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中編
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腕の中で眠るハクを見つめながら、昼間に聞いたハクの最終的な結論を思い出していた。
『あの子の血液からは五人の魔力があるとわかった。最低五人、あの子を生み出すために死者が出ている。そのうちの二人は魔法省登録の行方不明の魔法使いの魔力が見つかった。あの子、相当な魔法が使えると思うよ。それと…あまり言いたくないけどもうひとつ、不思議な力が見つかった。有耶無耶にしても良かったんだけど、念の為ウチに残ってる古いデータと照合してみたんだ。…あの子、鬼の血が混ってる』
額を撫でた。
平たく小さい、普通の額だ。鬼といえば見たことはないが角があるイメージだ。ハクにはない。
(そもそも鬼ってなんだ? そんなもん存在すんのか?)
長らく魔法省に勤めるが聞いたことがない。
『僕も鬼は会ったことないしなんでその血液データがウチにあるのかもよくわからない。でも一致したんだ。…ここからは推測だけど、あの子は何回か掛け合わせて作られたと思う。作ったキメラとキメラをかけ合わせて、そこに鬼の血も混ぜた。キミが殺しちゃったあの研究員、あの子を見てナイフを振りかざしたでしょ? たぶんあの子を元にまた別のキメラを作ろうと思ったんじゃないかな…。そもそも人間しか掛け合わせてないからキメラと呼ぶのかもよくわからない。…鬼の子、とでも呼ぶのが一番近いと思うよ』
額を撫で、頭も撫でる。角らしきものはやはりない。
ついでに頬を撫で、唇をむにむに触っていると「んう」と変な声を上げながらハクが目を覚ました。
「んー…なあに…」
「お前を起こしただけだ」
「もうちょっと寝かせてよお…」
「だめだ。起きて俺の相手をしろ」
「えー…」
ハクがくすくす笑うのを見ながら頬にキスをしてやる。
「そういやお前、鬼の血が混ってるってさ」
「鬼?」
「そ」
「へー」
「興味ねえ?」
「うん、あんまりないねえ」
「いいことだ」
出自を知ったからといって現実が変わるわけでもない。
ふとハクを抱きしめると、不自然に両足をもぞもぞ擦り付けていることに気づいた。
「んだよ、もう勃たせてんのかよ」
「どうせ寝てる間にクロガネくんが触ったんでしょ?」
「いや、触ってねえけど」
「…え、うそ」
にっこり笑ってやると「どっちなのー!?」と叫ばれたためその唇を塞いでやる。
すぐさま目がとろんと落ち、首元に腕を巻きつけられる。深く舌を入れてやるとおずおずと伸びた小さな舌が絡んでくる。ちゅぷちゅぷと、かわいらしい音が響いた。
大きな手のひらでハク自身を包み込んで上下に扱く。先端からたらりと垂れた体液を全体に擦り付けると、じゅぷじゅぷと水音が大きく広がった。
「あ、あ、あ…きもち、い…んっ、んっ」
「かわいいなあハク。腰揺れてんぞ」
「だって…んっ、んっ」
口元を抑えようとする腕を一纏めにして頭の上で固定する。片目に映るハクの金色の瞳が、キラキラ光り輝いていた。
ーーキレーな目だな。片目なのにすげー眩しい。
そう、この瞳に恋をした。キメラとして鬼の子として生まれたこの瞳に。
瞳だけじゃない、全身が輝いて見えた。
まだ何色にも染まらず何もかもがわからない、けれども生まれたこと自体を喜んでいる…純真無垢という言葉がまさにぴったりだった。
生まれ落ちた真っ白な存在が消えてほしくなかったーーだからあの時、咄嗟に前に立ってしまった。
最終的に片目となったが何ひとつ後悔していない。この腕の中にあの時の光り輝く存在がいてくれる。
「ハク」
残る左目に映るハクは真っ赤な顔で、額から大汗をかいていた。その汗でさえ貴重なものに映る。
思わず舌で舐めとるとハクはくすぐったそうに笑った。
腕を解いてやると、そっと伸びた小さな手のひらで右目を撫でられる。いつもこの瞬間だけは困ったように笑っている。
「なあ、ハク」
「…欲しいのは謝罪じゃなくて愛情、でしょ?」
「わかってんじゃねえか。さっさとくれよ、愛情を」
そう言うとハクはまた困ったように笑った。
きっとどうでもいいバカみたいなことを考えているのだろう。…愛情をくれるのはもう少し先のようだ。
(それでもいい。コイツさえそばにいてくれれば)
先端をぐりぐりと押し付けながら口付ける。喘ぎ声は全てキスの中へと消えた。
クロガネに抱きつきながら、ハクはこの腕の中で果てた。
「ねえ、なんで僕の名前ってハクなの? クロガネくんが付けたんでしょ?」
「お前が真っ白で生まれたから。シロじゃおもしろくねえからハク」
「僕そんなに白いかなあ」
「まあもちろん肌も白いけど、そうじゃねえよ。お前が生まれた瞬間を俺は見たんだ。まさに純真無垢な神様が生まれたと俺は思ったね」
「神様?」
「ああ、お前は俺の神様だ」
「キメラで鬼の子で神様。…僕ってなんだか忙しないね」
「ははっ、全部合わせて俺の嫁でいいだろ」
「クロガネくんのお嫁さんかあ…悪くないね!」
「偉そうな返事しやがって。抱き潰してやろうか」
「きゃー」
「なあハク。俺のそばにいてくれな」
困ったように笑うハクの頬に、そっとキスをした。
『あの子の血液からは五人の魔力があるとわかった。最低五人、あの子を生み出すために死者が出ている。そのうちの二人は魔法省登録の行方不明の魔法使いの魔力が見つかった。あの子、相当な魔法が使えると思うよ。それと…あまり言いたくないけどもうひとつ、不思議な力が見つかった。有耶無耶にしても良かったんだけど、念の為ウチに残ってる古いデータと照合してみたんだ。…あの子、鬼の血が混ってる』
額を撫でた。
平たく小さい、普通の額だ。鬼といえば見たことはないが角があるイメージだ。ハクにはない。
(そもそも鬼ってなんだ? そんなもん存在すんのか?)
