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2.ホームルーム
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窓から落ちた陽光が、先生の足元を明るく照らしている。
太陽の位置が高いのだ。
「皆さん、入学おめでとう」
教壇に若い女の先生が立っている。
胸元の赤いコサージュが華やかだ。
先生は全員を見回してから、にこやかに話し始めた。
「クラウジーネといいます。今日からこの3組の担任をします」
入学式の後、新入生は3つの教室に分かれて着席していた。
僕のクラスは全員で30人程。
嬉しいことに、ジョエルも一緒のクラスになっていた。窓側の席で、まじめな顔をして先生の話を聞いている。僕は廊下側の一番後ろだ。
それにしても、見るからに高価な身なりの生徒が5人、最前列に座っているのが目を引く。今朝の魔導車の生徒だろうか。
「この学校を選んで入学したということは、少なくとも魔導について少しは知っているものと思います」
コサージュが揺れる。
「この学園には選択科目があります。皆さんは、自分で学ぶ教科を選ばなければなりません」
「みんなバラバラに勉強するんですか?」
前列の金髪の女生徒が声を上げた。
「それは選択科目だけです。最後まで聞きなさい」
先生の言葉に女生徒は小さく首をすくめると、友達らしき隣の黒髪の女が冷やかすように薄く笑った。
「この学園は、午前中が基礎科目、午後が選択科目となっています」
「午前中はこの教室で一斉授業を受けますが、午後はそれぞれの場所で受けることになります」
なるほど。
優れた技術者の多くがこの学園を卒業しているというのは、こういう理由なのか。自分に合った科目をマスターすれば、僕も稼げるようになるだろうと思った。
「明日から3日間、午後は選択科目の授業を自由に受講できます」
そう言って先生は紙束を取り上げると、全員に配り始めた。
「今から配るプリントに教授の承認をもらってきなさい。
提出期限は3日後です。よろしいですか?」
僕は配られたばかりのプリントに目を落とすと、そこには選択科目のリストがあった。
魔導工学、魔導機械、魔導医療、魔導建築、魔導化学、…魔導トレード……。
最後のリスト名に目が留まる。
魔導トレード?
何の学問か皆目見当がつかなかったが、妙に気になる言葉だった。
ホームルームの後、みんなが一斉に席を立ったところで、先生が大きな声を出した。
「寮の人は残りなさい」
僕は短くジョエルに挨拶した。
「また明日ね、アレイシ!」
ジョエルは手を振りながら教室を出ていく。僕は、机についたまま残った。ほとんどの生徒が、サッサと教室を出ていき、残ったのは僕を含めて4人だけだった。
「これだけですね。案内するのでついてきなさい」
校舎を出て裏道をゆくと、山手に小ぢんまりした建物が見えてきた。
近づくと入り口に「清風寮」と書いてあった。
「アナさんとラウラさんは、ちょっと待っていて。女子寮はこの後に行くから」
そう言うとクラウジーネ先生は、呼び鈴を押した。
ジリリとベルが鳴ると、奥からドタドタと賑やかな音と共に男が出てきた。
「やあ先生!早かったですね」
「予定通りです。セルジオさん」
「またまた」
冷たく言い返されているのに、ふざけているのかへらへら笑っている。
そんなことよりも、この人は「デカい」。恐らく2mはあるんじゃないだろうか。
思わず見上げてしまった僕達に、先生が指示を出した。
「挨拶しなさい」
先に挨拶したのは、もう一人の新入生だった。
「あ!エジソンです。よろしくお願いします」
「アレイシです。よろしくお願いします」
僕も続けて挨拶をすると、セルジオさんが陽気に言った。
「よし。君等ふたりの部屋は用意してあるから、入りたまえ。そこのスリッパに履き替えるんだぞ」
そう言うと、セルジオさんはクラウジーネ先生に向き直ると、真顔で言った。
「いつ食事に行ってくれるんです?」
先生はまたかといった感じで、冷たく返した。
「今は忙しいので」
「時間は空いてますので、いつでも言ってくださいね。先生」
セルジオさんはのんきな顔でそう言うと、わははと笑った。
じゃあ行こうかと僕の肩に置かれた手は、信じられないくらい大きかった。
スリッパへ履き替える時、背中のカバンが揺れて、壊れているマドロイドを思い出す。
