29 / 29
番外編
6 もう一人のフェデルタともう一人の旦那様と公爵家の子供達
しおりを挟む悲しい最期はなくなった。
そのおかげで侍女も公爵様も長生き出来て、今はその何代後だったかしら? ちょっと数えるのが面倒ね。
今も公爵家には私達の部屋がある。日々、公爵家の子孫の誰かが世話を焼く。
これも愛する旦那様が体を張って公爵家にまとわりついていた呪いを引き受けてくれたおかげね。いくら天才のお父様がそうと望んでも、私の旦那様が自分で望まなかったら上手くはいかなかったはずだもの。
だって――。
あのとき旦那様にもちゃんと魂が宿っていたから。
私と素材が違うから本当に微かな魂だったけれど、それでも毎日旦那様の愛は感じていたわ。だからこそ私も旦那様を愛したの。
その身に呪いを引き受けた旦那様だけど、日々可愛い子孫の誰かが世話を焼いてくれるから不自由はまったく感じていない。
私と旦那様にとって侍女と公爵様の子供は私達の子供のようなものだもの。当然その子孫だって可愛いわ。
それに、呪いを引き受けたのだって悪い事ばかりじゃない。
長年この公爵家に絡みつき、膨れ上がった魔力を呪いと共に旦那様が手に入れた事で、微かだった旦那様の魂がちゃんとしたものに成長したの。
驚いたわ。人間だけでなく、ちゃんと人形だって成長するのね。
流石は私のお父様。魂のこもった人形を生みだせる大・天・才! の人形師。
おかげで私と旦那様はこの公爵家で長い長い時間を過ごせている。
まあ、狂おしいまでに貪欲に愛を求める魔力を吸収したせいで旦那様の私への愛はとっても重いけれど。
でも私のそれだって負けてはいないわ。今でもちょっぴり侍女のキス未遂を根に持っているくらいにはね。
私達は長い永遠を生きることの出来る魂のこもったお人形。
旦那様に宿った哀しい思いを拗らせた誰かの妄執は永遠の愛を手に入れた。満足した思いは少しずつ浄化されて、女神様の元に還っていく。
そしてすべてが浄化された時、私達は普通のお人形に戻る。
……旦那様の愛は重いから長い長い時間がかかるけれど。
大丈夫! 私の核となっている素材は強いから、全て全て受け入れて見せるわ。なんてったって、私は大・天・才! のお父様の娘ですからね!
可愛い可愛い私と旦那様の子供達。
侍女の思いを正しく受け継いで真っすぐに育っている姿が愛おしい。旦那様の心が癒されていくのを感じるわ。
愛しい愛しい私と旦那様の子供達。
願わくばそのままの心を受け継いでいってちょうだいね。
私と旦那様が見守っていってあげるから。
正しい愛情に全ての妄執が消えて。
私達が普通のお人形に戻るまで――…
160
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
ソウシソウアイ?
野草こたつ/ロクヨミノ
恋愛
政略結婚をすることになったオデット。
その相手は初恋の人であり、同時にオデットの姉アンネリースに想いを寄せる騎士団の上司、ランヴァルド・アーノルト伯爵。
拒否に拒否を重ねたが強制的に結婚が決まり、
諦めにも似た気持ちで嫁いだオデットだが……。
王太子殿下の想い人が騎士団長だと知った私は、張り切って王太子殿下と婚約することにしました!
奏音 美都
恋愛
ソリティア男爵令嬢である私、イリアは舞踏会場を離れてバルコニーで涼んでいると、そこに王太子殿下の逢引き現場を目撃してしまいました。
そのお相手は……ロワール騎士団長様でした。
あぁ、なんてことでしょう……
こんな、こんなのって……尊すぎますわ!!
聖女の座を追われた私は田舎で畑を耕すつもりが、辺境伯様に「君は畑担当ね」と強引に任命されました
さら
恋愛
王都で“聖女”として人々を癒やし続けてきたリーネ。だが「加護が弱まった」と政争の口実にされ、無慈悲に追放されてしまう。行き場を失った彼女が選んだのは、幼い頃からの夢――のんびり畑を耕す暮らしだった。
ところが辺境の村にたどり着いた途端、無骨で豪胆な領主・辺境伯に「君は畑担当だ」と強引に任命されてしまう。荒れ果てた土地、困窮する領民たち、そして王都から伸びる陰謀の影。追放されたはずの聖女は、鍬を握り、祈りを土に注ぐことで再び人々に希望を芽吹かせていく。
「畑担当の聖女さま」と呼ばれながら笑顔を取り戻していくリーネ。そして彼女を真っ直ぐに支える辺境伯との距離も、少しずつ近づいて……?
畑から始まるスローライフと、不器用な辺境伯との恋。追放された聖女が見つけた本当の居場所は、王都の玉座ではなく、土と緑と温かな人々に囲まれた辺境の畑だった――。
【完結】遅いのですなにもかも
砂礫レキ
恋愛
昔森の奥でやさしい魔女は一人の王子さまを助けました。
王子さまは魔女に恋をして自分の城につれかえりました。
数年後、王子さまは隣国のお姫さまを好きになってしまいました。
退役騎士の居候生活
夏菜しの
恋愛
戦の功績で騎士爵を賜ったオレーシャは辺境を警備する職に就いていた。
東方で三年、南方で二年。新たに赴任した南方で不覚を取り、怪我をしたオレーシャは騎士団を退役することに決めた。
彼女は騎士団を退役し暮らしていた兵舎を出ることになる。
新たな家を探してみるが幼い頃から兵士として暮らしてきた彼女にはそう言った常識が無く、家を見つけることなく退去期間を向かえてしまう。
事情を知った団長フェリックスは彼女を仮の宿として自らの家に招いた。
何も知らないオレーシャはそこで過ごすうちに、色々な事を知っていく。
※オレーシャとフェリックスのお話です。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
【完結】微笑みを絶やさない王太子殿下の意外な心の声
miniko
恋愛
王太子の婚約者であるアンジェリクは、ある日、彼の乳兄弟から怪しげな魔道具のペンダントを渡される。
若干の疑念を持ちつつも「婚約者との絆が深まる道具だ」と言われて興味が湧いてしまう。
それを持ったまま夜会に出席すると、いつも穏やかに微笑む王太子の意外な心の声が、頭の中に直接聞こえてきて・・・。
※本作は『氷の仮面を付けた婚約者と王太子の話』の続編となります。
本作のみでもお楽しみ頂ける仕様となっておりますが、どちらも短いお話ですので、本編の方もお読み頂けると嬉しいです。
※4話でサクッと完結します。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる