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笑顔
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俺は幼い頃から両親に優しい人間になりなさいと言われてきた。困ってる人や泣いてる人がいたら、助けてあげなさい。俺は言われた通りに人生を歩んだ。最初はみんな感謝してくれた。高校生からだろうか、偽善者とか八方美人とか言われるようになる。俺が優しい人間になれるのは、ここまでなんだろうと悟った。
「何か急に態度変わったよね」
「そりゃ偽善者だからだろ」
「どうせ、先生の前では良い顔してるんでしょ」
面倒になって優しいって言われる行為はやめた。むしろ、優しいって言葉が気持ち悪く聞こえる。悪口を言われてる様な気がしてならない。教室の雑音は激しく俺を痛め付ける。昼休みは中庭で人気が無い場所で食べるようになった。
「おーい。ねぇ! 起きて」
いつの間にか寝ていたみたいだ。目を開けると女子生徒がいる。俺はその人を知っている。生徒会長だ。校内で時々見かけるが、人望があり、頼れる存在と言う印象。俺もうまく生きていたら、この人の様になれたかも知れない。
「もう授業始まっちゃうよ?」
「え…あー、はい。すいません」
「私の事、覚えてない?」
「生徒会長さんですよね。知ってますよ」
「そう言うことじゃなくて! 廊下でよく重たい物とか持ってたら、一緒に運んでくれたでしょ?」
「そう…でしたっけ? すいません」
全く覚えない。覚えてはないが、悲しい事に気が付いてしまった。俺はこの人の為にやっていないんだろう。誰かの為に助けた事なんて一度も無い気がする。優しい人間を演じてただけなんだ。まだ一度も優しい人間になった事が無かった。
「最近、顔疲れてるね。廊下であっても声かけてくれないし」
「え、すいません。次、見かけたら手伝います」
「ごめん! そ、そんなつもりじゃないよ!? 手伝いはいらないから、挨拶してくれれば私は嬉しいかな」
人望が高いのも頷ける。彼女は本物だからだ。俺みたいな偽物じゃない。
「優しいんですね」
「優しくなんて無いよ。だって、疲れてるのに手伝わせるなんて出来ないでしょ? それにさ」
彼女は僕の両頬を人差し指でグイッと上に押し上げる。そして、彼女は笑顔で言う。
「笑顔じゃないから」
その言葉に俺が理解してない顔をしたせいか、彼女はムスッした顔で見つめる。表情がコロコロ変わる人だ。
「私は君を覚えてる。もちろん、君の笑顔も覚えてる。でも、最近は見かける度に笑顔じゃなくなってる」
「アレは多分、愛想笑いですよ」
「私はね? 人に愛される人間になりなさいって両親から言われたの。自分で言うのも恥ずかしいけど、私は沢山の人から愛されてる。だから、沢山の人の笑顔を見てる」
喋りながらも彼女はゆっくりと俺の手を両手で握った。
「そんな私が保証したげる。アレは本物の笑顔だよ」
「じゃあ…俺はちゃんと笑えてたんですね」
偽物に本物の笑顔と優しさは重圧だ。俺が今までして来た偽物の行いを彼女は本物と言ってくれてるみたいだった。
「それに好きな人の笑顔くらい嘘か本当か分かるんだよ? 好きな人の笑顔を見たいなんて当たり前でしょ?」
俺は彼女の返事を笑顔で答えた。
「何か急に態度変わったよね」
「そりゃ偽善者だからだろ」
「どうせ、先生の前では良い顔してるんでしょ」
面倒になって優しいって言われる行為はやめた。むしろ、優しいって言葉が気持ち悪く聞こえる。悪口を言われてる様な気がしてならない。教室の雑音は激しく俺を痛め付ける。昼休みは中庭で人気が無い場所で食べるようになった。
「おーい。ねぇ! 起きて」
いつの間にか寝ていたみたいだ。目を開けると女子生徒がいる。俺はその人を知っている。生徒会長だ。校内で時々見かけるが、人望があり、頼れる存在と言う印象。俺もうまく生きていたら、この人の様になれたかも知れない。
「もう授業始まっちゃうよ?」
「え…あー、はい。すいません」
「私の事、覚えてない?」
「生徒会長さんですよね。知ってますよ」
「そう言うことじゃなくて! 廊下でよく重たい物とか持ってたら、一緒に運んでくれたでしょ?」
「そう…でしたっけ? すいません」
全く覚えない。覚えてはないが、悲しい事に気が付いてしまった。俺はこの人の為にやっていないんだろう。誰かの為に助けた事なんて一度も無い気がする。優しい人間を演じてただけなんだ。まだ一度も優しい人間になった事が無かった。
「最近、顔疲れてるね。廊下であっても声かけてくれないし」
「え、すいません。次、見かけたら手伝います」
「ごめん! そ、そんなつもりじゃないよ!? 手伝いはいらないから、挨拶してくれれば私は嬉しいかな」
人望が高いのも頷ける。彼女は本物だからだ。俺みたいな偽物じゃない。
「優しいんですね」
「優しくなんて無いよ。だって、疲れてるのに手伝わせるなんて出来ないでしょ? それにさ」
彼女は僕の両頬を人差し指でグイッと上に押し上げる。そして、彼女は笑顔で言う。
「笑顔じゃないから」
その言葉に俺が理解してない顔をしたせいか、彼女はムスッした顔で見つめる。表情がコロコロ変わる人だ。
「私は君を覚えてる。もちろん、君の笑顔も覚えてる。でも、最近は見かける度に笑顔じゃなくなってる」
「アレは多分、愛想笑いですよ」
「私はね? 人に愛される人間になりなさいって両親から言われたの。自分で言うのも恥ずかしいけど、私は沢山の人から愛されてる。だから、沢山の人の笑顔を見てる」
喋りながらも彼女はゆっくりと俺の手を両手で握った。
「そんな私が保証したげる。アレは本物の笑顔だよ」
「じゃあ…俺はちゃんと笑えてたんですね」
偽物に本物の笑顔と優しさは重圧だ。俺が今までして来た偽物の行いを彼女は本物と言ってくれてるみたいだった。
「それに好きな人の笑顔くらい嘘か本当か分かるんだよ? 好きな人の笑顔を見たいなんて当たり前でしょ?」
俺は彼女の返事を笑顔で答えた。
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