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第四章
どうしよう
しおりを挟む「クロス…!」
特進科の棟でクロスを見かけることはかなり珍しいため、自分でも気づかないうちに嬉しさが滲み出てしまっていたみたいだ
その証拠に私の顔を見たクロスが一瞬だけ驚いたように目を見張った後、少し仕方なさそうに笑みを浮かべていた
これはクロスが照れた時によくする顔だ
クロスがこの顔をしてしまうくらい自分の表情筋が緩んでしまっていたのか、、危ない危ない、気をつけなきゃ…!
「クロスくん、お久しぶりです。以前にもまして立派になりましたね」
「ありがとうございます。シェイルス先生は変わらずずっとかっこいいですね」
何この平和な世界
めっちゃ和むわ…!!
「あっ、そう言えばクロスはなんでここに?」
「あぁ、園芸部の顧問は特進科の先生だからな、その人に呼び出されたからっていう理由もあるけど、シェイルス先生のことも聞いたから挨拶しておきたくって」
「わざわざありがとうございます、私も久々にクロスくんに会いたかったですよ」
やだ、クロスってば本当に私以外にはめちゃくちゃ礼儀正しいわね
それの半分でもいいから私のことももうちょっと丁寧に扱ってほしいものだわ
「それで?セツ」
「うん?何?」
いきなりクロスに腕を取られて支えられるような形にさせられた
「足首どうした?捻ったか?」
「…え?」
一拍間を置いてシェリーの驚いた声が零れ落ちた
クロスとシェリー二人から目を向けられてなんて言えばいいかと戸惑う
「セツィーリア様…もしかして、さっきので?」
悲しそうにするシェリーに申し訳なさが湧き上がってくる
いや、違うんだよシェリー!
「あのねシェリー!ちょっと捻っただけだから言うほどのことじゃないって思っただけで!それに、心配かけたくなかったし!!」
「…言ってくれないほうが私は辛いです」
シュンっとするその姿に垂れた犬の耳が見えるのは私にしか見えない現象か?
「そうだな、こういう時はちゃんと人に頼れセツ。悪化したらお前の周りの人も悲しむことを忘れんな」
「…うん、分かった」
流石にシェリーを悲しませた上に、クロスからお説教されたら私だって反省する
シェリーに続いて私までシュンっとしたが
「ん、分かったんなら良い。だからこのまま楽にしてろよ、支えてるから」
「…ありがとう」
クロスの気にかけてくれる言葉が嬉しくて遠慮なく身体を預けてしまった
我ながらなんて現金な奴
そのあと、シェリーにもう一度謝って次からは隠し事はしないと約束をしてから教室へ向かうよう促した
それでも心配そうにこちらを見つめてくるシェリーを安心させるためにクロスもいるから大丈夫だということを伝えれば余計に悲しそうな顔をされた
え、なぜに??
「シェイルス先生、今度またゆっくりとお話ししましょう」
「はい、その時を楽しみにしています」
最後にクロスとシェリーがそのような言葉を交わしながらシェリーは教室の方へと向かって行った
一瞬だけ見えた曖昧な微笑みが少し気がかりだったけど、気のせいだと思うことにした
クロスに周りから分からない程度に支えてもらいながら廊下の端に移動する
壁に寄りかかっていれば少しは楽だろうという考えからだ
それでも腕を放さずにいてくれるクロスの優しさに心がくすぐったくなった
「ていうかよく気づいたね」
「いつもと立ち方が違うし、ずっと片方にだけ重心を置くような立ち方してればそりゃ気づくだろ。何年お前の側にいる思ってんだ」
「そっか……そうだね、、ふふっ」
ああ、どうしよう
クロスにとっては至って当たり前なことを言っているだけかもしれないけど
どうしよう
私はその言葉が嬉しくて嬉しくてたまらないよ…
本当に
どうしてだろうね、クロス
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