短き者達

雨彩 色時

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二文字で始まる恋

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 僕は口下手で気持ちを言葉で伝えるのが凄く苦手だ。そんな僕でも抑えきれない気持ちがある。それは恋愛感情だ。ある女性を僕は好きになった。彼女をつい目で追ってしまうし、楽しそうな姿を見ると釣られて自然と笑みが出てしまう。目が合ったりしたら僕は恋の病って奴で間違えなく保健室に行かなくちゃいけなくなる。


 日に日にそれだけでは我慢出来なくなる。想いを伝えたくなるのだ。抑えている溢れ出そうなこの感情を彼女に知って欲しい。でも、躊躇してしまう。気持ちが悪いと思われたら、残りの学校生活はまさに地獄である。
 人は選ばなければならない。自己を通すか自己を我慢する。人は変化を恐れるが、変化をしなければ進化は起こらないし、奇跡なんてモノはこの世にないだろう。


 そんな僕が選んだのは手紙だ。文字にすれば少しはこの気持ちを彼女に伝えられるだろうと考えた結果そうなった。紙にペン先を付けるが、インクが滲むだけでペンが動かない。

「好きです。付き合って下さい? シンプルだな…」


 せっかくラブレターなんて書くんだから想いは全部、記したいものだ。いつから好きなのか、何で好きなのか、どこが好きなのか、僕はそんなことを考えながらペンを振おうとするが止まる。
 僕は彼女を、好きなのかが分からない。しかし、好きだと言う気持ちは確実なものなのだ。

 まだ想いを一文字も書いてないのに僕は丁寧に折り畳んで、封をした。ラブレターと呼べる代物じゃないのに僕は彼女の机に入れた。送り主の名前を見て彼女の視線を僕は独り占めするが、机へとまた戻す。
 昼休みが終わり、授業の準備をすると机に手紙が入っていた。僕はゆっくりと机下で隠しながら内容を確認した。


 女性の字で"屋上で待っている"と。彼女の机を見ると空席で居なかった。もう授業が始まると言うのにだ。僕は慌てて手紙をポッケトに突っ込み、教室の視線なんか気にせずに出て行った。

 屋上へと着くと彼女がいた。ドアが開く音で彼女は僕を見つめる。


「来てくれたんだ。サボりなんてしないと思ってた」
「き、君から…呼ばれたから」


 彼女は走って息切れしてる僕をからかうように笑う。そんな笑みでも僕は彼女が可愛いと思ってしまう。これが恋は盲目と言うヤツなんだろう。そこからお互い少し沈黙するが、彼女が口を開く。

「私に言いたいことは無い?」
「あるっ!!」


 僕は即答した。こんなにも簡単な問い間違える方がおかしい。ここまで来てしまったんだ。
 片想いの時間はもう終わりだ。文字なんて書いてる暇はもうない。あの二文字言えれば終わる。

「好き…です」
「知ってる」


 "はい"か"いいえ"では無い事に僕は困惑する。そんな僕の姿を見て君はまたクスリと笑う。

「私も好きよ」
「それは…知らなかった…です」


 こうして僕は言いたかった事をただ二文字好きで伝えて、付き合う事になった。まだ伝えていない想いはこれから、ゆっくりと彼女に伝えようと思う。
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