「絶望の川を越えて」

夕暮れ狼

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第4章:冷徹な現実

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第4章:冷徹な現実
数日が過ぎ、二人は徐々にこの過酷な状況に慣れていった。最初はどこか手探りで進んでいたが、今では少しずつ自分たちの方法を見つけ、効率よく動けるようになっていた。
「今日は何をする?」菜月が問いかけると、悠斗は少し考え込んだ後、冷静に言った。
「釣りを試すのはどうだろう?川の中には大きな魚もいるかもしれない。あとは、食べられる植物も探しておいた方がいい。」
菜月はその提案に賛成し、すぐに行動を開始する。魚を捕るために、悠斗はさらに工夫を凝らし、小枝や竹のようなものを使って即席の罠を作り始めた。菜月はそれを手伝いながら、周囲を見渡し、食べられる野草や果物を探して歩き回る。
しばらくして、菜月は岩陰に生えている苔を見つけ、慎重に手に取った。それを持って戻ると、悠斗が作った罠に小さな魚が引っかかっていた。
「やった、成功だ!」菜月が嬉しそうに言うと、悠斗も少し笑った。
「こうやって少しずつだな。無駄な力を使わずに、着実に食料を確保することが大事だ。」
二人は捕まえた魚を慎重に調理し、しばらくぶりの温かい食事に満足感を覚える。しかし、その夜、菜月の心にはふとした不安が芽生えていた。
「もし、救助が来なかったらどうしよう…?」菜月がうつむきながら呟く。
悠斗は黙ってその言葉を受け止めた後、静かに言った。「生きるために、今は無駄なことを考えても仕方ない。自分たちの力で、何とかしなければ。」
その言葉に、菜月は深く頷く。彼女は、少しずつではあるが悠斗と心が通じ合っていくのを感じていた。この過酷な状況の中で、少なくとも二人はお互いを支え合っていると実感していた。
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