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バルテルとハルツハイム
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『もう一人だけ!次で男だったら諦めるから!』
妻は娘を欲しがっていた。
私としてはどちらでも良かった。
既に男児は二人授かっていたし、これ以上子供が必要とも思えなかったが、彼女は違ったらしい…
稼ぎなら家族を養うに十分にあるし、子供を育てるのは妻だ。少し面倒ではあったが、断るほどの理由もなかった…
上の二人も私の知らないうちに大きくなっていた。
息子たちとの関わりも乏しく、どちらも私に似ていなかった。興味をもてなかった理由はそういうところにもあったのだろう。
どうにも自分の子供という実感が希薄だった。
今思えば父親として最低だったと思う。
結果として三人目として授かった子供は男の子だった。
それでも、残念がる妻とは対照に、私は自分の目と髪の色を受け継いだ息子を歓迎していた。
アダルウィンが産まれて、私にも少しだけ父親としての感情が芽生えた。容姿が似ているという単純な理由だけで、私はアダルウィンに愛着を感じていた。
妻にも『アダルウィンには世話を焼くのね』言われる始末だ。彼女は意外と私の事を見抜いていたらしい。
『私が欲しくて産んだのに、これじゃ貴方の為みたいじゃない?』
彼女は拗ねながらそう言って、私に負けじと末の息子を可愛がり、二人の兄も自分たちより弱い存在を取り合うように世話をしていた。
家にほどんと寄り付かない父親に出番などなかった。
息子たちにとって、私は時々家に訪れる顔見知り程度の存在だったことだろう。当然の結果だ…
名誉ある仕事と忙しさを言い訳にして、家族との時間をおろそかにした私に今更帰る場所などなかった。気付いた時にはもう手遅れで、もう家族に戻るのは諦めていたが、一度自覚した父性は消えなかった。
特に三男のアダルウィンの将来をどうするか思い悩んでいた。
三男は余程の事がない限り家督は継げない。どこかの家に婿養子に出すのが最善だ。それでも、私はアダルウィンの父でいたかったのだ…
ユリア嬢と引き合わせ、ブルームバルトに送り出したのはそういう気持ちがあったからだった。
顔を見る度に、自分の血を分けた息子なのだと自覚する。
その想いがいつしか息子への一方的な期待に変わっていたのだろう…
「改めまして。治療院の責任者であるアショフ・ファーナーです。
ご子息の治療を担当いたしました。ハルツハイム卿の現状についてご説明致します」
別室に通されて、レプシウス師の弟子だった男は私に息子の状態について簡潔に説明してくれた。
「左側の後頭部に裂傷ができるほどの一撃を受けています。当たりどころが悪ければ亡くなっていたかもしれません。
頭部へのダメージで、ハルツハイム卿は一時的な記憶喪失に陥っていると考えられます。現在の彼の精神状態は12歳の少年です。
バルテル卿の立場もおありでしょうが、ハルツハイム卿は非常に不安でいらっしゃいます。
今はどうかご指導はご容赦ください」
アダルウィンが…
まるで雷に打たれたような衝撃だった。まさか息子がそんな状態だとは思いもよらなかった…
「大丈夫ですか、バルテル卿?」
「…大丈夫です」
ファーナー師の問いかけにそう答えるのがやっとだった。
アダルウィンの俯いている姿が脳裏に浮かんだ。
感情的になって息子を叱ろうとした事を後悔していた…
「説明を続けてよろしいでしょうか?」と、話を進めようとするファーナー師に何とか頷いて話の続きを聞いた。
「今は経過を観察するしかありません。頭の中までは見ることはできませんから、慎重に事を進める必要があります。精神的にも身体的にも強い刺激は避けて下さい。
不幸中の幸いと言えるかは分かりませんが、ご子息の怪我は命に係わるほどの重傷ではありません。記憶に関しても、一時的な忘却である可能性もあります」
「…アダルウィンは…もし、記憶が戻らなければ?」
「その可能性も十分にあり得ます。そうだとしてもハルツハイム卿はまだお若いですし、万が一記憶が戻らないとしても数年分なら取り返せるかと思います。生活には支障ありません」
『生活には支障ありません』と言う言葉は楽観的なようだが、その言葉は何かを諦めるような響きを孕んでいた。
「騎士に…息子は騎士に戻ることは難しいのでしょうか?」
「経過次第ですが、場合によっては難しくなるかもしれません。今までの記憶が戻らなければ、ロンメル家にお仕えすることが難しくなるかもしれません」
ファーナー師はその不都合な真実を隠さずに告げた。
それは私の人生で一番残酷な言葉として胸を抉った…
✩.*˚
アショフに連れられて父親が部屋から出て行った後も、アダルウィンは落ち込んだ様子だった。
「すみません、アダルウィン…僕の伝え方が悪かったんだと思います」
父親を連れて来たアルフォンスは詫びながらアダルウィンを慰めていたが、アダルウィンの毛布を握る手は悲しく震えていた。
「…いいんです…覚えてないですが、僕が父上の迷惑になるような事をしてしまったんです…
父上はいつも正しいですから…」
アダルウィンは父親を完璧な存在として尊敬しているのは知っていた。確かにバルテル卿は公人としては尊敬できる人物だ。それは俺も認めるし、バルテル卿には色々世話になったこともある。
でもそれと今の状況は違うだろう…
「アダルウィン。今は親父さんの言葉は忘れろ」
「…でも…」
「お前は何も覚えてないんだ。責めたところで反省も何もできないだろ?
今、お前に必要なのは怪我を治して記憶を戻すことだ。それ以外は気にするだけ無駄だ」
「そう…ですか?」
「そうだよ。何ならお前をほっぽり出して留守にした俺も同罪だ。叱られるなら一緒に説教されてやるよ」
「それなら僕も一緒に叱られます」とアルフォンスまで名乗りを上げた。
「僕、父に叱られるのは慣れているんです」なんて笑えない冗談だ。
「懐かしいなぁ」なんて見当違いな事を呟きながらヘラヘラしているアルフォンスにアダルウィンも困ったように苦笑いを浮かべた。
苦笑でも少し表情が柔らかくなったことで少しだけ安心した。
まぁ、万が一があっても、ブルームバルトには《女神》がいる。
悪い方に考えるより、何とでもなると楽観的に考えることにした。
アダルウィンが俺たちの存在に慣れ始めた頃に、アショフに連れられてバルテル卿が戻って来た。出て行った時とは様子がまるで違う。
「バルテル卿がロンメル男爵と話がしたいそうです。別室をご用意しましたのでご案内します」
何か文句の一つでも言いたいのだろうか?
まぁ、大事な息子を預かってこんな目に合わせてしまったのだから俺の監督責任だ。そのぐらいは受け止める気でいた。
アショフに案内された部屋で二人きりになると、バルテル卿はいきなり俺に頭を下げた。
てっきり文句を言われるもんだと思っていたから驚いていると、バルテル卿は頭を下げたまま口を開いた。
「今から申し上げるのは私の私的なお願いです。侯爵閣下の意思に反することですが、どうかお許しを…
息子は男爵閣下の命令に背きました。主命を破って行動した件については父親である私の指導不足です。誠に申し訳ございませんでした。しかし、愚息をお見捨てになりませんよう、何卒よろしくお願いいたします」
頭も上げずに必死に息子を庇おうとするバルテル卿の姿がいつもの彼とは乖離していて違和感しかない。
面食らって言葉を失っている俺に、バルテル卿は言葉を続けた。
「勝手を申し上げているのは重々承知しております。しかし、閣下におすがりするしかないのです…
息子に…アダルウィンに《白い手》をお恵み下さい…」
テレーゼの《祝福》は一部の人間にしか知らされていない。バルテル卿はパウル様の近侍として《白い手》に秘密を知っているが、それを使うのはパウル様の許可が必要だ。
それはテレーゼの安全の為であり、秘密を知る人間は少なければ少ない方が良いからだ。特に、高名な治癒魔導師が匙を投げるような案件を扱う時は慎重にならざるを得ない。
分別のあるバルテル卿が息子の為とはいえ、俺なんかに頭を下げて《白い手》を求めるとは思っていなかった。
「あの…バルテル卿。それは俺じゃなくて侯爵閣下にお願いする事かと…」
「承知しております。侯爵閣下には後程私からお願い申し上げます。しかし、今ここで男爵にもお約束頂きたいのです。
必要とあればお礼はいかほどでも用意いたします。ですので、どうか…」
必死に嘆願する姿は父親のそれで、先程見せた息子を叱った時の厳しさは消え失せていた。
意外だな…
バルテル卿はブルームバルトにアダルウィンを預けてからも、パウル様の用事以外でブルームバルトに来ることは無かったし、卿の口からアダルウィンについて訊ねられる事も無かった。
母親や兄たちは手紙などを寄越したり、ユリアも含めて実家に招待したりしていたが、その間もバルテル卿とは顔を合わせることは無かったようだ。
俺と話す時もバルテル卿の話などは出なかったし、アダルウィンから触れることもなかった。
それでもバルテル卿は末の息子に父親らしい愛情を持っていたようだった。
しかし、よく考えてみれば、その片鱗はあったのかもしれない…
なんせ、自ら縁談を持って来て、ユリアと引き合わせるくらいだ。
三男で家督を継ぐのが絶望的な末っ子を騎士に推すなど、よくよく考えれば私情を挟んだ人選だったのは間違いない。
「アダルウィンが可愛いですか?」などとつまらない事を訊いてしまったが、バルテル卿はその愚問にクソ真面目に応じた。
「アダルウィンは間違いなく私の息子です。あの子は喜ばないかもしれませんが、私は自分の姿に似ているあの子に勝手に愛着をもっているのです…」
初めて耳にするバルテル卿の本音はアダルウィンへの不器用な愛情を含んでいた。染み出すように垣間見える父親としての愛情は上手く子供に向き合えなかった後ろめたさのようにも感じられた。
しかし、アダルウィンに向けられたこの愛情は本物だろう…
なんかなぁ…俺こういうの弱いよなぁ…
「分かりました。アダルウィンはロンメル家に必要な人間ですから、俺からもパウル様に話をします」と勝手に約束してしまった。
パウル様もバルテル卿の事とあれば無下に断ったりはしないはずだ。テレーゼだってアダルウィンの為ならと迷わず《是》と答えるだろう。
「ありがとうございます」
「ただし、俺からも条件があります。今のアダルウィンには優しくしてやってください。あいつは今12歳のガキなんです」
その条件をどう理解したかは分からないが、バルテル卿は条件を快諾した。
とりあえずこの後の説教は回避できたはずだ。この時の俺はその程度にしか考えてなかった…
話を終えていったん帰ったバルテル卿を見送ってアダルウィンの待つ病室に戻った。
「あの…父上は…」
「ん?気にすんな。親父さん忙しいからな。とりあえずもう帰ったよ」
そんな適当な返事を返すと、アダルウィンは父親と顔を合わさずに済んで少し落ち着いたようだ。
親父の想いなんて子供には届いてないようだ。完全に父親の片思いだ…
それに少しだけ残念な気持ちを持ったのは俺が父親になったからだ。自分の子供がこんな風に擦違いになったら寂しいだろうな…
「なぁ、おまえさ、親父さんの事どう思ってんだ?」
余計なお世話だと思いつつも、なんとなく気になってそんなことを訊いてしまった。アダルウィンはその質問に少し戸惑っていたが、今まで聞いた事のない話をしてくれた。
「とても厳しいです。でも…時々、別人みたいに優しい時があります…」
「そうなのか?」
「先日、家に帰って来た時に父上の馬に乗せてもらいました。
侯爵閣下に下賜された大切な馬なのに、一緒に乗って、手綱を握らせてくれました」
余程嬉しかったのだろう。アダルウィンは思い出したように口元に笑みを灯した。
バルテル家は多少歪だが、二人の間に親子としての感情や想いはあるらしい。
それが確認できたんだから、まぁいいか、と自分を納得させて無駄な詮索を止めた。
✩.*˚
とんだ邪魔者が現れたものだ…
あの青年を始末するべきか悩んでいるうちに事は都合の悪い方に傾いていた。
「治療院からの報告によりますと、ハルツハイム卿の意識は戻ったようです」
「襲撃した相手について何か情報はあったのか?」
現場を引き継がせた副隊長の報告を聞きながら、自分につながるような情報が無いかと心配していたが、その憂いは杞憂に終わった。
報告によると、意識の戻ったハルツハイム卿は記憶が後退しており、とてもではないが証言を得られるような状況では無いらしい。
証言が得られないのは好都合だが、結局、彼が何故あそこにいて何をしていたのかは分からないままだ…
「記憶は戻らないのか?」
「新しい治療院の院長の話だと、失われた記憶が戻るかどうかについては治癒魔法の範疇ではないので断言はできないとのことです。それに記憶が戻ったとして、証言が取れるかどうかは保証しかねるようです」
「…なるほど」と頷いて、残念そうにため息を吐いた。
例の死体に関しては衛生的な問題で憲兵が回収した。
幸い、時間と連日の暑さで死体は身元が分からないくらい腐乱していた。腐乱死体など珍しくない治安の悪い区域という事もあり、あの情報屋の遺体は特に調べもされずに処理された。今頃、あの死体は無縁仏の公共墓地に放り込まれたことだろう。
今、一番憂うべきはハルツハイム卿の記憶の中にある…
罪を擦り付けて不審人物として拘束しようにも、相手はヴェルフェル侯爵の近侍長であるバルテル卿の息子で、《英雄》ロンメル男爵の直属の部下だ。
下手に手を出したらこちらが不利になる相手だ…
「ハルツハイム卿を襲った悪漢については目撃者が無いか聞き込みを続けろ。本人の記憶がない以上それしかない」
「承知しました」と事務的な受け答えを返しながらも副隊長の表情には何か含むものがあった。余裕のない私には彼のその態度が癇に障った。
「まだ何か?」と問うと副隊長は言葉を飲み込んで慌てて私の前から姿を消した。
全く…思い通りにいかないものだ…
部下を追い出して椅子に深くもたれてため息を吐いた。
結局、レプシウス師の葬儀は問題なく終わり、異母弟の後継者としての立場は更に強固になった。
南部が恥をかくことは望んでいなかったが、異母弟の成功は妬ましい…
情報屋から聞き出した例の呪いはあくまでガセネタだったようだ。
半信半疑だったからそれに関しては大して期待していなかったが、やはり裏切られたような気分だ…
こんなことでは、ミリヤムを元の生活に戻してやるなんて夢のまた夢だろう。私は不甲斐ない夫だ…
遠くからの鐘の音に顔を上げると、もう太陽が帰り支度をする時間だった。
門限の前に鳴らす鐘の音は帰宅を促す合図だ。交代勤務の合図でもある。
その音を聞いて彼女の待つ家に帰りたくなった。
随分家を空けてしまった。彼女は私の帰りを待っているだろう。
今日の分の日誌を付けて仕事を締めた。
今日は久しぶりに真っ直ぐ家に帰ろう。
寄り道をする必要も無い。
寂しい思いをさせてしまっただろうな…
彼女はちゃんと食事を取っていただろうか?
具合はどうだろう?
子供は?今日も元気に動いているのだろうか?
早く彼女に会いたいと思っているのは私の方だ。
私はこの疲れを癒すために、《家族》という安らぎを求めていた。
✩.*˚
アダルウィンとアルフォンスを治療院に残してパウル様に会いに行った。
パウル様の滞在先に顔を出すと、開口一番に「何をしていた?」と険しい顔で訊ねた。
てっきりアダルウィンの件に関してかと思っていたが、パウル様の指摘は俺自身に向けられたものだった。
「ロンメル男爵、酷い臭いだぞ?風呂と着替えを用意させるから身を清めて来てくれ」
「…臭い?」
「死臭だ。気づいてないのか?」
そう言われてハッと思い出した。
どうやら俺の鼻がバカになっていたらしく、今まで誰も指摘しなかったから忘れていた…
道理で屋敷に顔を出した時に取り継いだ奴が嫌な顔をしたわけだ…
誰か言ってくれりゃいいのに…
結局、パウル様の屋敷にいた侍女に身ぐるみ剥がされて、臭いが取れるまで念入りに洗われた。
「あの…お召し物にも臭いが移っております。洗っても取れるかどうか…」
「捨ててくれ。いいだろう、男爵?」
別に思い入れのあるものでもないし、俺も異存はないが、ポケットの中のだけは捨てられては困る。
ポケットの中からフィーの賽子とテレーゼのくれた手袋、裏表の同じコイン、財布などが出て来て並べられたが、何かがポケットの中で引っ掛かって出てくるのを拒んでいた。
侍女は少し首をひねりながらポケットをまさぐっている。
「何かしら?…あ、取れ…きゃあぁ!」
ポケットの中から出てきたものを見た侍女たちは悲鳴を上げて服を放り出した。あまりの声にパウル様も驚いたようだ。
「な、なんだ?…ハンカチ…か?」
パウル様は落ちていた物に手を伸ばしたが、触る前に侍女に止められていた。
「いけません!閣下!お手が穢れます!
ちょっと!誰か火箸持って来て!」
直に触ってしまった侍女は泣いているし、何事かと踏み込んできた近侍らで部屋はちょっとしたパニック状態になってしまった。
色々あってハンカチに拾った物を包んでいた事を忘れていた。
首飾りに付着していた肉片か体液でハンカチはカチカチに固まって腐臭を放っていた。
臭かった原因は多分これだろう…
「…全く、人騒がせな…」と文句を言いながら、パウル様は呆れた顔で赤黒い染みの付いたハンカチについて問うた。
中身を引っ張り出してパウル様に見せて説明した。
「死体の傍に落ちてたんですよ。
アダルウィンが襲われた場所のすぐ近くです」
「何故そんなものが?」
「さぁ?状況的には死体の持ち物みたいだったんで、拾って後で確認しようと思って忘れてました」
「卿は相変わらず絶妙に抜けてるな…」とぼやきながらパウル様はハンカチを覗き込んだが、悪臭に負けて口元を抑えた。このままじゃ碌に確認もできない。
「とりあえず洗ってから確認しよう…」
「ですな」と頷いて、ハンカチと服を犠牲にして手に入れた首飾りを風呂の残り湯で洗った。
やっぱり首飾りの意匠は女物っぽい。死体は男みたいだったが違っていたのだろうか?
「とりあえず、私にも分かるように報告を頼む」と催促されて分かってる範囲で経緯を説明した。
ローゼンハイム卿の出入りしていた路地にアルフォンスとアダルウィンを行かせたら変死体を見つけた。
アルフォンスの判断でアダルウィンには隠していたが、それが逆にアダルウィンを刺激してしまったようだ。
俺が葬儀に顔を出している間に、アルフォンスがスーの所で傭兵を借りて来て死体を検めるつもりだったが、その間にアダルウィンが勝手をして巻き込まれたという事だ。
「その死体…確かに妙だな…」
話を黙って聞いていたパウル様もその死体の状況に違和感を覚えたようだった。
隠すつもりが逆に目立ってしまったような、妙な違和感がある。
「その男、その辺りでは有名なんじゃないか?見たらすぐに身元が分かるような…
それにしても…その、ケッテラー卿は随分変わり者だな…」
「それは俺もそう思ってますけど、今はそれは置いといてくださいよ。問題はアダルウィンまで巻き込まれたことです」
「うむ。バルテルがあそこまで取り乱すのは初めて見た。
戻ってすぐに息子の為に金を借りたいと申し出てな。必要な額は私が立て替えるから好きにするようにと許した。
あの分じゃ心配でしばらく仕事にならんだろうな…あの男にも少し休みが必要だ。
ハルツハイム卿にもラーチシュタットにいる間は護衛を付ける必要がありそうだな」
「それはケッテラーを付けておきます。あいつは意外と鼻が利くんで番犬には丁度いいんです」
「ふむ。まぁ、卿の部下だ。好きなようにするがいい。
しかし、そうなると卿の従僕がいなくなるではないのか?」
「スーから借りた傭兵が二人いるんでその辺はまぁ何とかなります」
「そうか?必要になるならいつでも言うが良い。身の回りの世話に侍女も貸そうか?」
「結構です」
「相変わらず冗談の通じない男だな…まぁいい…
だいぶ脱線したが話を戻さねばな。
ローゼンハイム卿の目撃があった通りのすぐ近くで不審な死体が見つかった件についてな…」
パウル様はあえて直接触れなかった事について言及した。
この件はパウル様にとって都合の悪い事実だったはずだ。できれば知りたくなかったことだろう…
「考えたくはないが、息子が関与している可能性がある以上、他人事で片付けることはできんな…
目的も理由も分からないが、私が直接問いただす必要がありそうだ」
「何もパウル様が動かずとも…」
「他に誰がいる?
アレイスター子爵は厳しすぎるし、アレクに行かせるわけにもいくまい。バルテルは今は冷静にはなれないだろうし、他の者では詰めて話をすることは難しいだろう…
そうなれば父親である私が最も適任だ。
思いたくはないが、叛意があるなら事が大きくなる前に納めたい。明日にでもローゼンハイム卿を城に呼び出して話をせねばならんな…」
パウル様はそう言っていたが、その表情からは憂いが見て取れた。
そりゃそうだ…自分の息子を疑うのは気が進まないだろう…
ローゼンハイム卿との関係を修復したがっていたパウル様の心中を察するとあまりある。
何でこんなに上手くいかねぇんだよ…
そんな答えのない言葉を無理やり飲み込んだ。辛そうな義父を前にして、それは俺が言うべき言葉じゃない気がした…
何も言えなくなった俺は酷い顔をしていたのだろう。
ふっと困ったように笑ったパウル様は「卿は良い男だな」と小さく呟いた。
「こんな嫌な話に巻き込んで悪かったな…私もここまで面倒になるとは思っていなかった…」
「最後まで付き合いますよ。途中で抜けるなんて気持ち悪いですから…」
「なるほど…確かにな…」
「そんなに悲観的に考えるのはパウル様らしくないでしょう?ローゼンハイム卿だって関りあると決まったわけじゃありません。
父親なんだから信じてやってくださいよ」
現実的に考えればローゼンハイム卿は以前にも叛意があったと判断された人物だ。
もし、今回の件が彼に関係あるとすれば今度こそ厳罰を食らうだろう。パウル様でも庇いきれないはずだ…
やるせないよな…
愚弟を切り捨てたあの日の親父の姿が頭を過った。
どんな馬鹿でも自分の子なんだ…
俺はあの姿をもう二度と見たくなかった…
✩.*˚
自宅に帰るとミリアムが笑顔で出迎えてくれた。
一人で心細かったかと思っていたが、彼女はそうでもなかったようだ。
「留守中は何も無かったか?」
「はい!二人で留守を守りました!」
彼女は誇らしげにそう答えて、大きくなったお腹を撫でて見せた。
なるほど、二人とはそういう事か…
女は母になると強くなるが、彼女もその例に漏れないようだ。
「あ!そういえば、昨日の夜にリュディガー様のお客様が荷物を届けにいらっしゃいました」
「私の客?」
思い当たる人物もなく不思議に思っていると、ミリアムはすぐに小さな小包を持って来た。
ミリアムから受け取った小包は、その小さな風体には似合わない厳重な封が施されている。
不審に思いながら、ミリアムが食事の用意をしている間に寝室で中身を検めた。
外部から干渉を拒むように包んでいた油紙を取り除くと、中から真新しい色合いの桐の箱が姿を見せた。
特に気にもせずに蓋を開けて驚いた。
「これは…まさか…」
思わず声が漏れる。怖気を感じて身震いしながらも、視線は箱の中身に釘付けになっていた。
箱の中にはあの情報屋の言う通りに作った小鳥の呪いと宛名のない手紙が入っていた。
恐る恐る手紙を取り出して広げた…
《ご依頼ありがとうございます》という書き出しから始まった手紙の差出人は《蜘蛛の頭》と名乗っていた。
手紙だけなら質の悪い悪戯で片付くが、箱には私が呪いに使った小鳥の死骸が入っている。確かに私が露店で買い求めたものだ。
この手で腹を裂いて血を抜いた小鳥の腹に手紙を詰めた。
情報屋の言葉通りに石に印を付けて小鳥の墓に添えたがその後は知らない。
相手は私の手紙でしか知りえない情報を返事に綴っていた。
異母弟とその友人の暗殺を引き受けると約束して、その対価を求めていた。
その要求を見て、私はようやく事の重大性に気が付いた…
《ヴェルフェル公子アレクシス、《燕の団》団長スペース・クラインの暗殺依頼を承りました。我々は既に動いておりますので、今後、ご依頼主の都合での依頼の取り消しは承りかねます。
報酬はこちらの要求通り頂戴します。誤魔化しや交渉などは我々への敵対行為と認識します。ゆめゆめお忘れなきようお願いいたします。
万が一、失敗に終わった場合は我々は報酬は頂戴いたしません。さらに、追加での報酬も要求いたしませんのでご安心ください。
今回のご依頼は非常に難しいものでありますので、それ相応の対価を頂戴いたします。
私が成功報酬として求める対価はローゼンハイム卿のお子様です。今ご懐妊している奥様のお腹にいるお子様を半年お育て下さい。半年に届く頃に我々がお迎えに参ります。それを対価と致します》
なんてことだ…
私の招いた結果だが、こんな事は望んでいなかった…
あの情報屋の言ったことは全て本当だったのだ…
『俺は警告したはずだ。あいつらと関わると碌な結果にならんぞ?俺みたいな半端もんじゃない。あいつらはマジのやばい奴らだ』
あの言葉は決して大袈裟でもなんでもなかった。
あまりにも軽率で、あの時の自分を恨んだがどうにもならない。
アレクシスやその友が死ねば私の子供を《蜘蛛》に差し出さねばならない。
しかし、その現実を回避しようものなら、私が裏切ったと解釈されて報復を受ける可能性がある。その場合、私だけでなく生まれてくる子供やミリヤムまで危険が及ぶ可能性がある。
相手は人殺しを生業にする存在なのだ…
私のせいだ…私が異母弟を呪ったから…
今の生活で十分だと満足すればこんな事にはならなかった。
恐ろしい手紙と証拠の品を寝室の物置の端に押し込んで隠した。
こんなもの二度と見たくないと、現実から逃げようとしたが、その程度で現実は変わらない。
「リュディガー様?」と呼びかける彼女の声が私を現実に引き戻した。
「お食事の用意ができました。あら?何か探しものですか?」と言いながら彼女は私の方に歩いてくる。悪事が露見するのではないかという不安から彼女の笑顔までもが怖くなる。
「…いや…もう大丈夫だ」
誤魔化すように何とかそう答えて後ろ手で物置の扉を閉めた。
「そうですか」と応じたミリアムは相変わらず笑顔で大きなお腹を愛おし気に撫でていた。
妻は娘を欲しがっていた。
私としてはどちらでも良かった。
既に男児は二人授かっていたし、これ以上子供が必要とも思えなかったが、彼女は違ったらしい…
稼ぎなら家族を養うに十分にあるし、子供を育てるのは妻だ。少し面倒ではあったが、断るほどの理由もなかった…
上の二人も私の知らないうちに大きくなっていた。
息子たちとの関わりも乏しく、どちらも私に似ていなかった。興味をもてなかった理由はそういうところにもあったのだろう。
どうにも自分の子供という実感が希薄だった。
今思えば父親として最低だったと思う。
結果として三人目として授かった子供は男の子だった。
それでも、残念がる妻とは対照に、私は自分の目と髪の色を受け継いだ息子を歓迎していた。
アダルウィンが産まれて、私にも少しだけ父親としての感情が芽生えた。容姿が似ているという単純な理由だけで、私はアダルウィンに愛着を感じていた。
妻にも『アダルウィンには世話を焼くのね』言われる始末だ。彼女は意外と私の事を見抜いていたらしい。
『私が欲しくて産んだのに、これじゃ貴方の為みたいじゃない?』
彼女は拗ねながらそう言って、私に負けじと末の息子を可愛がり、二人の兄も自分たちより弱い存在を取り合うように世話をしていた。
家にほどんと寄り付かない父親に出番などなかった。
息子たちにとって、私は時々家に訪れる顔見知り程度の存在だったことだろう。当然の結果だ…
名誉ある仕事と忙しさを言い訳にして、家族との時間をおろそかにした私に今更帰る場所などなかった。気付いた時にはもう手遅れで、もう家族に戻るのは諦めていたが、一度自覚した父性は消えなかった。
特に三男のアダルウィンの将来をどうするか思い悩んでいた。
三男は余程の事がない限り家督は継げない。どこかの家に婿養子に出すのが最善だ。それでも、私はアダルウィンの父でいたかったのだ…
ユリア嬢と引き合わせ、ブルームバルトに送り出したのはそういう気持ちがあったからだった。
顔を見る度に、自分の血を分けた息子なのだと自覚する。
その想いがいつしか息子への一方的な期待に変わっていたのだろう…
「改めまして。治療院の責任者であるアショフ・ファーナーです。
ご子息の治療を担当いたしました。ハルツハイム卿の現状についてご説明致します」
別室に通されて、レプシウス師の弟子だった男は私に息子の状態について簡潔に説明してくれた。
「左側の後頭部に裂傷ができるほどの一撃を受けています。当たりどころが悪ければ亡くなっていたかもしれません。
頭部へのダメージで、ハルツハイム卿は一時的な記憶喪失に陥っていると考えられます。現在の彼の精神状態は12歳の少年です。
バルテル卿の立場もおありでしょうが、ハルツハイム卿は非常に不安でいらっしゃいます。
今はどうかご指導はご容赦ください」
アダルウィンが…
まるで雷に打たれたような衝撃だった。まさか息子がそんな状態だとは思いもよらなかった…
「大丈夫ですか、バルテル卿?」
「…大丈夫です」
ファーナー師の問いかけにそう答えるのがやっとだった。
アダルウィンの俯いている姿が脳裏に浮かんだ。
感情的になって息子を叱ろうとした事を後悔していた…
「説明を続けてよろしいでしょうか?」と、話を進めようとするファーナー師に何とか頷いて話の続きを聞いた。
「今は経過を観察するしかありません。頭の中までは見ることはできませんから、慎重に事を進める必要があります。精神的にも身体的にも強い刺激は避けて下さい。
不幸中の幸いと言えるかは分かりませんが、ご子息の怪我は命に係わるほどの重傷ではありません。記憶に関しても、一時的な忘却である可能性もあります」
「…アダルウィンは…もし、記憶が戻らなければ?」
「その可能性も十分にあり得ます。そうだとしてもハルツハイム卿はまだお若いですし、万が一記憶が戻らないとしても数年分なら取り返せるかと思います。生活には支障ありません」
『生活には支障ありません』と言う言葉は楽観的なようだが、その言葉は何かを諦めるような響きを孕んでいた。
「騎士に…息子は騎士に戻ることは難しいのでしょうか?」
「経過次第ですが、場合によっては難しくなるかもしれません。今までの記憶が戻らなければ、ロンメル家にお仕えすることが難しくなるかもしれません」
ファーナー師はその不都合な真実を隠さずに告げた。
それは私の人生で一番残酷な言葉として胸を抉った…
✩.*˚
アショフに連れられて父親が部屋から出て行った後も、アダルウィンは落ち込んだ様子だった。
「すみません、アダルウィン…僕の伝え方が悪かったんだと思います」
父親を連れて来たアルフォンスは詫びながらアダルウィンを慰めていたが、アダルウィンの毛布を握る手は悲しく震えていた。
「…いいんです…覚えてないですが、僕が父上の迷惑になるような事をしてしまったんです…
父上はいつも正しいですから…」
アダルウィンは父親を完璧な存在として尊敬しているのは知っていた。確かにバルテル卿は公人としては尊敬できる人物だ。それは俺も認めるし、バルテル卿には色々世話になったこともある。
でもそれと今の状況は違うだろう…
「アダルウィン。今は親父さんの言葉は忘れろ」
「…でも…」
「お前は何も覚えてないんだ。責めたところで反省も何もできないだろ?
今、お前に必要なのは怪我を治して記憶を戻すことだ。それ以外は気にするだけ無駄だ」
「そう…ですか?」
「そうだよ。何ならお前をほっぽり出して留守にした俺も同罪だ。叱られるなら一緒に説教されてやるよ」
「それなら僕も一緒に叱られます」とアルフォンスまで名乗りを上げた。
「僕、父に叱られるのは慣れているんです」なんて笑えない冗談だ。
「懐かしいなぁ」なんて見当違いな事を呟きながらヘラヘラしているアルフォンスにアダルウィンも困ったように苦笑いを浮かべた。
苦笑でも少し表情が柔らかくなったことで少しだけ安心した。
まぁ、万が一があっても、ブルームバルトには《女神》がいる。
悪い方に考えるより、何とでもなると楽観的に考えることにした。
アダルウィンが俺たちの存在に慣れ始めた頃に、アショフに連れられてバルテル卿が戻って来た。出て行った時とは様子がまるで違う。
「バルテル卿がロンメル男爵と話がしたいそうです。別室をご用意しましたのでご案内します」
何か文句の一つでも言いたいのだろうか?
まぁ、大事な息子を預かってこんな目に合わせてしまったのだから俺の監督責任だ。そのぐらいは受け止める気でいた。
アショフに案内された部屋で二人きりになると、バルテル卿はいきなり俺に頭を下げた。
てっきり文句を言われるもんだと思っていたから驚いていると、バルテル卿は頭を下げたまま口を開いた。
「今から申し上げるのは私の私的なお願いです。侯爵閣下の意思に反することですが、どうかお許しを…
息子は男爵閣下の命令に背きました。主命を破って行動した件については父親である私の指導不足です。誠に申し訳ございませんでした。しかし、愚息をお見捨てになりませんよう、何卒よろしくお願いいたします」
頭も上げずに必死に息子を庇おうとするバルテル卿の姿がいつもの彼とは乖離していて違和感しかない。
面食らって言葉を失っている俺に、バルテル卿は言葉を続けた。
「勝手を申し上げているのは重々承知しております。しかし、閣下におすがりするしかないのです…
息子に…アダルウィンに《白い手》をお恵み下さい…」
テレーゼの《祝福》は一部の人間にしか知らされていない。バルテル卿はパウル様の近侍として《白い手》に秘密を知っているが、それを使うのはパウル様の許可が必要だ。
それはテレーゼの安全の為であり、秘密を知る人間は少なければ少ない方が良いからだ。特に、高名な治癒魔導師が匙を投げるような案件を扱う時は慎重にならざるを得ない。
分別のあるバルテル卿が息子の為とはいえ、俺なんかに頭を下げて《白い手》を求めるとは思っていなかった。
「あの…バルテル卿。それは俺じゃなくて侯爵閣下にお願いする事かと…」
「承知しております。侯爵閣下には後程私からお願い申し上げます。しかし、今ここで男爵にもお約束頂きたいのです。
必要とあればお礼はいかほどでも用意いたします。ですので、どうか…」
必死に嘆願する姿は父親のそれで、先程見せた息子を叱った時の厳しさは消え失せていた。
意外だな…
バルテル卿はブルームバルトにアダルウィンを預けてからも、パウル様の用事以外でブルームバルトに来ることは無かったし、卿の口からアダルウィンについて訊ねられる事も無かった。
母親や兄たちは手紙などを寄越したり、ユリアも含めて実家に招待したりしていたが、その間もバルテル卿とは顔を合わせることは無かったようだ。
俺と話す時もバルテル卿の話などは出なかったし、アダルウィンから触れることもなかった。
それでもバルテル卿は末の息子に父親らしい愛情を持っていたようだった。
しかし、よく考えてみれば、その片鱗はあったのかもしれない…
なんせ、自ら縁談を持って来て、ユリアと引き合わせるくらいだ。
三男で家督を継ぐのが絶望的な末っ子を騎士に推すなど、よくよく考えれば私情を挟んだ人選だったのは間違いない。
「アダルウィンが可愛いですか?」などとつまらない事を訊いてしまったが、バルテル卿はその愚問にクソ真面目に応じた。
「アダルウィンは間違いなく私の息子です。あの子は喜ばないかもしれませんが、私は自分の姿に似ているあの子に勝手に愛着をもっているのです…」
初めて耳にするバルテル卿の本音はアダルウィンへの不器用な愛情を含んでいた。染み出すように垣間見える父親としての愛情は上手く子供に向き合えなかった後ろめたさのようにも感じられた。
しかし、アダルウィンに向けられたこの愛情は本物だろう…
なんかなぁ…俺こういうの弱いよなぁ…
「分かりました。アダルウィンはロンメル家に必要な人間ですから、俺からもパウル様に話をします」と勝手に約束してしまった。
パウル様もバルテル卿の事とあれば無下に断ったりはしないはずだ。テレーゼだってアダルウィンの為ならと迷わず《是》と答えるだろう。
「ありがとうございます」
「ただし、俺からも条件があります。今のアダルウィンには優しくしてやってください。あいつは今12歳のガキなんです」
その条件をどう理解したかは分からないが、バルテル卿は条件を快諾した。
とりあえずこの後の説教は回避できたはずだ。この時の俺はその程度にしか考えてなかった…
話を終えていったん帰ったバルテル卿を見送ってアダルウィンの待つ病室に戻った。
「あの…父上は…」
「ん?気にすんな。親父さん忙しいからな。とりあえずもう帰ったよ」
そんな適当な返事を返すと、アダルウィンは父親と顔を合わさずに済んで少し落ち着いたようだ。
親父の想いなんて子供には届いてないようだ。完全に父親の片思いだ…
それに少しだけ残念な気持ちを持ったのは俺が父親になったからだ。自分の子供がこんな風に擦違いになったら寂しいだろうな…
「なぁ、おまえさ、親父さんの事どう思ってんだ?」
余計なお世話だと思いつつも、なんとなく気になってそんなことを訊いてしまった。アダルウィンはその質問に少し戸惑っていたが、今まで聞いた事のない話をしてくれた。
「とても厳しいです。でも…時々、別人みたいに優しい時があります…」
「そうなのか?」
「先日、家に帰って来た時に父上の馬に乗せてもらいました。
侯爵閣下に下賜された大切な馬なのに、一緒に乗って、手綱を握らせてくれました」
余程嬉しかったのだろう。アダルウィンは思い出したように口元に笑みを灯した。
バルテル家は多少歪だが、二人の間に親子としての感情や想いはあるらしい。
それが確認できたんだから、まぁいいか、と自分を納得させて無駄な詮索を止めた。
✩.*˚
とんだ邪魔者が現れたものだ…
あの青年を始末するべきか悩んでいるうちに事は都合の悪い方に傾いていた。
「治療院からの報告によりますと、ハルツハイム卿の意識は戻ったようです」
「襲撃した相手について何か情報はあったのか?」
現場を引き継がせた副隊長の報告を聞きながら、自分につながるような情報が無いかと心配していたが、その憂いは杞憂に終わった。
報告によると、意識の戻ったハルツハイム卿は記憶が後退しており、とてもではないが証言を得られるような状況では無いらしい。
証言が得られないのは好都合だが、結局、彼が何故あそこにいて何をしていたのかは分からないままだ…
「記憶は戻らないのか?」
「新しい治療院の院長の話だと、失われた記憶が戻るかどうかについては治癒魔法の範疇ではないので断言はできないとのことです。それに記憶が戻ったとして、証言が取れるかどうかは保証しかねるようです」
「…なるほど」と頷いて、残念そうにため息を吐いた。
例の死体に関しては衛生的な問題で憲兵が回収した。
幸い、時間と連日の暑さで死体は身元が分からないくらい腐乱していた。腐乱死体など珍しくない治安の悪い区域という事もあり、あの情報屋の遺体は特に調べもされずに処理された。今頃、あの死体は無縁仏の公共墓地に放り込まれたことだろう。
今、一番憂うべきはハルツハイム卿の記憶の中にある…
罪を擦り付けて不審人物として拘束しようにも、相手はヴェルフェル侯爵の近侍長であるバルテル卿の息子で、《英雄》ロンメル男爵の直属の部下だ。
下手に手を出したらこちらが不利になる相手だ…
「ハルツハイム卿を襲った悪漢については目撃者が無いか聞き込みを続けろ。本人の記憶がない以上それしかない」
「承知しました」と事務的な受け答えを返しながらも副隊長の表情には何か含むものがあった。余裕のない私には彼のその態度が癇に障った。
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部下を追い出して椅子に深くもたれてため息を吐いた。
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こんなことでは、ミリヤムを元の生活に戻してやるなんて夢のまた夢だろう。私は不甲斐ない夫だ…
遠くからの鐘の音に顔を上げると、もう太陽が帰り支度をする時間だった。
門限の前に鳴らす鐘の音は帰宅を促す合図だ。交代勤務の合図でもある。
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随分家を空けてしまった。彼女は私の帰りを待っているだろう。
今日の分の日誌を付けて仕事を締めた。
今日は久しぶりに真っ直ぐ家に帰ろう。
寄り道をする必要も無い。
寂しい思いをさせてしまっただろうな…
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具合はどうだろう?
子供は?今日も元気に動いているのだろうか?
早く彼女に会いたいと思っているのは私の方だ。
私はこの疲れを癒すために、《家族》という安らぎを求めていた。
✩.*˚
アダルウィンとアルフォンスを治療院に残してパウル様に会いに行った。
パウル様の滞在先に顔を出すと、開口一番に「何をしていた?」と険しい顔で訊ねた。
てっきりアダルウィンの件に関してかと思っていたが、パウル様の指摘は俺自身に向けられたものだった。
「ロンメル男爵、酷い臭いだぞ?風呂と着替えを用意させるから身を清めて来てくれ」
「…臭い?」
「死臭だ。気づいてないのか?」
そう言われてハッと思い出した。
どうやら俺の鼻がバカになっていたらしく、今まで誰も指摘しなかったから忘れていた…
道理で屋敷に顔を出した時に取り継いだ奴が嫌な顔をしたわけだ…
誰か言ってくれりゃいいのに…
結局、パウル様の屋敷にいた侍女に身ぐるみ剥がされて、臭いが取れるまで念入りに洗われた。
「あの…お召し物にも臭いが移っております。洗っても取れるかどうか…」
「捨ててくれ。いいだろう、男爵?」
別に思い入れのあるものでもないし、俺も異存はないが、ポケットの中のだけは捨てられては困る。
ポケットの中からフィーの賽子とテレーゼのくれた手袋、裏表の同じコイン、財布などが出て来て並べられたが、何かがポケットの中で引っ掛かって出てくるのを拒んでいた。
侍女は少し首をひねりながらポケットをまさぐっている。
「何かしら?…あ、取れ…きゃあぁ!」
ポケットの中から出てきたものを見た侍女たちは悲鳴を上げて服を放り出した。あまりの声にパウル様も驚いたようだ。
「な、なんだ?…ハンカチ…か?」
パウル様は落ちていた物に手を伸ばしたが、触る前に侍女に止められていた。
「いけません!閣下!お手が穢れます!
ちょっと!誰か火箸持って来て!」
直に触ってしまった侍女は泣いているし、何事かと踏み込んできた近侍らで部屋はちょっとしたパニック状態になってしまった。
色々あってハンカチに拾った物を包んでいた事を忘れていた。
首飾りに付着していた肉片か体液でハンカチはカチカチに固まって腐臭を放っていた。
臭かった原因は多分これだろう…
「…全く、人騒がせな…」と文句を言いながら、パウル様は呆れた顔で赤黒い染みの付いたハンカチについて問うた。
中身を引っ張り出してパウル様に見せて説明した。
「死体の傍に落ちてたんですよ。
アダルウィンが襲われた場所のすぐ近くです」
「何故そんなものが?」
「さぁ?状況的には死体の持ち物みたいだったんで、拾って後で確認しようと思って忘れてました」
「卿は相変わらず絶妙に抜けてるな…」とぼやきながらパウル様はハンカチを覗き込んだが、悪臭に負けて口元を抑えた。このままじゃ碌に確認もできない。
「とりあえず洗ってから確認しよう…」
「ですな」と頷いて、ハンカチと服を犠牲にして手に入れた首飾りを風呂の残り湯で洗った。
やっぱり首飾りの意匠は女物っぽい。死体は男みたいだったが違っていたのだろうか?
