未プレイの乙女ゲーの悪役令嬢に転生したみたいだけど、これってフラグ回避方法分かんなくね?

文字の大きさ
119 / 130
第四章

どうしよう

しおりを挟む



「クロス…!」


特進科の棟でクロスを見かけることはかなり珍しいため、自分でも気づかないうちに嬉しさが滲み出てしまっていたみたいだ

その証拠に私の顔を見たクロスが一瞬だけ驚いたように目を見張った後、少し仕方なさそうに笑みを浮かべていた
これはクロスが照れた時によくする顔だ
クロスがこの顔をしてしまうくらい自分の表情筋が緩んでしまっていたのか、、危ない危ない、気をつけなきゃ…!


「クロスくん、お久しぶりです。以前にもまして立派になりましたね」

「ありがとうございます。シェイルス先生は変わらずずっとかっこいいですね」


何この平和な世界
めっちゃ和むわ…!!


「あっ、そう言えばクロスはなんでここに?」

「あぁ、園芸部の顧問は特進科の先生だからな、その人に呼び出されたからっていう理由もあるけど、シェイルス先生のことも聞いたから挨拶しておきたくって」

「わざわざありがとうございます、私も久々にクロスくんに会いたかったですよ」


やだ、クロスってば本当に私以外にはめちゃくちゃ礼儀正しいわね
それの半分でもいいから私のことももうちょっと丁寧に扱ってほしいものだわ


「それで?セツ」

「うん?何?」

いきなりクロスに腕を取られて支えられるような形にさせられた


「足首どうした?捻ったか?」

「…え?」

一拍間を置いてシェリーの驚いた声が零れ落ちた


クロスとシェリー二人から目を向けられてなんて言えばいいかと戸惑う


「セツィーリア様…もしかして、さっきので?」

悲しそうにするシェリーに申し訳なさが湧き上がってくる

いや、違うんだよシェリー!

「あのねシェリー!ちょっと捻っただけだから言うほどのことじゃないって思っただけで!それに、心配かけたくなかったし!!」

「…言ってくれないほうが私は辛いです」

シュンっとするその姿に垂れた犬の耳が見えるのは私にしか見えない現象か?


「そうだな、こういう時はちゃんと人に頼れセツ。悪化したらお前の周りの人も悲しむことを忘れんな」

「…うん、分かった」


流石にシェリーを悲しませた上に、クロスからお説教されたら私だって反省する
シェリーに続いて私までシュンっとしたが


「ん、分かったんなら良い。だからこのまま楽にしてろよ、支えてるから」

「…ありがとう」


クロスの気にかけてくれる言葉が嬉しくて遠慮なく身体を預けてしまった
我ながらなんて現金な奴


そのあと、シェリーにもう一度謝って次からは隠し事はしないと約束をしてから教室へ向かうよう促した
それでも心配そうにこちらを見つめてくるシェリーを安心させるためにクロスもいるから大丈夫だということを伝えれば余計に悲しそうな顔をされた
え、なぜに??


「シェイルス先生、今度またゆっくりとお話ししましょう」

「はい、その時を楽しみにしています」

最後にクロスとシェリーがそのような言葉を交わしながらシェリーは教室の方へと向かって行った
一瞬だけ見えた曖昧な微笑みが少し気がかりだったけど、気のせいだと思うことにした


クロスに周りから分からない程度に支えてもらいながら廊下の端に移動する
壁に寄りかかっていれば少しは楽だろうという考えからだ
それでも腕を放さずにいてくれるクロスの優しさに心がくすぐったくなった


「ていうかよく気づいたね」

「いつもと立ち方が違うし、ずっと片方にだけ重心を置くような立ち方してればそりゃ気づくだろ。何年お前の側にいる思ってんだ」

「そっか……そうだね、、ふふっ」



ああ、どうしよう
クロスにとっては至って当たり前なことを言っているだけかもしれないけど
どうしよう



私はその言葉が嬉しくて嬉しくてたまらないよ…





本当に
どうしてだろうね、クロス









しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。 断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした

タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。

処理中です...