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7.とんでもないこと
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銀色のジョエルのランチボックスは、可愛い犬のイラストがプリントされたものだった。
友人は照れたように、こっそりその蓋を裏返した。中身はサンドイッチだった。
教室は昼の時間で、空気は緩んでいた。生徒たちは、いくつかのグループを作ってにぎやかに昼食をとっている。
「無事でよかったよ。あれから何ともなかった?」
僕とジョエルは、机を寄せてお昼の時間だ。ちなみに僕は毎日パンを持ってきている。
「ありがとう。皆が寮まで運んでくれたんだよね」
「うん。あの、ニッキーさんだっけ…が、背負って運んでくれたんだ」
ジョエルはサンドイッチを頬張った。
「アレイシは、あの魔導トレード科に行くことにしたんだよね」
「うん」
「ぼくも、アレイシと一緒の選択科目を受けたかったんだけど…」
ジョエルはなぜか、キョロキョロしながら言った。
「2つ目に行った、魔導医療科に地元の先輩がいてね……。強制的に、というか、気づいたら入ることになっちゃってたんだ」
「そうだったんだね。僕もジョエルと一緒なら心強いと思ってたけど、それはしょうがないよ」
僕は昨日、ふとパプルが言った言葉を思い出していた。
勝ち続ける人は5%未満。
ジョエルがトレードをやって、勝ち続けられる保証は何もない。なぜか少しホッとしたのを悟られないように、僕はジョエルに聞いた。
「先輩ってどんな人なの?」
「いや…それが、悪い人じゃないんだけど…何というか…」
ジョエルが、歯切れが悪いことを言っているのを聞きながら、僕は違うことを考えていた。
パプルの事を、ジョエルに言うべきだろうか。彼なら理解してくれるだろうが、皆には知られたくない。
その事で、ジョエルに気を使わせることになるなら、最初から知らせない方がいい。
僕は、今は話さないことにしようと思った。
「ジョエルいる?」
すぐ近くのドアが勢いよく開き、大きな声がした。
振り向くと入り口に立っていた、明るい髪のメガネ女子と目が合った。ような気がしただけで、彼女の視線の先は僕ではなくて、ジョエルだとすぐ分かった。
喉に詰まらせたジョエルが、白い顔になってむせた。
「ノルマ先輩…」
「遅いから迎えに来たぞ」
ノルマ先輩は大きな目をさらに大きくして、大股で歩いてくると僕たちの横に立った。
ジョエルは慌てたように、急いでサンドイッチを口に放り込むとランチボックスを片付け始める。
「慌てずに、さっさと食べるんだ。のどには詰めるな」
変わった人だ。
「君がアレイシ君か。ジョエルから聞いているよ。2年のノルマだ」
自己紹介されて、僕も慌てて返事をする。
「アレイシです。ジョエルにはいつもお世話になっています」
「うん。きちんとしているな」
大きな目を少し細めたノルマ先輩は、続けて言った。
「君は、魔導トレード科に入ったそうだな。…残念だ。もう少し早く分かっていれば、ジョエルと一緒に医療科に入れてやれたのに」
この人は相手の都合は、あまり考えていないようだ。
「今日は、魔導細胞の最終試験データが揃うのでな、13:00にはセットアップ完了していないといけないんだ」
そう言うとノルマ先輩は腕時計を確認して、顔をしかめて遅いと言った。
ジョエルは、昼食の後片付けをして立ち上がった。さっさと歩き始めた先輩に手を握られたジョエルは、引っ張られてよろけながらついていく。
「よし、では行こう!邪魔したな、アレイシ君」
「アレイシ、またね」
ジョエルと別れたあと、僕もすぐ教室を出て魔導トレード科に来ていた。
しかし、昨日と打って変わって教室は異様な雰囲気だった。
「元気ならよかった」
僕が昨日の礼を伝えると、2人はそれだけいうと『それよりな』と言って話を変えた。
「とんでもないことになったぞ」
「とんでもねぇーぞー」
ニッキー先輩は腕組みしたまま、イルダ先輩はぺちゃんこになって机に突っぷしたままそう言った。
「何があったんです?」
「……」
ニッキー先輩にしろイルダ先輩にしろ、元々ふざけているのか本気なのかよく分からない。しかし二人の沈黙は、相当やばいという事を知らせていた。
ニッキー先輩が言った。
「…爆損だ」
ばくそん…?
悲痛な空気の中、沈黙と静寂が広がったが、そういう言葉は僕が意味を知ってから使って欲しかった。
…何?それ?
友人は照れたように、こっそりその蓋を裏返した。中身はサンドイッチだった。
教室は昼の時間で、空気は緩んでいた。生徒たちは、いくつかのグループを作ってにぎやかに昼食をとっている。
「無事でよかったよ。あれから何ともなかった?」
僕とジョエルは、机を寄せてお昼の時間だ。ちなみに僕は毎日パンを持ってきている。
「ありがとう。皆が寮まで運んでくれたんだよね」
「うん。あの、ニッキーさんだっけ…が、背負って運んでくれたんだ」
ジョエルはサンドイッチを頬張った。
「アレイシは、あの魔導トレード科に行くことにしたんだよね」
「うん」
「ぼくも、アレイシと一緒の選択科目を受けたかったんだけど…」
ジョエルはなぜか、キョロキョロしながら言った。
「2つ目に行った、魔導医療科に地元の先輩がいてね……。強制的に、というか、気づいたら入ることになっちゃってたんだ」
「そうだったんだね。僕もジョエルと一緒なら心強いと思ってたけど、それはしょうがないよ」
僕は昨日、ふとパプルが言った言葉を思い出していた。
勝ち続ける人は5%未満。
ジョエルがトレードをやって、勝ち続けられる保証は何もない。なぜか少しホッとしたのを悟られないように、僕はジョエルに聞いた。
「先輩ってどんな人なの?」
「いや…それが、悪い人じゃないんだけど…何というか…」
ジョエルが、歯切れが悪いことを言っているのを聞きながら、僕は違うことを考えていた。
パプルの事を、ジョエルに言うべきだろうか。彼なら理解してくれるだろうが、皆には知られたくない。
その事で、ジョエルに気を使わせることになるなら、最初から知らせない方がいい。
僕は、今は話さないことにしようと思った。
「ジョエルいる?」
すぐ近くのドアが勢いよく開き、大きな声がした。
振り向くと入り口に立っていた、明るい髪のメガネ女子と目が合った。ような気がしただけで、彼女の視線の先は僕ではなくて、ジョエルだとすぐ分かった。
喉に詰まらせたジョエルが、白い顔になってむせた。
「ノルマ先輩…」
「遅いから迎えに来たぞ」
ノルマ先輩は大きな目をさらに大きくして、大股で歩いてくると僕たちの横に立った。
ジョエルは慌てたように、急いでサンドイッチを口に放り込むとランチボックスを片付け始める。
「慌てずに、さっさと食べるんだ。のどには詰めるな」
変わった人だ。
「君がアレイシ君か。ジョエルから聞いているよ。2年のノルマだ」
自己紹介されて、僕も慌てて返事をする。
「アレイシです。ジョエルにはいつもお世話になっています」
「うん。きちんとしているな」
大きな目を少し細めたノルマ先輩は、続けて言った。
「君は、魔導トレード科に入ったそうだな。…残念だ。もう少し早く分かっていれば、ジョエルと一緒に医療科に入れてやれたのに」
この人は相手の都合は、あまり考えていないようだ。
「今日は、魔導細胞の最終試験データが揃うのでな、13:00にはセットアップ完了していないといけないんだ」
そう言うとノルマ先輩は腕時計を確認して、顔をしかめて遅いと言った。
ジョエルは、昼食の後片付けをして立ち上がった。さっさと歩き始めた先輩に手を握られたジョエルは、引っ張られてよろけながらついていく。
「よし、では行こう!邪魔したな、アレイシ君」
「アレイシ、またね」
ジョエルと別れたあと、僕もすぐ教室を出て魔導トレード科に来ていた。
しかし、昨日と打って変わって教室は異様な雰囲気だった。
「元気ならよかった」
僕が昨日の礼を伝えると、2人はそれだけいうと『それよりな』と言って話を変えた。
「とんでもないことになったぞ」
「とんでもねぇーぞー」
ニッキー先輩は腕組みしたまま、イルダ先輩はぺちゃんこになって机に突っぷしたままそう言った。
「何があったんです?」
「……」
ニッキー先輩にしろイルダ先輩にしろ、元々ふざけているのか本気なのかよく分からない。しかし二人の沈黙は、相当やばいという事を知らせていた。
ニッキー先輩が言った。
「…爆損だ」
ばくそん…?
悲痛な空気の中、沈黙と静寂が広がったが、そういう言葉は僕が意味を知ってから使って欲しかった。
…何?それ?
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