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ゴーストライター
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学校が終わると、ぼくはすぐさま家路についた。
約束の時間までそれほど時間もない。私服に着替えると、すぐにまた家を出ることになった。
―――昼休み。ぼくは廊下の隅で一人、電話をかけていた。相手は入院中の御堂だ。
電話に出た御堂は、
『間久辺か。どうかしたのか?』
と明るい調子で答える。
普段だったら軽口の一つも言ってやるところだけど、今日はそんな気分にはなれなかった。
「御堂、突然で悪いんだけど、頼みがあるんだ」
ぼくの口調から、ただならぬ気配を感じたのか、御堂は声を低くして、
「なんだ?」
と聞いてくる。
ぼくは、うん、と頷き答えた。
「どうしても、鍛島さんに会って話がしたい。連絡を取ってくれないか?」
『鍛島に? ……どうしてだ?』
まだ怪我が治りきっていない御堂に、あまり心配をかけたくはないが、事態は急を要する。
ぼくは、徐々に街をクスリの脅威が襲っていること。そのクスリの出どころが、賀修会というヤクザから黒煙団に渡り、そこから若者に広まりつつあることを端的に説明した。
そして妹がーーー絵里加が怪我を負ったことも説明した。
「だから御堂、お願いだ。このままだと被害はさらに拡大することになるかもしれない。そうなる前に手を打たないと駄目なんだ」
『話はわかった。だけど、鍛島に会ってどうする?』
「黒煙団のやってることを止めてもらう。チーム『マサムネ』にはそれだけの力があるはずだ。場合によっては、荒事になるかもしれない。それでも、ドラッグの脅威はぼくらの街にまでやってきているんだ。それを阻止するためだったら、あの男だって動いてくれるんじゃないか?」
御堂も納得してくれると思っていたが、やってきたのは長い沈黙だった。
たまりかねたぼくは、「どうしたの?」と言葉で御堂を急かす。
そうすることで、ようやく御堂は重たい口を開く。
『間久辺が思っているほど、鍛島は甘い人間じゃない。確かにあの人はマッドシティを取り仕切っているし、他所の不良がデカい面してたらそれを排除しようとするが、そこには鍛島にとってのメリットがあるんだ。間久辺の話を聞く限り、確かにドラッグの蔓延は長期的には街の脅威だが、それを回避するために、いま、黒煙団と全面戦争を起こすリスクと天秤にかけたとき、鍛島が後者を取るとは考え難い』
そうだろうか。
ぼくは、御堂が言うほど鍛島という男が冷徹な人間だとは思えなかった。御堂が大怪我を負い入院している間も、鍛島はかなりの頻度で見舞いに来ていたようだし、チームの仲間を思う気持ちはあるんだ。彼らの縄張りであるマッドシティが脅かされるとなったら、きっと立ち上がってくれるに違いない。
確信に近いその考えに基づいて、ぼくはあらためて鍛島に連絡を取ってもらうよう御堂にお願いした。
御堂は渋々ではあったが納得してくれたようで、連絡を入れてくれた。そして、昼休みの次の休み時間、御堂から電話が入っていたため折り返し連絡を入れると、鍛島が会うために時間を作ってくれたと言うのだ。なるべく早くしてほしいというぼくの要望を上手く伝えてくれたのか、その日の夜に鍛島と会う約束を取り付けることができた。
場所はぼくらにとって色々と忘れられない場所である、『モスキート』という名のクラブ。そのビップルームに、鍛島はいた。護衛も誰もつけずに一人、深くソファにもたれかかっている。
「久しぶりだな。確か、間久辺っていったか?」
「そうです。覚えていてくれたんですね、鍛島さん」
彼とは以前、入院中の御堂の病室で対面している。
「一度会ったヤツの顔と名前は忘れないんだよ、俺は」
そう言った鍛島は、ソファの背もたれに預けていた体を起こして、前傾姿勢になった。
「―――で、要件ってなんだよ?」
いきなり本題を聞かれ、ぼくは頭の中で考えていた言葉が一瞬出てこなくなる。
アカサビさんを始め、アンダーグラウンドを生きる人間と幾度も対面しているとはいえ、相手が県内でも最大規模の不良グループのリーダーだということを考えてしまうと、やはり緊張してしまう。根本的にぼくは、ビビりでヘタレな根暗オタクなのだ。
もたもたしていると、
「おい、さっさと話せ」
と急かされ、ぼくは慌てて言葉を発した。
「えっと、か、鍛島さんに聞いてもらいたい話があります」
一度口を開いてしまうと、あとは言いたいことが自然と口から溢れて出てくる。
