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第三章
誕生日
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夏の暑さも過ぎて、秋の気配が近付いてきていた。
レオンハルトはこの頃、よく夢を見る。
母の夢だ。
レオンハルトは母の顔を、もうぼんやりとしか思い出せない。はずだった。
それなのに最近夢を見るごとに、忘れかけていた母の顔がくっきりとしてくるのを実感していた。
夢の中で、レオンハルトはいつも幸せな気持ちだった。大好きな母と共にいられるのが嬉しかった。そして、懐かしい気持ちになった。
どれも初めて見る夢だった。けれど、レオンハルトには夢で見ているのが自分の願望や作り話ではなく、実際に母と経験した思い出だということが分かった。
どうして忘れていたんだろう。大切な母との思い出を、母の顔を、声を、どうして忘れてしまっていたんだろう。
ここに来てからだ。こんなにも母の夢を見るのは、母のことを思い出せるようになったのは、全部ルーナに出会ってから――。
春にはブランコを漕いでもらう夢を、夏にはともに水遊びをする夢を見た。
そして今、幼いレオンハルトは母と手を繋いでどこか、森のようなところを歩いている。木々が紅葉しているので、季節は秋だろう。
はしゃぐレオンハルトに母は微笑み、母が手に持つ籠にはきのこや木の実が入れられているのが見える。これは夢だと、夢の中で気付いた。これも昔の記憶だ。
『おかあさま』
幼い自分が、嬉しそうな声で母を呼んで、顔を見上げた。
――――――――
鳥のさえずりに意識が浮上してレオンハルトはゆっくりと目を開けた。
視界に映ったのは母ではなく、もうすっかり見慣れた白い天井だった。隣からはすぅすぅと、自分以外の人間の息遣いが聞こえる。
隣を見ると、ルーナがこちらに体を向けて寝息を立てていた。
「……起きてからも夢みたいだ」
カーテン越しの柔らかい朝日を背に眠るルーナはまるで絵画のように美しかった。
レオンハルトは体を横に倒すと、ルーナの顔にかかっている髪を払ってやる。そっと顔を近付けて、丸くて白い額にそっと唇を落とした。
「んん……レオン……?」
「ルーナ、おはよう」
「おはよう、レオン……」
とろとろと溶けるような声でむずがるルーナが可愛い。
「まだ寝ますか?」
「いいえ、寝ないわぁ……お誕生日おめでとう、レオン」
「はい、ありがとうございます」
今日はレオンハルトの誕生日だった。
ルーナは「んー!」と伸びをすると、急に元気よく体を起こして、ベッドから降りたった。
「もう支度するんですか?」
「そうよ! うかうかしていられないわ! 今日は旦那様のお誕生日デートなのだからおめかししなくっちゃ!」
「旦那様……」
「レオンも早く支度してね!」
「そんなに急がなくてもオペラは逃げませんよ」
ルーナはもう聞いていないようで、扉を開けて部屋から出て行ってしまった。
最近分かったことなのだが、レオンハルトの寝室とルーナの寝室は繋がっていたようだ。
レオンハルト側の寝室の壁にある飾り棚を退けるとルーナ側の寝室へと繋がる扉があるのを、模様替えの際にハンナが発見した。ルーナは毎朝その扉を通って、支度をそちら側の寝室で行っている。
「可愛いな……」
旦那様とのデートでおめかしか。もうすでにおめかしする前から可愛いのに、これ以上可愛くなってどうするんだ。
レオンハルトはものぐさにベッドに寝たまま、呼び出しのベルを振った。すぐにメルケンがやって来て、レオンハルト宛に送られてきた郵便物などを載せてくる。
レオンハルトはそれに目を通しながら、着替えを手伝ってもらう。
「全部僕の書斎へ置いていてくれ」
何通もある手紙には決まってレオンハルトの誕生日を祝う文面が書かれていた。
レオンハルトはそのうちの一通だけ、差出人を見て、封も開けずにトレーの上へ戻した。
「良いのですか?」
「後で見るし必ず返事を出す。だがそれをするのは明日だ」
