魅了堕ち幽閉王子は努力の方向が間違っている

堀 和三盆

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335 二人で飲めるもん 前編

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「「カンパ~イ!!」」

「この茶色いの、揚げてあるのにサッパリしていてすごく美味しいな……! コーラ味のお酒とよく合う」

「ねー、揚げたてはやっぱ違うよね!」


 中華まんとコンビニコーヒーだけのプチお花見を終わらせて。アパートに戻り王子を異世界に帰した後、私は大急ぎで夜のお花見に向けてご馳走を用意した。

 ――ま、ご馳走といっても、ただのから揚げなんですけどね。

 それでも揚げ物はただでさえ高い油をたくさん使うし、後始末も面倒だから滅多にやらない……という点では、時間とお金のない私みたいな貧乏学生にとっては間違いなくご馳走と言っていい。
 しかも、油の温度にさえ気を付ければそれなりの味になるし、揚げたてなだけで美味しく感じるのも評価が高いところだ。

 ちなみに市販の唐揚げ粉を使わないのは腕に自信があるわけでも何でもなく、ただの節約。面倒な分、下味をつける際にしょうがを多く入れたりと、自分好みの味に寄せてありますけどね。
 何を作るかメニューについては色々悩んだけど、

『お酒には揚げ物が外せない』

 ……って、兄弟で一番お酒に強い3番目のお兄ちゃんが言っていたのでそれを参考にした。

 私としてはお酒を買う余裕があるなら乙女ゲーを買いたいのでその辺はよく解らないんだけど、確かに合う気はする……かな? 
 正直、お酒って成人式の後にちょっと飲ませてもらっただけだからよく分からないんだよね。適量とかも判らないから、とりあえず半額のお惣菜とかと一緒に7~8缶買ってきたんだけど……


 ………えへへ、あー……スーパーへ行く途中に見た夜の桜もすっごくキレイだったなぁ~……
 ……それに、なんか顔が熱いし体がふわふわするぅ~……


「……!?? な、なんか顔が真っ赤でフラフラしているが大丈夫なのか? 召喚主は成人したと言っていたよな? この世界の法律的にもう飲んでもいいんだよな? …………本当に??」

「なによー、王子ったら失礼ねー。私、成人したもん。去年の誕生日にちゃんと二十歳になったもん。成人式の日に、『ようやく一緒に酒が飲めるな』ってお兄ちゃんにも言われたし……あれ? そのあと、お兄ちゃんに『お前は酒飲むのは止めとけ』って言われたような……あれれぇ?」


 なんか、少し気持ち悪くなってきたし、想像していた感じとちょっと違うんだけど……
 まだコップ四分の一も飲んでいないのに、これ以上飲むのはまずい……気が……


「……どうやら召喚主はあまり酒に強くないようだ。お兄さんの言うことが正しい。召喚主はジュースにしておいた方がいいと思う」

「そんな!」


 嘘でしょう? あの日は朝から着付けで疲れていたし、お酒が飲めないのはそのせいだと思っていたのに……。
 大人になったら、私もお兄ちゃんみたいにお酒を飲みながらゲームができると憧れていたのに……。


「残念だが、こういうのは体質もあるからな。男性の中には飲酒をすると理性を無くすような不届き者もいるし、特に女性は危険が色々とあるから、酒に弱い召喚主は社交の場での飲酒は避けた方がいい。夜会の場ではそういったトラブルが割とよくあるんだ」

「そんなぁー……。3番目のお兄ちゃんは乗り物も3Dゲームもお酒もほとんど酔わないし、顔色一つ変えないで平気な顔をしているのに。同じ兄弟なのに何で私だけ全滅……」


 ……ん?


 そういえば、私って3D酔い激しくて滅茶苦茶それ系のゲーム弱かったのに、王子が3D酔い防止眼鏡を手に入れてからは一緒になってゲームしてたよね? 王子に引っ付いていれば、酔い止め効果のおこぼれに与れるからって。

 元々は漁師さんの船酔い防止に使われていたセイレーンの魅了効果を利用した特殊な技術を使用しているとかなんとか言っていたけど――

『乗り物酔いと3D酔いに効果あり』

 これは、ひょっとするとひょっとするかも!


「……ねえ……王子にあの眼鏡をかけてもらって、お酒を飲んでいる間中ずっと王子に引っ付いていれば……私でも悪酔いせずにお酒を飲めるんじゃないかな……?」

「…は……?」




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