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しおりを挟むいよいよ、王に提出する婚約解消の書類の作成を我が家で準備する事になり、ルゥグホン侯爵とベルナルダンお兄様がいらっしゃいました。
あの事があってからお2人にお会いするのは初めてです。
私の顔を見るなりルゥグホン侯爵は涙ぐみながら
「辛い思いをさせてすまなかった。…エミリには”おとうさま”って読んで欲しかった…。」
涙が零れ落ちそうですよ、小父様。
「私もです…。」
私の気持ちに嘘はないです。
ティーシル様を抜きにしても、小さい頃から可愛がっていただいた、優しい小父様を”おとうさま”と呼べる日を心待ちにしていたのは本心です。
私の返事を聞いて泣き崩れそうになるルゥグホン侯爵を父が支え父の書斎へ。
「この様子では書類の作成は今日は無理かもしれない。2人でしばらく書斎にいるから、ベルナルダン、この子の話相手を頼む。」
父が小父様を抱えながらそう言い残し、足取りも重く去っていきました。
ベルナルダンお兄様と言葉も無く向かい合って座る居間には、侍女が注ぐお茶の音がやけに大きく聞こえます。
先ほど砕けて話せとベルナルダンお兄様が仰ったのでお言葉に甘えようと思いますが、なんだか空気が重くて上手くできない気がします。
「…ティーシル様は…お部屋から出してもらえないの?そう、聞きました。」
あら、そっそく砕けきれなかったわ。
「…様なんてつけなくていいよ。夫になる男ではなく、ただの幼馴染…じゃないな。エミリにとっては酷い事をした男だった。あいつには気を使わなくていいよ。」
寂しそうに、いつもより増して低い声で静かにお話なさるベルナルダンお兄様。
それでも、重い口を開かれてお話をしてくださいました。
「父さんに言われてね、謹慎と言う名の監禁だよ。婚約を解消したいだけならまだいいが…良くないけど。既に恋人がいて、すぐにでも結婚したいと言い出した。…手が付けられないよ。」
そう言って溜め息をつくベルナルダンお兄様。
心なしかお疲れみたい。
毎日のお仕事に加えて、しなければいけないことが増えてしまわれたものね。
ベルナルダンお兄様のせいではないのに、可哀想だし申し訳ない。
「当然だけど、父さんはあの2人の結婚を認めないと言っている。エミリやフォンテーナ家に気を使っている事もあるけど、父さんは本当にエミリを娘と呼びたがってたからね。」
思った通り、あの2人は前途多難だわ。
今日、ベルナルダンお兄様が来る事がわかって、お願いしようと心に決めていた事をお話ししようと、組んでいた手を握り締め、口を開きます。
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