空白の時間

第2章 - あの日の約束

第2章 - あの日の約束
あの事故の報せを受けた時、最初は信じられなかった。電話越しの声があまりにも冷たくて、何度も「嘘だ」と思っていた。でも、その後に届いた無機質な知らせが、全てを現実に変えてしまった。
「友香の名前が、あの車に引かれた。」
最初は何も感じなかった。頭が真っ白になって、何も考えられなかった。ただただ、何か大事なものが急に奪われたことを理解するのに時間がかかりすぎた。
葬儀が終わった後、あの交差点を通った。友香と初めて出会った場所だった。彼女は車に轢かれて、もう二度とその場所に立つことはない。だけど、僕はいつもそこに立って、彼女を待っている気がしてならない。
「友香、もしもここにいたら、何をしているんだろう。」
呟いても、答えはない。あの日、最後に交わした言葉も今となっては胸に響く。