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不老不死
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不死の力は決して知られてはならない。この力を用いて悪事に利用する者がいるからである。私は幼い頃に自分自身が不死である事を自覚した。それはなぜか?単純だ。自殺をしたからである。しかし、不死だからそれは叶わなかった。時間が経つと蘇生する。
正直言うとこの不死の力を呪った。死にたい程に私の人生は脆く弱いモノだったからだ。
「何で…そんな…っざけんなっ!!!!」
その力を理解しても自身の人生を受け入れられなかった。私は死に覚悟を持って立ち向かったからである。神と言う者の悪戯にしか思えない。死にたい程の感情が芽生えている人間風情に不死を与えるなんて、それ以外に無いだろう。私はその大きな力に成す術なく泣いた。自分の体なのに自分が大きな壁となるのだから。
「また…またダメだった」
私でも分かる程に単純だ。どんなに試行錯誤しようとも死は不可能。こんな不要で不幸な力を何故この私が所持しているのか分からない。今後この不死とは一生付き合っていかなければならない。
_____________________
________
_
私はあれから新たな事を知った。不老不死だったようだ。二十歳前半で老化が止まることを知る。その為、私は居場所を転々とした。その行く先々で出会いと別れを繰り返す。痛覚が鈍くなったが、まだ慣れないことがある。飢餓である。荒れた地で行き倒れた時は死を諦めた私に再び、死を望む程の苦行であった。
そんな中、一人の旅人が助けてくれる。水と食料を恵んでもらい、次の街まで馬車に乗せてもらった。彼とは意気投合して、一緒に旅をすることになった。いずれ彼とはどんな別れ方にしろ私の前から消えてしまう。
「なぁ、次はどこに行きたい!?」
「そうだな。久しぶりに珍しい鉱石が手に入ったし、次の街で高値で売ろう」
先の街は鉱石が盛んで珍しい鉱石なら高値で買い取ってくれるはずだ。私は同意して街へ向かう。売った後は二人で久しぶりに豪華な食事でもと思っていた。
「だ、旦那…これは一体どこでっ!?」
「この街に向かう途中でな」
「高価過ぎてウチでは買い取れないな」
どこの店に行っても買い取って貰えなかった。珍し過ぎても困る。どんなに高値の石でも、美味しくないし空腹は満たされない。
「お前ら珍しい石持ってんだってな。大人しく渡せ」
「アンタらに渡すなら粉々にした方がマシだ」
「可哀想に…お前のせいで連れが死ぬんだぜ?」
目の前の盗賊がそう言い終えると銃声が響く。盗賊から何度殺されて金品や食料を奪われた事か…もう銃殺は慣れている。彼の目の前で生き返ったら、お別れしないといけない。痛覚が鈍くなったせいで身体のどこを撃たれたのか分からず、手探るが生温かい血を感じなかった。
目を開けると血だらけの彼が倒れている。
「庇ってもらえて良かったな。お前も死にたくないだろ? 石を渡せ」
「持ってけ…。石を持って消えろっ!!!!」
「やれやれ。そいつはもう助からねーよ。一緒にそいつと逝きたいなら、手伝うぞ? 石のお礼だ」
「聞こえなかったのか? 消えろと言ったはずだ。出来ないのなら死ねっ!!!」
私は彼の腰にある銃を手に取り、盗賊を撃ち殺した。死はこんなにも軽い。私の死だけが重たい。そして、思い出す。不老不死の血を飲んだ者は同じ力を得る。試した事は一度もない。そんな恐ろしいことは出来なかった。
手首を切って無理矢理にでも、彼に血を飲ませれば間に合うかも知れない。しかし、この力を一番知っている私にそれは出来なかった。失敗しても成功しても不幸でしかない。
「私は…後何回、こんな悲しい死を見なければならないんだ」
涙と血が混ざる。混ざらない為に私は独りになることを決めた。悲しい死が少しでも無くなる為にこの業を隠して背負う。
正直言うとこの不死の力を呪った。死にたい程に私の人生は脆く弱いモノだったからだ。
「何で…そんな…っざけんなっ!!!!」
その力を理解しても自身の人生を受け入れられなかった。私は死に覚悟を持って立ち向かったからである。神と言う者の悪戯にしか思えない。死にたい程の感情が芽生えている人間風情に不死を与えるなんて、それ以外に無いだろう。私はその大きな力に成す術なく泣いた。自分の体なのに自分が大きな壁となるのだから。
「また…またダメだった」
私でも分かる程に単純だ。どんなに試行錯誤しようとも死は不可能。こんな不要で不幸な力を何故この私が所持しているのか分からない。今後この不死とは一生付き合っていかなければならない。
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私はあれから新たな事を知った。不老不死だったようだ。二十歳前半で老化が止まることを知る。その為、私は居場所を転々とした。その行く先々で出会いと別れを繰り返す。痛覚が鈍くなったが、まだ慣れないことがある。飢餓である。荒れた地で行き倒れた時は死を諦めた私に再び、死を望む程の苦行であった。
そんな中、一人の旅人が助けてくれる。水と食料を恵んでもらい、次の街まで馬車に乗せてもらった。彼とは意気投合して、一緒に旅をすることになった。いずれ彼とはどんな別れ方にしろ私の前から消えてしまう。
「なぁ、次はどこに行きたい!?」
「そうだな。久しぶりに珍しい鉱石が手に入ったし、次の街で高値で売ろう」
先の街は鉱石が盛んで珍しい鉱石なら高値で買い取ってくれるはずだ。私は同意して街へ向かう。売った後は二人で久しぶりに豪華な食事でもと思っていた。
「だ、旦那…これは一体どこでっ!?」
「この街に向かう途中でな」
「高価過ぎてウチでは買い取れないな」
どこの店に行っても買い取って貰えなかった。珍し過ぎても困る。どんなに高値の石でも、美味しくないし空腹は満たされない。
「お前ら珍しい石持ってんだってな。大人しく渡せ」
「アンタらに渡すなら粉々にした方がマシだ」
「可哀想に…お前のせいで連れが死ぬんだぜ?」
目の前の盗賊がそう言い終えると銃声が響く。盗賊から何度殺されて金品や食料を奪われた事か…もう銃殺は慣れている。彼の目の前で生き返ったら、お別れしないといけない。痛覚が鈍くなったせいで身体のどこを撃たれたのか分からず、手探るが生温かい血を感じなかった。
目を開けると血だらけの彼が倒れている。
「庇ってもらえて良かったな。お前も死にたくないだろ? 石を渡せ」
「持ってけ…。石を持って消えろっ!!!!」
「やれやれ。そいつはもう助からねーよ。一緒にそいつと逝きたいなら、手伝うぞ? 石のお礼だ」
「聞こえなかったのか? 消えろと言ったはずだ。出来ないのなら死ねっ!!!」
私は彼の腰にある銃を手に取り、盗賊を撃ち殺した。死はこんなにも軽い。私の死だけが重たい。そして、思い出す。不老不死の血を飲んだ者は同じ力を得る。試した事は一度もない。そんな恐ろしいことは出来なかった。
手首を切って無理矢理にでも、彼に血を飲ませれば間に合うかも知れない。しかし、この力を一番知っている私にそれは出来なかった。失敗しても成功しても不幸でしかない。
「私は…後何回、こんな悲しい死を見なければならないんだ」
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