に陣形のようなものがある。固く生命力のある戦士は外側に配置し、生命力や防御力のない魔術師は内側に置くのが一般的だ。
「SPエミナ追尾」
と指定しておくだけで顔を横へ向けながら歩き続けることが出来る。
「左前方、他のプレイヤーを発見!」
反対側から声がする。が、それを見てどうするか判断するのは連合隊長のSPエミルの仕事で、僕らは気になっても振り向かずに周囲に目を配っておかなければいけない。
「一般プレイヤーと判断。先を行く!」
パーティープレイが有利になることが多いが、ここまで気持ちのいいことはないだろう。
先を行ったズカルたちもこの調子ならば上手くやっているだろう。
ただ、ここまで殲滅までの速度が早いと逆にプレイヤー間ではトラブルになりそうだった。
「右後方から近づいてくる集団発見!」
集団という言葉に思わず振り向いてしまう。それは紛れも無くプレイヤーの集団のようだった。
「方向転換! 前衛正面を四時の方向へ!」
SPエミナの号令によって連合パーティーは一匹の生き物のように向きを変える。
「SPエミナを追尾指定して! 陣を後方に下げ壁を背にします!」
プレイヤーの集団はこちらを恐れることなくどんどん近づいて来る。その数は100人を超えているだろうか。こちらの二倍くらいいそうだった。
「壁にぶつかりました!」
「よし! 戦闘待機! SPモルグ相手に警告を出せ!」
「了解!」
SPエミナより命令を受けたSPモルグが前衛の更に前に立つ。
「そのまま行くなら良し、それとも一戦交えるか!」
プレイヤーの集団はスピードを変えることなくこちらに突っ込んでくる。SPエミナが左手を振り上げる。
「よし、敵と判断! 全員待機! 傭兵も止めておけ! SPエイモスト! 後衛魔術部隊、敵前衛に魔法スリープ!」
「へーい!」
適当な返事をしたSPエイモストだったが、その表情は真剣そのものだった。魔法スリープは魔術師が覚える初期魔法の一つで、魔法の力で急激な眠気を誘い眠らせてしまう。主にその場に足止めをさせるものだ。このバークではキャラクターに放つことで、そのキャラクターが使う傭兵にも影響をあたえることが出来る。
SPエイモストが自分の傭兵に支持を与えきると声を上げる。
「六人! 傭兵マックス!」
「よし! 敵はたった六人だ! 残りの百二十人は自動戦闘か指示待ちの傭兵だよ! 前衛、スリープを耐えて近づいてきた敵を集団で討て! 生命力が半分まで減った者は戻れ!」
SPエミルは一呼吸置くと、中央の僕らに言った。
「敵のスリープがあるかもしれない。味方プレイヤーが睡眠に陥ったら石を投げて起こして」
「向こうにも魔術師がいる! 四十は超えてると思う。半数が寝ているが残りが近づいていてる」
SPモルグの声が聞こえた。彼は前線にいる。この辺は流石ゲームだ。その声を聞いてすぐにSPエミナが動き出す。
「後衛部隊! 敵、魔術師を叩け! 敵が前衛を狙っている間に一点集中で確実に仕留めろ! 中央の部隊は自分の傭兵の魔術師で後衛戦士の生命力を回復してあげてね」
敵は序盤から約半数が眠り中でもプレイヤーが半数以上眠ってしまったために細かい指示を出すことが出来ずに戦闘開始から僅かな時間のうちに傭兵は全滅。敵プレイヤー六人のうち四人を捕縛。一人が逃走。一人がロスト。
この圧倒的な勝利よりも、人間を一人殺したかもしれないという事のほうが僕達には衝撃だった。SPが捕虜たちに今のゲームの陥った状況を説明すると、町での解放を希望してきた。傭兵を全て失い、今も怪我をしたままの状況では無事に町にたどり着ける可能性も低い。ロストを恐れたのだろう。町に戻りさえすれば手持ちの資金でなんとかできると思ってい多様だが、僕らは捕虜に対しそれぞれがが賠償を請求した。SPを抜かした連合パーティーのプレイヤーたち、その数なんと十五名。捕虜の財布をカラどころかマイナスにするのに十分だった。
辿り着いたミシカの町で捕縛者四人を解放した。
すぐに魔術師の訓練場から最寄りの町ルフルスへ進もうということになったが、ここで連合パーティーを抜けたいというプレイヤーが出てきた。
「僕は人殺しなんかになりたくないんだ」
「私も犯罪者になるのは嫌よ」
特殊スキル所持者五人のうちの二人、ロックとナズルが連合パーティーを勝手に抜けたために連合パーティは一度解散になってしまった。
連合パーティーの力を知ったプレイヤーの多くは離脱したプレイヤーを責めた。プレイスタイルのせいとはいえ、日陰に追いやられていた慎重派プレイヤーにとって今回の件は飛躍に繋がる出来事だったのだ。
だが、彼らを責める気にはなれなかった者がいるのも事実だった。ゲームの仕様だったとはいえ見知らぬ人間の生命を断ったかもしれないのだから。
フレンドリストを使って、ズカルに連絡を取ってみることにした。
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