「とりあえず、私にも分かるように報告を頼む」と催促されて分かってる範囲で経緯を説明した。
ローゼンハイム卿の出入りしていた路地にアルフォンスとアダルウィンを行かせたら変死体を見つけた。
アルフォンスの判断でアダルウィンには隠していたが、それが逆にアダルウィンを刺激してしまったようだ。
俺が葬儀に顔を出している間に、アルフォンスがスーの所で傭兵を借りて来て死体を検めるつもりだったが、その間にアダルウィンが勝手をして巻き込まれたという事だ。
「その死体…確かに妙だな…」
話を黙って聞いていたパウル様もその死体の状況に違和感を覚えたようだった。
隠すつもりが逆に目立ってしまったような、妙な違和感がある。
「その男、その辺りでは有名なんじゃないか?見たらすぐに身元が分かるような…
それにしても…その、ケッテラー卿は随分変わり者だな…」
「それは俺もそう思ってますけど、今はそれは置いといてくださいよ。問題はアダルウィンまで巻き込まれたことです」
「うむ。バルテルがあそこまで取り乱すのは初めて見た。
戻ってすぐに息子の為に金を借りたいと申し出てな。必要な額は私が立て替えるから好きにするようにと許した。
あの分じゃ心配でしばらく仕事にならんだろうな…あの男にも少し休みが必要だ。
ハルツハイム卿にもラーチシュタットにいる間は護衛を付ける必要がありそうだな」
「それはケッテラーを付けておきます。あいつは意外と鼻が利くんで番犬には丁度いいんです」
「ふむ。まぁ、卿の部下だ。好きなようにするがいい。
しかし、そうなると卿の従僕がいなくなるではないのか?」
「スーから借りた傭兵が二人いるんでその辺はまぁ何とかなります」
「そうか?必要になるならいつでも言うが良い。身の回りの世話に侍女も貸そうか?」
「結構です」
「相変わらず冗談の通じない男だな…まぁいい…
だいぶ脱線したが話を戻さねばな。
ローゼンハイム卿の目撃があった通りのすぐ近くで不審な死体が見つかった件についてな…」
パウル様はあえて直接触れなかった事について言及した。
この件はパウル様にとって都合の悪い事実だったはずだ。できれば知りたくなかったことだろう…
「考えたくはないが、息子が関与している可能性がある以上、他人事で片付けることはできんな…
目的も理由も分からないが、私が直接問いただす必要がありそうだ」
「何もパウル様が動かずとも…」
「他に誰がいる?
アレイスター子爵は厳しすぎるし、アレクに行かせるわけにもいくまい。バルテルは今は冷静にはなれないだろうし、他の者では詰めて話をすることは難しいだろう…
そうなれば父親である私が最も適任だ。
思いたくはないが、叛意があるなら事が大きくなる前に納めたい。明日にでもローゼンハイム卿を城に呼び出して話をせねばならんな…」
パウル様はそう言っていたが、その表情からは憂いが見て取れた。
そりゃそうだ…自分の息子を疑うのは気が進まないだろう…
ローゼンハイム卿との関係を修復したがっていたパウル様の心中を察するとあまりある。
何でこんなに上手くいかねぇんだよ…
そんな答えのない言葉を無理やり飲み込んだ。辛そうな義父を前にして、それは俺が言うべき言葉じゃない気がした…
何も言えなくなった俺は酷い顔をしていたのだろう。
ふっと困ったように笑ったパウル様は「卿は良い男だな」と小さく呟いた。
「こんな嫌な話に巻き込んで悪かったな…私もここまで面倒になるとは思っていなかった…」
「最後まで付き合いますよ。途中で抜けるなんて気持ち悪いですから…」
「なるほど…確かにな…」
「そんなに悲観的に考えるのはパウル様らしくないでしょう?ローゼンハイム卿だって関りあると決まったわけじゃありません。
父親なんだから信じてやってくださいよ」
現実的に考えればローゼンハイム卿は以前にも叛意があったと判断された人物だ。
もし、今回の件が彼に関係あるとすれば今度こそ厳罰を食らうだろう。パウル様でも庇いきれないはずだ…
やるせないよな…
愚弟を切り捨てたあの日の親父の姿が頭を過った。
どんな馬鹿でも自分の子なんだ…
俺はあの姿をもう二度と見たくなかった…
✩.*˚
自宅に帰るとミリアムが笑顔で出迎えてくれた。
一人で心細かったかと思っていたが、彼女はそうでもなかったようだ。
「留守中は何も無かったか?」
「はい!二人で留守を守りました!」
彼女は誇らしげにそう答えて、大きくなったお腹を撫でて見せた。
なるほど、二人とはそういう事か…
女は母になると強くなるが、彼女もその例に漏れないようだ。
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「私の客?」
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恐る恐る手紙を取り出して広げた…
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この手で腹を裂いて血を抜いた小鳥の腹に手紙を詰めた。
情報屋の言葉通りに石に印を付けて小鳥の墓に添えたがその後は知らない。
相手は私の手紙でしか知りえない情報を返事に綴っていた。
異母弟とその友人の暗殺を引き受けると約束して、その対価を求めていた。
その要求を見て、私はようやく事の重大性に気が付いた…
《ヴェルフェル公子アレクシス、《燕の団》団長スペース・クラインの暗殺依頼を承りました。我々は既に動いておりますので、今後、ご依頼主の都合での依頼の取り消しは承りかねます。
報酬はこちらの要求通り頂戴します。誤魔化しや交渉などは我々への敵対行為と認識します。ゆめゆめお忘れなきようお願いいたします。
万が一、失敗に終わった場合は我々は報酬は頂戴いたしません。さらに、追加での報酬も要求いたしませんのでご安心ください。
今回のご依頼は非常に難しいものでありますので、それ相応の対価を頂戴いたします。
私が成功報酬として求める対価はローゼンハイム卿のお子様です。今ご懐妊している奥様のお腹にいるお子様を半年お育て下さい。半年に届く頃に我々がお迎えに参ります。それを対価と致します》
なんてことだ…
私の招いた結果だが、こんな事は望んでいなかった…
あの情報屋の言ったことは全て本当だったのだ…
『俺は警告したはずだ。あいつらと関わると碌な結果にならんぞ?俺みたいな半端もんじゃない。あいつらはマジのやばい奴らだ』
あの言葉は決して大袈裟でもなんでもなかった。
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私のせいだ…私が異母弟を呪ったから…
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「リュディガー様?」と呼びかける彼女の声が私を現実に引き戻した。
「お食事の用意ができました。あら?何か探しものですか?」と言いながら彼女は私の方に歩いてくる。悪事が露見するのではないかという不安から彼女の笑顔までもが怖くなる。
「…いや…もう大丈夫だ」
誤魔化すように何とかそう答えて後ろ手で物置の扉を閉めた。
「そうですか」と応じたミリアムは相変わらず笑顔で大きなお腹を愛おし気に撫でていた。
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