「先日、カシワの街でビルが焼ける事故がありました。話によると、その火災にはクスリ―――違法なドラッグを使用した人物が関与しているようです。そして、ぼくの妹が昨日、交通事故に遭いました。その運転手もまた、ドラッグの使用が確認されたようです」
そこまで話したぼくは、鍛島の表情を確かめてみる。
彼は一切表情を変えないまま、こちらを真っ直ぐに見つめている。表情から感情を読み取ることはできなかった。
「このまま、なにもしなければドラッグの脅威はこの街にもやってきます。鍛島さんは、この街の裏側、アンダーグラウンドを仕切っているって聞きました。だから―――」
「だから、なんだよ?」
「ドラッグを売りさばいているのは黒煙団です」
「おい、俺の質問が聞こえなかったのか? 誰も売人のことなんて聞いてねえ。俺は、わざわざ俺を呼びつけて、なにをさせてえのかって聞いているんだよ」
鍛島の威圧的な態度に気おされたぼくだったが、しかし言及を避けたぼくにも問題がある。
あらためて、ぼくは口を開いた。
「卑怯な言い方をしてすみません。言い直します。ドラッグを売りつけている黒煙団を、処理して下さい。やり方は……お任せします。ただ、二度とドラッグを売ったりできないようにしてほしいんです。お願いしますっ」
ぼくは深く頭を下げた。そのとき初めて、自分の足がこんなにも震えているということに気付く。
鍛島多喜親。チーム『マサムネ』のリーダーにして、マッドシティを仕切る男。あらためて、その男の無言の圧力を体で感じた気がした。
だが、だからこそ彼の力を借りれば、これからマッドシティを襲うかもしれないトラブルの種を排除できるかもしれない。ぼくは期待を込めて顔を上げた。その瞬間、鍛島は吐き捨てるようにこう言った。
「お断りだ」
ーーーえ?
ぼくは一瞬、彼がなにを言ったのか理解できなかった。いや、できなかったのではなく、理解したくなかったのかもしれない。
鍛島は、さっきまで前のめりの体勢で話を聞いていたが、いまではソファの背もたれに深く背中を預けている。ぼくがこの部屋に入って来たときと同じ姿勢だ。すでに話を聞くつもりはないとでも言っているような、そんな態度。
「な、なんでですか!」
思わずぼくは声を荒げていた。
「鍛島さんは、この街がどうなって構わないっていうんですか?」
「ああ。別に、俺は俺の生活圏が脅かされない範囲ならこの街がどうなろうとなんとも思わねえよ。御堂から俺のこと、なんて聞いているのか知らねえが、正義の味方をご所望ならどっかの赤い髪の喧嘩屋にでも縋りつくんだな」
赤い髪―――アカサビさんのことだ。
確かに、彼の存在は頭の片隅を過った。だけど、今回の相手は個人ではなく、街一つの裏社会を支配するほどの巨大な不良グループなのだ。いくらアカサビさんでも完全に潰すことは不可能だろう。それこそ、同じレベルのグループ、チーム『マサムネ』でもなければ相手にならないだろう。
それでもアカサビさんなら、話を聞いて力にはなってくれるだろう。彼一人で黒煙団と戦うのは無理があるが、他に協力してくれるグループがあれば、壊滅させられないまでも、活動を一時的に停止させる程度のダメージを与えることができるかもしれない。
策士である鍛島になんの見返りもなく手伝わせようと考えたぼくが間違っていたようだ。
不良グループにつてなんてないが、かつて鍛島を率いてこの街を支配していた甲津侭さんに話せば、協力者を集めてくれるかもしれない。アカサビさんを主軸に攻めれば、きっと黒煙団を壊滅させることができるだろう。
自分の中である程度考えをまとめていると、思い出したような口ぶりで鍛島は言葉を継いだ。
「おっと、忘れていたが、今回の件にアカサビは絡ませない方がいい。死人が出るぞ」
「え? それって、どういう意味ですか?」
「お前も知っているんだろう? アカサビがどうして、ピアスだらけの顔に赤い髪なんて奇抜な格好をしているか」
もちろん知っている。
あの大量のピアスは、アカサビさんがかつて喧嘩屋と呼ばれていた時代に、不良たちからリンチを受け、ホチキスで耳や唇に穴を開けられたときに開いた穴だ。そして赤い髪は、彼をまともな世界に引き戻そうとした警察官の最後の姿―――不良たちからリンチされて、致命傷となった頭部の裂傷による出血。お世話になった警察官の最後の姿を模倣することで、アカサビさんは自らの生き方を戒め、喧嘩屋ではなく正義の味方を名乗るようになった。
「アカサビが過去に受けた傷―――心の傷を含めて、それに関わった不良たちが黒煙団のメンバーだと聞いても、あいつは冷静でいられるかな?」
そんなっ!?
