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真実
しおりを挟む「レジーナ、本当に招待状を送るの?」
帰りの馬車の中でエリックが怪訝そうに私に聞く。
「送らないわ。」
建前に決まっている。
あの人が今までしてきた私への仕打ちを考えたら呼ぶわけなかった。
「そうだよね。
結婚式に元婚約者を招待するのかって不安になったよ。
…レジーナの美しい姿を見られたくないから。」
「何言うのよ。
ほんとエリックはお世辞が上手。」
やっと悪役令嬢としての役割が終わった。
これで私も心置きなく幸せになれる。
…
…
…
とんだ災難だわ。
まさか自分が悪役令嬢に転生するだなんて。
しかも今日は学園にヒロインが転校してくる。
前世この小説の大ファンだった私。
悪役令嬢とか関係なくヒロインと仲良くなれたらいいなと思う。
ドン
そんなことを考えて歩いていたら誰かにぶつかってしまった。
「あ、失礼致しました。
大丈夫ですか?」
尻餅をついてしまった誰かに手を差しのべる。
あれこのピンクの花飾りって。
この子もしかして…
「…いたた。
あ、ごめんなさい!
私の不注意です!」
小説だからヒロインの顔は分からない。
けれどヒロインのトレードマークがピンクの花飾りだったのは知っている。
ということはこの子ヒロイン?
「レジーナ!
彼女に何をしたんだ?!」
そこに突然現れた婚約者のレオン。
何って…
「まさかリリー嬢を虐めていたのか?!
どうしてお前はそんなことができるんだ!」
…は?
婚約者から突然叱責される状況に私は困惑した。
そしてどうしてか私はヒロインを虐めたことになっていた。
…
なるほど。
そういうことね。
尻餅を突いているヒロインと見下ろすような体勢の私。
レオンはその状況から私が彼女を虐めていると思ったらしい。
「レオン…!
違うの!
私が勝手に転んだだけだから…」
私に今にも殴りかかりそうな勢いのレオンをヒロインが必死に止める。
「どうしてそんなに隠すんだ!
こいつに虐められていたんだろう?!」
…いやいや。
逆にどうしてすぐ私が虐めていたと判断するのよ。
私が悪役令嬢だから?
はぁー。
本当この人って自分の婚約者の人柄も分からないのかしら。
私が散々貴方の尻拭いをしてきたってのに。
確かに小説の中ではレジーナが自ら我が儘で傲慢な令嬢になっていたという話だった。
しかし真実はそうではなかった。
そもそもレジーナの両親はそんな我が儘で傲慢な娘を許すほど優しくはなかった。
礼儀に厳しい両親のおかげで幼い頃のレジーナの素行に問題はなく周りからの評判も良かった。
しかし私の評判はレオンの婚約者になったことで次第に落ちていった。
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これが本当に国王なのかと。
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