3 / 8
仕事
しおりを挟む「よろしくお願いします。」
翌日、私は娼婦としての仕事に励んだ。
「痛い…」
思った以上に体を売ることは大変だった。
初めてのお客様はとても乱暴に私を抱いた。
シーク様にも抱かれていたし、経験がない処女なわけではないからもっと楽だと思っていた。
しかし終わってみると、すごく痛い思いをした。
一人で生きていくって過酷。
私は一人涙を流しながらそれを痛感するのだった。
───
それでも仕事はやってくる。
私はその仕事一つ一つに食らいついた。
娼婦として夜の営みをこなすうちに、元夫の優しさに気付いてしまった。
お客様には乱暴に抱かれることも多い。
血が出ることもあった。
体のだるさを常に感じるようになった。
こんなこと元夫との夜の営みでは感じたことがなかった。
元夫は、私との営みでとても配慮してくれていたのだ。
私は娼婦になるまでそんなことに気付きもしなかった。
もしかして彼は私との性生活に満足していなかったのかもしれない。
途端に何も知らなかった自分が恥ずかしくなる。
頑張らなくちゃ。
私は新たな決意とともに仕事に励むのだった。
──半年後
娼館で働くようになって半年が過ぎた。
その間に私はここで人気1位にまで上り詰めていた。
そして最初は辛かった仕事も、なんとか慣れるまでに成長していた。
「アリス、新規のお客よろしく。」
「はい。」
オーナーにそう言われ個室へと向かう。
「失礼します、アリスです。」
扉を開けて中に入ると、端正な顔立ちの青年がいた。
「…」
「…」
入った途端、なぜか青年は考え込むようにして沈黙してしまった。
「どうかされましたか?」
「君って…」
心配になりそう聞くと、青年は思い出したように顔を上げて私を見る。
そしてみるみるうちに顔を蒼くした。
「ど、どうしたんですか?
なにか気になることでも…」
その青年の姿に私は再び心配になる。
なにか粗相をしてしまっただろうか。
「ごめん、今日は帰るよ。
お金は置いとくから。」
しかし青年はそう言って、飛ぶような速さで帰っていった。
一体どうしたのかしら…?
───────
「アリス、新規よ。」
新規か…
昨日の謎のお客さんより、変な人ではないといいな。
私はそんなことを思いながら扉を開けた。
「失礼します、アリスです。」
しかし開けてすぐその扉を閉めてしまった。
扉の先にはなぜか見覚えのある人が立っていたのだ。
いや、見間違いかもしれない。
あの人に似てるだけ…
深呼吸をして、速くなる鼓動を落ち着かせながら再び扉を開ける。
「アリス…」
「シーク様…?」
しかし私の願いも虚しく私を呼んだその声は、元夫のものに間違いなかった。
どうしてあなたが…ここにいるの?
1,380
あなたにおすすめの小説
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
二度目の恋
豆狸
恋愛
私の子がいなくなって半年と少し。
王都へ行っていた夫が、久しぶりに伯爵領へと戻ってきました。
満面の笑みを浮かべた彼の後ろには、ヴィエイラ侯爵令息の未亡人が赤毛の子どもを抱いて立っています。彼女は、彼がずっと想ってきた女性です。
※上記でわかる通り子どもに関するセンシティブな内容があります。
初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。
甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」
「はぁぁぁぁ!!??」
親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。
そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね……
って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!!
お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!!
え?結納金貰っちゃった?
それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。
※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる