愛を知らない私と僕

こむぎ

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15(優希視点)

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「え?鷹村君!?」
水を飲みに起きたらなるの声が玄関のインターホンの前で聞こえた。
「ちょっと待っててすぐ開けるから!」
そう言って焦っていたけど、少し嬉しそうな顔をしていた。
、、、あんな顔久しぶりに見たな。
私じゃもうあの顔を引き出せない。


、、、ごめんって言えたらいいのに。
ありがとうって何度も思ったのに。
2人で高校に上がって、、、
一緒にご飯食べたり、買い物したり、勉強したりしたかったのに。
母さんは好き。とても大切にしてくれるから。
私達を捨てたあの人なんかよりずっとずっと、、、
でも、母さんはなるを蔑ろにする
「総帥には必要なこと」っていって。
ねぇ、母さん。私は知ってるんだよ
夢に聞いたもの。あんなの間違ってるって。
夢は少しレベルは高いけど私の同じ教育。
幼稚園生の時に高校の勉強なんてしない。
経済なんて学ばないんだよ?
母さんはなるに何を求めてるの?
なるは道具じゃないんだよ、、、?
このままじゃ壊れちゃうって思ってるのに。
私には何も出来ない。
母さんはなるのことになると私の声も届かない。

だんだんやつれていってるのに無理して笑うなるに話しかけられなくて、顔も見れなくなって、なんて言葉をかければいいのかわかんなくなって。
気づけば避けるようになっていって。
すれ違う度に、冷たくする度になるの寂しそうな笑顔が目に焼き付いて離れなくなった。
だから余計に避けていって。
でも、学校じゃなるの真似ばっかり。
感謝されるのは嬉しいけれど、罪悪感がつのってる。
はやく、仲直りしたいのに。
“ずっと一緒にいようね”ってもう一度だけでも言えたらいいのに、、、

、、、話がそれちゃったね。
なるはいそいそと玄関のドアを開けて鷹村を迎え入れてた。
鷹村を見た瞬間なるは少し驚いて、でもすぐに笑顔を戻した。
、、、何かあったのかな?
そう思ってリビングに入っていった2人を見送ってから、リビングの前に座って聞き耳を立てた。

、、、うん、聞いてしまってごめんなさい。

しばらくして鷹村が出てきた。
ビックリしてたけどやっぱり笑顔は崩さなかった。
「、、、見てた?」
そう言って笑顔で聞いてきた。
「ううん、声だけ」
「あちゃーこれはバレちゃったね?」
「うん。知らなかった」
少し、、、ううん、凄く悔しい。
なるはあんなに感情をあらわにしない。
でも、鷹村の前だと感情豊かになるみたい。

私が悔しそうにしてるのが顔に出てたのか、鷹村は少し戸惑った、けど少し安心した顔をして「優希ちゃん、、、?」と声をかけて来た。

、、、この人だって、あんまり顔に出さない人だったのに。
考えたらムカついてきた。
だから、「私は認めない、なる1番は私なの」
と言った。
鷹村、ポカンとした顔をしてる、、、
そのままなるから離れたらいいのにって思ったけど。
それじゃなるは喜ばないし、もっと悲しむから。
「、、、でも友人なら認めてあげる」
、、、何様なのよ、私。

「え?友人?」今度はキョトンとしてる。

「うん、なるがあそこまで自分の感情をあらわにすることってないもの。、、、それだけ信頼してるんでしょ、鷹村のこと」
、、、悔しいけど。見てればわかるもの。

少し、思案顔になってからまた笑顔に戻った鷹村は「そうなんだ。うーん、確約は出来ないけど少なくとも優希ちゃんの“お姉さん”を取るつもりはないよ」と言ってきて。
、、、違う。そうじゃない。なるの全てを渡したくないの。
それに、なるにはもう、、、
だから首を振って鷹村の言葉を否定した。

「、、、私がなるの一番じゃなくても、鷹村がなるの恋人にはなれないよ」
「、、、え?なんで?」
キョトンとしてる。この人こんなに表情豊かになれるんだ。

「、、、それは自分で聞いて。ご飯食べるんでしょ?」
「それは、まぁ、、、」
「その時に聞けばいいじゃん。じゃ、もう寝るから。おやすみ」

罪悪感からこの場を離れたくなって、話を早々に切りあげ部屋に戻った。

鷹村の引き止める声も聞こえたけど無視しよう。
明日の朝が怖いな、、、
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