『守りたい、君のすべてを ～続編～』

続編 第9章：迫る危機

続編 第9章：迫る危機
京介が玲奈のマンションへ急行する間、玲奈は恐怖を感じながらも、必死に冷静さを保とうとしていた。
窓から見える玄関前には、確かに人影があった。静かに立っているその人物が、玲奈を見守るように佇んでいる。
「誰か…見ているのか？」
心の中で呟きながら、玲奈は電話を手に取ることなく、ただじっとその人物を観察した。
不安が募る中、突然、ドアをノックする音が響いた。
玲奈は驚き、息を呑んだ。
「玲奈、今すぐ開けてほしい」
その声に、玲奈はしばらく迷った。しかし、声の主がもし京介だったら――
そんな思いを抱えつつも、彼女はドアを開けた。
「京介？」
彼女は驚きの表情を浮かべたが、目の前に立っていたのは見慣れた顔ではなかった。
その人物は、京介に似た目つきと身なりをしていたが、どこか違和感を覚えた。
「すみません、京介さんから頼まれてきました。少し話をしませんか？」
玲奈は戸惑いながらも、その人物を警戒し始めた。
「京介が頼んだ？」
「ええ。僕は彼の同僚です。少しお話しするために、場所を変えた方がいいかと」
その言葉に、玲奈はさらに不安が募った。
「京介はどこにいるの？」
その瞬間、背後で不意にドアが閉まる音が聞こえ、玲奈は反射的に振り向いた。
そして、そこに立っていたのは、京介ではなく、別の男性――不敵な笑みを浮かべた男だった。
「残念だが、君が望んだ京介はもう来ない」
その瞬間、玲奈は身震いをし、後退しようとしたが、すでに出口は封じられていた。
男の目には冷徹な光が宿り、玲奈の心は一気に凍りついた。
その男が一歩前に出ると、玲奈は本能的に背を向け、走り出す。しかし、すぐにその男に腕を掴まれた。
「逃がさないよ」
男は冷ややかな声で言い、玲奈の腕を強く引き寄せた。
その瞬間、遠くからサイレンの音が響き、京介がついに駆けつけた。
「玲奈！」
京介は力強く叫びながら、男に向かって突進した。
「離せ！」
京介は男を押しのけ、玲奈の手を取った。
その目は怒りと必死さで輝いていた。
玲奈は震えながらも、京介の手をしっかり握り返す。
「ありがとう、京介……」
男はその光景を見て、ニヤリと笑うと、すぐに消えるように姿を消した。
「どこに行った？」
京介は周囲を見渡しながら、手を引き続けた。
「逃げられたからよしとしよう」
「でも、京介、この人、どうして私を狙っているの？」
「分からない。でも、もう君を一人にはさせない」
その言葉に玲奈は、少しだけ安心した。
だが、まだ闇に潜む影が二人の未来を脅かしていることを、京介はすでに感じ取っていた。