8 / 9
第八話
しおりを挟むど、ど、どうしよう!
ひっじょうに気まずい!
風紀委員が出て行くと教室は今まであったことがなかったように静かになり、なぜかみんな俺に好奇な目を向けてくる。
「席につけー」
この沈黙を破ったのは一人の男性(美形)。その男の登場とともにいままでの静けさはなんだったの?と思うくらいに教室内は黄色い声で埋め尽くされる。
蓮「あ…」
目、あった。
「あぁ!たしか 八神蓮(やがみれん)!」
そう、いま俺の目の前で俺のフルネームを叫んだこの男こそがまさにあの試験会場で試験管を務めていた男だ
綺麗な黒髪をオールバックにしていて、黒のワイシャツに赤いネクタイ、おまけに白衣を羽織っている。強烈なインパクトを与えるには十分すぎる格好だ。しかも本人がこれまた美形。いままでの美形たちとはまた違った系統だ。なんというか大人の余裕?色気?フェロモン?みたいなものが漂っている。 俺もあんな風になれたらな… 悲しい現実。
「我らの主の名を気安く呼ぶでない。他の輩(やから)にも主の美しき名が知れわたるであろう…(ボソッ)」
「そうであるぞ、いささか無礼ではないか」
「あるじちゃんのぉ名前はよばないでくれるぅ~?」
雪凪は最後の方声が小さくてよく聞こえなかったけど、こいつらの過保護っぷりに試験管さんも苦笑いだ。
「えぇーっと、お久しぶりです 試験管さん」
狐珀たちをスルーしつつ丁寧に返事をすると試験管さん(?)は顔をしかめる
「俺の名前は遠藤 光定 (えんどう みつさだ)だ、気軽に呼んでくれて構わないぞ。それにしてもおまえの担任が俺になるとはなあ?」
といいながら意味ありげ(?)な笑みを向けてくる。
あれ?そういえば、この人確かクラスSの担任だったはずじゃ…? 気のせいか
それにしてもさっきから周りの視線が痛すぎる。こんな大勢に注目されてると冷や汗が止まらない…とりあえずここはなんとかせねば!と思い切って何か言おうとした時
「せんせー、そろそろ移動した方がいいんとちゃいます?」
「チッ、そうだな。おまえらー廊下並べー」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
みんなそろって元気な返事をする
この時俺はみんな心の中で安堵(あんど)していたことを知るはずもない
廊下に整列するのは人間だけでなく妖怪も整列するのですごい長蛇の列ができたのは言わずもがなご理解いただけるだろう。
「えぇーであるからして~…」
体育館に着き校長先生のありがた~いお話が始まりちらほら眠っている人も出てきた。
そしてついに俺までもが睡魔の餌食になろうとした時右側の肩を誰かに突かれた。振り返ってみるとそこには爽やか系男子が屈託の笑みを俺に向けてくる。え、なに?この学園にはイケメソしかいないの?誰かの因縁?もういやぁぁぁ
「よっ、わいは1-Aの風見 颯奏(かざみ そうた)やでー、なかようしたってなー(小声)あ、楓奏でええよ~ で、こっちが俺のパートナーのカマイタチ」
へーこの人のパートナーはカマイタチなんだ
宙を舞っているそれは想像していたよりもすっごくかっこいい。白いサラサラでふわふわな毛に赤い綺麗な模様が所々に入っている そして何と言っても手が鎌(かま)なのだ!見た目は猫?あらいぐま?的な感じで 想像していたのより大きくてそのカマイタチが座っている状態で俺と同じくらいはある。
あれ、顔とカマイタチに気を取られて気づかなかったけど そういえばこの人俺があたふたしてた時に先生に一番に声かけてくれた人じゃん!
「おぉおおおおおぉぉ!君は!あの!救世主じゃん!俺は八神 蓮 こちらこそよろしくなー」
と勢い良くガバッと抱きつくと周りの人たちは怪訝な顔で俺たちを見てくる。いや、俺ゲイとかじゃなくてただ単に嬉しかっただけだからね?一番常識人っぽいし。
「は、え?///きゅ、きゅうしぇいしゅ?//」
「あるじちゃぁん、その人間の子どもだけずるぃぃ」
「そうだぞ主君、いい加減にはなれぬか」
「そうです、苦しがってますよ」
「はっ、そうだよな。ごめんな、風見。 あ、俺は八神 蓮です、よろしく!あとカマイタチさんも」
反省した俺は眉毛を少し下げてあやまったあと、ぎこちなくではあるが改めてあいさつをするとどっちとも目を丸くしている... なんで?
「い、いや全然ええねんけど、今どうしてわいのパートナーにまであいさつしたんだ?」
「え?普通だろ?な、カマ太郎?」
「くぅ~ん」
「勝手に変な名前つけへんといて…」
「えぇかわいいのに ほらカマ太郎も喜んでる」
スリスリとすり寄ってきたカマ太郎をそっと手をおき撫でてやる。
「な!?カマ太郎は滅多にわい以外の人間になつかないのに… どうなってんや...
お前さんほんまおもろいなぁ、あの西条(さいじょう)にだってたてつくんやからなぁ~。まぁあいつ中等部から調子こいてたからスッキリしたわ~」
「いや、ただムカついたから」
んしてもやりすぎたかな…?
「あいつみたいなネジがぶっ飛んでるやつにはいい薬になったんとちゃう?」
「へぇーそのなんとか条(じょう)ってやつ中等部からいたんだ」
この学校には中等部から高等部まである。力のある陰陽師や有名な祓い屋など代々続くお家の出の人は中等部から通っているという話を聴いた。
「っていっても、親が無理やり使い魔にした妖を使ってやりたい放題って感じやったんけどなぁ。なんせあいつが連れてた妖は日本三大妖怪の一つ、酒呑童子(しゅてんどうじ)やったんやで!まぁ、あいつらにだいぶ力を封じられてたっちゅうんのもあるが…」
「しゅうてんどうじ?」
「なんや、蓮 おまえ酒呑童子も知らんのか?」
「しゃーなし!わいが教えたr「酒呑童子とは鬼だ。特に力が強いあやかしものと言われておるが今回のはだいぶ力を制御されていたのだな。楽に勝てたわ」
「へーそんなんだ、やっぱ飛鳥ってなんでもしてるな、で ちなみに日本三大妖怪?ってなに?」
「に、日本三大妖怪とは、日本に数多伝わる妖怪達のなかでも名実共に上位である三体を指す呼称であるぞ なお、日本三大妖怪は鬼の酒呑童子・天狗・九尾狐 (九尾ぎつね)を指すことが多いらしいですよ!主!」
「お、雪凪も物知りだな」
と言って頭を撫でると雪凪は目を細めて頬を染める。風邪流行ってんなぁ
「あれ?じゃあ、狐珀と飛鳥も?」
「そうだよぉ~、なんでかわかんないけどそう呼ばれてるぅ。頭撫でて~」
「うむ、わしもお願いしていいだろうか」
二人の頭をそっと撫ながらここは動物園のふれあいコーナ一人ツッコミを入れていると、一人頭にキノコを栽培しているやつを見つけた
「そ、颯奏?」
「わ、わいのセリフ…、 まぁ!そんなわけであいつに関わろうとするやつはほとんどいなかったんやけど蓮ときたらすぐにあいつをたおしちまって。惚けるくらいしかできひんかったわ笑 ま、でもあの天狗に九尾の狐に雪の里の時期 長まで揃っているんやったらなっとくやわ」
立ち直り早いな
「ん?こいつらって...」
「え?!まさか知らへんのか?おまえの妖怪たちはちょぉー有名なんやで?強いし頭もいいし顔もいいしでそりゃ使い魔に欲しがるやつはわんさかおるやけど、今まで一人としてパートナーにしてるやつ見たことなかったさかい、レアやわ~」
「へぇー、おまえらってなんだかんだすごいんだな」
「あるじちゃんにほめてもらえるなんてぇ、うれしぃなぁ~」
「光栄であります、主君!」
「わしも気分がいいな」
「「「本当に(主君)(主)(あるじちゃん)に出会えてよかった(ぞ)(です)(よぉ~)」」」
「お、おう、そのなんて言うかついてきてくれてありがとう?」
照れ隠しにうつむいていた俺は、みんなが同じことを心の中で思い((((かわゆす!!!!!))))と風邪とはまた違う意味で顔を赤く染めていたのを知らない
だらだらと楓奏(そうた)と駄弁っていると急に(奇声?)叫び声やら雄叫びやらがあがる
「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」」」」」
「蓮?大丈夫かー?」
「いや、鼓膜ブチ切れたわ」
「なに?!主大丈夫なのですか?はっ、もしや主を狙った計画的反抗!この雪凪がただいま処理してまいります!」
「ちょっ、冗談だし、そんなわけないだろ 落ち着け」
と今日二度目のげんこつを食らわすと雪凪は少し涙目になりながら上
から視線を送る。ちっ、何でみんなそろって身長高いんだ!俺でも平均以上くらいはあると思うんだけどなぁ
「まぁそりゃ、この学園の王子様たちのご登場やからな」
王子様?ここはおとぎの国か何かなのかね
0
あなたにおすすめの小説
絶対に追放されたいオレと絶対に追放したくない男の攻防
藤掛ヒメノ@Pro-ZELO
BL
世は、追放ブームである。
追放の波がついに我がパーティーにもやって来た。
きっと追放されるのはオレだろう。
ついにパーティーのリーダーであるゼルドに呼び出された。
仲が良かったわけじゃないが、悪くないパーティーだった。残念だ……。
って、アレ?
なんか雲行きが怪しいんですけど……?
短編BLラブコメ。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
俺の居場所を探して
夜野
BL
小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。
そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。
そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、
このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。
シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。
遅筆なので不定期に投稿します。
初投稿です。
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる