5 / 20
5話 噂の真相
しおりを挟む
「……ふ、はは! ははは!」
「ベネディクト様……?」
ベネディクトが笑っている。自嘲するでもなく、ジェシカを挑発するのでもなく、ただ心から面白いと言うように。
ベネディクトはひとしきり笑うと、目元の涙を拭いながらジェシカに問う。
「聞くけど、君をここに送ったのは王妃?」
ジェシカは言葉に詰まった。これまでの侍女とは違い、ジェシカは王太子エリザベスの命により、ここに来たのだ。
ベネディクトはエリザベスを恨んでいるという噂がある。正直に話せば、ますます嫌悪されてしまうのかもしれない。
だが、ベネディクトの信頼を得たいのなら、ここで偽ってはならない。心を隠す者に誰が心を開くだろうか。
「いえ。……王太子殿下です」
「なるほど、エリザベスの手の者か。どうりで……。いや、どうやら勘違いしてたようだな。君も、僕も」
ベネディクトは納得したように頷いた。その顔には先程までの困惑も、今まで見せてきた嫌悪もない。
予想していたのと真逆の反応に戸惑うジェシカに、ベネディクトはあっけらかんと笑った。
「いいよ、許してあげる。驚いただけで、怪我とかもしてないし。……でも、君って思ったより力が強いんだな。最初、見張りの奴らに押さえつけられたのかと思ったよ」
「……塔の鍵は全て侍女が所持しております。見張りの者達が単独でここに踏みいることはありませんので、ご安心ください」
ベネディクトには侍従に襲われた過去がある。それを考慮しての発言だったが、ベネディクトは何のことかと不思議そうに首を傾げた。
ベネディクトは、男とふたりきりになったり触れられたりすることに恐怖を覚えていないのだろうか。だが、そのことを尋ねるのも憚られる。彼の心の傷を抉るような真似はしたくはない。
「いえ。……我が家は武人の家系ですから、幼い頃から鍛えているのです」
「それで、剣も所持していたのか」
ジェシカの腰にはいた剣に目を向けたベネディクトは興味深そうにつぶやく。朝と夜に素振りの日課をしているため、身につけていた。
「でも、それだけじゃないな? これまでの君の動きは侍女をやってきた人間とは思えない。何も命じられていない時に主人の傍に控えて立っている姿も、さっきのように膝をついて謝罪するのも、まるで騎士のようだった」
「……はい。お察しの通り、私は騎士として長年王太子殿下に仕えてきました。侍女となったのはここ最近のことです」
「そうか。だから、今までの侍女と違ったんだな。てっきり、王妃の手駒もつきかけて、ろくに仕込んでないのを送り込んだんだと思ったよ」
「そ、そこまでひどかったでしょうか?」
アネットに特訓を受けて及第点をもらったのだが、まだ駄目だったのだろうか。
「ん? ……ああ。いや、君の侍女としての腕に問題があるというわけではないんだ。ただ、前の侍女から引き継ぎなどはなかったのかと思っただけで」
ベネディクトは青ざめるジェシカの懸念を払拭すると、苦笑を浮かべた。
「どうも、王妃の手の者は僕を監視したがるみたいでね。控室にいろと言っても何かと理由をつけてこの部屋に来るんだよ。それはもう、うんざりするほどしつこく。でも、君は大人しく控室に入ったまま、必要最低限しか僕と接触しなかった。僕の意志を尊重してくれた。だから……君には教えてあげる。心配もさせたようだし」
ベネディクトは窓へと近づくと、ジェシカを呼んだ。
「僕は別に死のうと思ってたわけじゃない。ただ、あれを見てたんだ」
ベネディクトが指さした先にあるのは満天の星空だった。
「星をご覧になられていたんですか?」
「宮殿でも見ていたのかと思ったのか? 王太子となった妹に嫉妬して呪詛でもかけてると?」
