◆君と一緒にいられたら…〜青海透の恋愛事情

青海

文字の大きさ
75 / 102

花火大会

しおりを挟む
 真実と熱い温泉に浸かる。

 「なあ…あれなんだったんだと思う?」

 真実が温泉に浸かりながら聞いてくる。

 「…あれって?真実何か見えたの?」

 「ああ…。滝に落ちたお前を抱き上げた時…お前がものすごい美人な女と重なって見えた…。」

 …。

 美人はさておき、やはり何かがあの場にはいたのか…。

 「お前を抱きしめた瞬間、その女は水に溶けるみたいに消えたけどな。」

 「…。」



 
 それが何だったのかとか、何をしたかったのか本当のところは分からない。

 …もしかしたら誰かに抱きしめられて、愛されたかったのかもしれない…何となくそう思った。

 

 でももう同じことは起きないだろうという確信はあった。

 真実の見たというその美人はもう現れないだろう。

 そう思った。





 ★



 「透っ一口ちょうだいっ!」

 ブルーハワイ味のかき氷を食べていると泉が隣に座った。

 「代わりに私のメロン味のかき氷も食べてみてっ!」

 「あ、泉またメロンにしたのっ?」

 「うんっ!」

 嬉しそうにかき氷を食べる泉。

 「知ってるか?かき氷のシロップって色が違うだけでみんな同じ味なんだぞ?」

 そう言いながら真実がレモン味のかき氷を食べながら隣に座る。

 

 夏祭りに3人で来ていた。

 泉のじいちゃんが用意してくれていたようで3人とも浴衣を着る事ができた。

 …気がつくと泉に見惚れていて、気づいた泉が微笑みかけてくれる。

 …本当に綺麗だ。


 たこ焼きやらイカ焼きやらあちこちで食べ歩き、お腹一杯だ。

 提灯の灯りに照らし出される景色は何処も非日常で、愉快なリズムの太鼓と音楽は人々を笑顔にする。

 
 

 3人で並んでかき氷を食べていると不意に真実の携帯が鳴った。

 「あ、もしもし?浅川か?」

 真実が話しながらそっと透の肩に触れ離れていった。

 「もうすぐだね。」

 隣でかき氷を食べる泉が笑う。

 「そうだね。」

 …思えば去年の花火大会は散々だったな…。

 …どうしても自分を受け入れられずに、泉のことも振ってしまった。

 泉を泣かせてしまったし、無駄に傷つけてしまった。

 …。

 涙を流す泉の顔を思い出し胸が痛む。

 「透…?」

 黙ってしまった透を心配したのか泉が顔を覗き込んで来た。

 「泉…。」

 出来るだけ優しく泉の肩を抱く。

 そっと泉の顔を引き寄せてキスをした。

 「んっ…。」

 赤くなる泉の後ろで花火が上がった。

 「好きだよ…泉。」

 そう言うと泉が嬉しそうに抱きついてくる。

 泉を抱き返しながら泉を見つめる。

 浴衣姿の泉はとても可愛くて、綺麗だ。

 「透…私もっ…透が好きだよ。」

 泉が嬉しそうに笑ってキスし返してくれる。

 そっと唇を離した泉が空を見上げた。

 「今年は花火がすごく綺麗だね。」

 泉を抱きながら花火を見る。

 …泉に見惚れていて、花火を見るのを忘れていた…。


 


 夏の夜空に打ち上がる火の花…。

 どこまでも大きく、鮮明に輝きながら消えていく。

 たくさんの花火を眺めながら、でもやっぱりいちばん綺麗なものは今腕の中にあるな…。

 そう思っていた。


 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

結婚する事に決めたから

KONAN
恋愛
私は既婚者です。 新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。 まずは、離婚してから行動を起こします。 主な登場人物 東條なお 似ている芸能人 ○原隼人さん 32歳既婚。 中学、高校はテニス部 電気工事の資格と実務経験あり。 車、バイク、船の免許を持っている。 現在、新聞販売店所長代理。 趣味はイカ釣り。 竹田みさき 似ている芸能人 ○野芽衣さん 32歳未婚、シングルマザー 医療事務 息子1人 親分(大島) 似ている芸能人 ○田新太さん 70代 施設の送迎運転手 板金屋(大倉) 似ている芸能人 ○藤大樹さん 23歳 介護助手 理学療法士になる為、勉強中 よっしー課長(吉本) 似ている芸能人 ○倉涼子さん 施設医療事務課長 登山が趣味 o谷事務長 ○重豊さん 施設医療事務事務長 腰痛持ち 池さん 似ている芸能人 ○田あき子さん 居宅部門管理者 看護師 下山さん(ともさん) 似ている芸能人 ○地真央さん 医療事務 息子と娘はテニス選手 t助 似ている芸能人 ○ツオくん(アニメ) 施設医療事務事務長 o谷事務長異動後の事務長 雄一郎 ゆういちろう 似ている芸能人 ○鹿央士さん 弟の同級生 中学テニス部 高校陸上部 大学帰宅部 髪の赤い看護師(川木えみ) 似ている芸能人 ○田來未さん 准看護師 ヤンキー 怖い

その出会い、運命につき。

あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。

今宵、薔薇の園で

天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。 しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。 彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。 キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。 そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。 彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー

小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。 でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。 もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……? 表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。 全年齢作品です。 ベリーズカフェ公開日 2022/09/21 アルファポリス公開日 2025/06/19 作品の無断転載はご遠慮ください。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

【完結】一番腹黒いのはだあれ?

やまぐちこはる
恋愛
■□■ 貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。 三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。 しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。 ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。

処理中です...