アカサビさんの過去を狂わせた元凶、その不良たちが黒煙団だったなんて。
「それ、本当なんですか?」
「ああ、事実さ。正義の味方だかなんだか知らねえが、アカサビの野郎が目障りだった頃に、あいつの弱みになりそうなネタはないかって調べていてわかったことだ。情報筋は明かせねえが確かなネタだ」
「アカサビさんは、そのことを知っているんですか?」
「まさか。知ってたらあの元喧嘩屋が黙っているわけないだろう? 一人でだって隣街に乗り込んでいくさ。そもそもヤツが喧嘩屋と呼ばれていた時代を知っている俺からしたら、あいつが誰かのために行動しているいまの状況が理解できない。それぐらい、喧嘩屋アカサビってヤツは危険な男だったんだ。それが、生き方を変えるほどの後悔に襲われた。もしも目の前に、その後悔―――自分を救ってくれた男の仇がいたとして、俺だったら黙っていることなんてできないだろうな」
つまり、アカサビさんを仲間に引き入れたとして、もしも彼の恩人である警察官の仇が黒煙団のメンバーだったと知られたら、暴走しかねないということか。
それだったら、わざわざ知らせる必要なんてない。アカサビさんにとっては許しがたい過去なのだろうが、その結果としていまの彼があるのだとしたら、それは必要な過去だったと言える。言い方が適切かどうかはわからないが、その警察官の死は無駄ではなかったのだと、そう言えるのかもしれない。
だから、知らないことは知らないままでもいい。そう思っていた矢先―――
「もしもアカサビが関わる事態になれば、俺は真実をアカサビに知らせるぞ」
鍛島さんは、そんなことを言いだした。
その心意が理解できなかったぼくは、思わず声を荒げて理由を問いただした。
「理由? そんなの簡単だ。俺にとってはアカサビも黒煙団も、どっちも邪魔な存在なんだよ。お互いが潰し合うなんて状況は、マサムネにとって最良の機会だ。そうなったら完璧な状況を作り出すさ。ただまあ、俺も小悪党じゃない。近頃はアカサビの野郎も大人しくしているようだし、これ以上目障りな真似をしないっていうなら、俺も煽ることはしないつもりだ。ただ、勝ち目のない相手に自分から喧嘩吹っ掛けるようなバカ野郎は、どうなっても俺は知らねえ。それに、アカサビは一応はこの街のアンダーグラウンドを拠点にしている。ヤツがカシワに乗り込めば、その火種は少なからずこの街で生きる俺たちにもかかることになるだろう」
だから、そうなったら鍛島は、アカサビさんにすべてを話して、さっさと潰れてもらうつもりだと言う。
ふざけるなっ!
鍛島なら、街が直面しているクスリによる脅威を一掃することができるだろう。それだけの力を持っていながら、大勢の人のために動くこともできずに、一人の人間の命を平気で軽んじるようなことを口にする。それが、力を持つ人間の振る舞いなのだろうか。
御堂の言う通りだった。鍛島という男は、やはり信用できない。
それでも、アカサビさんを巻き込まないとなると、この男を頼らざるを得ない。
そんな無力な自分が情けなかった。
「……お願いします。黒煙団と戦ってくれるなら、どんなことでもします。もちろん、ぼくも協力します。だから、助けて下さい」
誰かを頼らなければならない自分の不甲斐なさに嫌気がさす。だけど、ぼく一人で巨大なヤンキー集団と戦うことは不可能だ。
本当は怖い。
だけど、もううんざりなんだ。
誰かの涙を見るのは。大切な人が傷つく姿を目にするのは。
今回、絵里加の足の怪我は後遺症の残る類のものではなかったが、それでも、女の子の体に一生消えないかもしれない傷がついたんだ。そのことで、普段は強気な妹が涙を流していたんだ。
兄として、ここで立ち上がらなかったら嘘だ。
そして、強く思った。もう決して泣かせたりしないと。大切な人を、守って見せると。
「どんなことでもする? ハッ、笑わせるんじゃねえよ。お前ごときガキにいったいなにができる? お前はこの俺に、いったいなにを差し出すことができるって言うんだよ?」
ぼくは考えた末、一つの答えを出した。
いいや、考えるまでもない。
つまるところ、ぼくが持ち得るものなんてたった一つしかない。
「これからは、あなたのために働きます。どんな無茶な命令だってこなして見せます」
真っ直ぐに鍛島の目を見ながら、ぼくはハッキリと言い放つ。
「―――線引屋として」
ぼくの言葉が、ビップルームの静かな室内に反響した気がした。それくらい、部屋の中は静謐に包まれていた。
どれくらいの沈黙が流れただろう。
鍛島は、再び深く座っていたソファから背中を浮かせ、前のめりになった。
「お前、自分がなにを言っているかわかっているのか? 俺の部下になるってことは、不良グループに属するってことなんだぞ? その覚悟があるのかよ?」
線引屋の正体がぼくだということに関して、鍛島は驚いた様子を見せなかった。
やはり、気付いていたのだろう。以前、御堂の病室で会ったときにもそれらしい態度は見せていた。
そもそも、ぼくのようなオタクが御堂と親しい間柄という時点で怪しまれて当然だ。鍛島がこの街に張り巡らせている情報網を使えば、線引屋の正体を探ることくらい可能なのだろう。
だが、いまはそんなことどうでもいい。
むしろ、話が早くて助かる。
「覚悟ならあります。なんでもします!」
「言葉に重みがねえよ。お前、俺が『人を刺してこい』って言ったらやるのかよ? 『女さらってこい』っつったらやれるのかよ? あ?」
「……それは」
「できもしねえこと軽々しく口にしてんじゃねえぞ!」
鍛島の恫喝にも似た怒号が響き渡った。
だけど、ここで引き下がるわけにはいかない。
「確かに、ぼくには自分の信念に反することはできません。だから、そのときはぼくのことを叩きのめしてくれていい。ただ、ぼくにできる範囲のことなら全力でやりますっ。だからどうか―――」
「甘えるのもいい加減にしろ。バカバカしくて話にならねえよ」
鍛島はぼくの覚悟を一蹴した。
都合の良い甘言だと、一笑に伏した。
「だいたい、お前が線引屋? それだって怪しいもんだ。証拠はあるのかよ?」
証拠。ぼくが線引屋だという証拠か。
あるとすれば、それはぼく自身がこれまで磨いてきたグラフィティライターとしてのスキルだけだろう。
パーカーとガスマスクが盗まれたいま、腕だけで証明するしかない。
そのことを鍛島に告げると、彼は再び鼻で笑った。
「な、なにがおかしいんですかっ!」
「お前バカか? スキル? 実力? んなもん俺がわかるわけねえだろうが。いいや、俺だけじゃない。一般大衆も含めて、線引屋に熱をあげてるヘッズにだって、スキルの違いなんてわかりゃしない。勘違いしているみたいだから、ハッキリ言っておくぞ。線引屋なんてもんは、記号でしかねえんだよ。ちょっと絵に見どころがあって、違法行為っていうスリルを味わえて、そこにガスマスクっていう強烈な見た目がハマっただけのことだ。要するに線引屋なんて派手なラッピングに過ぎないんだよ。お前である必要性はない」
鍛島の言葉は、ぼくがこれまでやってきた線引屋としての活動をすべて否定するようなものだった。
だけど、言い返すことができなかったのは、彼を恐れたからではない。鍛島の言っていることが正しいと感じたからだ。
ぼくは、あらためて自分の無力さを痛感することになった。
線引屋としての自分を失っても、ぼくには既に十分すぎるほどの絆があるし、それでいいと思っていた。そろそろもう一つの顔を演じ続けるのも限界ではないかと思って、線引屋の衣装を盗まれたことを良い切っ掛けだと考え始めていた。
だけど甘かった。こんなぼくに、いったいなにができる?