「まさか、そんなことは……! ですが、夜に宮殿を眺めていると聞いたことがあったので……」
「はは、冗談だよ。今日は新月だからな、特に綺麗なんだ。……僕が星を見るのはそんなに意外?」
「……はい。昼間はほんの少ししか窓をお開けにならないので、自然には興味がないのかと思っていました」
明かりをとるためにわずかに開いているくらいだから、なるべく外の世界を見たくないのかと思ったのだ。
「昼間に開けていたら、いつ背後から突き落とされるかわからないからな。下は芝生だから多少衝撃を和らげてくれるとは思うが……」
ベネディクトは顔をしかめながらつぶやく。
その不穏なつぶやきに、ジェシカは背筋が凍る思いがした。
「これまでの侍女に命を狙われたことがあったのですか?」
「ああ。侍従の時は平穏だったけど、侍女に変わってからは何度も危ない目にあった、偶然を装って突き落とされそうになったこともあれば、食事にも毒を盛られたこともあった」
だから、掃除をした時に窓を開けたままにしたのを嫌がったのか。ジェシカが隙をついて落とそうとするのではないかと危惧していたのだろう。
何度も毒殺されそうになったから、ベネディクトはジェシカが毒を盛っているのかと疑いをかけたのか。
給仕を断ったのも、食事量が少ないのも、そのせいなのかもしれない。
「もしかして、デザートにも毒を盛られていたんですか?」
「そう。デザートなら僕が全部食べると思ったんだろう。……今朝は悪かった。君が王妃の手下だと勘違いしていたから、誤解してしまったんだ。あの時僕が言ったことは忘れてくれ」
「いえ! こちらこそ、申し訳ございませんでした。今後は気をつけます」
その時、きらりと夜空に走るものがあった。
「流れ星か。今日は結構多いな」
ベネディクトは窓に近づく。先程ジェシカを驚かせたためか、窓から身を乗り出すことはなく、窓際の椅子に座った。
「夜ならゆっくりと外を眺められるんだ。……たまに見張りがこちらに気づくこともあったけど、睨んだら逃げ出した。あいつら、図体はでかいくせに結構臆病なんだ」
ケラケラと笑うベネディクトの言葉に、だから見張りがいなかったのかと納得する。
上に報告するにしても、このことは言い添えたほうがいいだろうか。そう考えるジェシカの背中を、ベネディクトが叩いた。
ベネディクトはもう一脚の椅子を指さした。
「君も座りなよ。星を見ていたんだろ? ここは木で視界が塞がれないから、多分地上よりも綺麗に星空が見えるはずだ」
「え……ですが、せっかくベネディクト様が楽しまれていたのに、お邪魔になりませんか?」
「ならないよ。たまには誰かと見るのもいいだろうし」
ベネディクトはそこで口を閉ざして星を見上げた。
ジェシカは恐縮しながらも、用意された席について空を見上げる。
ベネディクトの言う通り、遮るものがないため星がよく見えた。
「綺麗……」
「だろ? 特等席なんだよ、ここは」
ベネディクトは空を指差しながら、星の解説をしてくれた。
「あの星座は目立たないけれど、なかなか良い逸話があるんだ。とある、神話の兄弟の話なんだけど――」
きっと彼は星が好きなのだろう。これまで見たことがないほど、楽しそうに語っている。
ジェシカも自然と口角が上がった。少しはベネディクトに心を許してもらえたのかもしれない。そう思うと、嬉しかった。
「ベネディクト様……?」
ベネディクトが笑っている。自嘲するでもなく、ジェシカを挑発するのでもなく、ただ心から面白いと言うように。
ベネディクトはひとしきり笑うと、目元の涙を拭いながらジェシカに問う。
「聞くけど、君をここに送ったのは王妃?」