「かしこまりました」
レオンハルトが戻した封筒には、ナディア王女専用の封蝋が押されていた。
――――――――
レオンハルトの誕生日である今日は休日だった。さすがに副団長と言えど誕生日だからと好き勝手に休暇を取るわけにはいかないから、偶然の産物である。
レオンハルトの誕生日当日が休日であると知ったルーナは「お出かけしたいわ!」と目を輝かせた。
「レオンはどこに行きたい? 何がしたいことはあるかしら?」
「僕はどこでも。ルーナがしたいことがあれば、それがしたいです」
「とっても紳士だけど……ダメよそんなの! レオンがしたいことをしなくちゃ!」
「うーん……」
そんなやり取りの末、結局ルーナが前から見たかったというオペラを見に行くことにした。ルーナには何度もしたいことがあれば教えてと言われたが、何度考えたってレオンハルト個人がしたいことは思いつかなかった。
ルーナがしたいことをして、楽しそうにしているルーナが見られるのであればそれが一番嬉しい。これは本心で言っているのだが、ルーナにはなかなか伝わらないようだ。朝食後に乗り込んだ馬車でもずっと、「レオンがしたいことは本当にないの?」と何度も言っていた。
「とくには……」
「じゃあ、欲しいものは?」
「べつに……」
「もう、欲がないのね!」
「すみません、つまらない男で……」
誕生日と言っても、レオンハルトにとっては普段となんら変わりない一日に過ぎない。いきなり何かしたいことや欲しいものを聞かれても困ってしまう。しかしルーナにとって、誕生日とは特別なものらしい。
「ルーナはいつもどんな風に誕生日を過ごしていたんです?」
「私は朝起きると、いつもよりもおめかしをして、お父様と街へ遊びに行ったわ。そしてオペラを見て、買い物をして……暗くなったら屋敷へ帰って、皆とパーティーよ」
それはまるきり、ルーナから聞かされていた今日のスケジュールと同じだった。それに気付いてくすりと笑いが漏れる。
「あ、今日とまるきり同じだと思ったでしょ? だって、私が知っている一番楽しい誕生日の過ごし方って、これなんですもの」
「ルーナの一番楽しい一日の過ごし方を共有できて嬉しいですよ」
「レオンが主役だから、レオンが一番楽しくならないといけないのに、私が一番楽しい一日になっちゃいそうだわ」
レオンハルトとしては、それこそ最も嬉しいことだ。
今まで、レオンハルトにはこんな風に誕生日をいっしょに過ごしてくれる人はいなかった。
祝ってくれる人はそれなりにいた。兵学校の同級生たち、兄、使用人。それから、一番祝われて嬉しかった相手が、ナディア王女。
ナディア王女は毎年レオンハルトの誕生日に手紙をくれた。レオンハルトは毎年、なによりもその手紙が一番嬉しかった。手紙は今年もレオンハルトの元へと届いた。しかし、それは今年から一番嬉しいものではなくなった。
ルーナが初めてだ。起きた瞬間から祝福をくれて、レオンハルトの生まれた日をいっしょに過ごしてくれて、そばにいてくれるのは。
レオンハルトは母を亡くして以来、本当の意味では誰にも生まれたことを祝福されたことはなかった。アイレンブルク家では、義理の母から生まれなければよかったのにと言われたこともある。
生まれたことを祝われるなんてとんでもない、ただひたすらにあの家族の中で、レオンハルトは邪魔な存在だったのだ。
だから、誕生日をどうやって過ごすのが正解か分からない。どんな風に喜んで、楽しめばいいのか分からない。それをルーナが今、教えてくれようとしている。
不思議だ。魔女と呼ばれ国民中から嫌われ、生まれたことを疎まれているはずだと思っていたルーナの方が、誕生日の祝われ方を知っている。これまでたくさん、生まれたことを祝われている。そんなルーナに祝われることを、レオンハルトは嬉しいと思っている。
ふと前を見ると、ルーナが少し驚いたような顔をしてレオンハルトを見ていた。
「どうしたの?」
「? なにがですか?」
「なにか笑っているから、楽しいことでもあったのかと思って」
