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番外編

5 もう一人のフェデルタだけが知っている

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 何だかんだ、侍女と侍女の思い人である公爵様はうまくいったみたい。

 侍女と公爵様が結婚式を挙げた後。侍女は私にもウエディングドレスを着せてくれた。そして、私の旦那様にもタキシードを着せてくれたわ。

 そして、私達の為にささやかな結婚式を挙げてくれた。旦那様とは誓いの口づけだってしたんだから。侍女とその旦那様も粋な計らいをするじゃない。

 ああ、もう私の旦那様ったらなんて素敵なのかしら。何回だって惚れ直しちゃう。


 あのキス未遂の件は頭にはきたけれど、あの子もあのあと自分の旦那様にこってり絞られていたしね。侍女は大・天・才! 人形師の娘である私とは違ってごく普通の人間だし、迂闊なのは仕方がないわ。

 二度目は許さないし絶対にさせないけれど。悪いけどしっかりと見張らせてもらうわよ。その辺公爵様も協力してくださっているしね。



 …………まあね、一度目のときは未遂かどうかはちょっと微妙なトコだったけど。あれは無かったことになっているからノーカウントにしてあげる。


 そう。実はこのやり取りも二回目だ。


 一回目。幸せな結婚をした後、侍女の旦那様はしばらくして天に召されて、その後侍女も体を壊して公爵様の後を追うように旅立った。

 そして女神様の元へと旅立つ前。侍女は翳り始めた自分の命の灯火が尽きる前に、私と旦那様のことをファーレお父様に頼んでくれていたのだ。




『この子とこの子の旦那様をずっと一緒に過ごさせてあげて欲しい』――――

 侍女からそう頼まれたお父様は根気強く私達を任せられる相手を探してくれていたんだけど。

 ……ほら。お父様ってば大・天・才! だからやっぱり完璧主義なトコあるじゃない? 相手にこだわり過ぎて自分の寿命が尽きてタイムアップになっちゃったのよ。

 ――で、お店が取り壊されて愛する旦那様と離れ離れにされそうになったのに抵抗して、お父様が奮発してくれた私の核となっている素材の魔力を全力で出力して願っちゃったのよね。



『こんなのダメよ、もう一度』

 ――――って。



 ……それで時間が巻き戻るのだから、我が家の家計が傾くはずだわ。私に何て素材を使っているんだか。下手したら国が滅んでいたわよ?

 お父様ったら加減を知らないんだから。だから周囲から変態とか呼ばれちゃうのよ。

 ――ま、それでこの世に生み出してもらった娘の私は自慢に思ってますけどね☆




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