◆君と一緒にいられたら…〜青海透の恋愛事情

青海

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お化け屋敷

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 「泉、お化け屋敷に行ってみようか?」

 ふと思いつきで言ってみた。

 確か隣町の遊園地にお化け屋敷があるとTVで見たのを思い出す。

 最近まであまりTVを見る習慣がなかったのだが、泉が見ている隣で見る事が最近多くなった。

 …昔はTVなんか見させて貰えなかったので見なくても全然平気だったが、泉がTVを見ている横顔を見るのは好きだった。

 
 泉はしょっちゅうホラー映画やら怖いTV番組なんかを見ているし、きっと好きなんだろうと思った。

 「えっ…。」

 なぜか焦り出す泉。

 「泉怖いの好きなんでしょ?この前隣町の遊園地にあるってTVで見たし、ちょっと行ってみない?」

 …少し考える様子の泉だったが少し赤くなって行きたいと言ってくれた。

 「お化け屋敷はともかく…透とデートはしたいな…。」

 「…!」

 

 よく考えたら普段から一緒にいるせいであまりデートなんてした事なかったかも…。

 ちゃんとそれらしい事を計画して行ったのって水族館以来だ。

 「…でも電車とか大丈夫?」

 「…通勤時間帯から少し遅くすれば大丈夫だよ。多分。」



 ★


 
 「暑いねえ…。」

 泉と遊園地の前に立つ。
 通勤時間帯から外したお陰で電車は空いていたし平気だった。
 夏の遊園地は日差しが強い。

 遊園地のチケットを買って園内に入る。

 「凄い…。」

 メリーゴーランドやら観覧車にジェットコースター…。

 乗ったことはないがそれぞれが色んな動きで人々を楽しませる。

 「透って絶叫マシン平気なの?」

 「…う~ん、乗ったことないから分からないけど、乗ってみようか。」

 手始めにジェットコースターにでも…。

 「…透、もうちょっと遅い乗り物にしたら?ほら、あのコーヒーカップあたりからとか…。」

 泉が指差す方を見る。

 いくつかのコーヒーカップを模した乗り物がゆっくりと回っている。

 「…そうかな?じゃああっちにしようかな。」

 「うんっ!」

 泉と手を繋いでコーヒーカップに向かう。

 「泉はジェットコースターとか平気なの?」

 「うん。私は平気だよ。真実はあんまり好きじゃないみたいだけど。」


 
 コーヒーカップがクルクル回る。

 正面に座っている泉が楽しそうに笑っていた。

 泉の背景がクルクル動いて…。

 

 
 「…。」

 少しだけ気分が悪くなってしまった。

 早く回る系の乗り物は得意では無いようだ。

 「…透、大丈夫?」

 泉を心配させるわけにはいかない。

 「よし、大丈夫だから次はジェットコースター行こうか。」

 クルクル回らなければ大丈夫かもしれない。

 

 
 安全ベルトに安全バーが身体を固定される。

 運が良いのか悪いのか一番前になってしまった。

 「ドキドキするねっ!」

 泉がニコニコしている。
 …絶対泉…怖がってないな…。
 隣にいる泉は楽しそうにしているが、正直これから何が起きるのか分からずに怖くなる。

 下から見た時は平気だと思ったんだけど…。

 「…泉…。」

 話しかけようとした瞬間、ベルがなりジェットコースターがゆっくり動き出した。

 「…っ!!」

 ゆっくりじっくり高いところまで登っていく。

 「…。」


 安全ベルトに固定されてはいたが身体が大きく傾いていく。

 登り切った先のレールが見えなくなる。

 
 「えっ…!」

 身体がふわっとしたと思った瞬間、激しく身体が安全ベルトに引っ張られて大きく降下し始めた!