なにを思いあがっていたんだ。だって、ぼくにはなにもないじゃないか。
既に手に入れたと思っていた絆の多くは、ぼく個人が手にしたものではない。
御堂も、与儀さんも、アカサビさんも、江津も、侭さんも、石神さんだって……全部、線引屋としてのぼくがあったから絆を結ぶことができたんだ。
だから、線引屋を失ったぼくに価値などありはしない。
「―――話は終いだ。さっさと消えろ」
鍛島の言葉が、それを如実に物語っていた。
約束の時間までそれほど時間もない。私服に着替えると、すぐにまた家を出ることになった。
―――昼休み。ぼくは廊下の隅で一人、電話をかけていた。相手は入院中の御堂だ。
電話に出た御堂は、
『間久辺か。どうかしたのか?』
と明るい調子で答える。
普段だったら軽口の一つも言ってやるところだけど、今日はそんな気分にはなれなかった。
「御堂、突然で悪いんだけど、頼みがあるんだ」
ぼくの口調から、ただならぬ気配を感じたのか、御堂は声を低くして、
「なんだ?」
と聞いてくる。
ぼくは、うん、と頷き答えた。
「どうしても、鍛島さんに会って話がしたい。連絡を取ってくれないか?」
『鍛島に? ……どうしてだ?』
まだ怪我が治りきっていない御堂に、あまり心配をかけたくはないが、事態は急を要する。
ぼくは、徐々に街をクスリの脅威が襲っていること。そのクスリの出どころが、賀修会というヤクザから黒煙団に渡り、そこから若者に広まりつつあることを端的に説明した。
そして妹がーーー絵里加が怪我を負ったことも説明した。
「だから御堂、お願いだ。このままだと被害はさらに拡大することになるかもしれない。そうなる前に手を打たないと駄目なんだ」
『話はわかった。だけど、鍛島に会ってどうする?』
「黒煙団のやってることを止めてもらう。チーム『マサムネ』にはそれだけの力があるはずだ。場合によっては、荒事になるかもしれない。それでも、ドラッグの脅威はぼくらの街にまでやってきているんだ。それを阻止するためだったら、あの男だって動いてくれるんじゃないか?」
御堂も納得してくれると思っていたが、やってきたのは長い沈黙だった。
たまりかねたぼくは、「どうしたの?」と言葉で御堂を急かす。
そうすることで、ようやく御堂は重たい口を開く。
『間久辺が思っているほど、鍛島は甘い人間じゃない。確かにあの人はマッドシティを取り仕切っているし、他所の不良がデカい面してたらそれを排除しようとするが、そこには鍛島にとってのメリットがあるんだ。間久辺の話を聞く限り、確かにドラッグの蔓延は長期的には街の脅威だが、それを回避するために、いま、黒煙団と全面戦争を起こすリスクと天秤にかけたとき、鍛島が後者を取るとは考え難い』
そうだろうか。
ぼくは、御堂が言うほど鍛島という男が冷徹な人間だとは思えなかった。御堂が大怪我を負い入院している間も、鍛島はかなりの頻度で見舞いに来ていたようだし、チームの仲間を思う気持ちはあるんだ。彼らの縄張りであるマッドシティが脅かされるとなったら、きっと立ち上がってくれるに違いない。
確信に近いその考えに基づいて、ぼくはあらためて鍛島に連絡を取ってもらうよう御堂にお願いした。
御堂は渋々ではあったが納得してくれたようで、連絡を入れてくれた。そして、昼休みの次の休み時間、御堂から電話が入っていたため折り返し連絡を入れると、鍛島が会うために時間を作ってくれたと言うのだ。なるべく早くしてほしいというぼくの要望を上手く伝えてくれたのか、その日の夜に鍛島と会う約束を取り付けることができた。
場所はぼくらにとって色々と忘れられない場所である、『モスキート』という名のクラブ。そのビップルームに、鍛島はいた。護衛も誰もつけずに一人、深くソファにもたれかかっている。
「久しぶりだな。確か、間久辺っていったか?」
「そうです。覚えていてくれたんですね、鍛島さん」
彼とは以前、入院中の御堂の病室で対面している。
「一度会ったヤツの顔と名前は忘れないんだよ、俺は」
そう言った鍛島は、ソファの背もたれに預けていた体を起こして、前傾姿勢になった。
「―――で、要件ってなんだよ?」
いきなり本題を聞かれ、ぼくは頭の中で考えていた言葉が一瞬出てこなくなる。
アカサビさんを始め、アンダーグラウンドを生きる人間と幾度も対面しているとはいえ、相手が県内でも最大規模の不良グループのリーダーだということを考えてしまうと、やはり緊張してしまう。根本的にぼくは、ビビりでヘタレな根暗オタクなのだ。
もたもたしていると、
「おい、さっさと話せ」
と急かされ、ぼくは慌てて言葉を発した。
「えっと、か、鍛島さんに聞いてもらいたい話があります」
一度口を開いてしまうと、あとは言いたいことが自然と口から溢れて出てくる。
「先日、カシワの街でビルが焼ける事故がありました。話によると、その火災にはクスリ―――違法なドラッグを使用した人物が関与しているようです。そして、ぼくの妹が昨日、交通事故に遭いました。その運転手もまた、ドラッグの使用が確認されたようです」
そこまで話したぼくは、鍛島の表情を確かめてみる。
彼は一切表情を変えないまま、こちらを真っ直ぐに見つめている。表情から感情を読み取ることはできなかった。
「このまま、なにもしなければドラッグの脅威はこの街にもやってきます。鍛島さんは、この街の裏側、アンダーグラウンドを仕切っているって聞きました。だから―――」
「だから、なんだよ?」
「ドラッグを売りさばいているのは黒煙団です」
「おい、俺の質問が聞こえなかったのか? 誰も売人のことなんて聞いてねえ。俺は、わざわざ俺を呼びつけて、なにをさせてえのかって聞いているんだよ」
鍛島の威圧的な態度に気おされたぼくだったが、しかし言及を避けたぼくにも問題がある。
あらためて、ぼくは口を開いた。
「卑怯な言い方をしてすみません。言い直します。ドラッグを売りつけている黒煙団を、処理して下さい。やり方は……お任せします。ただ、二度とドラッグを売ったりできないようにしてほしいんです。お願いしますっ」
ぼくは深く頭を下げた。そのとき初めて、自分の足がこんなにも震えているということに気付く。
鍛島多喜親。チーム『マサムネ』のリーダーにして、マッドシティを仕切る男。あらためて、その男の無言の圧力を体で感じた気がした。
だが、だからこそ彼の力を借りれば、これからマッドシティを襲うかもしれないトラブルの種を排除できるかもしれない。ぼくは期待を込めて顔を上げた。その瞬間、鍛島は吐き捨てるようにこう言った。
「お断りだ」
ーーーえ?
ぼくは一瞬、彼がなにを言ったのか理解できなかった。いや、できなかったのではなく、理解したくなかったのかもしれない。
鍛島は、さっきまで前のめりの体勢で話を聞いていたが、いまではソファの背もたれに深く背中を預けている。ぼくがこの部屋に入って来たときと同じ姿勢だ。すでに話を聞くつもりはないとでも言っているような、そんな態度。
「な、なんでですか!」
思わずぼくは声を荒げていた。
「鍛島さんは、この街がどうなって構わないっていうんですか?」
「ああ。別に、俺は俺の生活圏が脅かされない範囲ならこの街がどうなろうとなんとも思わねえよ。御堂から俺のこと、なんて聞いているのか知らねえが、正義の味方をご所望ならどっかの赤い髪の喧嘩屋にでも縋りつくんだな」
赤い髪―――アカサビさんのことだ。
確かに、彼の存在は頭の片隅を過った。だけど、今回の相手は個人ではなく、街一つの裏社会を支配するほどの巨大な不良グループなのだ。いくらアカサビさんでも完全に潰すことは不可能だろう。それこそ、同じレベルのグループ、チーム『マサムネ』でもなければ相手にならないだろう。
それでもアカサビさんなら、話を聞いて力にはなってくれるだろう。彼一人で黒煙団と戦うのは無理があるが、他に協力してくれるグループがあれば、壊滅させられないまでも、活動を一時的に停止させる程度のダメージを与えることができるかもしれない。
策士である鍛島になんの見返りもなく手伝わせようと考えたぼくが間違っていたようだ。
不良グループにつてなんてないが、かつて鍛島を率いてこの街を支配していた甲津侭さんに話せば、協力者を集めてくれるかもしれない。アカサビさんを主軸に攻めれば、きっと黒煙団を壊滅させることができるだろう。
自分の中である程度考えをまとめていると、思い出したような口ぶりで鍛島は言葉を継いだ。
「おっと、忘れていたが、今回の件にアカサビは絡ませない方がいい。死人が出るぞ」
「え? それって、どういう意味ですか?」
「お前も知っているんだろう? アカサビがどうして、ピアスだらけの顔に赤い髪なんて奇抜な格好をしているか」
もちろん知っている。
あの大量のピアスは、アカサビさんがかつて喧嘩屋と呼ばれていた時代に、不良たちからリンチを受け、ホチキスで耳や唇に穴を開けられたときに開いた穴だ。そして赤い髪は、彼をまともな世界に引き戻そうとした警察官の最後の姿―――不良たちからリンチされて、致命傷となった頭部の裂傷による出血。お世話になった警察官の最後の姿を模倣することで、アカサビさんは自らの生き方を戒め、喧嘩屋ではなく正義の味方を名乗るようになった。
「アカサビが過去に受けた傷―――心の傷を含めて、それに関わった不良たちが黒煙団のメンバーだと聞いても、あいつは冷静でいられるかな?」
そんなっ!?