そう言われて、はっと口を引き結ぶ。
これ以上ルーナの顔を見ていたら、もっと顔が緩んでしまいそうで、目線を窓の外へと投げ出したレオンハルトであった。
レオンハルトはこの頃、よく夢を見る。
母の夢だ。
レオンハルトは母の顔を、もうぼんやりとしか思い出せない。はずだった。
それなのに最近夢を見るごとに、忘れかけていた母の顔がくっきりとしてくるのを実感していた。
夢の中で、レオンハルトはいつも幸せな気持ちだった。大好きな母と共にいられるのが嬉しかった。そして、懐かしい気持ちになった。
どれも初めて見る夢だった。けれど、レオンハルトには夢で見ているのが自分の願望や作り話ではなく、実際に母と経験した思い出だということが分かった。
どうして忘れていたんだろう。大切な母との思い出を、母の顔を、声を、どうして忘れてしまっていたんだろう。
ここに来てからだ。こんなにも母の夢を見るのは、母のことを思い出せるようになったのは、全部ルーナに出会ってから――。
春にはブランコを漕いでもらう夢を、夏にはともに水遊びをする夢を見た。
そして今、幼いレオンハルトは母と手を繋いでどこか、森のようなところを歩いている。木々が紅葉しているので、季節は秋だろう。
はしゃぐレオンハルトに母は微笑み、母が手に持つ籠にはきのこや木の実が入れられているのが見える。これは夢だと、夢の中で気付いた。これも昔の記憶だ。
『おかあさま』
幼い自分が、嬉しそうな声で母を呼んで、顔を見上げた。
――――――――
鳥のさえずりに意識が浮上してレオンハルトはゆっくりと目を開けた。
視界に映ったのは母ではなく、もうすっかり見慣れた白い天井だった。隣からはすぅすぅと、自分以外の人間の息遣いが聞こえる。
隣を見ると、ルーナがこちらに体を向けて寝息を立てていた。
「……起きてからも夢みたいだ」
カーテン越しの柔らかい朝日を背に眠るルーナはまるで絵画のように美しかった。
レオンハルトは体を横に倒すと、ルーナの顔にかかっている髪を払ってやる。そっと顔を近付けて、丸くて白い額にそっと唇を落とした。
「んん……レオン……?」
「ルーナ、おはよう」
「おはよう、レオン……」
とろとろと溶けるような声でむずがるルーナが可愛い。
「まだ寝ますか?」
「いいえ、寝ないわぁ……お誕生日おめでとう、レオン」
「はい、ありがとうございます」
今日はレオンハルトの誕生日だった。
ルーナは「んー!」と伸びをすると、急に元気よく体を起こして、ベッドから降りたった。
「もう支度するんですか?」
「そうよ! うかうかしていられないわ! 今日は旦那様のお誕生日デートなのだからおめかししなくっちゃ!」
「旦那様……」
「レオンも早く支度してね!」
「そんなに急がなくてもオペラは逃げませんよ」
ルーナはもう聞いていないようで、扉を開けて部屋から出て行ってしまった。
最近分かったことなのだが、レオンハルトの寝室とルーナの寝室は繋がっていたようだ。
レオンハルト側の寝室の壁にある飾り棚を退けるとルーナ側の寝室へと繋がる扉があるのを、模様替えの際にハンナが発見した。ルーナは毎朝その扉を通って、支度をそちら側の寝室で行っている。
「可愛いな……」
旦那様とのデートでおめかしか。もうすでにおめかしする前から可愛いのに、これ以上可愛くなってどうするんだ。
レオンハルトはものぐさにベッドに寝たまま、呼び出しのベルを振った。すぐにメルケンがやって来て、レオンハルト宛に送られてきた郵便物などを載せてくる。
レオンハルトはそれに目を通しながら、着替えを手伝ってもらう。
「全部僕の書斎へ置いていてくれ」
何通もある手紙には決まってレオンハルトの誕生日を祝う文面が書かれていた。
レオンハルトはそのうちの一通だけ、差出人を見て、封も開けずにトレーの上へ戻した。
「良いのですか?」
「後で見るし必ず返事を出す。だがそれをするのは明日だ」
「かしこまりました」
レオンハルトが戻した封筒には、ナディア王女専用の封蝋が押されていた。
――――――――
