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24 分かたれた未来(竜王視点)
「……すまなかった。判別が長引いてしまったせいで――私がリベルタ嬢の若さを奪ってしまったのだな」
「い……いえ! 申し訳ありません、こちらこそ余計なことを言ってしまいまして……」
ヴァールが声を荒げたせいだろう。リベルタの顔色が少し悪くなってしまった。ヴァールはそれを申し訳なく思った。
お茶にでも誘って気分転換をさせてやるべきだろうか。いや、成人したのだから、ここは酒でも――と誘うべきか。
判断付かずにヴァールが迷っていると。
「ヴァール様」
懐かしい聞き覚えのある声に名を呼ばれた気がして、ヴァールは声の方向へと振り返る。
視界の先に一瞬母親の姿を見るが――すぐにそれは別人だと分かった。
ヴァールの母と同じ髪色と目の色。
過去に見覚えのある顔だった。名は確か……。
「あ……あの、竜王様っ! 旅の疲れもありますし、私はそろそろ御前を失礼させていただいても……っ?」
「あ……? ああ、すまないな、リベルタ嬢。帰るところを呼び止めてしまった。……アシュランス伯爵家の爵位継承については先ほど言った通り承知した。すぐに対処するから、今日は安心して旅の疲れをとってくれ」
見覚えのある髪色と目の色に……。
記憶の中を探っていたら、答えが出る前にリベルタから問いかけられた。
――何やら急いでいるようだ。ならばちょうどいいか。
ヴァールはリベルタに対し別れの挨拶を返す。
少し心配ではあったが、表情が明るいのでまあ大丈夫だろう。ヴァールはそう判断して声をかけてきた人物の元へと向かう。
そういえば、今年は別のことに気を取られほとんど社交をしていない。人間国からも使者が来ているし、会場へと戻って少しは話さなくてはいけないだろう。
目的の人物に近寄ればすぐにその正体を思い出した。
そして、すぐに名前が出てこなかった理由にも思い当たる。
「ああ、以前、交流事業でお会いしましたね。公爵家の……」
「まあ! 覚えていてくださったのですね。お会いしたのは何年も前ですのに」
すぐに歳をとってしまう人間。若々しかった記憶の中の姿とは違うけれど、その髪色と目の色は忘れない。ちらほらと髪の間に見える白いモノも、ヴァールにとっては温かい記憶の範疇にある。
ヴァールの母親と同じ公爵家出身の令嬢……今では未亡人らしい。一度は嫁いで夫とは死に別れて実家へと戻ったそうだ。
どうやら、新獣人国に詳しいからと、年頃の令嬢達の引率を頼まれたらしい。
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その後――
ヴァールは番を見つけることは出来なかった。
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