アカサビさんの過去を狂わせた元凶、その不良たちが黒煙団だったなんて。
「それ、本当なんですか?」
「ああ、事実さ。正義の味方だかなんだか知らねえが、アカサビの野郎が目障りだった頃に、あいつの弱みになりそうなネタはないかって調べていてわかったことだ。情報筋は明かせねえが確かなネタだ」
「アカサビさんは、そのことを知っているんですか?」
「まさか。知ってたらあの元喧嘩屋が黙っているわけないだろう? 一人でだって隣街に乗り込んでいくさ。そもそもヤツが喧嘩屋と呼ばれていた時代を知っている俺からしたら、あいつが誰かのために行動しているいまの状況が理解できない。それぐらい、喧嘩屋アカサビってヤツは危険な男だったんだ。それが、生き方を変えるほどの後悔に襲われた。もしも目の前に、その後悔―――自分を救ってくれた男の仇がいたとして、俺だったら黙っていることなんてできないだろうな」
つまり、アカサビさんを仲間に引き入れたとして、もしも彼の恩人である警察官の仇が黒煙団のメンバーだったと知られたら、暴走しかねないということか。
それだったら、わざわざ知らせる必要なんてない。アカサビさんにとっては許しがたい過去なのだろうが、その結果としていまの彼があるのだとしたら、それは必要な過去だったと言える。言い方が適切かどうかはわからないが、その警察官の死は無駄ではなかったのだと、そう言えるのかもしれない。
だから、知らないことは知らないままでもいい。そう思っていた矢先―――
「もしもアカサビが関わる事態になれば、俺は真実をアカサビに知らせるぞ」
鍛島さんは、そんなことを言いだした。
その心意が理解できなかったぼくは、思わず声を荒げて理由を問いただした。
「理由? そんなの簡単だ。俺にとってはアカサビも黒煙団も、どっちも邪魔な存在なんだよ。お互いが潰し合うなんて状況は、マサムネにとって最良の機会だ。そうなったら完璧な状況を作り出すさ。ただまあ、俺も小悪党じゃない。近頃はアカサビの野郎も大人しくしているようだし、これ以上目障りな真似をしないっていうなら、俺も煽ることはしないつもりだ。ただ、勝ち目のない相手に自分から喧嘩吹っ掛けるようなバカ野郎は、どうなっても俺は知らねえ。それに、アカサビは一応はこの街のアンダーグラウンドを拠点にしている。ヤツがカシワに乗り込めば、その火種は少なからずこの街で生きる俺たちにもかかることになるだろう」
だから、そうなったら鍛島は、アカサビさんにすべてを話して、さっさと潰れてもらうつもりだと言う。
ふざけるなっ!
鍛島なら、街が直面しているクスリによる脅威を一掃することができるだろう。それだけの力を持っていながら、大勢の人のために動くこともできずに、一人の人間の命を平気で軽んじるようなことを口にする。それが、力を持つ人間の振る舞いなのだろうか。
御堂の言う通りだった。鍛島という男は、やはり信用できない。
それでも、アカサビさんを巻き込まないとなると、この男を頼らざるを得ない。
そんな無力な自分が情けなかった。
「……お願いします。黒煙団と戦ってくれるなら、どんなことでもします。もちろん、ぼくも協力します。だから、助けて下さい」
誰かを頼らなければならない自分の不甲斐なさに嫌気がさす。だけど、ぼく一人で巨大なヤンキー集団と戦うことは不可能だ。
本当は怖い。
だけど、もううんざりなんだ。
誰かの涙を見るのは。大切な人が傷つく姿を目にするのは。
今回、絵里加の足の怪我は後遺症の残る類のものではなかったが、それでも、女の子の体に一生消えないかもしれない傷がついたんだ。そのことで、普段は強気な妹が涙を流していたんだ。
兄として、ここで立ち上がらなかったら嘘だ。
そして、強く思った。もう決して泣かせたりしないと。大切な人を、守って見せると。
「どんなことでもする? ハッ、笑わせるんじゃねえよ。お前ごときガキにいったいなにができる? お前はこの俺に、いったいなにを差し出すことができるって言うんだよ?」
ぼくは考えた末、一つの答えを出した。
いいや、考えるまでもない。
つまるところ、ぼくが持ち得るものなんてたった一つしかない。
「これからは、あなたのために働きます。どんな無茶な命令だってこなして見せます」
真っ直ぐに鍛島の目を見ながら、ぼくはハッキリと言い放つ。
「―――線引屋として」
ぼくの言葉が、ビップルームの静かな室内に反響した気がした。それくらい、部屋の中は静謐に包まれていた。
どれくらいの沈黙が流れただろう。
鍛島は、再び深く座っていたソファから背中を浮かせ、前のめりになった。
「お前、自分がなにを言っているかわかっているのか? 俺の部下になるってことは、不良グループに属するってことなんだぞ? その覚悟があるのかよ?」
線引屋の正体がぼくだということに関して、鍛島は驚いた様子を見せなかった。
やはり、気付いていたのだろう。以前、御堂の病室で会ったときにもそれらしい態度は見せていた。
そもそも、ぼくのようなオタクが御堂と親しい間柄という時点で怪しまれて当然だ。鍛島がこの街に張り巡らせている情報網を使えば、線引屋の正体を探ることくらい可能なのだろう。
だが、いまはそんなことどうでもいい。
むしろ、話が早くて助かる。
「覚悟ならあります。なんでもします!」
「言葉に重みがねえよ。お前、俺が『人を刺してこい』って言ったらやるのかよ? 『女さらってこい』っつったらやれるのかよ? あ?」
「……それは」
「できもしねえこと軽々しく口にしてんじゃねえぞ!」
鍛島の恫喝にも似た怒号が響き渡った。
だけど、ここで引き下がるわけにはいかない。
「確かに、ぼくには自分の信念に反することはできません。だから、そのときはぼくのことを叩きのめしてくれていい。ただ、ぼくにできる範囲のことなら全力でやりますっ。だからどうか―――」
「甘えるのもいい加減にしろ。バカバカしくて話にならねえよ」
鍛島はぼくの覚悟を一蹴した。
都合の良い甘言だと、一笑に伏した。
「だいたい、お前が線引屋? それだって怪しいもんだ。証拠はあるのかよ?」
証拠。ぼくが線引屋だという証拠か。
あるとすれば、それはぼく自身がこれまで磨いてきたグラフィティライターとしてのスキルだけだろう。
パーカーとガスマスクが盗まれたいま、腕だけで証明するしかない。
そのことを鍛島に告げると、彼は再び鼻で笑った。
「な、なにがおかしいんですかっ!」
「お前バカか? スキル? 実力? んなもん俺がわかるわけねえだろうが。いいや、俺だけじゃない。一般大衆も含めて、線引屋に熱をあげてるヘッズにだって、スキルの違いなんてわかりゃしない。勘違いしているみたいだから、ハッキリ言っておくぞ。線引屋なんてもんは、記号でしかねえんだよ。ちょっと絵に見どころがあって、違法行為っていうスリルを味わえて、そこにガスマスクっていう強烈な見た目がハマっただけのことだ。要するに線引屋なんて派手なラッピングに過ぎないんだよ。お前である必要性はない」
鍛島の言葉は、ぼくがこれまでやってきた線引屋としての活動をすべて否定するようなものだった。
だけど、言い返すことができなかったのは、彼を恐れたからではない。鍛島の言っていることが正しいと感じたからだ。
ぼくは、あらためて自分の無力さを痛感することになった。
線引屋としての自分を失っても、ぼくには既に十分すぎるほどの絆があるし、それでいいと思っていた。そろそろもう一つの顔を演じ続けるのも限界ではないかと思って、線引屋の衣装を盗まれたことを良い切っ掛けだと考え始めていた。
だけど甘かった。こんなぼくに、いったいなにができる?
なにを思いあがっていたんだ。だって、ぼくにはなにもないじゃないか。
既に手に入れたと思っていた絆の多くは、ぼく個人が手にしたものではない。
御堂も、与儀さんも、アカサビさんも、江津も、侭さんも、石神さんだって……全部、線引屋としてのぼくがあったから絆を結ぶことができたんだ。
だから、線引屋を失ったぼくに価値などありはしない。
「―――話は終いだ。さっさと消えろ」
鍛島の言葉が、それを如実に物語っていた。
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