レオンハルトの誕生日である今日は休日だった。さすがに副団長と言えど誕生日だからと好き勝手に休暇を取るわけにはいかないから、偶然の産物である。
レオンハルトの誕生日当日が休日であると知ったルーナは「お出かけしたいわ!」と目を輝かせた。
「レオンはどこに行きたい? 何がしたいことはあるかしら?」
「僕はどこでも。ルーナがしたいことがあれば、それがしたいです」
「とっても紳士だけど……ダメよそんなの! レオンがしたいことをしなくちゃ!」
「うーん……」
そんなやり取りの末、結局ルーナが前から見たかったというオペラを見に行くことにした。ルーナには何度もしたいことがあれば教えてと言われたが、何度考えたってレオンハルト個人がしたいことは思いつかなかった。
ルーナがしたいことをして、楽しそうにしているルーナが見られるのであればそれが一番嬉しい。これは本心で言っているのだが、ルーナにはなかなか伝わらないようだ。朝食後に乗り込んだ馬車でもずっと、「レオンがしたいことは本当にないの?」と何度も言っていた。
「とくには……」
「じゃあ、欲しいものは?」
「べつに……」
「もう、欲がないのね!」
「すみません、つまらない男で……」
誕生日と言っても、レオンハルトにとっては普段となんら変わりない一日に過ぎない。いきなり何かしたいことや欲しいものを聞かれても困ってしまう。しかしルーナにとって、誕生日とは特別なものらしい。
「ルーナはいつもどんな風に誕生日を過ごしていたんです?」
「私は朝起きると、いつもよりもおめかしをして、お父様と街へ遊びに行ったわ。そしてオペラを見て、買い物をして……暗くなったら屋敷へ帰って、皆とパーティーよ」
それはまるきり、ルーナから聞かされていた今日のスケジュールと同じだった。それに気付いてくすりと笑いが漏れる。
「あ、今日とまるきり同じだと思ったでしょ? だって、私が知っている一番楽しい誕生日の過ごし方って、これなんですもの」
「ルーナの一番楽しい一日の過ごし方を共有できて嬉しいですよ」
「レオンが主役だから、レオンが一番楽しくならないといけないのに、私が一番楽しい一日になっちゃいそうだわ」
レオンハルトとしては、それこそ最も嬉しいことだ。
今まで、レオンハルトにはこんな風に誕生日をいっしょに過ごしてくれる人はいなかった。
祝ってくれる人はそれなりにいた。兵学校の同級生たち、兄、使用人。それから、一番祝われて嬉しかった相手が、ナディア王女。
ナディア王女は毎年レオンハルトの誕生日に手紙をくれた。レオンハルトは毎年、なによりもその手紙が一番嬉しかった。手紙は今年もレオンハルトの元へと届いた。しかし、それは今年から一番嬉しいものではなくなった。
ルーナが初めてだ。起きた瞬間から祝福をくれて、レオンハルトの生まれた日をいっしょに過ごしてくれて、そばにいてくれるのは。
レオンハルトは母を亡くして以来、本当の意味では誰にも生まれたことを祝福されたことはなかった。アイレンブルク家では、義理の母から生まれなければよかったのにと言われたこともある。
生まれたことを祝われるなんてとんでもない、ただひたすらにあの家族の中で、レオンハルトは邪魔な存在だったのだ。
だから、誕生日をどうやって過ごすのが正解か分からない。どんな風に喜んで、楽しめばいいのか分からない。それをルーナが今、教えてくれようとしている。
不思議だ。魔女と呼ばれ国民中から嫌われ、生まれたことを疎まれているはずだと思っていたルーナの方が、誕生日の祝われ方を知っている。これまでたくさん、生まれたことを祝われている。そんなルーナに祝われることを、レオンハルトは嬉しいと思っている。
ふと前を見ると、ルーナが少し驚いたような顔をしてレオンハルトを見ていた。
「どうしたの?」
「? なにがですか?」
「なにか笑っているから、楽しいことでもあったのかと思って」
そう言われて、はっと口を引き結ぶ。
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