 「はっ!?」




 ★


 
 「透…大丈夫?」

 なんとかジェットコースターから降りて近くのベンチに座り込んでしまう。

 全ては一瞬だった。

 何も考えられずにただ前を見ていることしか出来なかった。

 身体があちこちに振り回されて色んな方向に重力がかかった。

 …無茶苦茶な乗り物だな…。

 

 「透…これ飲んで。」

 泉がお茶を買ってきてくれた。

 「…ありがとう…。ごめんね。情けないところ見せちゃって…。」

 「ううん。大丈夫だよ。」

 冷たいお茶を飲んで目を閉じる。
 まだ視界が回っているようだ。

 「透…少し横になって?」

 「…本当…ごめん。」

 さりげなく泉が膝枕をしてくれた。
 泉の膝枕…。
 情けなくなってしまう。

 「…自分で言い出したのに…。」

 「透、いいから。こう言うのも私結構好きだよっ!」

 泉が照れたように笑いながら優しく頭を撫でてくれた。

 

 日陰になっているおかげでとても気持ち良かった。

 時々吹いてくる風が心地いい。

 
 しばらく泉に撫でられながら休んでいるとすっかり気分が良くなっていた。

 


 「泉、ありがとう。すっかり良くなったし、そろそろお化け屋敷入ろうか!」

 「えっ…無理しない方が…。」

 泉が何故か少し嫌がっているような素振りを見せる。

 「大丈夫だって。お化け屋敷なら自分の足で歩くから俺だって気分悪くならないからっ!いこっ!」

 ちゃんと泉を楽しませないとっ!

 泉の手を取る。

 「…うん…。」



 ★


 ろくろ首に一つ目小僧に猫又…。
 これってお化けっていうか妖怪?

 昔図書室でみた妖怪図鑑を思い出した。

 「泉、小豆とぎだっ!」

 泉の手を引く。

 「っ!!」

 暗がりで泉の表情は分からなかったが喜んでるに違いない。

 あ、でもやっぱりこれお化けじゃなくて妖怪だよね…。

 「輪入道だっ!懐かしいな…。泉っ!」

 泉を振り返る。
 輪入道がライトアップされているおかげで少し明るくなっていたので泉の表情が少し見えたが…。

 「…ってなんで泉泣いてるのっ!?」

 「っ…!!」

 泉が泣きながら抱きついてくる。
 …。

 
 泉を抱きしめて背中を撫でる。
 泉が泣くのを見るのはこれで三度目だったが、やっぱり慣れない。

 泣いている泉をそのまま連れて出口に向かう。

 出口に手前で猫又達が酒盛りをしている所があって明るくなっていたので泉に話しかける。

 「泉、猫又は怖い?ほら、楽しそうに酒盛りして踊ってるよ。可愛いな。」

 そう言うと泉が顔を上げて猫又を見た。

 「本当だね。楽しそう。」

 泉が少し笑ってくれた。



 ★



 「ここ、小さい時に連れて来られて…。」

 外で明るい日差しを受けながら泉がハンカチで涙を拭く。


 小さい頃、連れて来られたのは良かったが親が目を離した隙に真実とお化け屋敷に入り込んで、あろうことか面白がって真実が泉を置き去りにしたらしい。…よりにもよって輪入道の前に…。

 「すぐにお父さんが迎えに来てくれたんだけど…。それから妖怪が怖くなっちゃって…。本当にいるはずないって分かってるけど…。」

 泉が少し落ち着いてきたようだ。

 「…でももし本当にいなかったんなら妖怪のルーツってなんなんだろうって…。」

 そう、火のないところに煙は立たず、本当にいないのなら今の時代まで残っているのは不思議だった。


 っていうか昔の真実って…。
 まあ子供がした事だから仕方ないけど…。

 
 泉を改めて抱きしめて撫でる。

 「泉、大丈夫。俺は妖怪平気だから何かあったら俺が追い払うよ。」

 いるか分からない妖怪を怖がる泉は可愛いかった。

 

 「何か少し疲れたね。」

 今日はここまでで切り上げることにした。

 この距離ならまた来ればいい。

 「でも楽しかったね。」

 なんだかんだ言っても泉と過ごすのは楽しい。

 泉と手を繋いで家路に着く。








 「…透…妖怪怖いから一緒に寝よう?」

 寝ようとしたら泉がタオルケットを被りながら部屋にくる。

 「…いいよ。おいでっ。」


 
 
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