◆君と一緒にいられたら…〜青海透の恋愛事情

青海

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真実と帰る

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 「よおっ!もうそろそろバイト上がりだろ?」

 
 あと十分程でバイトも終わろうかという頃真実がバイト先に来る。

 しかも一人ではなく…女の子連れ??

 「…真実、彼女いたんだね。」

 そういうと真実が微妙な顔をする。

 「いや、浅川はそんなんじゃない…。賭けに負けたんだ。」

 「えっ?」

 真実は彼女に向かって言う。

 「浅川、約束通り…好きなもん買えよ…。」

 「うん、当然っ!」

 浅川と呼ばれた女の子は楽しげに笑いながらあれこれ見始めた。



 「どういうこと?」

 「あとで話す…今は何も言うな…。」

 微妙な表情だったのでとりあえず黙る。

 「後十分ぐらいだから…。」

 そう言って品出しを終わらせる。


 
 「シンジっなんでも良いって言ったよね?」

 「…流石に酒はダメだ。戻してこいよ。」

 真実達の声が聞こえる。

 あんなに楽しそうなのに…彼女じゃ無いって…どういう関係なんだろう。

 真実が女の子といるところなんて初めて見た。

 横目でチラッと二人を見る。

 …少なくとも浅川さんの方は真実の事好きそうなんだけどな。




 そうこうしているうちにバイトの時間が終わる。

 外に出ると真実が待っていた。

 「お待たせってさっきの子は?」

 「浅川か?用が済んだからさっさと帰ったぞ。透、ああいう女が好きなのか?」

 「へ??まさか…俺はどっちかっていうと…」

 「泉だろ?」

 「うん」

 答えてしまってハッとする。

 「あ、いや…違わないこともないけど…。」

 ニヤッと笑う真実。

 「だったらさっさと…泉に言ってやろうか?」

 「!!絶対やめて!!…。振られたら…一緒には居られなくなるから…。それに俺…。付き合ったり…できないよ…。水野さんはもっとちゃんとした…。」

 情けなくなりそれ以上言えない。

 こんな自分…泉に釣り合うとは到底思えない。


 「それは泉が選ぶことだ。お前が考えることじゃない。…もし仮に今釣り合わなかったとしても、将来的に釣り合えばいいんじゃないか?…って言ってもな…。」

 真実はため息をつく。

 「俺はお前と泉なら…良いと思うぞ。」

 


 ★


 帰り道、気まずくなるそうだったのでさっきの女の子のことを聞く。

 「浅川は陸上部と柔道部を掛け持ちしてるヤツでさ…。」

 真実は話し出した。

 「前に足怪我して動けなかった様だったから一度保健室に連れて行った事があって、その時から何か絡まれる様になったんだよ。」

 
 晴れた日は陸上、雨の日は柔道部に顔を出しているらしい。

 真実は剣道部で、浅川さんの雨の日の所属の柔道部はともに体育館でしかも隣同士で活動するらしく関わりが多い様だ。


 
 「それでそれで?」

 真実の話を促す。

 「今日アイツに思い切りぶん投げられた…。それだけだ。」

 唐突に話を切り上げる真実。

 しかも聞き捨てならない事を聞いた。

 真実が浅川さんに投げられたって?

 聞き返すと心底嫌そうな顔をする。

 「浅川に勝ったら浅川と付き合えって…意味がわからないだろ?」

 「うん…すごく。真実に勝ったら付き合うってなら分かるけど…。」

 「何か知らないけど俺が浅川に振られたみたいになってるのが気に食わないけど…。んで勝負に負けたから…こうなったってわけ。」

 …真実物凄い高いものでも買わされたのだろうか?

 「いや…何か知らんが小さい女の子が欲しがる様なオモチャ付きの菓子だったぜ。400円位の。」

 「ふうーん…そうなんだ…。」

 てっきり物凄い高いものを買わせるために真実を利用しようとしたのでは?とも思ったが違う様だ。


 「ねえ真実、浅川さんと付き合わないで済む様にワザと負けたの?」

 そう聞くと真実が首を振る。

 「まさか。負けるつもりなかったぞ。まあ、勝っても付き合わなかっただろうけどな…。」

 じゃあ真実は本当に負けたんだ。

 浅川さんは柔道部に所属しているとはいえ女の子であんなに華奢なのに…。

 「まあ、力の使い方と気合だろうな…。あんな面白いヤツ初めてだ。」

 真実が楽しそうに笑う。

 真実が楽しげに笑うのでまあ良いかと思った。

 夕暮れ時を一緒に家に向かって歩く。




 ★


 「あ、これすごい懐かしい…。」

 泉がバイト先に遊びに来た。

 「ん?水野さんそれ欲しいの?買ってあげるよ。」

 そう言うと照れた様に笑う泉。

 「えっでも…。」

 「良いから良いから。」

 買って渡すと嬉しそうに笑う泉。

 「ところでこれ何??」

 「小さい頃良くお父さんとかおじいちゃんにおねだりして買ってもらったんだ。オモチャだけど首飾りとか指輪とか入ってるんだよ!!」

 そう言いながら泉は箱を開ける。

 「…あ、青い宝石の指輪だ!!」

 楽しそうに指にはめる泉。

 
 
 ……。

 好きな子に指輪を買うって…。

 何か分かってしまった。

 浅川さんは多分これを真実に買わせたかったんだ…。

 

 「青海君、ありがとう」

 泉が嬉しそうに指輪を見せてくれたと思ったら赤くなった。

 …。

 さっと指輪を外してしまう泉。

 「じゃあ、家に帰ってご飯作るから…気をつけて帰ってきてね。」

 赤くなりながら慌てて帰ろうとする泉を見送る。

 

 …。

 泉が可愛くて仕方なかった。

 胸の痛みを感じてそっと胸を押さえる。


 

 
 
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