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第八話
しおりを挟むど、ど、どうしよう!
ひっじょうに気まずい!
風紀委員が出て行くと教室は今まであったことがなかったように静かになり、なぜかみんな俺に好奇な目を向けてくる。
「席につけー」
この沈黙を破ったのは一人の男性(美形)。その男の登場とともにいままでの静けさはなんだったの?と思うくらいに教室内は黄色い声で埋め尽くされる。
蓮「あ…」
目、あった。
「あぁ!たしか 八神蓮(やがみれん)!」
そう、いま俺の目の前で俺のフルネームを叫んだこの男こそがまさにあの試験会場で試験管を務めていた男だ
綺麗な黒髪をオールバックにしていて、黒のワイシャツに赤いネクタイ、おまけに白衣を羽織っている。強烈なインパクトを与えるには十分すぎる格好だ。しかも本人がこれまた美形。いままでの美形たちとはまた違った系統だ。なんというか大人の余裕?色気?フェロモン?みたいなものが漂っている。 俺もあんな風になれたらな… 悲しい現実。
「我らの主の名を気安く呼ぶでない。他の輩(やから)にも主の美しき名が知れわたるであろう…(ボソッ)」
「そうであるぞ、いささか無礼ではないか」
「あるじちゃんのぉ名前はよばないでくれるぅ~?」
雪凪は最後の方声が小さくてよく聞こえなかったけど、こいつらの過保護っぷりに試験管さんも苦笑いだ。
「えぇーっと、お久しぶりです 試験管さん」
狐珀たちをスルーしつつ丁寧に返事をすると試験管さん(?)は顔をしかめる
「俺の名前は遠藤 光定 (えんどう みつさだ)だ、気軽に呼んでくれて構わないぞ。それにしてもおまえの担任が俺になるとはなあ?」
といいながら意味ありげ(?)な笑みを向けてくる。
あれ?そういえば、この人確かクラスSの担任だったはずじゃ…? 気のせいか
それにしてもさっきから周りの視線が痛すぎる。こんな大勢に注目されてると冷や汗が止まらない…とりあえずここはなんとかせねば!と思い切って何か言おうとした時
「せんせー、そろそろ移動した方がいいんとちゃいます?」
「チッ、そうだな。おまえらー廊下並べー」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
みんなそろって元気な返事をする
この時俺はみんな心の中で安堵(あんど)していたことを知るはずもない
廊下に整列するのは人間だけでなく妖怪も整列するのですごい長蛇の列ができたのは言わずもがなご理解いただけるだろう。
「えぇーであるからして~…」
体育館に着き校長先生のありがた~いお話が始まりちらほら眠っている人も出てきた。
そしてついに俺までもが睡魔の餌食になろうとした時右側の肩を誰かに突かれた。振り返ってみるとそこには爽やか系男子が屈託の笑みを俺に向けてくる。え、なに?この学園にはイケメソしかいないの?誰かの因縁?もういやぁぁぁ
「よっ、わいは1-Aの風見 颯奏(かざみ そうた)やでー、なかようしたってなー(小声)あ、楓奏でええよ~ で、こっちが俺のパートナーのカマイタチ」
へーこの人のパートナーはカマイタチなんだ
宙を舞っているそれは想像していたよりもすっごくかっこいい。白いサラサラでふわふわな毛に赤い綺麗な模様が所々に入っている そして何と言っても手が鎌(かま)なのだ!見た目は猫?あらいぐま?的な感じで 想像していたのより大きくてそのカマイタチが座っている状態で俺と同じくらいはある。
あれ、顔とカマイタチに気を取られて気づかなかったけど そういえばこの人俺があたふたしてた時に先生に一番に声かけてくれた人じゃん!
「おぉおおおおおぉぉ!君は!あの!救世主じゃん!俺は八神 蓮 こちらこそよろしくなー」
と勢い良くガバッと抱きつくと周りの人たちは怪訝な顔で俺たちを見てくる。いや、俺ゲイとかじゃなくてただ単に嬉しかっただけだからね?一番常識人っぽいし。
「は、え?///きゅ、きゅうしぇいしゅ?//」
「あるじちゃぁん、その人間の子どもだけずるぃぃ」
「そうだぞ主君、いい加減にはなれぬか」
「そうです、苦しがってますよ」
「はっ、そうだよな。ごめんな、風見。 あ、俺は八神 蓮です、よろしく!あとカマイタチさんも」
反省した俺は眉毛を少し下げてあやまったあと、ぎこちなくではあるが改めてあいさつをするとどっちとも目を丸くしている... なんで?
「い、いや全然ええねんけど、今どうしてわいのパートナーにまであいさつしたんだ?」
「え?普通だろ?な、カマ太郎?」
「くぅ~ん」
「勝手に変な名前つけへんといて…」
「えぇかわいいのに ほらカマ太郎も喜んでる」
スリスリとすり寄ってきたカマ太郎をそっと手をおき撫でてやる。
「な!?カマ太郎は滅多にわい以外の人間になつかないのに… どうなってんや...
お前さんほんまおもろいなぁ、あの西条(さいじょう)にだってたてつくんやからなぁ~。まぁあいつ中等部から調子こいてたからスッキリしたわ~」
「いや、ただムカついたから」
んしてもやりすぎたかな…?
「あいつみたいなネジがぶっ飛んでるやつにはいい薬になったんとちゃう?」
「へぇーそのなんとか条(じょう)ってやつ中等部からいたんだ」
この学校には中等部から高等部まである。力のある陰陽師や有名な祓い屋など代々続くお家の出の人は中等部から通っているという話を聴いた。
「っていっても、親が無理やり使い魔にした妖を使ってやりたい放題って感じやったんけどなぁ。なんせあいつが連れてた妖は日本三大妖怪の一つ、酒呑童子(しゅてんどうじ)やったんやで!まぁ、あいつらにだいぶ力を封じられてたっちゅうんのもあるが…」
「しゅうてんどうじ?」
「なんや、蓮 おまえ酒呑童子も知らんのか?」
「しゃーなし!わいが教えたr「酒呑童子とは鬼だ。特に力が強いあやかしものと言われておるが今回のはだいぶ力を制御されていたのだな。楽に勝てたわ」
「へーそんなんだ、やっぱ飛鳥ってなんでもしてるな、で ちなみに日本三大妖怪?ってなに?」
「に、日本三大妖怪とは、日本に数多伝わる妖怪達のなかでも名実共に上位である三体を指す呼称であるぞ なお、日本三大妖怪は鬼の酒呑童子・天狗・九尾狐 (九尾ぎつね)を指すことが多いらしいですよ!主!」
「お、雪凪も物知りだな」
と言って頭を撫でると雪凪は目を細めて頬を染める。風邪流行ってんなぁ
「あれ?じゃあ、狐珀と飛鳥も?」
「そうだよぉ~、なんでかわかんないけどそう呼ばれてるぅ。頭撫でて~」
「うむ、わしもお願いしていいだろうか」
二人の頭をそっと撫ながらここは動物園のふれあいコーナ一人ツッコミを入れていると、一人頭にキノコを栽培しているやつを見つけた
「そ、颯奏?」
「わ、わいのセリフ…、 まぁ!そんなわけであいつに関わろうとするやつはほとんどいなかったんやけど蓮ときたらすぐにあいつをたおしちまって。惚けるくらいしかできひんかったわ笑 ま、でもあの天狗に九尾の狐に雪の里の時期 長まで揃っているんやったらなっとくやわ」
立ち直り早いな
「ん?こいつらって...」
「え?!まさか知らへんのか?おまえの妖怪たちはちょぉー有名なんやで?強いし頭もいいし顔もいいしでそりゃ使い魔に欲しがるやつはわんさかおるやけど、今まで一人としてパートナーにしてるやつ見たことなかったさかい、レアやわ~」
「へぇー、おまえらってなんだかんだすごいんだな」
「あるじちゃんにほめてもらえるなんてぇ、うれしぃなぁ~」
「光栄であります、主君!」
「わしも気分がいいな」
「「「本当に(主君)(主)(あるじちゃん)に出会えてよかった(ぞ)(です)(よぉ~)」」」
「お、おう、そのなんて言うかついてきてくれてありがとう?」
照れ隠しにうつむいていた俺は、みんなが同じことを心の中で思い((((かわゆす!!!!!))))と風邪とはまた違う意味で顔を赤く染めていたのを知らない
だらだらと楓奏(そうた)と駄弁っていると急に(奇声?)叫び声やら雄叫びやらがあがる
「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」」」」」
「蓮?大丈夫かー?」
「いや、鼓膜ブチ切れたわ」
「なに?!主大丈夫なのですか?はっ、もしや主を狙った計画的反抗!この雪凪がただいま処理してまいります!」
「ちょっ、冗談だし、そんなわけないだろ 落ち着け」
と今日二度目のげんこつを食らわすと雪凪は少し涙目になりながら上
から視線を送る。ちっ、何でみんなそろって身長高いんだ!俺でも平均以上くらいはあると思うんだけどなぁ
「まぁそりゃ、この学園の王子様たちのご登場やからな」
王子様?ここはおとぎの国か何かなのかね
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