ジェシカは言葉に詰まった。これまでの侍女とは違い、ジェシカは王太子エリザベスの命により、ここに来たのだ。
ベネディクトはエリザベスを恨んでいるという噂がある。正直に話せば、ますます嫌悪されてしまうのかもしれない。
だが、ベネディクトの信頼を得たいのなら、ここで偽ってはならない。心を隠す者に誰が心を開くだろうか。
「いえ。……王太子殿下です」
「なるほど、エリザベスの手の者か。どうりで……。いや、どうやら勘違いしてたようだな。君も、僕も」
ベネディクトは納得したように頷いた。その顔には先程までの困惑も、今まで見せてきた嫌悪もない。
予想していたのと真逆の反応に戸惑うジェシカに、ベネディクトはあっけらかんと笑った。
「いいよ、許してあげる。驚いただけで、怪我とかもしてないし。……でも、君って思ったより力が強いんだな。最初、見張りの奴らに押さえつけられたのかと思ったよ」
「……塔の鍵は全て侍女が所持しております。見張りの者達が単独でここに踏みいることはありませんので、ご安心ください」
ベネディクトには侍従に襲われた過去がある。それを考慮しての発言だったが、ベネディクトは何のことかと不思議そうに首を傾げた。
ベネディクトは、男とふたりきりになったり触れられたりすることに恐怖を覚えていないのだろうか。だが、そのことを尋ねるのも憚られる。彼の心の傷を抉るような真似はしたくはない。
「いえ。……我が家は武人の家系ですから、幼い頃から鍛えているのです」
「それで、剣も所持していたのか」
ジェシカの腰にはいた剣に目を向けたベネディクトは興味深そうにつぶやく。朝と夜に素振りの日課をしているため、身につけていた。
「でも、それだけじゃないな? これまでの君の動きは侍女をやってきた人間とは思えない。何も命じられていない時に主人の傍に控えて立っている姿も、さっきのように膝をついて謝罪するのも、まるで騎士のようだった」
「……はい。お察しの通り、私は騎士として長年王太子殿下に仕えてきました。侍女となったのはここ最近のことです」
「そうか。だから、今までの侍女と違ったんだな。てっきり、王妃の手駒もつきかけて、ろくに仕込んでないのを送り込んだんだと思ったよ」
「そ、そこまでひどかったでしょうか?」
アネットに特訓を受けて及第点をもらったのだが、まだ駄目だったのだろうか。
「ん? ……ああ。いや、君の侍女としての腕に問題があるというわけではないんだ。ただ、前の侍女から引き継ぎなどはなかったのかと思っただけで」
ベネディクトは青ざめるジェシカの懸念を払拭すると、苦笑を浮かべた。
「どうも、王妃の手の者は僕を監視したがるみたいでね。控室にいろと言っても何かと理由をつけてこの部屋に来るんだよ。それはもう、うんざりするほどしつこく。でも、君は大人しく控室に入ったまま、必要最低限しか僕と接触しなかった。僕の意志を尊重してくれた。だから……君には教えてあげる。心配もさせたようだし」
ベネディクトは窓へと近づくと、ジェシカを呼んだ。
「僕は別に死のうと思ってたわけじゃない。ただ、あれを見てたんだ」
ベネディクトが指さした先にあるのは満天の星空だった。
「星をご覧になられていたんですか?」
「宮殿でも見ていたのかと思ったのか? 王太子となった妹に嫉妬して呪詛でもかけてると?」
「まさか、そんなことは……! ですが、夜に宮殿を眺めていると聞いたことがあったので……」
「はは、冗談だよ。今日は新月だからな、特に綺麗なんだ。……僕が星を見るのはそんなに意外?」
「……はい。昼間はほんの少ししか窓をお開けにならないので、自然には興味がないのかと思っていました」
明かりをとるためにわずかに開いているくらいだから、なるべく外の世界を見たくないのかと思ったのだ。
「昼間に開けていたら、いつ背後から突き落とされるかわからないからな。下は芝生だから多少衝撃を和らげてくれるとは思うが……」
ベネディクトは顔をしかめながらつぶやく。
その不穏なつぶやきに、ジェシカは背筋が凍る思いがした。
「これまでの侍女に命を狙われたことがあったのですか?」
「ああ。侍従の時は平穏だったけど、侍女に変わってからは何度も危ない目にあった、偶然を装って突き落とされそうになったこともあれば、食事にも毒を盛られたこともあった」
だから、掃除をした時に窓を開けたままにしたのを嫌がったのか。ジェシカが隙をついて落とそうとするのではないかと危惧していたのだろう。
何度も毒殺されそうになったから、ベネディクトはジェシカが毒を盛っているのかと疑いをかけたのか。
給仕を断ったのも、食事量が少ないのも、そのせいなのかもしれない。
「もしかして、デザートにも毒を盛られていたんですか?」
「そう。デザートなら僕が全部食べると思ったんだろう。……今朝は悪かった。君が王妃の手下だと勘違いしていたから、誤解してしまったんだ。あの時僕が言ったことは忘れてくれ」
「いえ! こちらこそ、申し訳ございませんでした。今後は気をつけます」
その時、きらりと夜空に走るものがあった。
「流れ星か。今日は結構多いな」
ベネディクトは窓に近づく。先程ジェシカを驚かせたためか、窓から身を乗り出すことはなく、窓際の椅子に座った。
「夜ならゆっくりと外を眺められるんだ。……たまに見張りがこちらに気づくこともあったけど、睨んだら逃げ出した。あいつら、図体はでかいくせに結構臆病なんだ」
ケラケラと笑うベネディクトの言葉に、だから見張りがいなかったのかと納得する。
上に報告するにしても、このことは言い添えたほうがいいだろうか。そう考えるジェシカの背中を、ベネディクトが叩いた。
ベネディクトはもう一脚の椅子を指さした。
「君も座りなよ。星を見ていたんだろ? ここは木で視界が塞がれないから、多分地上よりも綺麗に星空が見えるはずだ」
「え……ですが、せっかくベネディクト様が楽しまれていたのに、お邪魔になりませんか?」
「ならないよ。たまには誰かと見るのもいいだろうし」
ベネディクトはそこで口を閉ざして星を見上げた。
ジェシカは恐縮しながらも、用意された席について空を見上げる。
ベネディクトの言う通り、遮るものがないため星がよく見えた。
「綺麗……」
「だろ? 特等席なんだよ、ここは」
ベネディクトは空を指差しながら、星の解説をしてくれた。
「あの星座は目立たないけれど、なかなか良い逸話があるんだ。とある、神話の兄弟の話なんだけど――」
きっと彼は星が好きなのだろう。これまで見たことがないほど、楽しそうに語っている。
ジェシカも自然と口角が上がった。少しはベネディクトに心を許してもらえたのかもしれない。そう思うと、嬉しかった。
9
あなたにおすすめの小説
酔っぱらい令嬢の英雄譚 ~チョコレートを食べていたら、いつの間にか第三王子を救っていたようです!~
ゆずこしょう
恋愛
婚約者と共に参加するはずだった、
夜会当日──
婚約者は「馬車の予約ができなかった」という理由で、
迎えに来ることはなかった。
そして王宮で彼女が目にしたのは、
婚約者と、見知らぬ女性が寄り添う姿。
領地存続のために婿が必要だったエヴァンジェリンは、
感情に流されることもなく、
淡々と婚約破棄の算段を立て始める。
目の前にあった美味しいチョコレートをつまみながら、
頭の中で、今後の算段を考えていると
別の修羅場が始まって──!?
その夜、ほんの少しお酒を口にしたことで、
エヴァンジェリンの評価と人生は、
思いもよらぬ方向へ転がり始める──
異世界育ちの侯爵令嬢と呪いをかけられた完璧王子
冬野月子
恋愛
突然日本から異世界に召喚されたリリヤ。
けれど実は、リリヤはこの世界で生まれた侯爵令嬢で、呪いをかけられ異世界(日本)へ飛ばされていたのだ。
魔力量も多く家柄の良いリリヤは王太子ラウリの婚約者候補となる。
「完璧王子」と呼ばれていたが、リリヤと同じく呪いのせいで魔力と片目の視力を失っていたラウリ。
彼との出会いの印象はあまり良いものではなかった。
男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される
山口三
恋愛
「俺と結婚してほしい」
出会ってまだ何時間も経っていない相手から沙耶(さや)は告白された・・・のでは無く契約結婚の提案だった。旅先で危ない所を助けられた沙耶は契約結婚を申し出られたのだ。相手は五瀬馨(いつせかおる)彼は国内でも有数の巨大企業、五瀬グループの若き社長だった。沙耶は自分の夢を追いかける資金を得る為、養女として窮屈な暮らしを強いられている今の家から脱出する為にもこの提案を受ける事にする。
冷酷で女嫌いの社長とお人好しの沙耶。二人の契約結婚の行方は?
竜王に嫁いだら、推しの半竜皇子の継母になりました〜冷酷な夫には興味ありませんが、闇落ち予定の皇子は私が全力で幸せにします!〜
せりもも
恋愛
転生したのは、web小説の世界だった。物語が始まる前の時間、隣国の竜王へ嫁ぐ薄幸の王女、デジレに。
結婚相手である竜王ワッツァは、冷酷非道で人間を蔑む恐ろしい竜人だ。彼はデジレを、半竜(半分竜で半分人間)である息子の養育係としかみていない。けれどその息子バートラフこそ、前世の「わたし」の最オシ」だった。
この世界のバートラフはまだ5歳。懸命に悪ガキぶっているけど、なんてかわいいの!? 小説のバートラフは、闇落ちして仲間の騎士たちに殺されてしまうけど、そんな未来は、絶対に許さないんだから!
幼いバートラフに対する、愛情いっぱいの子育ての日々が始まる。やがて彼の成竜への通過儀礼を経て、父の竜王は、デジレに対して執着を見せ始める。
ところが、竜と人間の戦争が始まってしまう。おとなになったバートラフは人間側につき、聖女の騎士団に入った。人と竜の間で下される彼の決断は? そして、転生者デジレに与えられたスキル「プロットを破断する者」を、彼女はどう発動させるのか。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です
氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。
英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。
病弱な第四皇子は屈強な皇帝となって、兎耳宮廷薬師に求愛する
藤原 秋
恋愛
大規模な自然災害により絶滅寸前となった兎耳族の生き残りは、大帝国の皇帝の計らいにより宮廷で保護という名目の軟禁下に置かれている。
彼らは宮廷内の仕事に従事しながら、一切の外出を許可されず、婚姻は同族間のみと定義づけられ、宮廷内の籠の鳥と化していた。
そんな中、宮廷薬師となった兎耳族のユーファは、帝国に滅ぼされたアズール王国の王子で今は皇宮の側用人となったスレンツェと共に、生まれつき病弱で両親から次期皇帝候補になることはないと見限られた五歳の第四皇子フラムアーク付きとなり、皇子という地位にありながら冷遇された彼を献身的に支えてきた。
フラムアークはユーファに懐き、スレンツェを慕い、成長と共に少しずつ丈夫になっていく。
だがそれは、彼が現実という名の壁に直面し、自らの境遇に立ち向かっていかねばならないことを意味していた―――。
柔和な性格ながら確たる覚悟を内に秘め、男としての牙を隠す第四皇子と、高潔で侠気に富み、自らの過去と戦いながら彼を補佐する亡国の王子、彼らの心の支えとなり、国の制約と湧き起こる感情の狭間で葛藤する亜人の宮廷薬師。
三者三様の立ち位置にある彼らが手を携え合い、ひとつひとつ困難を乗り越えて掴み取る、思慕と軌跡の逆転劇。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる