13 / 58
たい焼き
しおりを挟む
僕は甘いのが苦手だけど、時々少し食べたくなる。頭を使い過ぎたせいなのか、身体を動かし過ぎたせいなのかは分からない。無性に食べたくなる時がある。
寒い冬の日。僕は帰り道で、たい焼きを買って公園で食べようとベンチに座ると彼女に出会った。
「あそこのたい焼きでしょ? 美味しいよね」
「え? あー、うん」
クラスではそんなに喋ったことがないのに話をかけられて困惑する。それに僕はまだ彼女の言うたい焼きを食べたことがない。そんな有名な店舗だったのかは知らずに買った。でも、美味しいのなら悪くない話だ。
彼女はいつの間にか隣に座っており、僕のたい焼きをジッと見つめる。見つめる程に美味しいのだろう。
「えーっと…半分、食べますか?」
「えっ!? いいの!?」
彼女は白い息に言葉を乗せて喜ぶ。彼女の反応を見る度に目の前のたい焼きへの期待が高まる。半分個にして彼女へ渡す。
「あなたは頭が好きなんだね」
「え? いや、そんなことはないですけど…頭あげますよ?」
「いいの。私は尻尾が好きだから」
彼女はクスリと笑う。手袋を外し、たい焼きの尻尾を受け取ってそう言う。僕はたい焼きをどこから食べるなんて気にした事がない。無意識的には頭から食べるから好きなのだろうか。
「あー、美味しかった。ご馳走様っ! またあそこのたい焼きが食べたいなぁ」
「また買えばいいじゃないですか」
「…そうね。そうする」
翌日、甘いのが苦手なのに別に食べたくないのにたい焼きを持って公園にいた。半分が食べ終わろうとするが彼女の姿はない。昨日は温かくて美味しかったのに…冷たい尻尾を無理矢理に口へ運んだ。
そして、次の朝礼の時に先生から彼女が転校したことが知らされた。どうりで待っても来ない訳だ。
翌年の冬。あそこのたい焼きは有名になっていた。なかなか買うことが難しくなっていたが、甘いのが食べたくなった今日は何とか買えた。高校の受験で頭を使うからなのか、急に脳が甘いのを欲する。
「隣、いいかな?」
「ああ、大丈夫ですよ」
「あそこのたい焼き、美味しいのがバレっちゃったみたいだね。久しぶり食べようと思ったのに買えなかった」
「それは残念です」
「あなたがまた買えばいいって言ったのよ? 買えなかったから、責任は取るもんでしょ?」
僕は尻尾を彼女に渡す。彼女は笑顔で受け取って食べた。食べ終えた彼女に僕は志望校を聞く。彼女の志望校はレベルが高いようだ。
「また、たい焼きが食べたいからここの近くにしたの。あなたは?」
「僕も同じだよ」
「一緒で良かった。絶対に受かろうね。それと尻尾は私のだから」
「たい焼き以外も君と食べたいな」
「ふふっ。そうね。じゃあ、連絡交換しましょ?」
僕は甘いのが苦手だけど、もっと頭を使わないといけないようだ。たい焼きを食べる頻度が増す未来が見える。二人で食べるたい焼きは温かかった。
寒い冬の日。僕は帰り道で、たい焼きを買って公園で食べようとベンチに座ると彼女に出会った。
「あそこのたい焼きでしょ? 美味しいよね」
「え? あー、うん」
クラスではそんなに喋ったことがないのに話をかけられて困惑する。それに僕はまだ彼女の言うたい焼きを食べたことがない。そんな有名な店舗だったのかは知らずに買った。でも、美味しいのなら悪くない話だ。
彼女はいつの間にか隣に座っており、僕のたい焼きをジッと見つめる。見つめる程に美味しいのだろう。
「えーっと…半分、食べますか?」
「えっ!? いいの!?」
彼女は白い息に言葉を乗せて喜ぶ。彼女の反応を見る度に目の前のたい焼きへの期待が高まる。半分個にして彼女へ渡す。
「あなたは頭が好きなんだね」
「え? いや、そんなことはないですけど…頭あげますよ?」
「いいの。私は尻尾が好きだから」
彼女はクスリと笑う。手袋を外し、たい焼きの尻尾を受け取ってそう言う。僕はたい焼きをどこから食べるなんて気にした事がない。無意識的には頭から食べるから好きなのだろうか。
「あー、美味しかった。ご馳走様っ! またあそこのたい焼きが食べたいなぁ」
「また買えばいいじゃないですか」
「…そうね。そうする」
翌日、甘いのが苦手なのに別に食べたくないのにたい焼きを持って公園にいた。半分が食べ終わろうとするが彼女の姿はない。昨日は温かくて美味しかったのに…冷たい尻尾を無理矢理に口へ運んだ。
そして、次の朝礼の時に先生から彼女が転校したことが知らされた。どうりで待っても来ない訳だ。
翌年の冬。あそこのたい焼きは有名になっていた。なかなか買うことが難しくなっていたが、甘いのが食べたくなった今日は何とか買えた。高校の受験で頭を使うからなのか、急に脳が甘いのを欲する。
「隣、いいかな?」
「ああ、大丈夫ですよ」
「あそこのたい焼き、美味しいのがバレっちゃったみたいだね。久しぶり食べようと思ったのに買えなかった」
「それは残念です」
「あなたがまた買えばいいって言ったのよ? 買えなかったから、責任は取るもんでしょ?」
僕は尻尾を彼女に渡す。彼女は笑顔で受け取って食べた。食べ終えた彼女に僕は志望校を聞く。彼女の志望校はレベルが高いようだ。
「また、たい焼きが食べたいからここの近くにしたの。あなたは?」
「僕も同じだよ」
「一緒で良かった。絶対に受かろうね。それと尻尾は私のだから」
「たい焼き以外も君と食べたいな」
「ふふっ。そうね。じゃあ、連絡交換しましょ?」
僕は甘いのが苦手だけど、もっと頭を使わないといけないようだ。たい焼きを食べる頻度が増す未来が見える。二人で食べるたい焼きは温かかった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる