婚約破棄、ありがとうございます

奈井

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「私が言う事ではないのですが…ベルナルダン様がお二人の味方になってあげることはできないでしょうか?ダメなら、せめてティーシル様がこれまで通りに変わらなく過ごせるようにお力を…。」


心の中ではお兄様を付けているけど、大人の淑女として家族以外の男性には名前に様を付けてお呼びする。

ベルナルダンお兄様に対して少し寂しいけど…。


予想通り、ベルナルダンお兄様の眉間にはシワが寄せられてしまいました。

そんな顔をさせてしまって、ごめんなさい…。

「…エミリを苦しめたあの2人の?」

キリっとしたお顔が一層鋭くなって、少し怖いけど。

「そうです。」

ここは私が言わなければ、きっと何も進まないと思うから。

「できないよ。いくらエミリの頼みでもそれはできない!」

目を伏せ首を静かに振るベルナルダンお兄様。


この件について、私の心には蟠りがない。

気持ちは初めからティーシル様へは向いていなかったのだから、落ち込んでなどいない。

ただ、普段通り日々淡々と過ごしている様子は周りからは落ち込んでいるように見えるみたで…私にとってはちょうどいい。

大勢の場所で恥をかかされたことについても、それほど怒りを感じていない。

噂の的の今は公の場に行かなくてよい理由ができ、むしろ、しばらくは煌びやかな駆け引きの社交の場に行って緊張しなくてよいのかと思うとホッとする。

だからこそのできるお願いなんです。

でも、ベルナルダンお兄様は私が傷ついているとお思いになっているから。


「…ティーシル様の決意は固い、と聞きました。だったら、これ以上最悪な事が起こらないように、事を進めなくてはいけないと。ルゥグホン侯爵家の名にさらに傷が付くような事があってはいけません。…お相手の男爵家もお困りだと聞きました。」


そうなのだ、今回のこの騒動でルゥグホン侯爵家はもちろん、ジュブワ男爵家も悪目立ちしてしまっているそうです。

貴族の世界は怖いものです。

侯爵家であるルゥグホン家の跡継ぎでもない次男の不始末。

いい機会だと、侯爵家に敵対心のある家よりわざわざ嫌味を言われる事があるとか。

その程度で済んでいるのだから、事が収束すれば問題はないでしょう。

ですが、下位であるジュブワ男爵家は今後のお付き合いを遠慮したい旨の手紙が引っ切り無しに届いているらしい、とポーレットから聞きました。

「エミリを苦しめた相手の家のことまで、気遣ってあげる事はないよ。」

ベルナルダンお兄様の静かな怒りが伝わってきます。

私の味方だと改めてわかる言葉は嬉しいです。


「でも、このままでは平行線でいつまでたっても解決できません。…私も、このままでは一歩も踏み出せないもの…。」




ベルナルダンお兄様の目がハッと音がするくらい開いたのです。






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