空白の時間

夕暮れ狼

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第11章 - 新しい一歩

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第11章 - 新しい一歩
拓実が初めて友香を失ってから、何ヶ月も経った。季節は変わり、街並みも少しずつ変わってきた。あの日々をずっと引きずっていたが、それでも少しずつ心が動き始めた。
ある日、友香が好きだったカフェに足を運んでみた。最初はその場所に入るのが怖かった。あのカフェで友香と過ごした時間が、あまりにも幸せすぎて、もう二度と戻らないと思うと胸が締め付けられるようだった。
でも、カフェの扉を開けると、いつも通りの温かい雰囲気が広がっていて、静かな音楽が流れていた。どこか懐かしい感じがしたが、同時に新しい風も感じた。
「少しだけ、友香のことを思い出してみよう。」
拓実は静かに席に座り、友香が好きだったラテを注文した。窓の外を見ると、遠くの公園で子供たちが遊んでいる。友香が話していた「いつか自分の子どももここで遊ばせたい」という言葉が、どこかで生きている気がした。
「ありがとう、友香。君のおかげで、少しだけ前に進めるかもしれない。」
拓実はカップを手に取る。その温もりを感じると、ほんの少しだけ心が軽くなったように思った。
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