確実にモブだけど、好きにさせていただきます!

万李

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「そうよ!あんたのせいで全て上手くいかないのよ!メリアローズだって、全然虐めてこないし!」



「…まぁ、メリアローズ様に虐められたいんですか?他人の趣味をとやかく言うつもりはありませんけど、メリアローズ様はお優しいので、それは難しいかと」



「ち、違うわよ!変な勘違いしないでくれる!?メリアローズは悪役令嬢なんだから、ちゃんと仕事してくれないとストーリーが進まないのよ!」



「悪役…令嬢?メリアローズ様が悪役?」



「そうよ!私がクリストフ達と仲良くしてるのに嫉妬して、嫌がらせしてくるのよ!それを庇ってくれて、攻略対象とのストーリーが進むんだから!」



「…ちなみに、マリアンヌ様の言った通りになった場合、メリアローズ様はどうなりますの?」



「私が誰のルートに入っても、メリアローズは断罪されるわ。処刑されたり、娼館に売られたり」



「処刑…娼館…」



「まぁ、当たり前よね!未来の王妃に手を出したんだから。ふふ、あの断罪は本当スカッとするのよねぇ」



「スカッと…」



「ね、だからあんたも協力しなさいよ。メリアローズがちゃんと私をいじめるように」



「…ふざけないで」



「え?」



「貴方なんかにメリアローズ様の人生をめちゃくちゃにされてたまるもんですか。協力なんて以ての外です」



あまりの怒りに顔は無表情になり、1歩また1歩とマリアンヌ様に近付く。



「今の話で確信しましたけど、ノートを破いたのも自作自演ですわね。メリアローズ様に、貴方が言うように虐めて欲しいのなら、まず嫉妬させてみなさいよ。貴方に対して嫉妬するような点は、1つもありませんけど。王妃になりたいと野心を持つのは貴方の自由ですけど、貴方には一生無理ですわ。貴方がもし王妃になったら、国が滅びます」



「なっ!」



「最低限のマナーも出来ない、成績だって大した事ない上に、貴重な聖魔法を扱えると言っても微々たるもの。その上、上手くいかないのを他人のせいにして、自分の事は全く鑑みない。王妃としての素質の欠けらも無いのに、目指すだけ無駄ですわ」



ふっと鼻で笑ったように笑みを浮かべると、マリアンヌ様は顔を真っ赤にして震えている。



「う、うるさいうるさいうるさい!!たかがモブのアンタなんかに、ごちゃごちゃ言われる筋合いないのよっ!!」



パンっという音と共に、左頬にじわじわと痛みを感じる。
煽ったのは私だけど、こんなんですぐ手が出るなんて、ヒロインとしてどうなのよ。




「ローズベルト嬢!」



パッと顔をあげると、渡り廊下の方からこちらに走ってくるグレイシア様と、その後ろにアルヴィン先生の姿があった。



あの距離なら、会話は聞こえていないだろうけど、頬を叩かれたところは見えていただろう。



グレイシア様は、私に背を向けてマリアンヌ様との間に立った。



「こんな所で何をしていた?」



いつもより数段低い声で問う。



「…ただ、お話していただけです」



さっきの勢いはどこに行ったのか、か細い声で答えるマリアンヌ様。
叩いておいて、怯える演技とはどうなのか。



「ローズベルト嬢の頬が赤く腫れているが、これはただ話していただけという事になるのか?」



「っ、それはっ、ローズベルトさんが自分で叩いたんです!」



…はぁ?



「私はお話してただけなのに、急にローズベルトさんが怒りだして…」



「それで貴方にやられたように見せる為に、自分で頬を叩いたと?」



「そうです!私、びっくりして…」



私の方がびっくりしてますけど。
開いた口が塞がらない、というのはこういう時に使うのでしょうね。
きっと今私結構間抜けな顔してる自信あります。



「…ははっ、いやいや、僕たちの方がびっくりだよ。ねぇ、グレイシアくん」



「ええ、ここまで頭が悪いとは」



「ダクワーズ嬢、流石にその言い訳はないわー。僕たち見てたし。君がローズベルト嬢を叩くとこ。まぁ、例え見てなくても、到底信じられる内容じゃないよ?」



「そんなっ!」



そう言いながら目に涙を溜めて、プルプルしてるマリアンヌ様を、心底冷めた目で見る。



「はぁ、そんなわざとらしい演技を身につける時間を、少しは教養に回した方が良かったんじゃないか?」



「ほんと、ほんとー。侯爵令嬢であるローズベルト嬢に暴力を働いた所、教師である僕と侯爵令息であるグレイシアくんに見られてるんだよ?今自分がどれだけまずい状況か分かってる?分かってないよねぇー」



「…え?」



「不敬罪って知ってる?」



言われて初めて気付いたのか、ハッと息を飲んだ後に顔色がどんどん悪くなる。



「じゃ、僕は彼女を連れていくから、グレイシアくん、ローズベルト嬢をよろしくね」



「はい」



「あの、ありがとうございました」



「ん、今度こそ気を付けて帰ってね」



そう言いながら、ポンポンと軽く私の頭を撫でてから、呆然としているマリアンヌ様の腕を引いて教員棟の方へ歩いて行った。


2人を目で追っていると、ふと目の前が暗くなり顔を上げて固まった。

ものすごく近い距離にグレイシア様がいたからだ。



「ローズベルト嬢…」



心配そうに眉を下げ、優しく左頬に触れた。



「なかなか戻らないから心配して探しに来たんだけど、行き違ったみたいで…間に合わなくてごめん」



近すぎる距離と触れられた頬に気を取られて、ワタワタしながらも何とか平静を装って答える。



「いえ、グレイシア様が謝るような事はありませんわ。むしろこうして探しに来てくださって、ありがとうございます」



「いや…。熱を持ってるね。冷やした方がいい」



そう言うと水魔法を使ってくれているのか、グレイシア様の手が冷たくなる。
それが気持ちよくて、思わず目を瞑って手に擦り寄ってしまった。
少しの間そうしてると、腰に手が回り、頬を指で撫でられたので、びっくりして目を開けた。


あれ?さっきより近っ!?



と思った時には、グレイシア様の唇が私の唇に触れていた。



ちゅっと音を立てて離れていくグレイシア様の顔を、目を見開いて見つめる。



…え?…え、私、今、グレイシア様と…



「…もう1回、いい?」



「え?……んっ」



いいとも駄目とも言う間もなく、再び重ねられた唇に、咄嗟に僅かな抵抗を試みても、更に腰を抱き込まれ、頬から頭の後ろに移動していた手に、逃げ道はなかった。




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