選択科目にあった魔導機械科なら、僕のマドロイドも直せるんじゃないだろうか…
太陽の位置が高いのだ。
「皆さん、入学おめでとう」
教壇に若い女の先生が立っている。
胸元の赤いコサージュが華やかだ。
先生は全員を見回してから、にこやかに話し始めた。
「クラウジーネといいます。今日からこの3組の担任をします」
入学式の後、新入生は3つの教室に分かれて着席していた。
僕のクラスは全員で30人程。
嬉しいことに、ジョエルも一緒のクラスになっていた。窓側の席で、まじめな顔をして先生の話を聞いている。僕は廊下側の一番後ろだ。
それにしても、見るからに高価な身なりの生徒が5人、最前列に座っているのが目を引く。今朝の魔導車の生徒だろうか。
「この学校を選んで入学したということは、少なくとも魔導について少しは知っているものと思います」
コサージュが揺れる。
「この学園には選択科目があります。皆さんは、自分で学ぶ教科を選ばなければなりません」
「みんなバラバラに勉強するんですか?」
前列の金髪の女生徒が声を上げた。
「それは選択科目だけです。最後まで聞きなさい」
先生の言葉に女生徒は小さく首をすくめると、友達らしき隣の黒髪の女が冷やかすように薄く笑った。
「この学園は、午前中が基礎科目、午後が選択科目となっています」
「午前中はこの教室で一斉授業を受けますが、午後はそれぞれの場所で受けることになります」
なるほど。
優れた技術者の多くがこの学園を卒業しているというのは、こういう理由なのか。自分に合った科目をマスターすれば、僕も稼げるようになるだろうと思った。
「明日から3日間、午後は選択科目の授業を自由に受講できます」
そう言って先生は紙束を取り上げると、全員に配り始めた。
「今から配るプリントに教授の承認をもらってきなさい。
提出期限は3日後です。よろしいですか?」
僕は配られたばかりのプリントに目を落とすと、そこには選択科目のリストがあった。
魔導工学、魔導機械、魔導医療、魔導建築、魔導化学、…魔導トレード……。
最後のリスト名に目が留まる。
魔導トレード?
何の学問か皆目見当がつかなかったが、妙に気になる言葉だった。
ホームルームの後、みんなが一斉に席を立ったところで、先生が大きな声を出した。
「寮の人は残りなさい」
僕は短くジョエルに挨拶した。
「また明日ね、アレイシ!」
ジョエルは手を振りながら教室を出ていく。僕は、机についたまま残った。ほとんどの生徒が、サッサと教室を出ていき、残ったのは僕を含めて4人だけだった。
「これだけですね。案内するのでついてきなさい」
校舎を出て裏道をゆくと、山手に小ぢんまりした建物が見えてきた。
近づくと入り口に「清風寮」と書いてあった。
「アナさんとラウラさんは、ちょっと待っていて。女子寮はこの後に行くから」
そう言うとクラウジーネ先生は、呼び鈴を押した。
ジリリとベルが鳴ると、奥からドタドタと賑やかな音と共に男が出てきた。
「やあ先生!早かったですね」
「予定通りです。セルジオさん」
「またまた」
冷たく言い返されているのに、ふざけているのかへらへら笑っている。
そんなことよりも、この人は「デカい」。恐らく2mはあるんじゃないだろうか。
思わず見上げてしまった僕達に、先生が指示を出した。
「挨拶しなさい」
先に挨拶したのは、もう一人の新入生だった。
「あ!エジソンです。よろしくお願いします」
「アレイシです。よろしくお願いします」
僕も続けて挨拶をすると、セルジオさんが陽気に言った。
「よし。君等ふたりの部屋は用意してあるから、入りたまえ。そこのスリッパに履き替えるんだぞ」
そう言うと、セルジオさんはクラウジーネ先生に向き直ると、真顔で言った。
「いつ食事に行ってくれるんです?」
先生はまたかといった感じで、冷たく返した。
「今は忙しいので」
「時間は空いてますので、いつでも言ってくださいね。先生」
セルジオさんはのんきな顔でそう言うと、わははと笑った。
じゃあ行こうかと僕の肩に置かれた手は、信じられないくらい大きかった。
スリッパへ履き替える時、背中のカバンが揺れて、壊れているマドロイドを思い出す。
選択科目にあった魔導機械科なら、僕のマドロイドも直せるんじゃないだろうか…
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