長らく魔法省に勤めるが聞いたことがない。
『僕も鬼は会ったことないしなんでその血液データがウチにあるのかもよくわからない。でも一致したんだ。…ここからは推測だけど、あの子は何回か掛け合わせて作られたと思う。作ったキメラとキメラをかけ合わせて、そこに鬼の血も混ぜた。キミが殺しちゃったあの研究員、あの子を見てナイフを振りかざしたでしょ? たぶんあの子を元にまた別のキメラを作ろうと思ったんじゃないかな…。そもそも人間しか掛け合わせてないからキメラと呼ぶのかもよくわからない。…鬼の子、とでも呼ぶのが一番近いと思うよ』
額を撫で、頭も撫でる。角らしきものはやはりない。
ついでに頬を撫で、唇をむにむに触っていると「んう」と変な声を上げながらハクが目を覚ました。
「んー…なあに…」
「お前を起こしただけだ」
「もうちょっと寝かせてよお…」
「だめだ。起きて俺の相手をしろ」
「えー…」
ハクがくすくす笑うのを見ながら頬にキスをしてやる。
「そういやお前、鬼の血が混ってるってさ」
「鬼?」
「そ」
「へー」
「興味ねえ?」
「うん、あんまりないねえ」
「いいことだ」
出自を知ったからといって現実が変わるわけでもない。
ふとハクを抱きしめると、不自然に両足をもぞもぞ擦り付けていることに気づいた。
「んだよ、もう勃たせてんのかよ」
「どうせ寝てる間にクロガネくんが触ったんでしょ?」
「いや、触ってねえけど」
「…え、うそ」
にっこり笑ってやると「どっちなのー!?」と叫ばれたためその唇を塞いでやる。
すぐさま目がとろんと落ち、首元に腕を巻きつけられる。深く舌を入れてやるとおずおずと伸びた小さな舌が絡んでくる。ちゅぷちゅぷと、かわいらしい音が響いた。
大きな手のひらでハク自身を包み込んで上下に扱く。先端からたらりと垂れた体液を全体に擦り付けると、じゅぷじゅぷと水音が大きく広がった。
「あ、あ、あ…きもち、い…んっ、んっ」
「かわいいなあハク。腰揺れてんぞ」
「だって…んっ、んっ」
口元を抑えようとする腕を一纏めにして頭の上で固定する。片目に映るハクの金色の瞳が、キラキラ光り輝いていた。
ーーキレーな目だな。片目なのにすげー眩しい。
そう、この瞳に恋をした。キメラとして鬼の子として生まれたこの瞳に。
瞳だけじゃない、全身が輝いて見えた。
まだ何色にも染まらず何もかもがわからない、けれども生まれたこと自体を喜んでいる…純真無垢という言葉がまさにぴったりだった。
生まれ落ちた真っ白な存在が消えてほしくなかったーーだからあの時、咄嗟に前に立ってしまった。
最終的に片目となったが何ひとつ後悔していない。この腕の中にあの時の光り輝く存在がいてくれる。
「ハク」
残る左目に映るハクは真っ赤な顔で、額から大汗をかいていた。その汗でさえ貴重なものに映る。
思わず舌で舐めとるとハクはくすぐったそうに笑った。
腕を解いてやると、そっと伸びた小さな手のひらで右目を撫でられる。いつもこの瞬間だけは困ったように笑っている。
「なあ、ハク」
「…欲しいのは謝罪じゃなくて愛情、でしょ?」
「わかってんじゃねえか。さっさとくれよ、愛情を」
そう言うとハクはまた困ったように笑った。
きっとどうでもいいバカみたいなことを考えているのだろう。…愛情をくれるのはもう少し先のようだ。
(それでもいい。コイツさえそばにいてくれれば)
先端をぐりぐりと押し付けながら口付ける。喘ぎ声は全てキスの中へと消えた。
クロガネに抱きつきながら、ハクはこの腕の中で果てた。
「ねえ、なんで僕の名前ってハクなの? クロガネくんが付けたんでしょ?」
「お前が真っ白で生まれたから。シロじゃおもしろくねえからハク」
「僕そんなに白いかなあ」
「まあもちろん肌も白いけど、そうじゃねえよ。お前が生まれた瞬間を俺は見たんだ。まさに純真無垢な神様が生まれたと俺は思ったね」
「神様?」
「ああ、お前は俺の神様だ」
「キメラで鬼の子で神様。…僕ってなんだか忙しないね」
「ははっ、全部合わせて俺の嫁でいいだろ」
「クロガネくんのお嫁さんかあ…悪くないね!」
「偉そうな返事しやがって。抱き潰してやろうか」
「きゃー」
「なあハク。俺のそばにいてくれな」
困ったように笑うハクの頬に、そっとキスをした。
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