短き者達

雨彩 色時

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心の色

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 夏は嫌いだ。
 暑いし、夏休みなんて始まれば人混みが多くなる。人混みは、うるさいし通行の邪魔だ。だから、外へは極力出ないようにしてきた。

 いつも通り過ごそうとしていた今年だが、祖父母の家へ行くことになった。祖父母の住まいは、のどかで静かだから断る理由もない。
 家に着くなり僕はゴロゴロとテレビを楽しむ。すると祖父母が今日は、近くで祭りがあると言う。もちろん俺は行く気は無い。人混みでうるさい所なんて楽しくない。


 しかし、半ば強引に両親から無理矢理連れてかれた。何が楽しいんだか俺には分からない。
 屋台をある程度回った所で、両親に人混みが無い神社に連れてきてもらった。

「後の時間は、ここで待つよ。俺なりに祭りを楽しむから、二人で楽しんで」


 両親は心配して離れようとしなかったが、

「たまには二人で楽しみなよ。ね?」
 と後押しした。

 息子にここまで言わせて楽しまないのも気が引けるだろう。両親はすぐ戻るからと祭りへ戻った。

 少し人混みの声が響くが、涼しく居心地の良い神社だ。そこへ後ろから、人の気配がした。


「そろそろ花火始まるよ?」
 女の子の声がする。俺と同じくらいだろうか?


「花火なんて、うるさいだけだから」
「そう? 私は綺麗だし、迫力があって好きだよ」
「君にとっては、そうなんだろうね」
「一人?」
「いや、親とね。でも、俺が人混み嫌いだから」

 彼女は俺の右隣に座って話し掛けきた。そのせいで静かな場所では無くなる。


「女の子が、こんな人気の無い所に一人じゃ危ないよ」
「君がいるじゃない」
「俺は弱いからダメだよ」
「こんな可愛い子と花火見れるんだから、頑張ってよ」
「俺は花火なんて一生見れないよ。まぁ、別に見たくも無いけどね」


 別に隠すつもりじゃ無い。同情や心配で話し掛けられる事なんてザラだ。でも、頼んでもないそれに合わせて感謝するつもりはない。

「ふーん。そう言うことね」


 露骨なセリフで、さすがに俺がどんな人間なのか分かった様だ。

「目で見えなくても、心の中で花火が綺麗なものであると良いね」
「残念ながら、俺の中ではうるさい爆発音にしかならないよ」


 俺がそう言うと彼女は、手を取って嬉しそうに笑った。

「じゃあ、私があなたの花火に色を付けてあげる」


 少し遠くから聞こえる嫌いだった音が、彼女の声に乗って色を付け始め、優しい音へ聞こえてきた。



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