クラブ・アリエス

紫翠 凍華

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企画プランナーは、女子高生?

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 華北グループ本社ビル。その正面入り口エントランスをわき目も振らず突き進む女子高生。すれ違う社員誰もが一瞬足を止めるものの、彼女に制止の声をかけることが出来なかった。いや、とても掛けられなかった。受付の前を通り過ぎるときに受付嬢に通行許可証を見せる。が、やはり彼女の足は止まらなかった。真っ直ぐにエレベーターに向かい、ちょうど停止している一機に乗り込んだ。他にも何人か社員たちが乗っていたが気にすることなく目的の階数を押す。15階建ての14階。役員室専用の階である。不運にも同じエレベーターに同乗してしまった社員たちは冷や汗ものであえて彼女の存在を無視する羽目になった。
 大方の一般社員は10階までにはエレベータを降りてしまう。そして、彼女は目的の階に着くと目的の部屋へと足早に向かった。
 副社長の1人、夏侯惇の仕事部屋。いつもは彼と、もう1人の副社長・夏侯淵、そして秘書三人が仕事をしているのだが、今日はそこに社長であり総帥・曹操もいた。
「・・・・わかりました。では、時期にこちらにつきますね。」
 秘書の1人が電話をきり報告する。
「今、受付を通ってエレベーターに乗ったそうです。」
 電話は受付からの連絡だった。その数分後、彼らの待ち人が到着した。
「失礼します。」
 今時の女子高生とは思えないほどきびきびとした挨拶。
「えらく早かったなぁ。」
「急がせて済まんな、ルカ。」
「いいえ、私の仕事ですから。」
 そう言って女子高生・ルカは鞄からロムを取り出し夏侯惇に渡した。彼はそれを秘書の1人に渡す。
「出力が終わるまで少し休め。」
 ルカをソファに座らせ、自身も彼女の隣に腰を下ろした。向かいには曹操が座っている。
「ルカ、飲み物はなんにするんだ?」
「えっと、ココアで。」
「はいよ。」
 秘書からココアを受け取り、ルカに渡した後曹操の隣に腰を下ろした淵。
「久しぶりじゃな。学校はどうじゃ?ルカ。」
「楽しいです。曹操小父様・・・・と、すみません。」
「ああ、よいよい。出来れば、昔のように孟徳小父様と呼んでくれんか?」
 緊張に強張っていたルカの表情が幾分か和らぐ。
「・・・はい、孟徳小父様。」
 ルカに希望通りの呼び方してもらったからか、曹操の相好は崩れっぱなし。夏侯惇がため息をついた頃、出力した書類を人数分持って秘書がきて配る。書類は企画書。夏侯惇の三女・ルカ。彼女は副社長専属の企画・イベントプランナーである。
 ルカが依頼のあった企画を草案の形に纏め上げ、簡単に説明していく。
「・・・相変わらず見事じゃのう。」
「どの位経費がかかるかは私にはよく分かりませんから経理部と相談して予算を算出していただくしかありません。ですが、人員についてはここに上げさせていただいた人数が今回の企画運営において欠かせない最低ぎりぎりの人数です。これ以下に抑えろとおっしゃられるのであれば企画自体大幅の変更を余儀なくされます。」
「・・・・・。元譲、妙才、どう思う?」
「ルカの言うとおり、この企画で通そうと思ったらこれ以上人員の削減はできませんぜ。」
「ああ。問題は経費だな。」
「場合によっては変更になるかもしれんが・・・」
「かまいません。それが私の仕事ですから。」
 いっぱしの返答を返してくる少女に優しく微笑む曹操。
「すまんの。まだ学生のお主に無理をさせて。」
 予算の算出をすべく企画書は直ちに経理部部長・司馬懿へと送られた。
「これから暫くは忙しくなるな。」
「うん。ねぇ、お父様。」
「なんだ?」
「今日は遅くなるの?」
「いや、今日は定時に上がる。」
「ホント?!」
「ああ。」
「じゃぁ、今日は久しぶりに家族みんなで晩御飯ね。」
 年相応の笑顔で喜ぶ娘に微笑む夏侯惇。
「・・・業務終了まであと五分か。ルカ、一緒に帰るか?」
「うん♡」
「よかったなぁ、ルカ。」
 心底嬉しそうにしているルカに夏侯淵の顔も綻んだ。
 その日は何年かぶりに家族揃っての晩御飯。会話が弾んだのは言うまでもないだろう。

 
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