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147 国の運命を左右する枕(王子視点)
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今、まさに。竜が頭を乗せかけたソレに見覚えがあった。
どういう仕組みなのかは分からないが、我が国のダンジョンには必ずリセットボタンが付いている。ソレが押されると、まるで再攻略の邪魔をするかのようにダンジョン内の配置が変わる。
おそらくは古代の魔法がかかわっていると思われるが、それによりアイテムが復活したりするのだ。
ダンジョンによってリセットボタンの発動条件は違うが、ここのダンジョンの発動条件は発動魔力の確保、及びダンジョンの主の討伐――もしくは捕獲の為の睡眠状態への誘導。
発動条件がクリアされれば、ボタンを押したときに効果が現れる。条件が満たされていないときは押しても無反応。ただのオブジェだ。
初期のラスボス的な存在はとっくの昔に討伐されていたので、過去の王族がダンジョンのラスボス部屋をリフォームして竜の寝床として再利用をしたらしい。
なので、現在のダンジョンの主は名実ともにこの竜だ。
もともとダンジョンは魔力が多い場所に存在するものだし、魔力は放っておいても自然に回復する。だから、条件1はクリア。
そして我が国からすれば神的な存在なので竜の討伐はあり得ない。しかし、竜が闇堕ちしかけて封印されてからは強制的に眠らされていたわけで――。
竜が寝返りを打つたびに変わったダンジョンの地形。
僕はソレを竜の寝返りの際の振動が、落石や地盤沈下を誘発して地形の変化をもたらしているのだろうと思い込んでいたのだが。……もしかして…………。
「竜の姿でリセットボタンを枕にしていたせいで、寝返りを打つ度に、セルフリセットしちゃってた……?」
フイっと。バツが悪そうに竜が目を逸らした。
なんてことだ!! 何度も攻略のやり直しをする羽目になったダンジョンの地形の変化は竜の枕のせいだった!!
枕がないと眠れない。
――いや駄目だ。
しかし、枕がないと不眠の不満から闇堕ちしかねない。精神の安定には番の気配がするこの結晶体が必要……。
――攻略に来るたび成果をリセットされてしまったらそもそも来る意味がない。クマちゃんを連れてきてほしくないのか。
でも、枕が……。
竜と僕との押し問答の末、代わりの枕を用意することで話は付いた。それまでは、魔力結晶入りの例の宝箱を枕にして眠るそうだ。
『ふぅむ、コレも悪くない……が、ワシも寝相がいい方ではないからな。うっかり宝箱を蹴り飛ばしてしまうかもしれん。以前にもそういうことがあったのだ。箱は見つけたが、中身が消えてしまっていた。そうしたら再び夢見が悪くなって、荒れ狂う。ワシに近づくもの全てをサクッとしたくなるかもしれぬ。そうなる前にワシ用の新しい枕を用意することをお勧めする……』
そう言うと。竜はもはやコチラには目もくれず、穏やかな顔で目を閉じた。ほどなくして寝息が聞こえ、竜の口元がニヤニヤと緩む。番の夢でも見ているらしい。
この国の未来は竜の枕に託された。
そして、クマから取り出した魔力結晶の影響を受けて見る夢が召喚主だったら嫌だなあ……と、竜のニヤケ顔を見て思った。
なので。
国の為にも。僕の心の安定のためにも。
一刻も早く代わりの枕を見つけよう――そう決意した。
どういう仕組みなのかは分からないが、我が国のダンジョンには必ずリセットボタンが付いている。ソレが押されると、まるで再攻略の邪魔をするかのようにダンジョン内の配置が変わる。
おそらくは古代の魔法がかかわっていると思われるが、それによりアイテムが復活したりするのだ。
ダンジョンによってリセットボタンの発動条件は違うが、ここのダンジョンの発動条件は発動魔力の確保、及びダンジョンの主の討伐――もしくは捕獲の為の睡眠状態への誘導。
発動条件がクリアされれば、ボタンを押したときに効果が現れる。条件が満たされていないときは押しても無反応。ただのオブジェだ。
初期のラスボス的な存在はとっくの昔に討伐されていたので、過去の王族がダンジョンのラスボス部屋をリフォームして竜の寝床として再利用をしたらしい。
なので、現在のダンジョンの主は名実ともにこの竜だ。
もともとダンジョンは魔力が多い場所に存在するものだし、魔力は放っておいても自然に回復する。だから、条件1はクリア。
そして我が国からすれば神的な存在なので竜の討伐はあり得ない。しかし、竜が闇堕ちしかけて封印されてからは強制的に眠らされていたわけで――。
竜が寝返りを打つたびに変わったダンジョンの地形。
僕はソレを竜の寝返りの際の振動が、落石や地盤沈下を誘発して地形の変化をもたらしているのだろうと思い込んでいたのだが。……もしかして…………。
「竜の姿でリセットボタンを枕にしていたせいで、寝返りを打つ度に、セルフリセットしちゃってた……?」
フイっと。バツが悪そうに竜が目を逸らした。
なんてことだ!! 何度も攻略のやり直しをする羽目になったダンジョンの地形の変化は竜の枕のせいだった!!
枕がないと眠れない。
――いや駄目だ。
しかし、枕がないと不眠の不満から闇堕ちしかねない。精神の安定には番の気配がするこの結晶体が必要……。
――攻略に来るたび成果をリセットされてしまったらそもそも来る意味がない。クマちゃんを連れてきてほしくないのか。
でも、枕が……。
竜と僕との押し問答の末、代わりの枕を用意することで話は付いた。それまでは、魔力結晶入りの例の宝箱を枕にして眠るそうだ。
『ふぅむ、コレも悪くない……が、ワシも寝相がいい方ではないからな。うっかり宝箱を蹴り飛ばしてしまうかもしれん。以前にもそういうことがあったのだ。箱は見つけたが、中身が消えてしまっていた。そうしたら再び夢見が悪くなって、荒れ狂う。ワシに近づくもの全てをサクッとしたくなるかもしれぬ。そうなる前にワシ用の新しい枕を用意することをお勧めする……』
そう言うと。竜はもはやコチラには目もくれず、穏やかな顔で目を閉じた。ほどなくして寝息が聞こえ、竜の口元がニヤニヤと緩む。番の夢でも見ているらしい。
この国の未来は竜の枕に託された。
そして、クマから取り出した魔力結晶の影響を受けて見る夢が召喚主だったら嫌だなあ……と、竜のニヤケ顔を見て思った。
なので。
国の為にも。僕の心の安定のためにも。
一刻も早く代わりの枕を見つけよう――そう決意した。
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